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9月22日夜 「ドラクル God Fearing Dracul」

市川海老蔵と宮沢りえだけだったらちょっと遠慮したかもしれないけど、長塚圭史作演出で脇を固めるのが中山祐一朗、渡辺哲、明星真由美、手塚とおる、山崎一、市川しんぺーってなってたらこりゃ迷いますよね。で迷うなら行け、と。

300年生き続けた海老蔵演じる吸血鬼。それを代々見守り続けた一族の末裔の語りから始まります。吸血鬼の悪行をつかず離れず、口を出さずただただ見守る、山崎一演じる男。近頃はその吸血鬼は人間の血を吸わず、悪いことも一切しないで神に祈る日々をすごしているという。これは宮沢りえ演じるある女に出会ったおかげ。女は吸血鬼が子殺しを繰り返している現場を追いかけ、一緒に神に祈り罪を分かち合おうと声をかけ、二人は夫婦として暮らし始めたのです。そんな更正した吸血鬼を吸血鬼仲間たちは歯がゆく思い、女を慕う医師はそんな生活から彼女を救い出そうとする。そんな彼女にはある過去があり。。。ある日彼女の過去への手がかりとなる使者が彼女を迎えに来るが彼女は頑なに吸血鬼との生活から離れるのを嫌がります。が、吸血鬼仲間たちが医師や使者を殺してしまい、どさくさのうちに彼女は過去の自分の場所に戻ることに。彼女を奪われた吸血鬼はその悲しみから神に祈るのをやめ、元の悪行三昧の吸血鬼に戻ることを決意します。

ここまでが前半。やはり長塚作品だけに血みどろにはなりますが、大きい舞台でしかも美しいドラキュラの話なのでいつものどろどろした感じではなく、美術的に美しい。神聖な儀式のように思えました。暗転せずに照明の切り替えで転換するのはすごい。セットの動きと一緒に人物も動いて行ったりして。

後半は場面変わってとあるお城へ。ここが女がかつて暮らしていた場所。ある領主の妻だった女は、子殺しの罪を背負って夫の許しは得たものの城から逃げ出し、そこで吸血鬼と出会ったのでした。その領国で黒死病が流行り、人々が次々死んでいったため、祈りの象徴として女は呼び戻されたのでした。女は吸血鬼が心配で気が気でなく、領主の今の妻に自分の過去を話して逃がしてもらうように頼みますが。。。

次から次へと暴かれる女の過去。また、領主や神官や領主の妻の恨みや企み。ぞくぞくするような展開です。そこについに吸血鬼はたどりつきますが、神官の聖水でやられた上に夜明けを迎えてしまい。。。

最後は吸血鬼と彼を愛した女の純粋に惹かれあう姿が印象的でした。やっぱり美しい。そして哀しい。主演の二人を立てに立てまくったのでしょうが、それでもきちんと引き込まれる作品に仕上げた長塚さんの力はすごい、のかな。阿佐スパ色はかなり薄めだったけど、お話の中のバランス的にはうまくいってた感じがしました。久しぶりにコクーンで満足できました。

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» 鮮血の美学NO.1⇒演劇「ドラクル」(シアターコクーン) [飾釦]
「ドラクル」 ■日時:2007年9月8日(土) ■劇場:Bunkamuraシアターコクーン ■作・演出:長塚圭史 ■出演:市川海老蔵、宮沢りえ、永作博美、渡辺哲、他 ■演奏:DRACUL QUARTET 東急文化村で開催されていた「ルドンの黒」展の情報をHPで見ていたら、同じ施設内のシアターコクーンで市川海老蔵、宮沢りえのコンビによる「ドラクル」を上演することを知った。 ドラクル?あの吸血鬼ドラキュラのことか。実は吸血鬼ドラキュラに何故か興味を持ってみてしまうボクなのですが、ドラクルとは悪... [続きを読む]

受信: 2007年10月13日 (土) 02時33分

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