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箱庭円舞曲「メガネに騙された」 2009/3/1 18:30

前回公演が全く好きじゃなかったような記憶がうっすらあり、今回は見送っちゃおうかと思ってた箱庭円舞曲。千秋楽ってのが迷いの表れ。

そんな感じだから評判も確認せず、あまり期待もせず。

で行ってみたら、まぁ前回とは別の劇団かのような。あああ、これだったら早いとこ行っとけばよかったよ。

脱サラで農業始めようとしてる農業初心者のためのセンター。地元の土地や家を斡旋し農業の仕方を教え販売に乗せるまでを担う。さまざまな事情で農業に夢を抱いた都会者たちがやってくる。順調に回っているように見えていたが、センターの管理人が農協の秘密をバラしたことで一気に崩壊。隠された内情が明らかになり…。

当日パンフに書かれた作演出の古川貴義さんのコトバが、謎解きされてくように形として表れてくる。タイトルに象徴される意味合いが見えてきて、中盤以降興奮。

「メガネに騙された」と感じるのは、メガネに対して自分の先入観や思い込みがあるからであり、メガネそのものやその下にあるモノは、そのままの姿で存在しているに過ぎない。自分のフィルターを通して見えたモノを信じてしまうから、フィルターが外れた時に騙された、と感じちゃう。ま、そもそも世界なんていうもんは各個人のフィルターを通して認識されているんであって、共通認識なんかないからコミュニケーションは難しく、そしておもしろい。

そんな文章を開演前に読んじゃって、そうしたらそれを具体化する世界が出来上がるんだからわくわくしちゃいますよ。

農業に憧れて農村にやってくる人の農業に対するそれぞれのメガネ、センターを立ち上げ村の農産物のすべてを取り仕切り売るためになんでもやってしまう農協のメガネ、そんな農協のせいで村八分にされ母を亡くしたセンターの管理人のメガネ、その妹のメガネ、村の人々に詐欺まがいの怪しい商品を売りつけるセールスマンのメガネ。。。そのメガネを通したモノの見方、そこから生じるディスコミュニケーション、すれ違い、誤解がとてもおもしろく思えました。

そんなメガネを感じてしまうのは、当パンを読んでから公演を観てしまった私のメガネのせいなのかしら?そのメガネをもってして、最初から観直してみたいと思ってしまいました。

そういう世間に対するメガネを超越した存在として、ほんとに自分の好きなものに対してしかメガネをもたない、少し頭の足りない男の役の小野哲史さんが今回すっごくよかったです。行き過ぎず存在するその目線がいい。

カッパを自称する村の女・多紀(村上直子)、夫と農業を志している操子(高木充子)、自分の夢のために好きでもない男を連れてやってきた那菜栄(原田優理子)のグータンヌーボ的トークもとってもおもしろい。探り探りの女同士の空気感が。そこからの原田さんの突っ走りっぷりがかわいくもあり救いがたくもあり、魅力的でした。

今回も山内翔さん出ないなぁって思ったらスタッフに名前あり。ん?野菜って?何したんでしょうか?

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コメント

箱庭円舞曲の古川と申します。
はじめまして。
遅ればせながら、ご感想、有り難く拝読いたしました。
恐れ入ります。

山内翔は、役者復帰は諸事情によりもう少し先なのですが、今回「野菜」を担って貰いました。
舞台上で飛び散るアレを、確保して貰っていました。
売り物としては成立しないような野菜って、まず売ってないんですよね・・・。

といったわけでした。
コメント失礼いたしました。

投稿: 古川 | 2009年5月17日 (日) 23時17分

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