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5月26日昼 ジェットラグプロデュース『バラ咲く我が家にようこそ。』

演出の多田淳之介さんや出演の町田マリーさんに興味があって行ってきました。チラシからしてちょっとほのぼの系かなあと。

そんな予想は最初からいい感じで裏切られました。まず「銀色の道」の歌。澄んだキレイな歌声なのになんだかぞっとするような。何が起こるのか期待。

普通のおうちの居間からテラス、庭へと続く舞台。マリーさんとその父親がそこの住人。彼女たちを巡る恋人やご近所さん、職場の仲間などがお話を繰り広げます。私には、登場人物たちが抱える様々な「傷」の物語に思えました。

マリーさん扮する娘の「母親」は一年ほど前にコンビニ強盗を捕まえようと追いかけて、刺殺された。その場に居合わせたコンビニ店員と父親の再会。コンビニ店員は「母親」が殺されたことをちょびっと自分のせいだと思い、父子も微妙にそんな思いを抱えている。庭に遊びに来る夫婦は1年前に娘を交通事故で亡くしたが、妻はそれを認められず娘の姿が見えるかのように振舞う。父親は元警察で定年後警備会社に勤めているが、その現在の同僚は、自分が警備場を変えられたのは父親のせいだと責め、土下座を強いる。が、争ううちに父親は急に倒れ、それを自分のせいだと思ったのか、同僚は帰宅後に自殺する。コンビニ店員は父親の家を訪れお金を落としたということで父親に無心する。父親の警察時代の同僚はその様子を見て、自分がお金を貸すということでコンビニ店員の体を要求する。娘の婚約者としてそれらの人々との関係を築きつつあった男は、最後になってこっぴどいやり方で娘を振り、返り討ちにあってしまう。

起こった出来事を羅列すると、なんだかずいぶんひどい話。後味は悪くないんだけど重たい、苦しい話でした。エンディング直前に再び「銀色の道」が流れるのがひどく効いてます。

コンビニ店員の借金は悪意があってきたのか、婚約者はなぜ急に娘を振ったのか、いくつかのちょっと強引な点に疑問は感じましたが、大人として生きていく生きにくさ、それぞれが抱える業のようなものはとても伝わってきて、息苦しくあえぎたくなりました。でも完全に落とされるわけではなく、エンディングも暗いのになぜか感じた爽快感で救われます。

うーん、、でもやっぱり重たいなあ。エネルギーがあるときに観たい作品。

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