8月29日夜 サンプル「家族の肖像」
客席がすごいと評判。すごいって?汚れるわけでもなかろうに動きやすい服装で、とは?どんな仕掛けがあるやらわくわくしながら。
わー、確かにすごいし怖い。床にしつらえた舞台を囲んで中2階が。上から見下ろす形。よくこれだけ仕込んだもんだ。
あるスーパーに勤める人々がいる。夫を亡くし40過ぎて引きこもる息子を抱える元教師。管理人をする勃たない夫とは子供を作らない約束をしている主婦。フリーター。そして店長。ある日万引き犯がつかまるがその女は元教師の教え子で。店長はその女と話すうち、Mっ気を刺激され罵られて快感を得て。
筋を説明しようとしてもよくわからないです。世の中で起きていることがコラージュされている感じ。一口に家族と言ってもそれを形作るルールはそれぞれ。そのそれぞれを見せてくれるんです。
さらには家族という関係性だけではなく、ヒトとヒトとが関わる形すべてにおけるルールを示す。家族、恋人、夫婦、というように決まった言葉でくくってしまってわかったような気になっているそれを、改めて解体して。
まともに生きているように見える店長や元教師が問題をたくさん抱えていて、恵まれてなさそうなフリーターが一番まっとうに社会を支えているように見えてくる。頭のおかしい者同志、と認めてお互いを求め合う教師の息子と女が幸せそうに思えてしまう。万引き癖のある女でも、求めてくれる人はいる。友達とよりわかりあいたくて、恋人を共有して関係を築こうとする。極端な人間ばかりが出てくるようで、でもちょっとした視点をずらせば出てくる発想でもある。その視点のシフトがおもしろい。
途中までほんとわからなくて、おいてけぼりを食らいそうになりました。小難しくてイヤだよって投げ出そうとしたら、ちゃんと向こうから寄ってきてくれたような。ふとしたところからぐいっとおもしろく感じたんです。ついていこうとすると振り払われ、あきらめると見えてくる。自分と作品の関係も楽しくなりました。
前回公演があんまりおもしろく思えなかったのは、その辺りの加減だったのかしら。なんて思うと、今後の巡り合いが気になる、気になる。
長塚圭史さんが来てました。しかも一番に入場で。目立つなぁ。
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