5月29日夜 エレファントムーン「業に向かって唾を吐く」
チラシを見て気になってたところへ出演者さんからのDMで何とか行こうと決定。それにしても今月、どうしようってくらい観に行ってるな。お金が続かないよ。
でもこれは観る価値あり。大きくあり。あらすじ読むとまたかって感じの新興宗教もの。大丈夫かなって思いながら。舞台セットは普通の部屋。アパートの一室のリビングダイニング。学校の先生が試験の採点をしているところへ生徒の母親がやってきます。娘がシンナーや非行をやめておとなしく家で勉強をしているのが納得いかないと。そこへ奥の部屋からお経のような呪文のような声が聞こえてきます。怪しんだ母親が踏み込むと。。。
宗教にのめりこんだ先生の兄と信者たちの食事や立ち居振る舞いのときの表情や目の輝きは本当にイっちゃっている。まじめにまじめに取り組んでいる、静かだけれども力のある、でもちょっと危ない感じの輝き方がすごい。それを嫌悪し、兄に暴力を振るう先生の姿が同じ「こちら側」にいるつもりの自分としてはとっても説得力のあるものに見えました。
が、一般的な流れはそのあたりまで。このあとのそれぞれの登場人物の心の動きの描き方がすばらしい。宗教にはまった人とその周りの人々っていうのはよくある設定だけど、信者側の心の流れを描くのは珍しいですよね。中心で活動する男女は実は信じていたわけではなく、信じてくれる人がいることに驚き、だますつもりではないけどお金を巻き上げ、悪気はないのだからそれもやっぱり救いだと自己弁護しつつさらにこの宗教まがいを「ホンモノ」に仕立てようとしている。なんだ、偽者だったのかと思ったらそこに来ている在家信者も、儀式に参加しつつも全く信じておらず、ちょっと居心地のいいところぐらいの認識でうまいこと利用しようともしたり。それぞれの想いを明らかにすることで、宗教団体の存在をはかないものと見せていくのはやられた、って感じでした。
さらにさらにそれを飲み込みつつまだ儀式を続ける兄の存在も不気味。ホンモノの教祖を思わせるようなまがまがしさとピュアさがよく表れてる。怖い。ほんとにいそうで。
イっちゃった側の心の動きと、覚めたときの表情の変化が本当に見事でした。役者さんたちすごい。渡辺美弥子さん、尾本貴史さん、倉田大輔さん、など見入っちゃった。別の芝居もぜひ観てみたい感じです。
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