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10月26日夜 乞局第13回公演「陰漏」劇場版

前回の「媚励」で一発でファンになりました。なので今回ももちろん。なんとかして2バージョンとも観たいんだけど、画廊版は時間が取れるかどうか…。

舞台はとっちらかった古いアパートの一室。それまで音信不通だった弟が自殺したとの知らせを受けて兄夫婦が駆け付けるが、遺体の身元ははっきりせず遺書も見つからない。部屋には奇妙な人たちが勝手に出入りしている様子。おまけに弟の戸籍は消えている。イラつく兄は真相を明らかにしようと聞き込みをしたりするが、奇妙な人たち相手では要領を得ず。。。

弟の死んだ現在と、生前の過去を行ったり来たり。弟の生き方、まわりの人との関わりを描きます。自殺するために葬式費用を稼ぎだすことを目的にした教団が押し掛けて来て巻き込まれる様子。親が死んでも葬式にも行かない弟がホームレスとかわす禅問答のような会話。弟の真意はどこにあったのか。それを振り返る兄の想い、いらだち。直接ぶつかるわけではないだけに兄弟のすれ違いがもどかしくて。

このちょっとイッちゃってるホームレス役の竹岡真悟さんがもう憎らしいほどにはまってる。自分はまともだと信じ込んでる人々をおちょくってイラつかせる巧みな技。脚本ももちろんだけど、この気持ち悪さと小憎らしい雰囲気、ぞくぞくします。

1960年代とは言っても現代に置き換えても十分通用する虚無感、やる気のなさ。ネットや携帯がない分、兄夫婦や元恋人たちがこまめに足を運び顔を合わせ、連絡には管理人さんが介在してくる。でもそこで生じてる人間関係の、一緒にいるのに希薄な感じがどこか現代を象徴しているように思えてなりませんでした。

「媚励」ほどの衝撃はなかったけどやっぱりもう一度観たいなあ。カーテンコールで笑顔もなくむしろ顔を見せないようにしながらの土下座、ストイックで好き。作品のムードを壊さないのがいい。

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