3月9日夕 菅間馬鈴薯堂「鯨屋の客」
ああ、これがあるからお芝居通いはやめられないんだよな。言葉じゃ言い表せない、不思議な何か。自分が描く線と舞台がたどる線の交点がすっとなじむ瞬間。
正直言ってどの断面をとっても私が落ちる要素はないお芝居ではありました。でも。なぜなのかこんなのもあり、と思える。だから、理屈で説明ができない。ふんわりと包み込んでくれる誠実さ、ってところかな。今現在の私の精神状態に当たっただけかもしれないけど。それが事前に予測できないからお芝居はおもしろい。
寂れて閉館を決めた草津の温泉旅館の人々。訳ありで仕事探しに来る女性、知恵遅れを抱える4人兄弟、ホステス、旅館の主人と東京に出たがっている弟。とっても何気ない日常の風景。
何気ないけど自然ではない、普段の私だったら嫌悪感すら催しかねない芝居がかった台詞や演技や演出。台詞の中にもあるとおり、なんでもない芝居となんでもない観客の私の間になんでもない関係ができたったことなのかな。なんでもないものはなんでもなく述べることはできない。寸法を測り、質感を表現することはなんでもないことから無限に遠ざかる。
それがすべてを言い表している、ということで自分をも納得させましょう。すべて手放しで褒め称えるわけじゃないけど、これがこの劇団の魅力なんだとしたら、また次も観てみたい。
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