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タカハ劇団「モロトフカクテル」② 2009/10/18 18:00

かなり迷いましたが2回目。自分の中でのリピート基準は一応あるんだけど、今回はそこまで引っ掛かりはしなかったんです。だけど。強いて言うならおもしろ抜きのレアな浦井さんを観たくて。

いや、でも2回目観に行ってほんとよかった。評価はがらりと変わった気がします。

正直一度目はモチーフになっている学生運動というモノから生じる馴染めなさにとらわれちゃって、宙ぶらりんな気持ちのままラストを迎えてしまってました。だから俳優個々のよさは見えても作品全体とするとぼやけてしまってました。

2回目、ストーリーがわかっているから表層をそぎとって観ることができて、そうしたらわーっと全てが一つにまとまって、終わってからもじわじわと効いてきてます。涙がじんわりです。

強烈にしみ込んできているのは、それぞれの「私がそこにいる理由」。やることはなんでもいい。そこに存在し、何かをしようというとき、なぜそれをするのかは人それぞれで、同じテンションでわーっと叫んでもその理由は一緒ではなく、でも現にそこにいる。目に見える「そこにいる」っていう事象と、見えない「なぜそこにいるか」っていう事情の間にあるモノ。

手話サークルを応援して部室を守ろうとする奥田ワレタさん演じるアカネの事情。信じた彼氏が自分を騙していたから、それへの反発。活動自体への思い入れはなくても、意地で。

みんなが参加しているから、参加するのか普通だから、っていう浦井さん演じるミチオ。そんな彼をもっと理解したいから、っていうだけの石川ユリコさん演じるぬりえ。

活動っていう形に憧れる自治会リーダー、アカネに惚れたからってだけの板垣、死んだ父親の思いを知りたいミドリ、などなど。。。

アカネの言葉でふっとそのことに思いが至ってからは、存在理由の渦に巻き込まれて、うわっと思いました。大した信念もなく活動に参加するってダメなことかもしれないけど、人が何かをするときってそんなもの。私情があるからがんばれたりするじゃない、と、人が協力し合うさまざまな場面が脳裏に浮かんじゃって。この作品だってそうだ、集った人の集った理由はいろいろ。

じゃあ私はどうしてここにいるんだろうな。。。

やはりどこに共感できるかでその芝居の評価って変わっちゃうから、今回早稲田を離れて演者も学生じゃなくなって、っていう面では学生運動というモチーフは損だったかもしれない。けどそれを超えてちゃんと傑作なんだなって私は実感できました。そこにいる理由、その重み。

ほんと、2回目観てよかった。

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