« 2007年7月 | トップページ | 2007年9月 »

2007年8月

8月29日夜 柿喰う客第10回公演『性癖優秀』

ここまで激しく、エネルギッシュだとは思わなかった!すごい。勢いで飛ばすだけじゃなく、まとめるところはきっちりしてるし。いいなあ、こういうの。

とにかく登場人物が多いんです。東京に住むある夫婦が離婚することになり、妻は今度中学生になる息子を連れて田舎に帰ります。夫はそれを追いかけて自分の故郷でもある隣のニュータウンへ。その村とニュータウンは、最近合併して新しい市になりました。が、どこでもあるようにそれはすべての人に歓迎されたわけではなく、村とニュータウンでいがみ合いが起こります。特に両方から子供が集まる中学校ではその教育方針を変えるほど。両方に通用するように、と校長先生が取り上げたテーマは性教育。専門の教師を迎えて子供たちを教育するが、性風土に関しても村、ニュータウンには大きな違いがあって…。

主役の親子、妻の田舎の村人、夫のニュータウンの住人、中学校の人々、みんなすごく個性があって、それでいてアクが強すぎるでもなく全体のバランスの中でいい空気を醸し出しているんです。最初当日パンフを見て、絶対掴みきれないって思ったけど、全然平気。びっくりするくらい。コスチュームのうまさもあるんでしょうが、やっぱり脚本での描き分け、演出での使い方、役者さんの使われ方がすごくいい。

舞台は左右対称、真ん中に広場があり、それを囲んでの2階建て。階段や壁をうまく使って出入り口をたくさん設定し、大人数のキャストがとっかえひっかえ出入りしていきます。狭い空間をきつきつした感じなく、全部使い切っていました。

後半の村の祭での鬼ごっこ的な場面。ミーティングタイムとかどこまでが素なんだかって思わせるのがうまい。実際はすべて作りこまれてるんじゃないかなあ。役者さんたちの表情の変化がおもしろくってしゃべってない人のこともすごく観察しちゃいましたよ。

そして最後は全員登場。こんなにいたんだ、って改めて感心するくらいの人たちがひしめき合って、歌ったり踊ったり、ずっこけたり。こんなの初めて。暑苦しい、でもいい。TOKIOの合唱だなんて、ある意味ドン引きなのに一生懸命やっちゃうとこんなに引き込まれちゃうのですね。迫力が怖く、おもしろく。

台詞の量が膨大で2時間によくこれだけ詰め込んだなって思いました。初日だっただけに噛んだり飛んだりしてたけど(客にわかるほどね。)、今後がすごく楽しみです。またリピートしたい。

アフタートークが弁護士役だった玉置玲央さんと主宰の中屋敷法仁さんだったんですが、お芝居のテンションに比してずいぶんかしこまって、ちんまりまじめに話していたのが意外というか、そうねえというか、なんだかよい感じでした。誠実で。

一つ難点をいえば、開場待ちの時。急な雨で傘を持ってたり持ってなかったりの客たちだったのですが、モリエールの作り上、仕方ないかもしれないけど傘無しで外で列を作らされている人がいたのはどうかと思います。しかも開場が約10分押し。私も外でしたが、傘があったからまだよかったけど、なかった人結構濡れてましたよ。あれじゃ観劇もかなりのマイナススタートになっちゃいます。中の階段を会場入り口ぎりぎりまで上げるとか、2列に並ばせるとか工夫すれば絶対入れたはず。押してる間だけでもスタッフの傘を貸すとか。ちょっと心遣いが欲しいです。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

8月29日昼 キャラメルボックス2007チャレンジシアターVol.5 「猫と針」

キャラメルボックスとはだいぶ雰囲気が違うという評判。私はあまりキャラメル観てないので、作家演出俳優の組み合わせの妙を楽しもうかと。

平日のマチネでさえも前売りはとれず、前日売りのチケットで。補助席かもって言われたけど、こういう大きい劇場ならむしろ補助席の方がいい位置に陣取れたりするんですよね。自分が早くからチケットとってた時は腹立つけど。そんなわけで、前から数列目の好位置をゲット。

まるで写真を切り取ったようなシンプルで美しい舞台。白黒のコントラストに、チェロの生演奏で開演。高校の映画研究会仲間の同級生の葬式帰りの5人。うちの一人が現実に映画監督になっており、この日、自作映画のエキストラとして喪服姿の仲間達を集める予定だったが、その日にたまたま友人の葬式が重なって。死んだ友人は精神科医で、仲間をもカウンセリングしてたりしたが、強盗に入られ殺されたとのこと。その謎を語るうちに話は様々な方向へ流れ、それぞれの生活が暴露され。

関係は高校時代のままでありながら、みんな重たい荷物を抱えている。自慢したいこともあれば隠したいことも。隠してることを暴く意図もないのに話の流れで相手を追い詰めてしまったり。チラシのコピーの「人はその場にいない人の話をする」っていうのがそのまま。それぞれがそれぞれの噂をし、本人が戻るといったん気まずく黙り、あとで真偽を確認するっていう、普段よくある風景が繰り広がります。

私はお話やエピソードそのものよりも、ところどころの鋭い台詞が鮮烈に印象に残りました。「映像や思い出はこんなに出てくるのに、本人はもういないんだなあ」「自分の生きてる現実より記録された現実の方がリアル」「あいつは年とらないんだな」「そういう関係にならない友達関係もあるのにね」とか。印象的と言いながらもう既にだいぶ忘れちゃってますけど。ぜひ戯曲を読みたいです。こういっちゃうとナンですが、芝居としてよりもその方がぐっさりきちゃうかも。。。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

8月26日夜 オッホ「野獣が革製品をささえている」

小さな劇場で、至近距離で達者な役者さんを観る。なんて贅沢なこと。オッホ本公演は一回しか観たことないけど、客演でみかける役者さん、素敵だもんなあ。

ちびっこ祭りでにぎわう笹塚。会場わかりにくかったなあ。段差なしの素舞台を三方から囲む形で。正面の最前列ど真ん中に陣取っちゃいました。どんなに寄ってきても目は逸らしませんからね。わくわく。

ショートストーリーをこれでもかと次々ぶつけてきます。最初は役名を実名にした役者全員登場のある雑誌の編集会議。紹介も兼ねていて構成の上手さ、親切さに感心です。

一人芝居あり、リーディングあり、あっという間の90分でした。私は珠井江都子さんの演劇部一人芝居が一番お気に入り。おっかしかった~。シリーズ化していろいろ観てみたい。

いろんな劇団の役者さん達が観にきてました。名前思い出せないけど、見たことある顔。あ、森田ガンツさんとか。あとまたクロムモリブデンの森下亮さんに会えました。今月2回目のラッキー。

にしても、昼夜両方背もたれなしはお尻痛し。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

8月26日昼 ジェットラグ+東憲司「夢顔」

なんておかしく切ないお話。私は泣ける芝居がずいぶん好きみたいです。

妻に浮気をされた男。夫婦としてはもうダメだと思う日々。ある日ひょんなことから音信不通だった兄が養蜂をしていることを知り、夫婦で兄に会いに行くところから物語は始まります。兄は兄で養蜂場閉鎖の危機にどう対応するか悩み、訪ねた夫婦は妻が蜜蜂にのめり込み。

とぼけた、でも様々なものを抱えて生きるお兄さんを演じる青山勝さんがいい味です。養蜂場に集まる人たち、ありえないくらい田舎臭さ全開なんだけど、うっとうしくなく、いとおしい。疵を知りながらお互いを思いやる温かさがにじんでいて。基本一生懸命だから、つまづく部分も多く、そこがおかしくって。。。

また妻を演じる桑原裕子さんがかわいい。浮気をしちゃいながら嫌味なく、あっけらか〜んとして。最後の最後に妻の抱えていた秘密が、花の咲かない夢顔という蜂寄せ草にからめて語られるのですが、かわいい女の底を支える強さが染みて染みて…。お団子を食べたいのに、自分から欲しいと言いだせない男の鈍臭さ、滑稽さと対比され、心を打ちました。

花の咲かない草でも蜂は寄ってくる。花は夜、みんなが夢を見ている間に咲いているのだから。。。…しっとりと泣きました。

余談で、座席に関して一つ。チケットの番号見て、一番前だと喜んでたらなんとベンチ。申し込んだのが早くはなかったから悪い席なのは仕方ないけど、全席指定の同じ料金でこの差はいただけないなあ。間も詰まってたのでかなり体に負担でした。席に差があることを知らせるなり、料金に差をつけるなり、なんかしら心遣いが欲しかったです。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

8月25日夜 PATHOS PACK 「VACANCY? NO VACANCY!」

宇梶剛士さんが立ち上げた劇団の旗揚げ公演。さすが、ずいぶん魅力的な役者さんが揃ってる。どんな色を出してくるのやら。

マンション建設のため、立ち退き・売却を求められている建物。持ち主の男はかつて祖父母が住んでいたその家を見にきて、自分の昔を知るらしい少年に出会う。少年と別れた後、家に入るとそこには作家だった祖父が書き物をしており、そこには次々と小説の登場人物が現れる。祖父の小説に出てくるのは自分の兄弟や亡くなった友人達ばかりで…。

話の進め方がかなり不親切で、私がこの状況設定を理解できたのは半分を優に過ぎた頃。時代が飛んだり空想の人物が出てきたりするのなら、もう少しヒント欲しいなあ。自分の理解力を棚に上げてナンですが。。。当日パンフにあらすじ載せるとか。曖昧なまま観ていたので、結局オチのしんみりとしたよさも十分に味わいきれませんでした。

とはいえ、役者さん達がベテラン揃いにも関わらず結構動いていたのが新鮮。語るだけでも惹きつける人たちばかりだろうに。舞台俳優はやっぱり体力勝負ですね。

せっかく新しく劇団を立ち上げるなら、もっと若く、もっと安く、の方がよかったのかな。宇梶さんのネームバリューが良くも悪くも効きすぎというか。客層にしてもそんな感じ。好きなことをやっても中身で客を引っ張る力強さが今後の課題。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

8月25日昼 劇団競泳水着 第七回公演 「なだれる」〜注意報すら、のみこむ恋。〜

ほんとさわやかすぎて恥ずかしくなるような、青春ラブストーリー。女子高生と先生の、切なく淡い、でも確かな気持ち。取り巻く人々のわかりやすい脇役キャラ。うたい文句どおりのトレンディドラマです。

初めて学内を飛び出しての公演ということで。やっぱり全体的に若いですね。スタッフも観客も。なんだか学生っぽいゆるさと緊張感を感じました。

北海道の高校の放送部に所属する姉妹。姉は先生と恋愛中だが先生は学校をやめ、アメリカに少なくとも2年の留学に出る。何の約束もないまま…。3年経ち、姉妹は東京で暮らしており、姉は先生のことを引きずりながらも新しい恋に踏み出そうとしたその時、帰国した先生から電話が入る。そして二人は。。。

舞台を4つの場面に分け、左に現在の姉妹の暮らす部屋、中央が高校時代の部室、右に先生が帰国して泊まっているホテル、を置き、舞台上の位置で時間や空間の行き来を表します。バランス的に部室の空間が話の重要度のわりに広すぎる感じはしましたが。ホテルと家での電話の場面などのために間に部室を挟まざるを得なかったのでしょう。なので端と端で話が進むことが多いように思いました。役者のアクションは少ないのに、舞台の全部を上手に使いこなしてたなあ。

90年代のドラマっぽいどきどきや、煮え切らない二人へのもどかしさなど、楽しかったです。伏線やエピソードがうまくつながりすぎてて、まとまり方が小ぢんまりしちゃったかなとも思いましたが。。。このかわいらしい感じ、は今後も気になります。

お芝居中、劇団関係者のお友達らしいカップルが隣に座ってたんですが、手を握ったり離したり、肩にもたれたり、気になりました。普段だったらごそごそすんなってプリプリ怒っていたでしょうが、ま、芝居が芝居だけになんだかちょっとうらやましく微笑ましくなっちゃいました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

8月24日夜 アンドエンドレス「子どものナイフ 」

久々にやられた〜。大失敗。お金払って行かなきゃよかった。時間を返せって叫びたい。

評判も劇団のプロフィールも何も知らないまま来てしまいました。客層はなんだか知り合いばかりな感じ。古くからの固定ファンなのか、劇団員の身内なのか。ちょっと疎外感。そしてわりとがらがらな客席。うーん、微妙に不安。

題材はモーツァルト。依頼人はわからないまま暗殺者がモーツァルトのまわりに集まり、それぞれの思惑が渦巻いてって話。

なんと休憩含めて3時間20分。休憩までは、笑いの挟み方やフォローライトを多用した照明、盛り上がった瞬間にばっさり切る音楽などの古くさい感じに目をつぶれば、そこそこおもしろくかった。静かに心情吐露したり、激しくダンスが入ったりのメリハリもよかった。なのに、休憩でリズムが崩れ、あとはエピソードの新鮮味もなくなり同じような場面、台詞の繰り返し。

2時間半を越えた辺りから誰でもいいから早く刺せ、刺されてしまえ、という気分。こういう時に限って眠くもなりゃしない。ここまでイライラしたことないよ、お芝居観てて。

大作気取りも甚だしい。ひとりよがりでなく楽しませて欲しい。もっとシンプルに、話を絞って作れば主題はそのままで2時間以内でまとめられるはず。それだったらすっきり楽しめたのに。あーあ、時間もお金も損した。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

8月24日昼 少年社中×ホチキス 期間限定劇団 毛利と米山「銭に向け叫ぶ」

二つの劇団のコラボ。にぎやかで勢いがありそう。

ある芸能事務所に所属する男性アイドルを軸に、マネージャーや新人アイドル、社長夫婦。ヒトの値段を付けるサイトの男。男性アイドルの兄弟。アイドルのファンでグッズを買い漁る文具メーカー社員とその同僚や上司。アイドルの兄がはまる新興宗教の教祖。その新興宗教に騙されかけた、かつて娘を殺された夫婦。娘を殺し、今はその新興宗教つぶしに関わる警察。…登場人物が多いっ!開演前にしっかり当日パンフ読んでおいてよかった。。。コラボなだけに出てくる役者は多く、しかも関係が複雑に絡んでいるので、把握してからでないと理解できないかも。

まあこれだけの登場人物をさばいて、お話をまとめた脚本は立派。はちゃめちゃな設定なのに、伏線がきっちり繋がってましたもん。

場面はころころ変わるので見せる転換が続きますが、後ろでセットが動く中前で別の場面が展開したり、とテンポよく進めようという工夫は功を奏していたように思います。

でも、なぜなのか、話が遠くに感じられて…。私の体調の問題なのか、相性が悪いのか。役者さんがキャラは濃いのにオーラは薄い感じがしたのは人数のせいかしら?話が収束してくのを感じるのにどうなるのかってわくわくしなかったんですよね。原因不明。

舞台の統一感のなさも不思議でした。まるで見せ物小屋ふうののぼりや垂れ幕に対し、動くセットのぎんぎらの壁。オフィスや家庭のシーンが多かったのになんであんな壁だったのかなあ。かなり疑問。そしてのぼりや垂れ幕も芝居中に生かされることはあまりなく…。単にコラボのお祭り気分の表れ?反対に衣裳のセンスの良さには惹かれました。かっこよかった、欲しくなるほど。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

8月19日夜 Oi-SCALE本公演「ロールシャッハ」

こういうのってサスペンスっていうんでしょうか。会場に入った瞬間から薄暗くて不気味。舞台上にはスクリーンがあり、入場してくるお客さんが引きで映し出されてました。小さいテレビ画面には蝶の舞う様子が黒い画面に浮かんでます。なんかスクリーンの雑然と、がやがやとした感じと、テレビ画面の妖しい雰囲気が交錯して、これから始まるお話への序章となっているのか。

状況がぼんやり見えてくるまで一時間くらいかかっちゃいました。いろんな場面が展開され、いろんな人が出てくるから、把握するまでが大変。隣の人なんかぐうすかでしたよ。もう少し入り込みやすいといいのにな。

交通事故で好きな人を引いてしまった女。同日同時刻に女の部屋を訪ねた男は知らない男の死体を発見する。女は警察で事情を聞かれた後、ある病院に入院。男は仲間を集めて事情がわからないながら、その死体を始末しようと画策する。女は同じように交通事故で加害者になった足の不自由な男と病院で出会う。その男の弟と死体を始末している男たちは昔の同級生で協力しあって死体を運び。。。

どこがどうリンクしてシンメトリーなのかわかりませんでした。夢の世界の話なのか、現実なのか。車椅子の男やその弟、宗教の男や長谷くん、などおもしろいキャラはいっぱいいておもしろかったんだけど、全体としてのまとまりというか。雰囲気は怪しげなままぞくぞくするような謎の含み方はおもしろかったんだけどね。

楽の公演だったのに席が半分くらいしか埋まってなかったのにはびっくりでした。もったいない。そして席が空いてるなら前から埋めてくのではなく、見やすいセンターから広げていって欲しかったなあ。わりと横にも奥にも広く舞台使ってるんだから。前列のはじっこを割り当てられて見にくかったです。空いてる席に移動したかった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

8月19日昼 あなざ事情団「ゴド侍」

アトリエ春風舎、やっぱり不便だなあ。劇場自体はアットホームな感じで素敵なんだけど。

舞台は中央に2m四方の枠があり、こたつが一つ置いてあります。客席は四方に二段ずつ、全部で25席程度。狭いなー、近いなー。それがいいんだけど。出演のお二人が客入れもしていて、そのまま開演。

ゴド待ちもベケットも全然知らないから、わかるのか不安だったけど全然関係なし。二人のやりとりに客を取り込み進んでいきますが、どこまでが設定でどこがアドリブなのか。何が説明でどれがストーリーなのか、その辺りも曖昧。話を知らなくても楽しめるけど、知ってなきゃダメな部分もある気がするなあ。突然流れが変わったりした時、本筋が掴めないもの。

なので今日はお芝居の中身がどうかより、みんなで楽しむ演劇っていうのを初体験できてよかった。参加してる感が恥ずかしくもうれしい。でも一緒に観る面子で雰囲気かなり左右されそうですね。どうなんでしょうか。

倉品さん、松田さん、さすが二人でこれだけのものを成り立たせちゃうんだからやっぱり魅力的。また観てみたい。それでよかったら今度こそ上演台本買ってみよ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

8月18日夜 黒色綺譚カナリア派第七回公演「リュウカデンドロン~サーカステントか幼馴染の赤いスカート~」

こういうお話です、私が好きなのは。ってわりとべたでわかりやすい話。期待してないで行きましたけど、よかった~。

サーカス団。13年前団長が行方をくらまし、その妻を女団長として3年間がんばってきたけど、どうにも立ち行かなくなり10年前についに解散。団員たちはそれぞれ新しい仕事を見つけたり、結婚したりしたけど、女団長は行方不明の団長が忘れられず、サーカスの劇場に乞食同然に住み着いてしまう。サーカス時代にもらわれっ子として団長夫婦に育てられた男女の兄弟はそれぞれのやり方で母を守ろうとするが、母は誰にもいえない秘密を抱えていて…。

女団長を演じた桟敷童子の板垣桃子さんと娘役の牛水里美さんがもう、素晴らしい。ころころ変わる声音、表情。女はかくも弱く、かくも強い。何があろうが起ころうが、守るべきものは守る。前半からほろりと来そうではありましたが、終盤は涙が止まりませんでした。母が抱えた秘密をいつの間にやら知っていた娘。母は常軌を逸してもその秘密を守り、その母のすぐ近くで娘は母を守り続ける。

それに比べて男のばかなこと、情けないこと。女に溺れてサーカスを捨てた夫。女団長を愛しながら踏み込めず姿を消した支配人。母と妹を守りたいのに方向性を誤る息子、金儲けに振り回され関係を崩していく元団員たち。。。状況に応じて流され、振り回されて、まさにピエロ。

みんな、お互いの幸せを思っているのにちょっとずつずれちゃってるところがすごく切ないんです。ジャストフィットすれば何の問題もないはずの優しい気持ちなのに。守るべきものがあるから強く残酷にもなれてしまうんですね、人は。なのに伝えたい相手には届かない思い、そんなもどかしさも…。

サーカス小屋が壊される前夜、あんな惨いラストステージ。状況も、口上も、サーカス団員としての芸も悲しすぎる。涙ぼろぼろです。でもなんか前向きな、呪縛からの解放的な部分もあって。

赤澤ムックさんの美しさとこのストーリーの視線、演出にメロメロです。やっぱり泣くっていうのはカタルシス。すっきりです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

8月18日昼 トリのマーク(通称) 「5時には家に帰ろう」

チラシやマークのほのぼのした雰囲気にひかれて行ってみました。こぐまカフェも素敵そうだな。

舞台を真ん中にしつらえ、4方向から観客。数的にメインはいつもの客席側でしたが、どこから観てもそんなに見にくい場所はなさそう。舞台は板を打ち付けたり台を置いたりしただけのシンプルなもの。

初めて観たのですが、こういう静かな、流れの停まってるような芝居は実は苦手。どうも私はストーリー性重視の観かたをしているようで、詩的な一瞬一瞬で成り立っているようなものや、役者の動きだけでみせるようなもの、いろんなストーリーのコラージュみたいなものはダメなんですよね。理解の範疇を越えてしまってるというか。笑いあり涙ありのわかりやすいのでないと。お気楽が好き。

というわけで、こういう作品の楽しみ方がわかりません。みんな難しい顔して何を思って観てるのか、そっちに興味津々。場面場面のつながりや台詞の意味を自分で想像(創造?)してるのかな?同じキャラが繰り返し出てきても、私には設定からしてさっぱりだったけど。。。今回は下北沢の町を守ることがテーマだったということで、終演後に配られたパンフレットを読んで、少しだけわかったような気になったけど。これ、最初に欲しかったな。

とは言え、苦手でも嫌いではないんです。意味わからないながら、役者さんは素敵だったりするし。柳原明子さんや金沢涼恵さん、かわいかったな。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

8月15日夜 MU 「きみは死んでいる/その他短編」B version

さっそくBバージョン。Aがよかっただけに期待値大。さらにその期待に答えてくれそうな予感にわくわく。

一本めは表題作の女性バージョン。私はこっちの方が若干好み。5.5対4.5くらいだけど。なぜかと言うと、愛を語る場面がやはり美しいから。そして生々しい。男バージョンでは主役だった橋本恵一郎さんがちょっとイッっちゃってる恋人役でかわいくてよかった。最後の場面はやっぱり涙が出そうになりました。

2本めは軽音楽部の女子高生達とまわりの大人たちのお話。愛だ恋だ、僕はここにいる、なんてきれいな言葉を、実生活では不倫もしているような大人達が書き、歌うように強制する。女子高生は、世界はそんなんではなく、もっと自分達の世界を、ロックを歌いたいと訴える。でも自分は特別、人とは違うと感じるのは「中二病」だと一蹴される。中二のがきんちょにも、先生達にも。尖った女子高生って言うのが普通にしか見えなかったし、ちょっと世代的に共感できる部分が少なかったな。どちらかというとだんだん今の音楽についていけず、どんどん80年代90年代にさかのぼっていっている世代なので。。。能天気な先生たちと、古市海見子さん演じるそのお友達のしれっとした感じは好きですが。

3本目。戦場に行って捕虜経験をしたカメラマンとその捕虜仲間が反戦を訴えて、反戦歌をガールズロックバンドにお願いする話。2話で出てきた女子高生バンドの卒業後の話としてつながりもあって。反戦を訴えるって言っても売名行為、金儲けの面も捨てきれず、ガンマニアだったり、戦争のエグイ写真を見せびらかしたりする3人組。そんな3人の本音を賭けのネタにするバンドメンバー。うそ臭さと嘘の境界、自分の生きる現実と世界のどこかにあるもう一つの世界。その迫りようがリアルで怖い。口では正論を並べながらもいざとなると動けない、動かない男。そんな本音と建前を肌では感じながら、賭けというふざけた形でしか追求できない女の子たち。そういうことって普段の生活にいっぱいあるなっていうのが、ぐっさり突き刺さりました。

全体のテイストとしてとても好みです。作演も俳優さんたちも追いかけたい。Bバージョンでは全体を通して中川智明さんの凄みが際立ってたように思いました。

終了後、最近ちょっと気になっているクロムモリブデンの森下亮さんを見かけました。「小さなお茶会」つながりで古市さんを観に来たんでしょうね。素敵でした。ミーハー。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

8月15日昼 MU 「きみは死んでいる/その他短編」A version

短篇集って、小説でもときどき読みたくなるけど、満足度はほんとそのときどき、作品自体の完成度と自分のアンテナの具合によって変わる気がします。ざっくりと書かれ、ふんわりと着地し、あとは想像力に委ねられる、って感じが妙にうっとうしく感じることもあり、心地よいときもあり。どう膨らませるのかが自由なだけに、いつまでも印象に残ったり、尻切れ具合に腹が立ったり。お芝居だったらどうなのかな、と興味をもちました。

一本40分前後が3本。まずはAバージョン。一本めが表題作。男同士バージョン。みんな同じ天国に行ける、そのためにそれぞれの共通項を重ねて、チャンネルを合わせて行こう、仲間は家族で恋人で友達で、裏切ることは許されない、そんなコミューンから抜け出した二人の男。一人はそのせいで殺され、けれど肉体はそのままでもう一人の男に自分の敵討ちを頼みに訪れる。頼まれた男は彼女との新しい関係を築きながらも、コミューンや殺された仲間を引きずってもいて…。コミューンの男たちの冷めた熱さというのか、冷静に追い詰めてくいやらしい感じが憎たらしくて最高。いやな奴なのにコミューンに対しての思いだけは純粋なところが観る側に響きます。恋人役の平間実貴さんの振り切れた31歳も痛さ加減と狂い具合が絶妙で。引きながらもつい見ちゃうって感じ。最後殺し合う場面での「お前の天国ってここ?!」って言う台詞に、主役の男二人の絆を感じてちょっと切なくなりました。

二本めはある女をめぐる男たちの話。かつて一緒に劇団をつぶし、なのに再び芝居をしようとする夫、夫が妻の様子を探ろうとやとった探偵、女が勉強を教える中学生達、彼らに勉強場所を提供する乞食、劇団をつぶした際に迷惑をかけた相手。そこに通りかかったカップルも関わって。ダメな、だけどそんな自分に酔ってる風の女を佐々木なふみさんが色っぽく。私までどきどきしそうな佇まい。中学生の小僧なんてイチコロですよ。女の思考回路と振り回される男たちのまぬけっぷりをうまく見せてたなあ。だけど結局幸せって言えるのは誰なんだろ。

三本めは奴隷を飼っている男の話。いいなあ、奴隷って。最初埋まらない心の穴ってやつが、台詞でしか伝わって来なかったけど、後半、奴隷達が立ち上がりご主人さまに楯突いたあとでようやくご主人さまの淋しさが垣間見えました。見えない信頼かあ。。。

短篇とはいいながら、3編ともかなりの完成度。とりこぼしなく、過不足なくびしびしと何かが伝わって。さすが作演のハセガワアユムさんが自信を持って送る珠玉のっていうだけありますね。納得。お話の構成、実力ある役者さんたち、おしゃれなセット、想像の余地を残した演出、すごく満足です。

チラシや当日パンフがとても丁寧に解説してあって、親切な反面ちょっと先入観持ちすぎちゃうかな。短い話なだけに設定をつかんで入りこむまでの道筋をショートカットしてくれてるのはとてもありがたいんだけど。。。例えば死んだはずの男の描写に対してすごく漫画チックに想像しちゃっていて、実際には実写だとそうそうすごいはずもなく、ややちゃちく感じてがっかりとか。目玉がビー玉とか、詩人の佇まいとかも。映像が頭に浮かぶような描写は、実際とイメージとの乖離が生じるなと感じました。まあ、それを越えた出来だったので満足なんですが。

さあて、Bバージョンもすごく楽しみだな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

8月12日夜 アーノルド #8『ミートボール』

作演の武沢さん、体調崩されちゃったんですね。チケットとろうと思ったらそんなお知らせが出てきてびっくり。新作が観られないのは残念ですが、ゆっくり養生なさってください。

なあんてまるで知っているかのような書きっぷりをしてしまいましたが、アーノルド初見。なので新作だろうが、旧作だろうがはじめまして。役者さんたちをそこここでちょこちょこ見かけた程度なので、すごく楽しみ。

高校の教室。授業中。猪岐英人さん演じるせんせいが語りかけると、こっちはほんとに怒られてる気になっちゃった。ついメモ取りそうに。。。リアル。ここのせんせいたちのグループ、コンビニ店員たち、いまどきの若者の3つのコミュニティーがはじっこはじっこでリンクして展開する話。

登場人物は典型的で極端なんだけど、どこかリアルなんです。ほんとの身近では見たことないけどこういう人、いるって感じ。まじめに先生をやって、ちょっと常識のずれた教師仲間を陰でこそこそ笑いつつ、自分は裏ではネットの盗撮サイトでチャットしていたり。キモイと噂されて嘲笑されている男が実は司法試験を受けようとしている一方、先生とは自主制作AV仲間だったり。定職を持たないでふらふらしながらお金だけは楽して手に入れようとしているうち、お金もないのに彼女を妊娠させちゃう男がいたり。

一攫千金を狙う男が先生のその弱みを握っちゃうことで、さらに3つのコミュニティーの輪は縮まり、それぞれが追い詰め、追い込まれていきます。

これが、怖いんだなあ。劇場が冷えてたのもあるけどすごく鳥肌モノ。こういう人間の汚い姿って底がなくって恐ろしい。どこまででもエスカレートできちゃうんですもん。お話なのを忘れて心底憎くなるほど。いやだ、と思う反面、目が離せなくなっちゃう自分もいるんですが。。。

最後の夢の島での場面、役者、演出、スタッフワークすべてがすばらしかった。照明と雨音の相乗作用で、ほんとに役者がずぶぬれに見えました。その中でさらに人物の輪郭をぼやかしていくライティング、圧巻。なあああんてかっこいいんだろ。ここはそのすばらしさに鳥肌。

当日パンフの役名が、ひらがなで「せんせい」「わるいひと」「ばかなひと」っていうのもすごく素敵。話の中では固有名詞がちゃんと出てきて呼び合っているのに。敢えて名前でなく役名を振るってこういう話ではすごく効果的な感じがしました。そのセンスにちょっと惚れました。武沢さん、お大事に。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

8月12日昼 はえぎわ「バター」

年始のお台場でやってた小劇場系の劇団とアイドルのコラボではえぎわ観ました。他の劇団に比べて、アイドルを使うという縛りをうまく利用して作ってた感じがして夏の本公演が気になってました。

開演前に前説があると聞き、早めに行きました。ぐだぐだしたなんともいえない空気感が期待を高めます。

舞台、シンプルだなと思いましたが、いやいやすごい。井戸、音響と合わせてすごく雰囲気出てました。声の反響、タイトル、感動。PPPPの玉置さんのナレーションもいい。

その井戸に老人と女が落ち、暇に任せて老人が話をする。親に捨てられた二卵性の双子の兄弟のお話。兄の夢は大草原の小さな家に家族揃って暮らすこと。井戸の女は自分が堕ろした双子の兄弟をそのお話の兄弟に重ね合わせ…。

やがて母を名乗る女性が登場しますが、そこで二人の出生が明らかになり。母は奇病に冒され始め。

と、一生懸命あらすじらしきものを並べてみましたが、筋などあってないようなナンセンス。ギャグやコントではなくきちんとしたお芝居なんだけど、お話もしっかり繋がってるんだけど、なんともいえないありえない感。一次元ずれたところに軸を置き、そこではブレずに進行。この感じ、好きだな。

役者さんも個々のキャラが立っているのに邪魔しあわず、いい具合。個性強いのに何人もで同じ役をやってもおかしなことになってないのはまた不思議。私の好みだったのは八鳥先生を演じた井内ミワクさんとモンジくん役の竹口龍茶さん。

最後のセットはすごくびっくりでした。壁の変なところに切れ目があるなあとは思っていたんですが、まさかあそこまでやるとは。そういう思い切りのよさもかっこいいなあ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

8月11日夜 ブルドッキングヘッドロック『不確かな怪物』

暑い中はるばる三鷹へ。時間があったからついうっかり駅から歩いちゃったら、茹であがりそうだった。

上演まで舞台のスクリーンに映像が。カラオケとかおもしろかったです。

幕が開くと舞台は所狭しとセットが。この広い舞台をここまで隙間なく使いこなしているのは初めて。転換なしで二つの家庭の居間と、お店と病室とを見せています。奥の庭から手前の通り、上の二階まで文字どおりの隅から隅まで。ちょっと雑然としてはいるけど、よくこんなに上手に使えるもんだと感心。

田舎の町のある家族のもとに長男が10年ぶりに帰ってきます。もうすぐ村は夏祭り。ちょうどその頃ある作家にあてた間違い手紙が届くようになり、小学校の教師である次男は間違い手紙に、ふざけて返事を書き始めた。。。

淡々と進んでいた物語が、教え子がやぐらから落ち、入院中の友人が血を吐き、スナックでガス爆発が起きるあたりから急展開。どこからか妄想と現実が入り交じってしまい…。

私には結局何が現実でどれが誰の頭の中のエピソードだったのか、よくわかりませんでした。次男は間違い手紙を書いていたのか、返事を書いていたのか。長男は実在するのか。入院していたのは友達なのか、教育実習の教え子なのか。隣家の子供はいるのか。もう疑問だらけでちっともすっきりしません。畳から手が出たり、かかっていた額がずれたりはなんだったんでしょう?解説がほしいです。

ハイバネカナタの椎谷陽一さんが観にきてました。開演前にお見かけして、あの人絶対どこかの役者さんだとは思いつつ、名前が思い出せず。終わって帰りの電車の中でようやく名前が出てきました。こっちはすっきりしてよかった。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

8月11日昼 富士ロック「恋愛」

メタリック農家の葛木英さんとクロムモリブデンの板倉チヒロさんの二人芝居。4本立てのオムニバス形式でした。男女の恋愛のいろんな側面、過程を描いて。

一話は池田鉄洋さん脚本の昔恋人だったふたりが再び出会う話。二話は月の移民の彼と森のなかに住む彼女の話。三話は月に一回体の関係を結ぶ二人。四話は人魚の男と、それを愛して支える女との話。合間に博士と博士の作り出したロボットとの話を綴った映像が挟まります。

一話は舞台真ん中にドアを置き居酒屋のトイレに見立てて、そこで最悪の再会。付き合ってた頃の最悪な思い出がこれでもかと繰り出されるのに、なぜか明るくパワフルでお茶目。イケテツの笑いと、森下亮さんの演出がうまく調和して役者さんの力がフルに引き出されてた感じ。おもしろかったです。オチもよかった。

二話。これ、私にはわかんなかったなあ。4つのテーマからするとこれから恋人になる2人ってこと?月に移住して12年して帰ってきて、って、舞台の今がどこにいるんだか、そもそもの設定が把握できず、わからないから眠くなり…。アイスが溶けるのがいったい何を示しているのやら。

三話は思いっきり大人な世界。ひょんなことで知り合った2人が名前も知らないまま月に一度の逢瀬を重ねていく。そこでの思いは熱い恋ではないけれど、秘密を共有し、同じ時間を過ごした者同士の特殊な感情。その思いが男女で微妙にずれ、やがて終わりが来る時…。とっても細やかな女の感情が葛木さんの表情一つでひしひしと伝わり、ぐっと来ました。必死で強がる女。そして終始無神経でありながら女が去ったあと、最後に男が見せた顔。設定はありきたりながらも、この二人がとても生きてた話でした。

四話は出演の葛木さんが作演した現在の恋人たちのお話。とはいえかなりシュールな設定。人魚の男って。。。発想のオリジナリティーにまず脱帽です。どこでどうやって知り合って付き合うようになったのかも興味深いところですが、まあそれはおいといて。魚部分が乾いてしまっては生きられないためお風呂で暮らす男。当然人間の下半身の機能がないため、歩けないし、セックスもできません。女はお金を必要として、昼間はヘルパー、夜はホステス、さらに体を売ることまで。結果子供ができ、そのことで二人は葛藤、喧嘩して。。。なぜそこまでしてお金が?それが見えたとき、ハッピーエンドにつながります。二人のお互いへの想いが痛いほど伝わりました。ただ、上手側の席にいたので、最後の下手のドアのシーンが見えず、悔しかったけど。

まじめに二人で恋愛というテーマにじっくり取り組んだ姿勢が垣間見える、よいお芝居でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

8月5日夜 鹿殺しオルタナティブズVol.2「魔人現る」

前々から鹿殺しは名前が気になっていたんですが、前回の「僕を愛ちて」が初めて。そこでの役者さんたちの体のキレというのか、動きの美しさに目を奪われたんですよね。路上ライブも気になってますが、ちゃんとチェックしてないのでいまだに行けずにいます。気になるなあ。

今回はアゴラ劇場で。なんかちょっと毛色の違う感じ。しかもアゴラ劇場で指定席って初めて。なかなかいい番号な感じだけどどうなんだろうって。

行ってみたらぎゅうづめの指定席。背もたれ無しであそこまで足を縮めないと座れない席ってちょっとひどい。見れば後ろの椅子席もほとんど足のスペースなし。人気の劇団だから人を入れたいのはわかるけどちょっときつすぎだなあ。しかも最前列のはじっこなんて壁と舞台上のスピーカーでかなり見えなさそう。。。自分だったらいらいらしまくりだな、あれは。

舞台はつり革のようなリングをつけた鎖が舞台の奥行きの真ん中ぐらいに一列に並んだだけのシンプルなもの。それが上下する様子はなかなか美しくて、センスいい。

お話は都市伝説にまつわるもの。会社の同僚の二人が終電に乗って帰る途中、話題に上ったのが黒い服の女伝説。この路線の終電で黒い女を見かけたら、その女と死ぬまで遊び続けなければならない、という。そこで女は黒い女を見てしまい、その直後にかつて憧れたロックバンドのボーカルに出会って…。

停まる駅が黒い女によって操られ、乗客3人はそれぞれの過去を覗き込むことにことになります。浮かび上がって来るのは「ウエノヒロシ」という男。この男と黒い女とが巡り合ったら…。

山本聡司さん演じるウエノがすごい。3人の思い出の中のウエノは全くの別人。が、どの人の中でも強い感情を呼び起こさせるインパクトをもって存在している。愛から転じてしまった呪いとも怨念ともつかない負の感情を抱いて、思い出の中のウエノヒロシは現れます。左手の爛れたその姿はひどくグロテスクで、視覚的にも恐ろしい。

黒い女を演じる高山奈央子さんも恐怖をそそります。しゃべり方、仕草一つがまさに伝説。

過去や現在、個々の記憶に話は飛ぶので、ついていくのにエネルギーは要りますが、それも含めてやはり鹿殺しはいい。勢いのあるものを受けとめるには、こちらもパワーをっていうのはなかなか気持ちいい。アフタートークに役者さんが全員で出てきたのもうれしかったです。山本さんの左手が公演期間中ずっとあのままだと聞いてびっくり。役者根性だなあ。

でも観劇環境や観客に対する配慮的にはまだまだ。次は大きな劇場なのでそういう問題は解消されるんでしょうが、小劇場でのサービスも忘れないでほしい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

劇評じゃないけれど。

今日のびっくり。SPIRAL MOONから泡盛が送られてきたこと。

時間がある限りアンケートは書くようにしています。思ったことは伝えたいし、いいと思ったら褒めたいし、腹が立ったら怒りたいし。それが高じて書ききれなかったことをここで書き始めたんですけど。

でも次の公演のお知らせが欲しいって言う下心も。ま、むしろそっちのほうが大きいかも。

SPIRAL MOON「おんわたし」では各回1名に抽選で泡盛をプレゼントってありました。でもまさか自分がもらえるとは思ってなかったから忘れてた。ほんとに送られてくるなんて。かなりうれしいです。もらえたことじゃなくって、その気持ちが。

そういえば以前に、風琴工房からアンケートのお返事をいただいて、ひどく感動したことを思い出しました。こういうアナログな部分での双方向性が生きているって言うのもお芝居の魅力ですよね。公演のお知らせはがきにも手書きのメッセージがあると、ちょっと目を引きますよ。

この週末は富士ロックの「恋愛」などに行くつもりですが、これも板倉チヒロさんの手書きが入ってたな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

8月5日昼 マーク義理人情「俺達はマシンガンじゃないって」

初めての劇団ですが、わりとレベル高い劇団を上演する王子小劇場でやることや、チラシに勢いがあったので。おまけにチケットを割引で手に入れられたので。。。

転校していった小学生とその仲間たちの話。その設定がわかるまでにちょっとかかりました。だって、実際は大人なわけだし、見た目ではわからないのだから説明してくれないと。大人になってからの子供時代の回想かと思ってしばらく観てましたもん。

その小学生っていう設定もやや引くところ。一つの芝居通して全員が子供役を演じるっていうのは無理があるし、入り込めない原因になっちゃう。昔を思う場面や、誰か一人二人ならおもしろがれるんだろうけどな。

しかも遊びがちょっと下品すぎ。子供同士の関係性も描かれないまま男子女子が入り混じったところで、おしっこ飲まされたりっていうのはないっ!いじめじゃないし。小学生だからこその男女の間柄とか、この仲間だからこその遊び方とか、ていねいに作ってくれれば。。。

昭和っぽい雰囲気は悪くなかったんだけど、合唱の練習や自転車の場面は楽しかったし。ひまわりの使い方も温かかった。でも満足できない部分はちょっと多めだったように思います。演出も役者さんの力量的にも。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

8月4日夜 Piper結成10周年公演『ひーはー』(2回目)

ストーリー知ってても、いや知ってるからワンシーンたりとも見逃せない!どこかに落し物が残ってないか、アドリブはどこで、どこが脚本のすごさなのか。ミーハーなだけですけど。

やっぱりPiperメンバーはかっこいい。娘に虐げられ、字が汚くて読めない、取り柄は梅酒作りだけなんていうおとうさんの山内圭哉さん、高校時代から想っていた女性を追いかけて夫を殺そうとしちゃうけど、命令には従順な軍人の腹筋善之介さん、西部劇マニアで場をかきまわす川下大洋さん、水野美紀さんと殺人をしちゃった後、自分は二重人格じゃないかと悩み、その悩みが呪いによるものと思って呪いを解くために踊りだす竹下宏太郎さん、そしてそんな役者たちを思うように転がしながら最初や最後はおいしいところを持っていく後藤ひろひと大王。こんなに個性的で魅力的なおっさんたちが出会ってしまった奇跡。この時間が永遠に続くことを祈ってしまいます。

贅沢を言えば笑いに加えて泣きもあると、私にとっては最高!

あとは公演を観に来ていたナイロンの三宅弘城さんにあえたのもラッキー。河原雅彦さんもいらしてましたけど、それはまあいいや。

帰りに下北沢で飲んでいたら、さっさと帰っていく片桐仁さんを窓越しに見ました。早かったなあ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

8月2日夜 ケンコー全裸系水泳部ウミショー

やっぱりしょせんアイドルはアイドル。人気があるとは言ってもグラビア。って思っちゃいけない、作演や共演者で何か違うかも、とちょっとは前向きに。

なんせ、動物電気好きの私。小林健一さんファンの私。ストーカーまがいにどんな舞台でも追いかけますよ。もちろん作・演出の政岡泰志さんも、その下品なのに温かいおかしいお話が素敵で大好き。それでも題材と主演は不安だけど、でも迷ったら行くべし。客層がすごい偏ってたらどうしよう、女なんか観に来てなかったらどうしようと思いましたが。。。

原作の漫画は知りませんが、水泳部の女の子がずいぶん水着を脱いじゃったりするちょっとエッチな感じらしいですね。さすがに舞台だし、現役のアイドルだし、見せちゃうことはないでしょうけど。

舞台の真ん中にはプール、水泳部員の紹介ソングで幕開け。まあまあかわいらしい。みんなが水着で並ぶとさすがに体形の差がはっきりしちゃうなあなんて、ちょっと残酷なことを思ったりもしつつね。水泳部員たちがインターハイを控えて合宿へ。その途中船で遭難し無人島らしきところへ流されます。そこに住むサルたちと交流したり、食料を探したり、全く練習どころじゃなくなっちゃった部員たち。

切羽詰った時って地が出るよね、っていうキャラの違いをうまいことみせていました。全くアイドルたちの顔の区別のつかなかった私でも自然に覚えられましたもん。

最後には楽しいオチもついたし、そこそこ楽しかったです。もちろんおいしいところで登場するコバケンさんや脚本書いた政岡さんの力に頼ったお芝居でしたが。だって、ミュージカルだって言うのに歌が下手すぎて聞いていられないんです、特に主演の子。せっかくかわいいのに、出なければいいのになあっていう惨めな印象しか私には残りませんでした。

なるべくいいとこ見ようと努力はしたけど、最終的な評価としては6000円以上も出してみるもんじゃないなってところです。残念。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

8月2日昼 リボルブ方式 第7回公演「東京衛星」

シュールな話のオムニバスでした。衛星の軌道に見立て、交わらないながらも関連する話で。最初はよくわからない不思議なストーリーでした。

開演前の舞台上の立て看もわりと好きです。登場人物がいろんな顔してみせてるあたり。

短編集なので、つながりを説明したいのにそれが私には難しい。お話はそんなに入り組んだわけでもなく、登場人物は少ないからその場で話せってなったら言えたかも知れない。でも次々それを展開していったのがやっぱりよかったんだろうな。大家さんや探偵さん、呑んべえさんなど、お話が進むにつれキャラがだんだんエッジの効いた感じになってきて。

最後のヨネクラさんになって、お話やキャラをどう収束していくのかが見ものでした。ゲテモノキャラで押し切るでもなく、アテレコをうまく利用してすごく面白かったです。繰り返しも効果的に使っていましたよね。たびたび笑ってしまいました。

オムニバスだからという強みが強みといえるほど押し出されてはいないので、多少物足りない感はありますが、全体を通したぼわーんとした雰囲気は魅力的です。でも逆に言えば設定やストーリーよりも強烈キャラの役者さんの力に頼っちゃったところはあるのかも。まあ。それでも次回にはつないで行きますよ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

7月30日夜 ハイバイ再演「ポンポン」

なんだか私、こことはソリが合わないようで。なんだか底が浅い、物足りないと思っちゃうんだよなあ。

ファミコンに興じる二人の小学生。SHAMPOO HATの黒田大輔さん演じる方はかなり落ち着きがなく、いかにもどんくさくていじめられそうなタイプ。一方のイキウメの浜田信也さん演じる子は男前すぎてどうみても小学生には見えず、半ズボン姿が気持ち悪い。浜田さんのお母さん役の大久保亜美さんは逆に母親には見えない幼さで、子供が母に甘えるシチュエーションが女を口説く男にしか見えない。こういう演出なら仕方ないけど、なんか入り込めなかった。

黒田さんがファミコン屋で騙され、友達のお家でおもらしし、兵隊さんの幻覚に驚く、って辺りまでは黒田さんのリアルさで笑えました。またこのお母さんを演じたカムカムの市子嶋しのぶさんがいいおかんっぷりで。お父さんはちょっと物足りなかったけど、家族の風景はなかなか。

ここで場面設定ががらりと変わり、市子嶋ママがある劇団を取材に行きます。わけのわからない劇団員のキャラは好きだったけど、あまりの設定の飛躍についていけず。劇団自体もなんか腹立つ雰囲気で。

根底にある作者の世界観は好きなんだけど、表現方法がまだ追いついていないのかな、と。まあ生意気なこと言ってますが。言葉足らずなのか、受け止めたいことを受け止められない感じがします。もっと追うべきところを深追いして欲しいというのか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

7月29日夜 カムカムミニキーナ 2007年盛夏公演 『小軍団』

秋の本公演に備えて、絶対観なきゃ、と。それ以前に松村作品は見逃しちゃダメ。しかもこんな小さな小屋で間近で観られるならなおさら。

高円寺ってあんまり行ったことないからよくわからないけど、土日は快速が停まらないってのが面倒ですねえ。

女優を目指して上京してきた女の子がボスに送り込まれた「軍団」。何の?と聞いても軍団だって答えしか返さない仲間達。役者を自称しながらも働かず、世の中の常識を越えて生活する5人。そこでの生活を支配する「掟」。誰が定めたのか、破ったら何が起こるのか何も知らないまま、それに縛られた「軍団」。

女の子と軍団員のやりとりが絶妙なんです。こういう理屈の通らない不条理な会話、大好き。めちゃくちゃなのに迫力でやりこめちゃう、っていう。佐藤恭子さん演じる加藤や、中島栄治郎さん演じる壷井など団員がみんな個性豊かでおもしろすぎ。観客として来ていた八島智人さんも後ろでげらげら笑ってましたよ。

軍団が唯一全員で出動するのが火消し。軍団に火事や小火の電話が入ると揃って出動するんですが、これがいつもデマ。騙されたことを怒りながらもいつも燃えなくてよかったねえ、とにこにこ帰ってくるんです。これがラストに繋がる大事な話。

軍団には軍団員達も知らないとんでもないバックボーンがあり。。。と壮大な話に広がって。

最後まで健気にがんばる女の子役の山崎みちるさんが好印象でした。純粋でパワフルで。じわっと来つつさわやかなエンディングでした。あー本公演楽しみだな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2007年7月 | トップページ | 2007年9月 »