8月29日夜 柿喰う客第10回公演『性癖優秀』
ここまで激しく、エネルギッシュだとは思わなかった!すごい。勢いで飛ばすだけじゃなく、まとめるところはきっちりしてるし。いいなあ、こういうの。
とにかく登場人物が多いんです。東京に住むある夫婦が離婚することになり、妻は今度中学生になる息子を連れて田舎に帰ります。夫はそれを追いかけて自分の故郷でもある隣のニュータウンへ。その村とニュータウンは、最近合併して新しい市になりました。が、どこでもあるようにそれはすべての人に歓迎されたわけではなく、村とニュータウンでいがみ合いが起こります。特に両方から子供が集まる中学校ではその教育方針を変えるほど。両方に通用するように、と校長先生が取り上げたテーマは性教育。専門の教師を迎えて子供たちを教育するが、性風土に関しても村、ニュータウンには大きな違いがあって…。
主役の親子、妻の田舎の村人、夫のニュータウンの住人、中学校の人々、みんなすごく個性があって、それでいてアクが強すぎるでもなく全体のバランスの中でいい空気を醸し出しているんです。最初当日パンフを見て、絶対掴みきれないって思ったけど、全然平気。びっくりするくらい。コスチュームのうまさもあるんでしょうが、やっぱり脚本での描き分け、演出での使い方、役者さんの使われ方がすごくいい。
舞台は左右対称、真ん中に広場があり、それを囲んでの2階建て。階段や壁をうまく使って出入り口をたくさん設定し、大人数のキャストがとっかえひっかえ出入りしていきます。狭い空間をきつきつした感じなく、全部使い切っていました。
後半の村の祭での鬼ごっこ的な場面。ミーティングタイムとかどこまでが素なんだかって思わせるのがうまい。実際はすべて作りこまれてるんじゃないかなあ。役者さんたちの表情の変化がおもしろくってしゃべってない人のこともすごく観察しちゃいましたよ。
そして最後は全員登場。こんなにいたんだ、って改めて感心するくらいの人たちがひしめき合って、歌ったり踊ったり、ずっこけたり。こんなの初めて。暑苦しい、でもいい。TOKIOの合唱だなんて、ある意味ドン引きなのに一生懸命やっちゃうとこんなに引き込まれちゃうのですね。迫力が怖く、おもしろく。
台詞の量が膨大で2時間によくこれだけ詰め込んだなって思いました。初日だっただけに噛んだり飛んだりしてたけど(客にわかるほどね。)、今後がすごく楽しみです。またリピートしたい。
アフタートークが弁護士役だった玉置玲央さんと主宰の中屋敷法仁さんだったんですが、お芝居のテンションに比してずいぶんかしこまって、ちんまりまじめに話していたのが意外というか、そうねえというか、なんだかよい感じでした。誠実で。
一つ難点をいえば、開場待ちの時。急な雨で傘を持ってたり持ってなかったりの客たちだったのですが、モリエールの作り上、仕方ないかもしれないけど傘無しで外で列を作らされている人がいたのはどうかと思います。しかも開場が約10分押し。私も外でしたが、傘があったからまだよかったけど、なかった人結構濡れてましたよ。あれじゃ観劇もかなりのマイナススタートになっちゃいます。中の階段を会場入り口ぎりぎりまで上げるとか、2列に並ばせるとか工夫すれば絶対入れたはず。押してる間だけでもスタッフの傘を貸すとか。ちょっと心遣いが欲しいです。
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コメント
とても嬉しい内容に思わずコメントさせていただきました。
今公演では整列案内などをしておりました、劇団員の半澤と申します。
この度はご来場頂きまして、誠にありがとうございました。
楽しんでいただけたようで、なによりです。
雨への対応は完全に私どもの配慮不足で、ご指摘の通りだと思います。
対策を整え、対応させていただき、より楽しんでいただけるよう精進いたします。
本当の意味で温かい感想を、ありがとうございます。
今後とも柿喰う客をよろしくお願い致します。
投稿: 半澤 | 2007年9月 2日 (日) 00時45分
読んでいただいて本当にありがとうございます!
言いたい放題書いてしまいましたが、本当に素敵な公演でした。すべての公演にアフタートークがついてくるって言うのもとても潔くてかっこいいですよね。質問できたらよかったんですけど。。。演る側と観る側の両者がいて成立する世界なだけに、こういうキャッチボールの場があるっていうのはすばらしいです。
さらにこういう場で言った言葉に対しても反応していただけたっていうのは、やっぱり劇団としてとても成熟しているんでしょうね。
これからもまた観て、反応して、いつか質問できたらいいなと思います。残りの公演もがんばってください!
投稿: めっこ | 2007年9月 3日 (月) 20時56分