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11月3日夜 Paradox Repartrys「棄憶〜kioku」

来た〜!全身にがつんと響くこの感覚。ぐわっと胸ぐらを掴み抉りとられるような迫力。

太平洋戦争後数年。何人かの男が謎の手紙を受け取り、軍の医療施設の廃墟に召集された。集められたのは、戦時中医療のためと称しては秘密の人体実験をしていた特殊部隊の上層部。残酷すぎて公表できないため厳重な箝口令を布かれて解散になったはずなのに今頃どうして?折しも世の中では毒殺事件が起きて、その犯人捜査が話題になっていた…。

かつての自分たちの罪を暴かれる不安。それぞれの現状。平静を装い、かつての仲間の真意を探りあう。耐え切れずに大声を出してしまったり攻撃的になったり。心理戦。ぽろっとこぼれた一言は本当なのか。目を背けたくなる過去の話と裏腹に、話には引き込まれてどんどん前のめりになっていく感覚。

だんだんと過去、そして毒殺事件の真相が明らかになるにつれ、見えてくるそれぞれにとっての真理。とった行動は間違っていたのはわかっている。でも。ある者は純粋に事象の解明をしたかった。ある者は医療技術の向上のために。ある者は敵を倒すため。ある者は仲間を守るため。そこにあるのはその時その場所でその人が感じた正義。男たちのプライド高き選択。その潔さと誇り高い生き方に圧倒されました。

細菌兵器を「仲間を殺すために開発したんじゃない」と叫ぶ日村役・山本佳希さんと、言われた古志水役・工藤潤矢さんの表情。丸太と普通の人々を「俺には区別がつかなかった」と言った大内厚雄さん扮する辰沢の顔。「裁くのは我々が死んでからにしてもらえないだろうか」と頼む里中役、有馬自由さん。忘れられないんです。

気付けばつーっと涙が流れて。何に対して泣いたのか自分でもわからないような不思議な涙。終わった後しばらく言葉が出ませんでした。

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