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コマツ企画「新釈 ヴェニスの呆人 2009」② 2009/8/29 19:00

コマツ企画2回目。好きなところを何度も観に行っちゃう傾向、エスカレートしてます。衝動抑えられず。いつ売れっ子になってチケット取れなくなるかもわからないし今、今。

作品としては‘演劇性ヒロイン症候群’っていうキーワードが頭にあると非常におもしろく観られました。ヒロイン・花子のそれ、花子を演じる作演出出演のこまつみちるさんのそれ。ヒロインでいたい欲求を曝け出しながら、さらに俯瞰もし、一緒に舞台上に並べてしまう。その構造に取り込まれ、嫌悪を感じたり恐くなったり。

過去の出来事は語り手によって都合のいいようにねじ曲がる。花子から見れば兄・太郎の怪我は母による虐待だったけど、太郎から見れば母を太郎の看病で手いっぱいにするために花子が太郎を傷つけていた、というように。人の記憶なんて簡単に各自の都合のいいように塗り替えられて、その人の物語は作り上げられる。ヒロインはひたすら自分の話を聞いてもらおうとするが、美化され綺麗にまとめあげられたお話の裏が暴かれた時、次の新たな聞き手を求めてさまよい…。

俳優の力と演出で、さほど重たい話にはならずにすんでいますが、かなりな感じの自分演劇。自虐演劇。どっぷり深みにはまると観る側にとっても辛くなりそうなくらい危ない。そこを描き方のバランスや時間配分などで余韻を楽しめるくらいにすっきり作り上げています。それでも私は前半部分かなり怖かったんですが。サイコサスペンスって様相で。

何度も書いてますが、私は本当にここの出演者が好きなんだなと実感しながら観ました。小手先のテクニックやそこでのコミュニケーションなんか吹っ飛ぶくらいに、佇まいや目つきや声色やら一つ一つにそこでの存在理由があり、すばらしい。って思えちゃう。今日のPPTはこまつさんの俳優への愛についてでしたけど、その愛情がこっちにも移っちゃってるんでしょうかね。あんたが舞台上で存在してるなら、あたしゃ仕方ない、観ることにしますよ、っていうような若干失礼な形での愛情になりそうですが。

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