12月5日夜 二騎の会「五月の桜」
にわか多田淳之介さん熱の高まっている私としてはこれは見逃せません!
舞台には中央奥に柱、まわりに数本、細くくねった木があるのみ。久しぶりに北海道の故郷に帰ってきた女。彼女についてきた男。折しも北海道は桜の季節。好きだった桜に囲まれて眠る父の墓に佇む女。女は数年前に再婚した母と新しい家族の前から姿を消し、今回の帰郷も誰にも知らせていなかったのだが…。再会してしまった家族の思いの渦。
初演の際はほんわかコメディだったようですが、今回、そんな雰囲気は微塵もなくぴりりとした緊張感が全編を貫いています。役者はずっと立ちすくんだまま動かない。そこで発せられる台詞のトーンは不思議にやわらかだったり。立ち姿の力強さとのギャップが、ぞわっと流れてくる、妙な感覚。
家族はそれぞれ、木を背に立っている。木まで気持ちを表しているように見えてしまいます。
動きのなさと立ち位置があるから、家族以外の動く人や言葉が印象的。また、途中で座り込んじゃった姉や、会えたうれしさにふいに女に歩み寄る義弟の想いがじんじんしました。
女についてきた男と義弟の会話も、立ち位置も体の向きも変えないまま熱く話すから、つかみあうよりよっぽど激しているように感じます。
多田さんの作品は難解だと評されてることが多いですよね。確かに、お芝居を観慣れてきたから楽しめた作品だと思います。私はどちらかというとストーリーを追って観てしまい、目の前に起こっていることをないがしろにしがちだったので、たぶん初めて観た作品がこれだったら、小難しくていやだなって思ったかも。全身で感じる醍醐味を覚えはじめた今だから、こんなに贅沢な作品もないな、なんて感じられる気がします。
アフタートークは多田さんと文学座の所奏さんでした。所さんの年齢に似合わない貫禄。ちょっと多田さんやりにくそうでしたけど、微妙な雰囲気なのがおもしろかったです。もっともっと作品について聞きたかったです。
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コメント
こんばんわ。1-2-3と言います。
ごくごく最近観劇にはまりはじめて、舞台選びの参考にさせてもらっています。
『五月の桜』、気になっていたものの平日は仕事で、週末は都内を離れていたため(未見だったチェルフィッチュの『三月の5日間』を大阪まで観に行ってました。)残念ながら見逃してしまったのですが、日記を読ませていただき舞台の雰囲気の一端を垣間みることができました。
これからも楽しみにしています♪
投稿: 1-2-3 | 2007年12月 9日 (日) 23時12分