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7月6日夜 ポツドール+三鷹市芸術文化センタープレゼンツ「人間 失格」

三鷹はやっぱり遠いです。そして駅からも距離がある。

舞台はアパートの一室。若い男の住まいです。ベランダからは朝の光が差し込み、テレビでははなまるマーケットが放映させる中、男はテレクラに電話。しらけた会話を交わしながら最終的にはテレホンセックスにいたりますが、時間切れとなり、会う約束を交わす。暗転の後、テレビは笑っていいともを映し出し、テレクラの女にすっぽかされた男が未練がましく電話を繰り返します。テレクラの経営者らしき人から代金請求について脅され、だまされて振り込み、友人にも借金しているためそれも取り立てられ、それぞれについて親に振込みをお願いして肩代わりしてもらい、挙句の果てには元カノに電話して泣き言を言う。

どうしようもない男です。かわいげもなく、小ずるい。ここまでの登場人物はこの主人公の男のみ。テレビと窓からの明かりで時間の流れを表現し、電話での会話だけで進みます。この電話とテレビの使い方は秀逸。ポツドールはその辺のアイテムを邪魔にならない程度の重要度をもたせて使うのがすごく上手だなと思います。

後半に入り、ようやく他の人物が姿を現しました。最後まで声の出演で終わっちゃうかと思った。。。よかった。テレクラの女と出会い、取立ての男にさらに搾取され、友達が来たときには返す金は奪われた後。生きててもしょうがないとまた元カノにSOSコールをし、元カノも部屋にやってきます。

そこからがすごい。核心に迫るネタバレになります。一回目の元カノへの電話で太宰の「人間失格」を読むように薦められます。男は素直に読み、疑問を持つ。「失格って?」ダメ人間とはどう違うんだろう。この疑問を彼女は上手に答えます。

ダメ人間だった男がその答えにしたがって、回想。人間失格なヤツだったらこういう展開になっただろうというシーンが繰り広げられます。これが、これが、息を呑む迫力。顔をしかめずにはいられない、人間の醜くて激しい性根。痛いよ、イヤだよ、苦しいよ。

結局男は失格にはなりきれなかったんでしょうね。生まれ変わってまじめに生きると彼女に約束しても、今後も同じようにダメ男として弱っちく生きていくんでしょう。でも失格よりいいのかも知れない、と思わせるのは、途中途中で挟み込まれる男と母親のやり取りや、母親からの留守電メッセージのせいなのかな。それだけが救い。

終わったとたんに客席から逃げるように客が出て行ったように感じたけど、気のせい?私はこういう芝居すごく好きだけど。確かにせっかくの三鷹の広く、天井の高い舞台を使いこなせてなくてもったいない気はしたし、登場人物が少ないために前半は特に動きもなかったからその辺は、ね。でも最前列でもう一度あのシーンを見たい。ポツドールの役者さんの体を張ったあの演技。

帰り、駅までの道を歩いてる間中苦々しい顔してました。思い返しても。それがいい。

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