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12月19日夜 劇団、本谷有希子 第13回公演「偏路」

加藤啓さんを追っかけるために見逃すわけにいかない作品です。もちろん劇団、本谷有希子だし。ダンダンブエノのつながりか近藤芳正さんも出るし。

女優を志して上京した娘。が、長いことがんばったのに芽が出ず、ついに都落ちして実家に帰ることを決め、その決意を伝えるために父親が毎年行っているお遍路さんに付いていく。そこで立ち寄った親戚の家では。。。

田舎暮らしを嫌って都会のきらびやかな世界にあこがれた娘と、田舎で実直に暮らしている家族。この対比は「腑抜けども…」でみた構図。お芝居は観ていないけど最近小説で読んだのでなんだかその印象が強いな。作家の考えの道筋みたいなのをこれで知っていたから楽しめたような気がします。

田舎の親戚の無神経なまでの親切さを疎ましく感じ、それをグロテスクという言葉で表現していた娘。それを知っていても裏も表もなく接し続けている親戚の家族。間に立つ父親。娘の上京を反対しながらも仕送りを続けて、表立って応援はしないながらも心の奥では成功を祈っていた父親。それなのに夢破れて諦めて帰ってきてしまった娘。もうそれだけで切ない。

うっとうしいけど親切で逆らえないおばちゃんに池谷のぶえさん。鉄板だなあ。どうにもならないふざけた長男役を加藤啓さん。歯を折られた間抜けな顔まで素敵です。おばちゃんの妹役の吉本菜穂子さんも声とキャラがぴったりで。

娘役の馬渕英俚可さんが、帰ってくる実家があるが故の甘えと田舎に帰ったら何もできないという焦り、夢を諦めざるを得なくなった悔しさを細やかに表現しています。ちょっと大げさな感じは受けたけどわかるような気がしました。妹が結婚して実家に住むって聞いた時のあわてる様子やむやみにまわりに当り散らす様子は理解できるから余計もどかしい。もっと小器用に立ち回る方法だっていくらでもあるのに、家族だから親戚だからつい素直になれない、気遣いもしたくなくなっちゃう。そして普段まわりに居た人たちを思い出しては違いを並べて物足りなく思う。私にとってはいちいち当たり前すぎる感情で、だんだんそれを追うのが面倒になっちゃった感じもありました。

でもやっぱり見せてくれるのは、夢を諦めさせるために父親の仕掛けたゲームと、諦めると決めてからのどんでん返し。あんなにもいい人たちだった親戚にいやな思いをさせてまでドロドロを見せ、謝るためには自分がすべての悪者になれる父親はとてもかっこいい。そして何があっても受け入れ、さらに自分も自分の生きたいように生きようとするってところがまた。

結局父と娘の話でありながら、感情移入したのはどちらかといえば父側っていうのが不思議なところ。本谷さんの目線も私の目線も同じ娘側なはずだろうに。

好きなのか嫌いなのか、本谷さんの作品は一筋縄ではいかないな。今回は演出より作家側の側面が出ている気がしたので、パンフに載ってる戯曲を読むのもちょっと楽しみだな。

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