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2007年12月

12月29日昼 iOJO!「欲々しい」

オッホという名前での最終公演。

ある探偵事務所に人探しの依頼。派遣会社をやめたある男のその後の消息を、という。その派遣会社に勤める男が元スタッフの主婦を使って依頼して。主婦の地元では放火事件が続いており、派遣会社のスタッフが警備に回っていた。放火犯と探されていた男は探偵の行きつけのパン屋に勤めていたのだった…。

…ってあらすじが全く意味不明になっちゃった。まとめられないなあ。お話自体はおもしろいんです。色々な人の色々な欲望。当然かなわないものもたくさんある。そんな時どうする?

その答えがなんかちんまりとステレオタイプなんですよね。好きな人に届かない思い。出世せずに今の立場を守りたい。合コンに行きたい。夫に捨てられたら。一番がっかりしたのが放火魔の取り締まりをしていた主婦が、見回りを続けたいがために自分が事件を起こしちゃったところ。ありがちすぎて。

それぞれのキャラはいいんです。私は芳賀晶さんの陰気でぱっとしないサラリーマンが好きです。六角慎司さんの抑え気味なキャラも。珠井江都子さんのころころ変わる表情もおもしろかった。森田ガンツさんはちょっとやりすぎな感じがしたけど。

手堅くまとまっちゃったのがちょっとさびしい気がしました。メモリアルブックも開演前は買おうと思ってたけど、やめちゃった。名前を変えてどう変化していくのかは楽しみですけどね。

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12月27日夜 乱雑天国+スズキミツエ合同忘年会

動物電気の方々が出るらしいので。こういうイベント、年末は結構あるみたいですね。私は初めて。一人で行くの、ちょっと淋しいな。

歌やらコントやら一人芝居やらを次々と。楽しいな。普通の忘年会の余興部分を切り取ったような感じなんですね。

シケモクさんの歌。聞いているこっちがこっぱずかしくなるほどストレートなメッセージ。でも不思議な引力があって温かかった。乱雑天国のコント。ハイテンションで楽しい。電気の松下さんそのままな感じ。松下さんの口の中が出血してたようなのが気になって、途中からそこばっかり見ちゃった。多摩の会は電気の姫野さんのユニット。和服、本当に着付けられるみたいな鮮やかな手つきに見入っちゃいました。脇道にそれてるな。

パンジーも動物電気の伊藤美穂さんのユニット。相方さんが来られなかったようで映像で。いや、二人のキャラ設定とそこから生まれるちぐはぐ感がすごくおもしろかった!生だったらもっと、と思うと残念。りんごさんはコントよりも仕込みまでがよかったな。山下一生さんのいつも困ってるような表情がいい。

私の今日の秘かなお目当て、川島潤哉さん。たまに一人芝居やってるのは知ってたけど観るのは初めて。ざっくりした中での勢いのある一人何役、ものすごく笑えました。やっぱりこの脱力感がなんともいえない。

今回の掘り出し物がラ・サプリメント・ビバさん。天の声に合わせてマイムするのがおっかしくって。単独ライブにも行ってみたいな。最後がフィンランドガールさん。ちょっと尻すぼみ。

コントはいつもやってるユニットのほうがやっぱり完成度も高くよく練られてておもしろかったな。イベント自体楽しかったけど。

客席に異儀田夏菜さんが来てて、ついうっかり「あ、イギーだ」って声かけそうになりました。あぶないあぶない。

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12月26日昼 清水宏のバカ冒険野郎

一人芝居っておもしろいなって思ったことがなく、近頃は敬遠していたんだけど、清水さんの夏の野音でのライブがすごい好評のようだったので行ってみることにしました。

やる人がやるとおもしろいんだなあ。今回はスポーツチャレンジ編がテニス、バイト体験はマクドナルド。よく知らないけど新ネタではないみたいですね。

芝居っていうよりトークライブなので、そんなに汗かいたり息を切らせたりっていうのを回復させる間がないのがいい。そういうのでいつも醒めちゃってたから。映像も笑えるし。

意外に長かったのでちょっと疲れたけど。でもまた次も観たいな。

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12月25日夜 ロリータ男爵「犬ストーンversion Dr.エクアドル」

ロリータ男爵の微妙に濃いんだけどぬるま湯、みたいな雰囲気はちょっと苦手だけど、ゴキコンとの融合なんて。予測不可能。

中央に鉄柵に囲まれた円形の舞台、まわりに撒き散らされた座布団、手渡された新聞紙。ゴキコンテイストだなあ。なのに舞台には前説をする役者松尾マリヲ。不思議。

人間が犬になりたがる世界。成功した人はほとんどいない至難の業。秘儀は犬ストーンと呼ばれる石を4つ集めること。それを狙った警察官、犬公方とその仲間、ペットショップ店員、犬遣い、紙芝居屋たちの運命は…?果たして犬になることはできるのか?

なんていう奇想天外なお話。おバカキャラもりだくさん。ロリ男のファンタジーとエクアドルさんの3Kが、まるで最初からこうだったかのように違和感なくしっくり。

まず犬になりたいってこと、おもちゃ屋の息子は犬になってはいけない、お母さんが猫、っていうような設定が好き。どこから世界を眺めたらこういう発想がでてくるんだろう??犬公方さまの履物とか、にせ警官とか、がちゃぽんとか、犬遣いの犬とか、ありとあらゆる小ネタが最高。

長いし、座布団だし、なんか飛んでくるし、環境はひどいけど、いろんな方向から何度もみてみたかったな。やっちゃいけないことなんて何一つないんだよね。思ったことは全部やってほしい。その場でしか体験できないことだから。観客の私はなんでも受けられるように間口を広げておかなくちゃ。ってすごく前向きな気分になりました。

ロリータ男爵の初演・再演と比べてみたかったです。

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12月23日夜 北京蝶々「2Pコントローラー」

11月の本公演の裏話的な。あれをどんな風に転がすのか。

設定は前回よりも少し前、未来シミュレーションゲームをやり始めるきっかけ辺りから。ピアノ教室を潰されお金に困ったエリコは、高額の謝礼がもらえるというゲームのモニターになる。こわごわ始めたけど一気にのめり込み、違反とされてた株取引を、担当者を陥れてまでやってしまう。暴走を始めたエリコを、ゲームを紹介したゲンイチロウはそっと見守って。

イベント的な制約のためにどうしても今の部屋のセットしか作れなかったようで、学生時代の部屋のシーンはすべて映像。それが結構長いからもったいないというか。なんか損した気分にさせられます。苦肉の策だったのでしょうけどねえ。どうにかならなかったのかな。JACROWみたいに半分重ねても舞台上で観たかったです。

おもしろいだけになんかくすぶるものが残っちゃったかな。

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12月23日夜 バジリコFバジオ「ナイトメア・ビフォア・正月」

お台場のお祭りは観たいのと予定が合わないから、かわりに新宿村にはせっせと通います。制覇は無理だったけど。にしても新宿村、不便すぎ、まわりに何もなさ過ぎ。連続して観るとき時間潰しようがなくって困る。

北の国からだのマリオブラザーズだのをいじくりながら、年末を永遠に続けさせようとする悪キャラと正月の家族団欒ハワイ旅行を楽しみにするクニエ一家が戦う。

お祭りらしい荒唐無稽な展開。ある意味仲良く悪ふざけのノリ。真剣に椅子とりゲームして罰ゲームしたり。MCRのヨシロォの冒険団に似たノリ。悪くいえばちょっと手抜きな感じも。

私はこういうゆるんだ感じは好きですが。やりながら役者さんも笑っちゃうような雰囲気。でも一歩間違えたら内輪ウケだけのぐだぐたに。客演の古市海見子さんの迫力でがっちりしまってたのがよかったです。

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12月23日昼 マンションマンション「人間フィルハーモニー」

作演出がピチチ5の福原充則さん、出演に高木珠里さんやチョウソンハさんなんて、これは行かなくちゃ。

3組の男女の愛の模様。その1。連載を打ち切られた売れない作家。妻を養うために売ったのは昔書いた妻あてのラブレター。これが大ヒットして次々に続編を書いて…。その2。中学生カップル。愛なんていう言葉にさえ恥じらう二人が、子供を産んでしまって。世間の厳しさに触れ、互いの愛情に疑いを持ちはじめるがすでにお腹には二人目が…。その3。編集社に勤める平凡な男。結婚を決めた女性とお互いの実家に挨拶に向かうんだけど。それぞれに反対を受け、二人の仲はぎくしゃくしはじめちゃって。

3つの愛が交錯しながら。愛の話とはいえもちろん一筋縄では行かず、東京中追いかけっこしたりバカバカしさ全開。つながりなんかあってないようなもの。ひたすらくだらない笑いに脳内をかきまわされ続けて。楽しいな。

やっぱり最後にはお楽しみの仕掛けが。これを見られただけで行った甲斐があったというもの。駅前劇場でこんなことができるなんて、びっくりして、どんな流れでそうなったのか思い出せないほど。

山西惇さんやらぼくもとさきこさんやら、たぶん葛木英さんやらが来てました。福原さんのお芝居ってなんかいつも客もすごい気がするな。

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12月22日夜 キャラメルボックス2007クリスマスツアー「トリツカレ男」

クリスマスだからちょっと基本のファンタジーも味わいたくなりました。キャラメルボックス本公演は2回目。

ジュゼッペはいつも何かに熱中しそれ以外のものが目に入らなくなり、町の人には「トリツカレ男」と呼ばれバカにされている。これまでにトリツカレたのは語学や探偵、昆虫採集やハツカネズミなど。今は三段跳びに夢中で世界記録まで出す勢いだったんだけど、ある日風船売りの少女と出会って…。飼っていたハツカネズミのトトを使って彼女の情報を探り、ロシアから来たと知ったら昔身につけたロシア語で話しかけ。彼女の借金を知ったら自分の昆虫の標本を売って借金を返し、彼女に許婚がいると知ったら彼について探偵し。彼女の幸せのために自分は倒れてまでがんばって。。。

うーん、いい話。でも何か物足りない。前説で原作本はさらっと読めるとのコメントがありましたが、さらっと読めちゃうっていうのが全てを表している気が。彼女のために一生懸命になるトリツカレ男の必死さとか健気さとかは素敵なんだけど。風船売りの少女に引き込まれなかったのかな。トリツカレ男をそこまで一生懸命にさせる魅力はどこ?逆にここまで想われ、いろいろしてもらってるのに気づきもしない鈍感さに腹が立つというか。

切なくていい話なのになんかあっさりしていて心の奥に届かなかった気がします。引っかかりどころがなくするりと抜けてっちゃった。泣こうと思ってハンカチ用意していたのに。

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12月22日昼 国分寺大人倶楽部第3回公演「メリー」

前回の公演のとき、主宰の河西裕介さんが病気で役者を降板したんでしたよね?もうお元気そうでよかったです。

河西さんがポツドールやjorroなどに役者さんとして参加されているからか、前回のイメージはまさにその系列。ちょっと何番煎じよ、くらいに思った気がしますが、今回いまどきの若者を描くのには変わりないけど少しカラーが出てきたような気がしました。

舞台は地方の予備校。ラウンジのような部屋。東京の大学に進学した友達との差を感じ何事にもやる気をなくしている男の子。講師のメリー先生に誘惑されたりするけどそれさえ生きる希望にはつながっていかない。周りには似たような浪人生やいるけど、誰も現在の自分に絶望することなく、かといって未来を夢見るでもなく、目の前にある模試の結果や予備校のクリスマスパーティーといった瑣末なことを受け入れていて。何に対しても反応できなくなった男の子はクリスマスイブに自殺を図って。。。

ここからの仕掛けがなかなか。自殺前の世界に戻ってやり直しているようなんだけど、どうやら彼の姿は周りには見えていない様子。透明人間のように扱われた挙句、自分の代わりに知らない人間が自分役で登場。彼がいくらわめいたり邪魔したりしても誰も反応せず。代役を演じていたのは演出家で、ちょっと忙しくなるとさらに他の人に代役をさせようとして。

ちょっとややこしい設定なんだけど、そしてSFっぽくなっちゃうのはなんかすこし嫌だったんだけど、代役がさらに代役になるあたりがくすぐられました。お前なんかいなくたって、いくらでも代役はいる。次がダメでもさらにその次がいる。自殺した後にまでそんな現実をつきつけられるなんて。彼の姿を死後も唯一認識していたメリー先生が、彼が死のうとしていたときには「消えたら悲しむ、いなくなっちゃ嫌だ」と甘えていたのに、即座に代役を受け入れているっていう残酷さはぞっとします。

主人公の男の子を演じた小斉英嗣さんの冴えない雰囲気がリアル浪人生っぽくていい。私は感情移入できず、その悩む気持ちはぴんと来なかったけど。最初の無気力な状態から自殺後になると表情がしっかり変化していて、周りに対して感情をあらわにした目が哀しく怖かった。笠井里美さん演じるメリー先生はすごくかわいらしくて魅力的なんだけど、浪人生をたぶらかすような講師としては物足りなさが。

タイトルにもなっているメリーの扱いがかなり弱かったり、繰り返す場面が多かったり、とかはありますけど。でも前回からこれだけ変わったとなると、次どうなるか気になりますね。小斉さんはほんとに就職しちゃうのかな、とか。

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12月19日夜 劇団、本谷有希子 第13回公演「偏路」

加藤啓さんを追っかけるために見逃すわけにいかない作品です。もちろん劇団、本谷有希子だし。ダンダンブエノのつながりか近藤芳正さんも出るし。

女優を志して上京した娘。が、長いことがんばったのに芽が出ず、ついに都落ちして実家に帰ることを決め、その決意を伝えるために父親が毎年行っているお遍路さんに付いていく。そこで立ち寄った親戚の家では。。。

田舎暮らしを嫌って都会のきらびやかな世界にあこがれた娘と、田舎で実直に暮らしている家族。この対比は「腑抜けども…」でみた構図。お芝居は観ていないけど最近小説で読んだのでなんだかその印象が強いな。作家の考えの道筋みたいなのをこれで知っていたから楽しめたような気がします。

田舎の親戚の無神経なまでの親切さを疎ましく感じ、それをグロテスクという言葉で表現していた娘。それを知っていても裏も表もなく接し続けている親戚の家族。間に立つ父親。娘の上京を反対しながらも仕送りを続けて、表立って応援はしないながらも心の奥では成功を祈っていた父親。それなのに夢破れて諦めて帰ってきてしまった娘。もうそれだけで切ない。

うっとうしいけど親切で逆らえないおばちゃんに池谷のぶえさん。鉄板だなあ。どうにもならないふざけた長男役を加藤啓さん。歯を折られた間抜けな顔まで素敵です。おばちゃんの妹役の吉本菜穂子さんも声とキャラがぴったりで。

娘役の馬渕英俚可さんが、帰ってくる実家があるが故の甘えと田舎に帰ったら何もできないという焦り、夢を諦めざるを得なくなった悔しさを細やかに表現しています。ちょっと大げさな感じは受けたけどわかるような気がしました。妹が結婚して実家に住むって聞いた時のあわてる様子やむやみにまわりに当り散らす様子は理解できるから余計もどかしい。もっと小器用に立ち回る方法だっていくらでもあるのに、家族だから親戚だからつい素直になれない、気遣いもしたくなくなっちゃう。そして普段まわりに居た人たちを思い出しては違いを並べて物足りなく思う。私にとってはいちいち当たり前すぎる感情で、だんだんそれを追うのが面倒になっちゃった感じもありました。

でもやっぱり見せてくれるのは、夢を諦めさせるために父親の仕掛けたゲームと、諦めると決めてからのどんでん返し。あんなにもいい人たちだった親戚にいやな思いをさせてまでドロドロを見せ、謝るためには自分がすべての悪者になれる父親はとてもかっこいい。そして何があっても受け入れ、さらに自分も自分の生きたいように生きようとするってところがまた。

結局父と娘の話でありながら、感情移入したのはどちらかといえば父側っていうのが不思議なところ。本谷さんの目線も私の目線も同じ娘側なはずだろうに。

好きなのか嫌いなのか、本谷さんの作品は一筋縄ではいかないな。今回は演出より作家側の側面が出ている気がしたので、パンフに載ってる戯曲を読むのもちょっと楽しみだな。

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12月16日夜 シベリア少女鉄道 vol.18 「俺たちに他意はない」

正直おもしろいとは思うけど、そんなに好きって言うわけでもないシベリア少女鉄道。なんでかな。でも行っとかないと。

嵐の中、ある喫茶店に閉じ込められてしまった客と店員。それぞれ待ち人アリだったんだけど、最後に入ってきた男のメッセージから、誰かの相手が誘拐されてることが判明。そのままメッセンジャーの男は死亡。閉じ込められて何もできないままの人たちは。。。

前半はこんなサスペンス風のシリアス演技。篠塚茜さんのかわいらしいけどわざとらしい演技に、このヘタウマ感が苦手だったなあと思い出しました。前畑陽平さんの酔っ払いぷりも同じく。

っていう深刻なストーリーで眠くなりかけてたら、後半。激しい勢いで攻めはじめました。ああああ。これこれ。なんか観るたびに前半でふぅんって心が離れて、後半でうわ、やられた、ってなってる気がする。そうでした、そうでした。こうやってもっていかれるんだった。なんでそれを忘れてるんだろう。

文字と絵と言葉をフルに使って、勢いよく頭を回転させられる感じ。ひねってあったり素直だったりで。ツボにはまるとかなり笑える。これは脚本も稽古もすごそうだなあ。一気に眠気も吹き飛んで必死に追っちゃいました。

そしてちょっと飽きるほど長いのも、特徴と言っていいのかな。前回もまだ終わらない、まだ終わらないって思った気がするけど、今回もやっぱりこれでもか、と続く続く。その辺がおもしろかったりちょっと疲れたり。

大雑把に言えば、すごーく長い前フリの後に怒涛のオチが延々と続くって感じかな。見逃したくない気がするのも確かです。

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12月15日夜 ナイロン100℃ 31st session「わが闇」

やっぱり長いとの噂を聞いて少しげんなり。終わって飲む時間が短くなっちゃう。でも楽しみだけどね。

売れっ子小説家の父。3人の娘がおり、一番上の姉はしっかり者で小学生のうちから小説を書き始めていた。一見円満な家族だったが、神経質でどこかずれた母に付き合い切れなくなった父は別居、数年後には離婚してしまい。さらに数年後には後妻を迎えて。20歳になった長女が書いた小説は「わが闇」だった。

さらに二十年ほど後。後妻に逃げられた父は寝たきり、次女はろくでもない男と結婚したがわが子を火事でなくし、三女は女優になってスキャンダルを起こして行方知れず。長女は小説家として成功しているが目の調子がおかしくなっていて…。ある日父のドキュメンタリーを撮ろうという人たちが取材にやってきて。。。

という、ある家族の一代記。長いけど長さを感じさせないおもしろさ。お話自体はかなり暗くてしんみり、ちょっと泣きそうになるような。だけどそれとは関係ない笑いがたくさんもりこまれてて、楽しいんです。深刻な話の中でずっこけるんだけど、邪魔にはならず、笑わせておきながらすっと戻るタイミングも絶妙。

次女の夫の役だったみのすけさんは本当に嫌いになりそうなほどいやな感じ。大倉孝二さんはお笑いポイントを一手に引き受けてる感じでダメ男っぷりを。自由奔放な三女の坂井真紀さんはほんとかわいい。犬山イヌコさんはしっかり者としてまとめながらもあの声ならではのおかしさを出し、さらに「わが闇」を書く作家としての苦悩や父との関わりを深く深く見せてくれます。

私は自分が娘と言う立場だから、娘と父の関係性って言うのがとてもコタえました。すれ違い、意地を張り合いながらも最終的にはちゃんと通じ合える間柄。そこに至るまでの過程にほろっとしました。このテーマの扱い方が繊細で、最後のオチにつながる流れがとても好きです。男性が書いたとは思えない。やっぱり立場を共感できるっていうのも「好き」の要素の一つですよね。

本多劇場とは思えないすごい照明。映像といったほうがいいのかな。ふすまとか。よくわかんないけど、幽霊的な雰囲気がすごくかっこいい。あんなことまでできるのか、と感動です。そして大がかりな舞台装置。後半傾いていたのは家庭の傾きの象徴だったのかな。理由はよくわからなかったけど。でもすごい。

河原雅彦さんや水野美紀さん、宮崎吐夢さんやらを見かけました。

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12月15日昼 NUDO Work in Progress series#3「simcity/12000000」

ぽっかり時間が空いたのでたまには小竹向原に行ってみようかな、と。青年団絡みなら間違いないだろうなんて。

まだ二十歳を過ぎたばかりの若い主宰らしいです。だけどかなりがんばって、というか単に趣味なのか、こってりと所信を表明してくれてます。わかりやすいんだけど、かなりハードル上げてるよ、みたいな。でもこういう自信は嫌いじゃないな。

就職活動中の大学生。母の会社にコネで入ろうかと考えたり。昔の彼女に未練たっぷりだけどあまり相手にされてないようす。友人は新しい彼女をゲットしてるのに。母の会社は都市計画をしており、新都心や上海の街づくりに手を出していて。っていう輪郭をいろいろな展開で見せてくれます。

まあ演劇的っていうか、なかなかおもしろいやり方。少しややこしいけど目の前で起こっていくことを素直に楽しめればそれでいいって感じ。狭い舞台の中で小道具やセットや体を上手に使ってます。けっこう床を転がったりとか、壁ができちゃったりとか、おもしろかった。

とはいってもまだ雑な感じはありました。役者さんの動きとか。洗練されて、役者さんも育てばおもしろくなるかも。なあんてちょっとおばちゃん目線で。

東京デスロックの多田淳之介さんが観てました。顔伏せ気味で怖かったな。

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12月14日夜 elePHANTMoon 第5回公演「Good Morning Everything」

前回の薄気味悪い衝撃が忘れられず、今回も。すごく楽しみ。

町長選挙を控えたある農業中心の町の小料理屋。候補者・平間は資金もなく負けムード濃厚。その妹三蔭と恋人葛西の営むこの店を事務所代わりにしている。この二人の関係には秘密があり、時折町外からのお客を店に連れ込んでいる。農薬の大量使用で村八分になっている夫婦は、農薬をやめて遺伝子組み替え作物の育成を始めるが、それがとんでもない代物で。

冒頭のシーンで度胆を抜かれます。え、こんな展開?!そして笑えます。渡辺美弥子さんの不気味さが背筋を這うような。

前半の、何か起こりそう、何が?何が?っていう感じがそそられます。思わせぶりで。みんな内心どろどろした企みをもってそう。そんな中での平間役の尾本貴史さんの、実直だけどどこか間抜けな男のさわやかさがいい感じ。

だんだんと目論みが見えてきたところでの激しいクライマックス。演劇ではなかなかリアルにしにくい痛みや苦しみを忠実に目の前に見せてくれます。この辺が好き嫌いの別れそうな部分。私はこのごまかさないえぐみが好き。

ただ思い返してみると、いろんなエピソードがちりばめられている割に生かし方が足りないかなと。妹と彼氏の秘密、対立候補のスパイ、高校時代の同級生、店の客のコイバナ。たくさんありすぎて観る側で整理しきれなかった部分なのかな。もっとギトギトしたところを観たい気も。。。ので衝撃度数は前回の方が強かったかもしれません。

酒巻誉洋さんのストイックに底意地の悪いキャラとか、乞局の秋吉孝倫さんの鈍臭い雰囲気とか、めちゃくちゃいいです。好き嫌いはあるけどまずは観なくちゃっていう作品。

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12月14日昼 くろいぬパレード10周年記念公演第2弾「ミッドナイトレジスタンス」

前回の公演がおもしろかったので。10周年なんですね。もっと長そうな雰囲気。

昭和40年代のやや傾き気味のラジオ局。深夜放送が伸び悩んでいるため、解決策考案中。自分の曜日の洋楽のプログラムが今一つのため、ディレクターが実行したのはドッキリ。果たしてそれが起こした波紋は…。

とってもうまくできたお芝居だとは思います。ちゃんと計算されてるし、役者さんも個性的だし。でもなんかおもしろみがない。先が読めることでの安心感と期待感のバランスかな。そうなりそうでそうなるのが、そうじゃなくって心地よい裏切りがあって欲しかったなあ、と。

本番のスタジオ内の声が外にもれないのを口、パクでタイミング合わせて表現したりっていうのはとってもおもしろかった。場面が変わるたびに後ろの貼り紙が変わったりって言うのも。そういう細かい工夫はすごくいいんです。

だからこそ古くさくならない気配りがあるといいな、と。なぜ時代設定を40年近く前にしたのか、その必然性もわからなかったけど。洋楽の関係かな。確かに誰しも耳に覚えのありそうな曲ばかりだった。でも現代でもそれで通じるのでは?

せっかく10周年なら記念で今の世相に合わせてもいいのかと。第一弾も少し前時代的な感じだったから。

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12月12日昼夜 アロッタファジャイナ番外公演「クリスマス、愛の演劇祭」

番外公演の企画第二段。普段は俳優の劇団員が作・演出をてがけた小品を並べてたっぷりみせてくれます。10月にあった双数姉妹トライアルや15minutes madeなど、試食的なアラカルトって楽しくて好き。

藤澤組。性同一性障害で心は男なのに体は女のサダ。両親ともめて家出して自活を試みるが、その障害とは別の次元で自分の社会適合能力がないことを思い知る。しかしある日バイト先で知り合った男とお笑いコンビを組むことになって…。サダ役の大石綾子さんがなんともかわいい。悩む姿が滑稽で。空風ビュービューのからみ方が「木更津キャッツアイ」での氣志團ちっくで楽しい。少し乱暴な飛ばし方はしているけど、それがいい勢いに感じられました。お気楽に笑いながらも性の話や親子、自立についてなど切なくなるようなエピソードが散りばめられていて、結構好み。

野木組。おもちゃ工房を営む夫婦の家。女の子のおもちゃが2体あるのだがその人形を溺愛する夫婦には秘密があり、取材と称してその秘密を暴こうとしる男が近寄ってきて。人形になりきっている姉妹には過去の悲しい記憶が…。ミステリー要素のあるファンタジー。結局夫婦と人形達の関係や男が執拗に人形を手に入れようとする意味が、私には理解しづらかった。けど人形の可愛らしさにはきゅんとしちゃった。人形に徹した時の輝きのない目としゃべりはじめた時の生き生きした姿が対照的で。青い雪をイメージした照明も寂しさが染みてきます。

新津組。昭和40年代の埼玉の小さな町で。星一徹のような父と従順な母と暮らすかわいく優しい少女。近所にはちょっと変わった宇宙系の少年やギターを爪弾く高校生がいて。。。たった3人の俳優がめまぐるしく役を変えながらテンポよく展開。コント風であるけどかなり緻密に丁寧に作ってある印象を受けます。キャラの一つ一つもとってもおもしろい。あのオバちゃんキャラはインパクト大で忘れられません。

松枝組。ある画家とその妻。画家の下に修行に来ていた画家の卵の青年は許婚がいるにもかかわらず師匠の妻を愛してしまう。妻にはある過去があり、夫に見出されて今がある。夫がいなければ生きられないと言いながら、青年と淫らな行為をして。ある日現場に鉢合わせしてしまい、妻を責め嬲る画家を青年は殴りつけ。。。画家は障害を負うが妻は慈愛のこもった眼差しで見つめ続ける。まるですべて計算の上だったかのように…。なんて官能的で耽美。観ているこっちがメロメロで溶けてしまいそう。谷崎潤一郎の世界のよう。妻の鎖雪の、天使でありながら魔性の女という役柄は、男女で目線の違いはあろうけど誰にとっても永遠の憧れ。安川結花さんがピュアな色気を出してほんとに素敵。純白の衣裳に裸足というのが象徴的で。たっぷりの長編をみせていただいたような余韻に酔いました。

姉組。締め切り前に逃亡した作家を追って、はるかリスボンにまで赴く編集者の話。ダンス中心ということでしたが、うーん、どうなのかな。ダンスをするならもっと楽しそうにいかにもダンスしたくてたまらない感がほしい。苦手だけどやるならチャレンジするかというように、自信なさそうに隣を見ながら踊っているのはこっちも心配だしなんか気持ちよくないんです。そういう演出なら仕方ないけど。もったいないです。

弟組。当日パンフの言葉がすごくいい。役者の演技そのものではなく、物語に涙する観客に絶望したっていうくだり。何気なく泣いてる自分の涙は何に対してなのか、考えちゃいます。そして、そんなことを書いちゃう作者がどんな芝居を見せてくれるのか。題名どおりのないようで、言葉なしでも伝わるものを感じました。共通の言語を持たないっていうのを外国人労働者に設定してるふうなのはちょっとどうかなと思いましたけど。むしろ日本人だから伝わる身体表現とか表情とかにこだわるのかと思ったので。細かいことはわからなくても、ジェスチャーや目線で感じられる部分は大きく、実験ながらおもしろく観られました。やっぱりギャラリーと言う空間の持つ力も大きくて。

本当に座っているだけで目の前で次々にいろいろな作品が並べられて、あっという間の6時間でした。1作品45分と言うのはちょうどいいのかも。入れ替えはかなり大雑把に感じましたけど。1公演分のチケットでしばらく座っていてもバレなそうな感じ(笑)。ずっと見続ける人と一回で出て行く人、次から入る人の整理は難しいですね。途中から入る人は早く来ても入れないし、席もだいぶ埋まっちゃってたりするし。

あと作品の並べ順とかも。何か考えがあったりするのかな。この日はわりとバランスよくてよかったけど、毎日違うからにはなにかあるんでしょうね。総括の座談会かがあったらおもしろそうだな。

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12月9日夜 NODA MAP「キル」

毎年恒例の野田地図。今年は主役二人の華やかさにやや引き気味だったんですが、再々演するぐらいならよっぽどすごいのかな、と行ってみることにしました。

モンゴルの草原で服屋をする一家。遊牧民族同士の諍いも絶えず、かつて母はさらわれた後孕んで帰宅。父はそんな我が子の生い立ちを憎みながら育て…。何の因果か歴史は繰り返し、一家の棟梁となった息子も同じ目に。妻も息子も愛せずに悩んで…。

妻夫木聡の第一声には先が思いやられましたけど、進むにつれてなかなかの安定。やっぱり芸能人たるもの、引き付けますわ。やんちゃな少年から一家を背負う大黒柱まで、頼もしい。ヒロスエはまあどこまでめヒロスエ。かわいらしくて華があるけど、母の苦悩とか夫との会話はなんだかちょっと。

まわりを固める役者は手堅いです。市川しんぺーさんや中山祐一朗さんや。マネキン姿がよかった。あと、服屋だけに衣裳がすごく素敵。後半に着てた、ああいうの欲しい。

思っていたよりずっとおもしろかったし、じーんとしました。前の公演を観ていないのが残念に思いました。

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12月9日昼 あひるなんちゃら「未来ルルルルルルル」

今回どこかで見覚えのあるおもしろそうな役者さんが揃ってたし、何よりそそられたのが異儀田夏葉さん。ついに所属がMCRでもなくヨシロォ冒険団になっちゃったんですね。

冷凍睡眠で一万年後に目覚めた3人の男。未来の世界に興味津々だけど、意外に変わりなかったり、相手にされなかったり。過去に戻ろうとしたがまだその手段はなく、体をロボット化して生き残るしか…。

駄弁に磨きがかかるというか、なんでもない会話がおかしい。川島潤哉さんの風貌、動き、台詞、すべておかし過ぎ。一緒にいる渡辺裕也さんや根津茂尚さんまでずいぶんずれてるし。いやぁ、これがいいんだなぁ。

何が起こるでもなくさらさらと流れていくのが、ちょうどよく心地よかった。時間的にも。

黒岩三佳さんとイギーのでこぼこな噛みあわなさもここまで来るとすばらしい。やっぱり黒岩さんの正統派美少女っぷりとイギーの抜け具合のかわいらしさが目が離せません。

気楽に楽しむ作品としてはあひるなんちゃらは追いかけねば。何かを求めるなら何も残らないかもしれないけど。そこがいいんです。

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12月8日昼 「座頭市」

もちろん阿部サダヲさん目当てです。映画監督の舞台進出もだいぶある中、三池監督がどんな作品で勝負しているのかも楽しみで。

席、がらがらですね。後ろ半分埋まってないんじゃないかってくらい。土曜の昼の一番集客する日がこれで大丈夫なのかな。余計な御世話。

座頭市のストーリーもよく知らないで行きました。が、そんなことはさておいてしまいたい。もうこれは12000円返してほしい。出して5000円かな。

阿部さんのかわいらしさを差っ引いても、主演の哀川翔さんがいただけません。役のイメージに合わない高い声、そして通らない。滑舌が悪くて何言っているかわからない、挙句に噛む。兄貴ぃ。。。

やくざの抗争に巻き込まれるんですが、この親分がまたどっちも威厳も貫禄もあったもんじゃない。ハードボイルドな任侠のかっこよさが欲しいのに。

ここまで言っちゃったらさらにさらに。楽しみの一つだった殺陣もずいぶん貧弱で。。。新感線のすごさを思い知りました。

男の義理と人情。戦いの中での熱い生きざま。かろうじてそれが見えたのは遠藤憲一さん。かっこいい。彼が主役だったら締まったのに。まぁそうだったらコマではできないでしょうが。

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12月7日夜 JACROW「Dog Eat Dog」

run beatでの中村暢明さんの書いたお話が面白かったから今回JACROW初体験。

結婚式場。莫大な資産を持った老人と結婚する若い女性。当然周りの見る目はアレ狙いだろうと。老人の会社の者や家族、女性の友人や妹の疑惑の目の集まる中、果たして女性の思いは?

新郎側・新婦側の控え室を舞台に、二つの空間を交錯させて話は進みます。こういうやり方、なかなか好みです。人物は混ざり合いながら空間は決して混じらず。同時進行で各々の疑惑や陰謀が明かされていくのがわくわくします。

でも。なんか尻すぼみ。劇団のコンセプト、ハードボイルドとか心理サスペンスとか、生かすならもっとわくわくを持続させてほしかったなあ。先の読めちゃう感とところどころのおちゃらけでちょっとテンション下がり、さらにエンディングがなあ。ある意味ずっこけちゃいました。

MUのときのような杉木隆幸さんのヒールっぷりが楽しめるかと思ってたら中途半端な小悪党で最後には歌まで歌っちゃったし。バカッコイイとは思えなかったです。

新婦に感情移入できれば、愛に生きる女性の素敵なお話だったのでしょうけどね。

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12月7日夜 空想組曲「この世界にはない音楽」

ファンタジー系はそんなに好きではないけど、ほさかようワールドにはなぜか惹かれてしまうんですよね。なんでかな。愛とか優しさとかこっぱずかしい要素が満載なのに。

今回は新宿村LIVEイベントで。いすと机だけのシンプルな舞台。自殺しようとする男の元に女が。女の正体は悪魔で、その姿が見えるのは死にたがっている人だけ。悪魔は死にゆく人の願いをひとつだけかなえ、代わりに魂を受け取るために現れるという。が、紫村朋子さん演じるこの悪魔は落ちこぼれで、いつも一生懸命願いを聞きすぎるから願いがかなった人間は生きる希望を持ち直しちゃっていつも魂を奪えずじまい。そろそろ悪魔失格の烙印を押されそうで…。今回自殺しようとしているのは中田顕史郎さん演じる作曲家。かつては一世を風靡したけどここのところ曲が書けず。悪魔は音樂大好きだけど、樂器に触れることが出来ないため、彼の演奏を聴きながら叶える願いを考えて…。

最初設定を知ったときは「悪魔かよっ!」って正直ちょっと引きました。。。だって、あまりにも童話過ぎるよ。。。だけど。この健気にがんばる悪魔と心を開かない作曲家の関わりを追っているうち、どうにも眼が離せなくなっちゃって。やっぱりいい話だよ、ほさかさん。

中田さんのちょっと落ちぶれかけたエリートってキャラは、板についている感じですね。背中が語るってこういうこと?傷ついて、でも誰にも傷を見せずにがんばって、本当は優しいのに周りを遠ざけて、でも最後にはがんばる悪魔を放っておけなくなっちゃう。干からびかけた私の心に潤いが戻ってきますわ。

そしてさらに心をくすぐるのがおもちゃのピアノの音色。おもちゃってところが逆に味がある。音の薄っぺらさで、人間と悪魔の関係性っていう切なさが倍増。

エンディングは哀しくもあり、希望の抱けるものでもあり。心地よいな。

風琴工房の笹野鈴々音さんや少年社中の堀池直毅さんがいらっしゃってました。笹野さん、かわいい。

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12月7日昼 ポツドール「女の果て」

なぜか「好き」と言い切ることをためらわせてきたこの劇団。変な後味を言語化することができない不安感。でもそろそろ認めないとなあ。

アパートの一室。ホテトル嬢派遣の事務所。常時数人の女の子と社員が待機し、時には社長も。社長は元ホストで、女の扱いのうまさからこんな仕事をしているが、店の女の子に手を出しすぎて問題もあり。ある日やってきた採用希望の女の子が…。

いつもの三浦大輔さんとは少し違った溝口真紀子さんの女目線。ポツドールらしい男女関係のごちゃごちゃさや会話の今っぽさは保ちつつ。米村亮太朗さんのだめ社長っぷりも、イケメンの魅力は残しながら乱暴なまでの凌辱ではない、女を食い物にしながら女に振り回される情けない感じがよく表されていました。

展開読めてもやっぱりはらはらするし、顔をしかめながらニヤつきたくなるし。抗えませぬ、この魅力。

アフタートークで三浦さんが高橋源一郎さんに、「同世代の演劇人が小説書いて評価されてるけど」みたいに言われてましたけど、そんなジャンル広げないでここから離れないでもっともっと突き進んで欲しいなあと思いました。

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12月5日夜 二騎の会「五月の桜」

にわか多田淳之介さん熱の高まっている私としてはこれは見逃せません!

舞台には中央奥に柱、まわりに数本、細くくねった木があるのみ。久しぶりに北海道の故郷に帰ってきた女。彼女についてきた男。折しも北海道は桜の季節。好きだった桜に囲まれて眠る父の墓に佇む女。女は数年前に再婚した母と新しい家族の前から姿を消し、今回の帰郷も誰にも知らせていなかったのだが…。再会してしまった家族の思いの渦。

初演の際はほんわかコメディだったようですが、今回、そんな雰囲気は微塵もなくぴりりとした緊張感が全編を貫いています。役者はずっと立ちすくんだまま動かない。そこで発せられる台詞のトーンは不思議にやわらかだったり。立ち姿の力強さとのギャップが、ぞわっと流れてくる、妙な感覚。

家族はそれぞれ、木を背に立っている。木まで気持ちを表しているように見えてしまいます。

動きのなさと立ち位置があるから、家族以外の動く人や言葉が印象的。また、途中で座り込んじゃった姉や、会えたうれしさにふいに女に歩み寄る義弟の想いがじんじんしました。

女についてきた男と義弟の会話も、立ち位置も体の向きも変えないまま熱く話すから、つかみあうよりよっぽど激しているように感じます。

多田さんの作品は難解だと評されてることが多いですよね。確かに、お芝居を観慣れてきたから楽しめた作品だと思います。私はどちらかというとストーリーを追って観てしまい、目の前に起こっていることをないがしろにしがちだったので、たぶん初めて観た作品がこれだったら、小難しくていやだなって思ったかも。全身で感じる醍醐味を覚えはじめた今だから、こんなに贅沢な作品もないな、なんて感じられる気がします。

アフタートークは多田さんと文学座の所奏さんでした。所さんの年齢に似合わない貫禄。ちょっと多田さんやりにくそうでしたけど、微妙な雰囲気なのがおもしろかったです。もっともっと作品について聞きたかったです。

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12月4日夜 グリング「Get Back!」

やっとPCが復活してくれて、ネット接続できるようになりました。ふぅ〜。これでオンライン予約ができると思うと。。。(涙)

グリング、今回こそと気合いを入れて早めに予約。スズナリで片桐はいりさんって凄そう。

山中で民泊を経営する夫婦。漫画の原作をしている従姉妹が毎年保養に来ますが、今年はアシスタントや作画担当も一緒に。が、次の作品のことで原作者と作画でもめてしまう。従兄弟やアシスタントがとりなすが。。。

おもしろくって引き込まれるんだけど、どこか私にはしっくりきませんでした。台詞も演技も空気も引っ掛かるわけじゃないし、気持ちの動きや表情や所作もすべて巧みなのに、するするとすりぬけていっちゃった感じ。たぶん私の中にはまだ育っていない枝に引っ掛かる作品なのかな。

夫婦のお兄さん役の村木仁さんのいやらしい感じとか、民泊に出入りするお姉ちゃん役の遠藤留奈さんのかわいいながら裏がある雰囲気とか、よかったです。あと飄々としたアシスタント役の中野英樹さん。最後の変身ぶりがちょっと腑に落ちなかったけど、なごみ系キャラはいいですね。

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12月4日昼 虚構の劇団旗揚げ準備公演「監視カメラが忘れたアリア」

実は鴻上尚史さんのお芝居は初めて。巡り会えていなかったことを悔やめるような素敵な舞台だといいな。

若い役者をオーディションで集めた劇団の旗揚げのさらに準備というこの公演。すべてが冒険っていうんだからわくわくどきどき。

防犯というお題目を掲げて、今やどこにでも設置されてて当たり前になっている監視カメラ。撮られることに鈍感になっている人々に警鐘を鳴らそうと活動する「監視カメラを監視する会」。カメラの前で座り込みしたり、街頭の監視カメラのすりぬけマップを作ったり。その会の設立者は今は警察に勤務、しかも監視カメラに映る世界を監視している。ある日フィアンセを、いるはずもない場所のカメラに見てしまったために…。

いい役者を集めましたねえ。。。一人一人個性がきちんと見え、それが生かされてます。声、体、演技、ダンス、生き生きしてます。しなやかにのびのび元気いっぱいなのがすばらしい。ややきっちりまとまりすぎに感じる部分もありましたけど。2回目カーテンコールでガッツポーズ見せちゃったりするのが微笑ましくて。

若いうちにいい演出家、いい作品に出会って育ててもらえるってすごくいいことですね。無駄に寄り道せずどんどん伸びていきそう。

反面、最初っからのエリートコースっていうのは、当日パンフにある鴻上さんの言葉と矛盾するなあなんてアマノジャクなことも考えちゃったり。鴻上さんのネームバリューでチケットは苦もなく売れるだろうし、貧乏で夢を喰って生きた時代なしに売れちゃうってのは。

まあ余計なお世話ですね。せっかくの才能がどうなっていくのか、今後大注目。

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12月2日夜 チャリT企画「ときめき都内」

チラシでタイトルを見てから、もしかしてあの漫画の…?って気付くまでにずいぶん時間がかかりました。歳とったもんだ。でも気付いたからには観に行かなくちゃ、気になるもん。

冒頭から飛ばしまくり。まず客入れの選曲からきっちり世界作ってるなあ。時事ネタをうまく扱いながら、アイドルつながりで80年代全開へ。でも現代の風潮をもこねくって。

一世を風靡したアイドルもある事件を起こして消えていくが、あきらめきれない彼は東京タワーを使って自爆テロを画策。やがて地上デジタルとアナログ放送の抗争に結び付いて。

ネタの結び付け方が圧倒的にうまい。楢原拓さん。キーワードから連想していくのがとっても楽しい。ときどきぱっと飛んだなあと思うと、きちんと着地点は準備されていて、なるほどねってニヤつきました。まあだじゃれ的要素も大きいんだけど。

このコンパクトさもいい。めまぐるしく展開して、わーっと進んでぱっと終わり。素直に楽しい、って思えて、そのまま楽しく帰って次の日には忘れちゃうような潔さが○。それだけっちゃそれだけだし、もっともっと観たい部分もある気がするけど。

熊野善啓さん、この間のG-upでのあんなシリアスな演技の後、こんな美少年アイドル、ふり幅広くて頼もしいな。

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12月2日昼 SPIRAL MOON「夜のジオラマ」

10周年記念公演第2弾。しっとりしたやさしい世界に触れたくて。

危ない記事を書き続け狙われたため、家族とも離れて人里離れた家に引っ越してきたルポライター。夫が浮気をして離婚も成立、娘は夫のもと、息子は自分のところ、とバラバラ。30年後、ある男が不動産屋に連れられその家に。男はルポライターの息子。2037年の技術で空間トレースを行い、15年前に母が断筆した理由を探るうち、生き別れになっていた姉の情報も手に入って…。時空を越えて行き来した後にわかったことは。

タイムトラベルSF。時間を超えて変わらない不動産屋やヒト型ロボットヨーコさん、未来型携帯や未来型マネーなどの小道具など楽しい工夫がたくさん。空間トレースの光る道具やら、細菌兵器やら。気になる、欲しくなる。

親子もののとってもいい話なんだけど、私は泣けなかった。(アフタートークで作者のはせひろいちさんは泣けたとおっしゃってましたが。)盛り込まれているものが多過ぎて、整理しきれなかったからかな。母と息子、母と娘、姉と弟、妻と夫、といろいろな方向への想いが錯綜してたし。姉がらみで宗教話が出てきたり、ロボットとの心の交流があったり。母に想いを寄せる編集者がいたり。さらに時間が飛ぶものだから。。。

詰め込み型ならそれはそれで好きだけど、こういうゆったりした情感あふれる雰囲気との相性はよくないんじゃないかなあ。せっかくの変キャラの不動産屋さんとか、もったいない。

ロボットのヨーコさんにはとっても癒されましたが。かわいくって一生懸命でやさしくて。こんな素敵なロボットができるなら未来も捨てたもんじゃない。

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11月29日夜 パラドックス定数「東京裁判」

先月の「棄憶」で野木萌葱さんへの興味津々です。東京裁判なんてネタをどんな扱いで見せてくるのか。

席、すごく迷いましたけど下の角にしました。まあ正解。裁判官方向だったので。傍聴席も悪くはなさそうだけど、見下ろす形でも伝わるのかなあ。

仕事帰りでかなり眠かったので、前半ちょっとアブなかったけど、ずりずり引っ張られるようにのめり込みました。戦後まもなくA級戦犯を裁くために開かれた東京裁判。見返りも期待できないまま各々信条を持って、参加した弁護団。軍の弁護士だった者、被告を父に持つ者、英語の得意な者…。資格の有無は問わず、それぞれの持味を生かして弁じる。微妙なズレも生じつつ最後は一丸となって。

弁護団以外誰もいないのにすごい迫力。検察や被告のざわめきが聞こえてくるような錯覚。静かすぎて身動きさえためらわせるほどの緊張感。圧倒的な空気に涙が出ます。

誰も言わない裁判官や検察のせりふをここまで嗅ぎとらせる演出は瞠目もの。通訳の使い方もまた憎たらしいくらいポイントを押さえてて。そして役者さん達の目線。

思い返すと、個々のエピソードや人物像は表現上あまり深く掘り下げていない気がします。なのにこんなに迫るものがあるっていうのは、目の前の人が生きているから。意図や説明を抜いた部分での息遣いで十分。

時間さえあれば全ステージ押さえたいくらい。

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11月26日夜 猫田家「ミーコのSFハチャメチャ大作戦〜ベルンガ星人をやっつけろ!〜」

なんてくだらないタイトル。ハチャメチャって、大作戦って、昭和の香りぷんぷん。

25年前の一発屋フォークグループ、SST。ミーコとヒデは今もほそぼそと活動は続けているけど、メンバーが蒸発しちゃったり、アンコールがもらえなかったり、ツライことばかり。ある日ヒデさんの手に小さな傷ができ、それをきっかけにヒデさんはおかしくなっていった。なんと傷口から入り込んだベルンガ星人に体を乗っ取られてしまったのだ…。

……えーっと。確かにハチャメチャ。ちょっと私の苦手路線でした。猫田直さんのかわいらしさは十分出てるし、小熊ヒデジさん七変化のおかしさもあるんだけどしっくりこない。バラバラしてて間がもたない。なんでかなあ。全体が気の毒に見えてしまうのでした。

演劇の神様は最高!あの表情、健気に頑張ってる姿、なでなでしたい!おいしい役ですよね。

あと、最初の落とし方もすごくよかった。ほんとあそこで一緒に退出しちゃってても悔いはないくらいかも。。。

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11月26日昼 劇団桃唄309 「三つの頭と一本の腕」

お客さんが年配の方ばかりで驚き。まあ平日の昼間ですからね。歳とってもこうやってお芝居楽しめるって憧れるな。

各地の郷土史を研究するサークル。メンバーの一人が地元で殺され、その真相を知ろうと現地福島に向かったメンバー。閉ざされた村には歴史と触れてはいけない秘密があって。

こう書くと2時間サスペンスみたい。結構お話は複雑で、いろいろな人の証言や史蹟から明らかになる事実から犯人を探ります。時間や場所を人の動き、存在で示すから、ややこしいしこんがらがるけどおもしろい。少ししつこくて堂堂巡りしてる感じもあるけど、なかなか見応えあり。

近ごろ私、マチネに行くとたいてい一度は睡魔に襲われるんだよな。本日も追い掛けられなかった部分あり。筋を把握したところでもう一回謎解きについていきたいなあ。

役者さんにしても脚本演出にしても、ベテランだけにすごく厚みがありました。こういうところは押さえておきたい。舞台背後の竹林を照らす照明が、人工的で変な色なのに全体の中の効果としては素敵でした。不思議。

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11月25日夜 三条会アトリエ公演<四姉妹>「若草物語」

すっごく楽しみな三条会。若草物語の味付けがどうなっちゃうのか。

エッセンスの抽出の仕方が絶妙。若草物語らしさと三条会の色が不思議な融合。絵の具を混ぜるとだんだん汚い色になり、最後は黒になっちゃうけど、これは光が重なっていくかのように明るく透明感を増し、どんどん見通しが開けていくイメージ。しかも地に塗ってある文様はきっちり見せたまま。

大川潤子さんの迫力には息を飲みました。力強さで押すばかりでない女らしさもあり。すっごいインパクト。開演前に橋口久男さんがリカちゃん人形をいじっているのが気になったけど、まさかあんな風に生かされるとは。プロジェクターも何のために置いてあるのかななんて思ってたら、そうくるんだあ。何から何まで予想外てんこもり。気持ち良い裏切り。

楽しもうと思ったら予習やらエネルギーが必要だけど、ここでしか観られないものが確実にあるってなんだか素敵だな。

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