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12月22日昼 国分寺大人倶楽部第3回公演「メリー」

前回の公演のとき、主宰の河西裕介さんが病気で役者を降板したんでしたよね?もうお元気そうでよかったです。

河西さんがポツドールやjorroなどに役者さんとして参加されているからか、前回のイメージはまさにその系列。ちょっと何番煎じよ、くらいに思った気がしますが、今回いまどきの若者を描くのには変わりないけど少しカラーが出てきたような気がしました。

舞台は地方の予備校。ラウンジのような部屋。東京の大学に進学した友達との差を感じ何事にもやる気をなくしている男の子。講師のメリー先生に誘惑されたりするけどそれさえ生きる希望にはつながっていかない。周りには似たような浪人生やいるけど、誰も現在の自分に絶望することなく、かといって未来を夢見るでもなく、目の前にある模試の結果や予備校のクリスマスパーティーといった瑣末なことを受け入れていて。何に対しても反応できなくなった男の子はクリスマスイブに自殺を図って。。。

ここからの仕掛けがなかなか。自殺前の世界に戻ってやり直しているようなんだけど、どうやら彼の姿は周りには見えていない様子。透明人間のように扱われた挙句、自分の代わりに知らない人間が自分役で登場。彼がいくらわめいたり邪魔したりしても誰も反応せず。代役を演じていたのは演出家で、ちょっと忙しくなるとさらに他の人に代役をさせようとして。

ちょっとややこしい設定なんだけど、そしてSFっぽくなっちゃうのはなんかすこし嫌だったんだけど、代役がさらに代役になるあたりがくすぐられました。お前なんかいなくたって、いくらでも代役はいる。次がダメでもさらにその次がいる。自殺した後にまでそんな現実をつきつけられるなんて。彼の姿を死後も唯一認識していたメリー先生が、彼が死のうとしていたときには「消えたら悲しむ、いなくなっちゃ嫌だ」と甘えていたのに、即座に代役を受け入れているっていう残酷さはぞっとします。

主人公の男の子を演じた小斉英嗣さんの冴えない雰囲気がリアル浪人生っぽくていい。私は感情移入できず、その悩む気持ちはぴんと来なかったけど。最初の無気力な状態から自殺後になると表情がしっかり変化していて、周りに対して感情をあらわにした目が哀しく怖かった。笠井里美さん演じるメリー先生はすごくかわいらしくて魅力的なんだけど、浪人生をたぶらかすような講師としては物足りなさが。

タイトルにもなっているメリーの扱いがかなり弱かったり、繰り返す場面が多かったり、とかはありますけど。でも前回からこれだけ変わったとなると、次どうなるか気になりますね。小斉さんはほんとに就職しちゃうのかな、とか。

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