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8月15日昼 MU 「きみは死んでいる/その他短編」A version

短篇集って、小説でもときどき読みたくなるけど、満足度はほんとそのときどき、作品自体の完成度と自分のアンテナの具合によって変わる気がします。ざっくりと書かれ、ふんわりと着地し、あとは想像力に委ねられる、って感じが妙にうっとうしく感じることもあり、心地よいときもあり。どう膨らませるのかが自由なだけに、いつまでも印象に残ったり、尻切れ具合に腹が立ったり。お芝居だったらどうなのかな、と興味をもちました。

一本40分前後が3本。まずはAバージョン。一本めが表題作。男同士バージョン。みんな同じ天国に行ける、そのためにそれぞれの共通項を重ねて、チャンネルを合わせて行こう、仲間は家族で恋人で友達で、裏切ることは許されない、そんなコミューンから抜け出した二人の男。一人はそのせいで殺され、けれど肉体はそのままでもう一人の男に自分の敵討ちを頼みに訪れる。頼まれた男は彼女との新しい関係を築きながらも、コミューンや殺された仲間を引きずってもいて…。コミューンの男たちの冷めた熱さというのか、冷静に追い詰めてくいやらしい感じが憎たらしくて最高。いやな奴なのにコミューンに対しての思いだけは純粋なところが観る側に響きます。恋人役の平間実貴さんの振り切れた31歳も痛さ加減と狂い具合が絶妙で。引きながらもつい見ちゃうって感じ。最後殺し合う場面での「お前の天国ってここ?!」って言う台詞に、主役の男二人の絆を感じてちょっと切なくなりました。

二本めはある女をめぐる男たちの話。かつて一緒に劇団をつぶし、なのに再び芝居をしようとする夫、夫が妻の様子を探ろうとやとった探偵、女が勉強を教える中学生達、彼らに勉強場所を提供する乞食、劇団をつぶした際に迷惑をかけた相手。そこに通りかかったカップルも関わって。ダメな、だけどそんな自分に酔ってる風の女を佐々木なふみさんが色っぽく。私までどきどきしそうな佇まい。中学生の小僧なんてイチコロですよ。女の思考回路と振り回される男たちのまぬけっぷりをうまく見せてたなあ。だけど結局幸せって言えるのは誰なんだろ。

三本めは奴隷を飼っている男の話。いいなあ、奴隷って。最初埋まらない心の穴ってやつが、台詞でしか伝わって来なかったけど、後半、奴隷達が立ち上がりご主人さまに楯突いたあとでようやくご主人さまの淋しさが垣間見えました。見えない信頼かあ。。。

短篇とはいいながら、3編ともかなりの完成度。とりこぼしなく、過不足なくびしびしと何かが伝わって。さすが作演のハセガワアユムさんが自信を持って送る珠玉のっていうだけありますね。納得。お話の構成、実力ある役者さんたち、おしゃれなセット、想像の余地を残した演出、すごく満足です。

チラシや当日パンフがとても丁寧に解説してあって、親切な反面ちょっと先入観持ちすぎちゃうかな。短い話なだけに設定をつかんで入りこむまでの道筋をショートカットしてくれてるのはとてもありがたいんだけど。。。例えば死んだはずの男の描写に対してすごく漫画チックに想像しちゃっていて、実際には実写だとそうそうすごいはずもなく、ややちゃちく感じてがっかりとか。目玉がビー玉とか、詩人の佇まいとかも。映像が頭に浮かぶような描写は、実際とイメージとの乖離が生じるなと感じました。まあ、それを越えた出来だったので満足なんですが。

さあて、Bバージョンもすごく楽しみだな。

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