5月23日夜 渡辺源四郎商店「ショウジさんの息子」
10日ほど連続になりそうな芝居漬け週間。諦めても諦めてもまだ観たいものがある。
見事その中の一つとして生き残ったこの作品。劇団名は知っていたけど、最初の頃はその地味さ加減にまるっきりスルーしてました。が、意外なまでのほめられっぷりを耳にし、これは行かねば、と。
わりあいオーソドックスでお芝居といったらこんなイメージっていう人がたくさんいそうな雰囲気の作品。体がかなり疲れていたので、ちょっとでもつまらなかったらがっつり寝てやる!くらいの意気込み。
14年前に娘を亡くし、娘婿と暮らす、ショウジさん。今日は80歳の誕生日、ショウジさんは娘婿に、娘婿はショウジさんにこっそりプレゼントを用意していたのだが。
プレゼントの内容とは。ショウジさんが送ったのは養子縁組の書類と遺産相続の遺言、さらにお見合い写真。それに対して娘婿、マサヒコさんが贈ったプレゼントは。。。
これだけのお話の中で何がこの劇団の売りなのか。かなりハードルをあげて拝見しましたけど、いやいや、途中から涙、というかむしろ鼻水が止まりませんでした。
もちろん脚本上の想いの伝え方のうまさはある。でもそれ以上に何に心が動いたか、というと。
誰もいない舞台、台詞のない瞬間、にひどくそそられる。舞台上に居ない人たちの存在感、そこで動いているストーリー。
マサヒコさんがパーティーの準備をする間のショウジさんや酒屋さんのそわそわ感。お見合いをさせている間のその二人の高揚。お見合いから追い出されて出て行ったあとのお見合い相手。どの場面でも裏にいる人々の息遣いが気になっちゃって。
その最高潮。ケアハウスの2人が話している間のマサヒコさんとショウジさんの関わり。切なさ、哀しさ、相手をどれだけ大事に想っているか。たぶん二人は何の言葉も交わせなかったんじゃないかな。それを考えるだけで滂沱の涙。
そして出て行ったショウジさんが戻ってくる時につながる。傷つく前に、何も考える前に出て行ってしまえと飛び出したショウジさんにあそこまで言わせるとは。思い出してもどばどば涙が出ちゃう。そしてその後の二人のシーン。。。
舞台上で張り付いたのはお見合い相手がマサヒコさんの過去のラジオを再現するシーン。淡々としながら、その情熱がほとばしる。それを聞いているマサヒコさんの顔もいい。
このお話はズルイとは思う。そりゃ引き込まれる要素たくさんだもの。でもそれ以上に引き込んでるのは俳優さんの存在と演出の巧みさだとも思える。どんなに疲れていても、どんなに他に観たいのがあっても、行ってよかった。出会えて幸せ。
すごく余談ですけど、思い出し泣きが止まりません。電車の中でも、駅で歩いてても、自転車乗っても、家についても。心地よいから反芻したいのに、どの場面を思っても涙が出る。。困ったな。
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