バンダラコンチャ ソロアルバム公演「相思双愛」 2009/5/14 19:00
近藤芳正さん主宰のダンダンブエノ、年一回の公演ですが見逃してもま、いっかくらいに思ってたんだけど、今回は倉持裕さんと前川知大さんの脚本に近藤さんとのダブル演出にKAKUTAの桑原裕子さん。じゃあやっぱり観ておこう、ってなってしまいました。
原作あり。横光利一の「春は馬車に乗って」を倉持さん、重松清の「四十回のまばたき」を前川さん。この2作を交互に並べて。
どちらも夫婦の愛のお話。
「四十回のまばたき」妻を交通事故で亡くした翻訳家の夫ケイジ(近藤芳正)のところへ妻の妹ヨウコ(辺見えみり)が遊びに来る。ヨウコには季節性感情障害という病気があり、毎年冬眠してしまう。その間の世話をしてもらうためにいつも姉の家に来ており、姉の亡くなった今もやってきてしまう。さらにヨウコはケイジの子かもしれない新たな命も授かっていて。
「春は馬車に乗って」肺病を患う妻(坂井真紀)と看病する夫(近藤芳正)。わがままをいいまくる妻と喧嘩しながらすべて受け入れる夫。素直になれないままやりあい続けるけどお互いを大切に思う気持ちは強く。。。
この2作を並べて上演しようとした近藤さんのセンスが全く素晴らしい。こんなに素敵な男女愛を見られるとは思いませんでした。
妻を愛していたはずだけど、亡くなった後にも以前と変わらない生活を続けることができてしまう夫。泣くことすらできなかったことを悩む。変わった病を持つ妹も受け入れてしまいつつ。携帯をなくしても意外に普通に暮らせてしまった自分、妻を失っても同じように変わらないって。。。愛してなかったのか。
一方では肺病で先が長くない妻の薬や食事のために看病しながら仕事をする夫。仕事をしようとする夫に悪態をつき、そばにいて欲しがる妻。妻を看病するためには生活を成り立たせなきゃならないけど、自分がいなくなった後に薬ばかり山になって残っていてほしいのか、と責められれば言葉はなく。一緒にいることに飽きてしまうまで一緒にいたいと願う妻に対して残る夫としてできることは。
とてもストレートに感情がリンクしちゃいました。どの場面を見ても相手への思いに悩む姿に涙が
素敵なお話に俳優さんの世界がすうっと乗った瞬間がたまりませんでした。特に近藤さんと坂井さんの夫婦二人だけの世界には飲み込まれちゃいました。女として、どんなわがままも許されながら愛した人のそばで死ねる幸せ、って部分に憧れただけかもしれないけど。二人の愛情あふれる悪態、それを投げつけあう時の表情、ふっと黙った時の海の音。黙ったままの言葉ない二人をいつまでも観ていたかった。10分でも20分でも観ていられる濃密な空気がありました。実際にそれだけ放っておかれたらもっともっと号泣しちゃったんじゃないかな。
これは原作読まなくっちゃなぁ。
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