コマツ企画「汝、隣人に声をかけよ」 2009/2/6 19:30
初日、待ち焦がれてました。あんな怪物劇団員に、若手からベテランまで網羅した客演の方々。そして静かに会話を楽しむ演劇、という新境地。絶対立ち会わなきゃ。
意外にも対面舞台。どこに座るかすっごく迷って手前側に。でもこれはどこに座ってもハズレはなさそう。どこに座っても誰かの顔は見えないのはしかたない。
筋というものはあってないよう、ものすごく説明しづらい。すすきののボーイズバーに出入りする女たち、障害者施設のボランティアと職員と障害者とその家族、よくおしゃべりするご近所の主婦仲間やその子供、ゴミ屋敷に住む老人とその面倒を見る市会議員、宗教に勧誘する人、全く脈絡のないように見える人たちが大勢出てきて、いろいろな局面で関わって、コミュニケーションをとろうとしてみる、そんなお話。
どっしりしたオープニング、全員登場での冷たい雰囲気にぞぞっと鳥肌が立ちました。怖い。なんだか得体の知れない怖さ。名前を呼ばれて振り向いて、でも誰もいない。
始まってしばらくは登場人物が多いこともあるし、コマツらしくない雰囲気もあって、かなりとっつきにくい。あれ、これで大丈夫なのかなって心配になるくらい。実験が実験に終わっちゃうんじゃない?っていう。
ひんやりとした空気を保ちながら場面が進むにつれ、怖さと優しさがないまぜになり、観ながらしかめっ面になったり笑ったり、忙しい。音響のせいもあり、基本怖い。なのになんだかどこだか共感してしまってるのか、懐かしくなるような身につまされるような、変な感触に襲われるんです。
そして後半になって多くの登場人物がちゃんと収束されていく。これが見事。不安定にゆっさゆっさ揺らしておいてちゃんと着地点が用意されて、温かく包まれる。涙もろくなっちゃって、泣いちゃった。
中盤の全員登場でぐるぐる回りながらの独白シーンは、ほんとぞくぞくしました。リアルに聞こえてしまうような切実な感じの台詞を、本井博之さん、川島潤哉さん、浦井大輔さんにしゃべらせ、ほかの人たちはひたすらぐるぐる回る。アイマスクをした板倉チヒロさんを突き飛ばしながら。円に出たり入ったりしながら。生きてるってこんなもんかぁなんて。
オープニングと中盤の全員シーンがあるから最後の全員のシーンがじんわりと素晴らしいんです。それぞれ別の歌を歌い、平行線を描いているように見えて、きゅっと円になってみんなが同じ歌を歌う瞬間がある。愛だなぁ。
表情とか仕草とかを極力抑えた状態だから怖かったんだろうけど、だからそこに浮かび上がって来る感情とか、生き様とか、しっかり伝わってきたんじゃないかと思いました。
映像の使い方もすごくよかったです。文字は追うのがちょっと大変だったけど。舞台上で実際撮っている映像がそこに映し出されるんだけど、生で目で観るその目の色と、映像で観る目の表情がずいぶん違ってみるシーンがあって、またそれも怖かった。板倉チヒロさん演じる若い男に裏切られる主婦、こまつみちるさんの顔、特に。
作演出のこまつみちるさんというひとは本当にすごい方だと思いました。変な言い方をすると遺作のつもり?!ってくらいのエネルギーとメッセージを感じたのに、普通に一作品、らしい。すごい。
終わってすぐにその場でパーティー。隣の人と話しなさいというコンセプトが一貫しててうれしくなる。その告知をする本井さんとこまつさん、まるで「結婚しました」って報告してるような素敵な笑顔だったのが印象的。
俳優さんたち、弾けたいのに抑えてる部分をドゲスバージョンでは発揮するのかな?そっちもわくわく。存分に脱いでほしい。何が起きても引きませんから
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コメント
初日ご観劇ありがとうございました。
ドゲスの日もお待ちしておりますね。
投稿: なり。 | 2009年2月 7日 (土) 01時37分
初日、ほんとに楽しかったです
めきめき変化していきそうなので次も楽しみです。
普通バージョンもどうにかしてもう一回観たいな。困ったな。どうしよう。
投稿: めっこ | 2009年2月 8日 (日) 01時34分