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4x1h project Play#2 「ソヴァージュばあさん/月並みなはなし」 2009/1/26 20:00

菊地奈緒さんが素敵な脚本・演出・俳優さんを集めたこの企画。だんだんとすごいことになっていってますね。どちらかと言えばWIPも観た「ソヴァージュばあさん」目当てで。「月並みなはなし」は若干恐いもの見たさあり。だって中屋敷演出なんて想像できないんだもん。

まずは中屋敷法仁演出の「月並みなはなし」。月に移民する計画に応募し、すんでのところで落選した仲間で集まって残念会。が、その中から補欠として一名だけ合格できることになり、という黒澤世莉さんの脚本。

登場人物以上の数の俳優さん集めてどうする気?と思ったら、大きく2チームに分けて二人一役。同じ役の二人が次々に台詞を、シンクロさせたり輪唱したり。長い台詞を超早口でまさに中屋敷節。

これがなんとも言えずおもしろい。柿喰う客だから完全に確立されていると思っていたあの世界が、土台も骨組みもすっかり変えてしまっても成り立つなんて。目から鱗な出来上がり。

やはり脚本の強さは圧倒的。だからその芯を残しさえすればおもしろいのは当然。だけどそれを完全に芯で捕らえるのは至難の業なんじゃないのかな。ホンの中での感情の動きは自然に流しながら、自分の色をしっかり押し出す。

私の勝手なイメージでは中屋敷さんの描く世界は中屋敷さんの脚本で、さらに柿喰う客の俳優さんたちありきでしかできんもの、と思っていたから、しかもどちらかといえば演出より作家さんよりなのかと思っていたから、びっくりです。すごいです。

そして、この演出についていった俳優さんたちもすごい。あのパワフルでスピーディーな台詞回しを完全にシンクロさせたり、木霊のように繰り返したり。あれは大変だ。

さてさて、それで口をあんぐりしたあと、一息ついて「ソヴァージュばあさん」。短いから休憩なしの方がいいんじゃないの?って思ってたけど、気分を変えるには必要なブレイク。

ドイツの統治下で暮らすフランス人のソヴァージュばあさん。息子を兵隊にとられて生死もわからないが、ドイツ兵が押しかけて宿泊させろといわれれば逆らわずに従う。やはり何日も一緒に過ごせば、言葉は通じなくても情は移るもの。お互いに助け合いながら暮らしていたのだが、そこへ息子の安否の知らせが入り。。。

はぁぁ。ほんとに素敵なお話。展開分かってても何回聞いてもどきどきする。

そしてこの出来上がり。数日前のWIPに比べてホントにすごいことになってる。リーディング公演の時と同じ俳優さんを集めたこともあり、WIPはまだリーディングの時の印象を引きずっていましたが、やはりセットもつき、照明も入り、衣装もあると、こんなにこんなに立体的になるんだなぁ。

セットや衣装がものすごくかっこいい。作りこみすぎずにシンプルなところがこの世界観にぴったり。

ただ、WIPの時にはとても印象的に耳に残ったメトロノームの刻みが、他のパーツが揃ったせいで薄く感じたのはもったいなかったな。火事が起きるまでの高ぶりの中であのカチカチがすごくよかったのに。

まぁ何より、菊池美里さんのソヴァージュばあさん、ほんとにすばらしい。この存在感、この迫力。この役はこのキャラはこの人の為にあるんじゃないかというくらいのハマリ役。40歳そこそこなのにばあさん呼ばわりされるようなふてぶてしさと、気づかないところで敵兵に心遣いをする優しさと、そして最後のあの事件を起こすほどの母の愛。息子の訃報を聞いた瞬間のこわばりと、それで一度ひざまづいた後、一回り小さくなったように感じる身体。

企画全体チャレンジな部分が多いようだけど、とってもいい方向に進んでたと思います。気持ちいい衝撃に包まれました。

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