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8月11日昼 富士ロック「恋愛」

メタリック農家の葛木英さんとクロムモリブデンの板倉チヒロさんの二人芝居。4本立てのオムニバス形式でした。男女の恋愛のいろんな側面、過程を描いて。

一話は池田鉄洋さん脚本の昔恋人だったふたりが再び出会う話。二話は月の移民の彼と森のなかに住む彼女の話。三話は月に一回体の関係を結ぶ二人。四話は人魚の男と、それを愛して支える女との話。合間に博士と博士の作り出したロボットとの話を綴った映像が挟まります。

一話は舞台真ん中にドアを置き居酒屋のトイレに見立てて、そこで最悪の再会。付き合ってた頃の最悪な思い出がこれでもかと繰り出されるのに、なぜか明るくパワフルでお茶目。イケテツの笑いと、森下亮さんの演出がうまく調和して役者さんの力がフルに引き出されてた感じ。おもしろかったです。オチもよかった。

二話。これ、私にはわかんなかったなあ。4つのテーマからするとこれから恋人になる2人ってこと?月に移住して12年して帰ってきて、って、舞台の今がどこにいるんだか、そもそもの設定が把握できず、わからないから眠くなり…。アイスが溶けるのがいったい何を示しているのやら。

三話は思いっきり大人な世界。ひょんなことで知り合った2人が名前も知らないまま月に一度の逢瀬を重ねていく。そこでの思いは熱い恋ではないけれど、秘密を共有し、同じ時間を過ごした者同士の特殊な感情。その思いが男女で微妙にずれ、やがて終わりが来る時…。とっても細やかな女の感情が葛木さんの表情一つでひしひしと伝わり、ぐっと来ました。必死で強がる女。そして終始無神経でありながら女が去ったあと、最後に男が見せた顔。設定はありきたりながらも、この二人がとても生きてた話でした。

四話は出演の葛木さんが作演した現在の恋人たちのお話。とはいえかなりシュールな設定。人魚の男って。。。発想のオリジナリティーにまず脱帽です。どこでどうやって知り合って付き合うようになったのかも興味深いところですが、まあそれはおいといて。魚部分が乾いてしまっては生きられないためお風呂で暮らす男。当然人間の下半身の機能がないため、歩けないし、セックスもできません。女はお金を必要として、昼間はヘルパー、夜はホステス、さらに体を売ることまで。結果子供ができ、そのことで二人は葛藤、喧嘩して。。。なぜそこまでしてお金が?それが見えたとき、ハッピーエンドにつながります。二人のお互いへの想いが痛いほど伝わりました。ただ、上手側の席にいたので、最後の下手のドアのシーンが見えず、悔しかったけど。

まじめに二人で恋愛というテーマにじっくり取り組んだ姿勢が垣間見える、よいお芝居でした。

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