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10月25日夜 イキウメ「図書館的人生vol.2 盾と矛」~攻めるものと守るもの、武器についての短篇集~

若干へたばりながら三鷹まで。この3日間動き回りすぎた。楽しくぐったり。

私にとってはイキウメ短篇集は初です。あの世界観がどうなるのか楽しみです。

最初っから言ってしまえば、粒揃いの傑作。初めてイキウメに出会った時のような衝撃。あああ、これこれ、これが観たかった。

賽の河原で踊りまくる「亡霊」鬼と奪衣婆が待つ河原に亡者4人が送られてくる。段ボール積みを繰り返す亡者たち。ここから脱け出すには…。

ストーリーは単純明快、だけどそこにいる人たちの思いは複雑。考えるんじゃない、感じろ、とのブルース・リーの言葉がしっくりはまります。よくわからない感情だし、気味悪いのに最後の鬼の心情まですとんと落ちるんです。

やさしい人の業火な「懐石」刑務所から出てきたばかりの男が街中で袋叩きに会い、ある夫婦に助けられる。夫婦は男を家へ招き介抱するが。

一番気持ち悪く納得できないのに、なんか残るものがあったこの作品。今思い返すだけでなぜか涙が出る。

善意の固まりのような夫婦と人の善意を疑ってかかる男。どちらの感情も一筋縄ではいかないものだから、どこまで信じていいのか、ほんとの悪人は誰なのか、ずっと疑いながら見続けていて。どっちつかずのその感情、それさえ切なく。

信じたい気持ちと信じきれない気持ちのせめぎ合いが、すごくリアルに共有できてしまって苦しかったです。でも最後の救いっぽい台詞でまたがつんと落とされちゃう。これの後、もう少し浸る間が欲しかった。

瞬きさせない宇宙の「幸福」その1。かつての同級生が山中で死んでしまった。死因は過労と餓死。死ぬ少し前に、ちょうど山に隕石が落ちた時期に彼と会っていた男は彼と同じ隕石を手に入れていて。

これは触りまでで後半に引っ張ります。隕石にまつわるという、およそ信じがたい話なのにやっぱりそそられてる。

ま、この先はCMのあとで、みたいな引っ張り方はちょっとどうかとも思いますが。

そして間に挟まれるのが、東の海の笑わない「帝王」どんなにおもしろい漫画を読んでも笑わず、どんなにおいしい料理を食べてもうれしそうな顔はせず、何をしても怒った顔一つしない男と結婚しちゃった女。表情を変えない男に苛立つが、男は秘密の病を抱えていて。

これは愛のある優しい物語。秘密の病もお茶目。顔にはまったくそれらしい感情が出てこないで、すべて体の動きに出てきちゃう。それがわかるまではものすごくイライラする、けどいったい規則性が把握できればこれほどわかりやすい感情表現もない。それを打ち明ける前と後の、夫婦の気持ちの変化の描き方がお見事。

さて、その後は「幸福」その2。隕石の割れ目を見てしまうと、見とれてしまって全く身動きもしないまま見つめ続けてしまうことがわかった。見つめ続けていることには自覚はないから、世界中にそれをばら撒けば、テロ行為に。案の定、見つめ続けての交通事故などの報道が…。

見ている間の幸福感と結果として起こる状況のあまりの差にうすら寒くなります。うっかり目を向けてしまったらそれまで。もうどうにもならないっていうのがもどかしく、でも見ている本人はいたって幸せっていう皮肉が痛い。

イキウメンたちの派手でないパフォーマンスと世界観のマッチングはこれまたすごい。誰がどう、っていうのが挙げられないのが薄気味悪さをつのらせてる感じもします。

次から次へと話が進んでしまうので、噛みしめて浸ってる暇がないのだけがどうにもならない。ぐわっと入り込んじゃうから早々簡単に次の話に切り替えられないんだよな。それが辛いところ。

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