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東京デスロック「平成二十三年のシェイクスピア」2011.2.26 14:00

昨日に引き続きキラリ☆ふじみ通いです。今日は初・いわきの高校生。前から五反田団の前田さんやままごとの柴さんが演出しているのは知っていましたが実際観るのは初めて。興味はあったので、どんなところで作品が出来上がっているのかと、先月WALTZ MACBETH目当てでいわきアリオスに行ってきましたが。なんとも素晴らしい劇場で驚きました。近所の居酒屋のおじさんが、「おべんと届けに行ってちょっと見せてもらったよ、よくわかんないけどおもしろいね」なんて言ってたのがますます素敵な環境。

本日は「平成二十二年のシェイクスピア」と「WALTZ MACBETH」の二本立て。3時間の予告でしたが、終了予定は14時開演の17時40分。実際は18時頃まででした。ま、いいですけど。がんばれますし、楽しかったし。

いわきの高校生からの開演。「MEET Shakespeare」「MEET Story」「MEET Text」の3部構成。昨年の8月に地元で作り上げた作品を卒業を目前にした今、旅公演としてキラリにて再現。多田さんの定番、「LOVE」からのシェイクスピア談議、ロミジュリ、そしてシェイクスピアの名台詞へ。

まぁ、この高校生たちがすごい。普通の佇まいで舞台上に存在する。油断してました。何でこんなに自然にお客さんに対峙できるのか?私、最初の二人の立ち座り、対面からしてその目線、姿勢、動き、すべての情報量の多さに圧倒され、涙が出てしまいました。

この「LOVE」部分、私は泣きっぱなしでした。だって、後ろの字幕、「Nice to meet you」ですもん。自分とこの高校生との出会いはもちろん、この子達同士の出会いに想いを馳せ、(実際のところは知りませんが)目が合えば同じ行動を取ることで仲間になれるくらいもっともっと小さい頃に出会い、いろいろな思い出を積み上げここまで来て、っていうのが眼前に現れました。小学生くらいから高校の今までが一瞬のうち。自分くらいの立場からの回想にも思え、思い出が走馬灯のように、という感じで。そんな風に思っていたら最後には10年後の姿まで描かれ、見透かされたのか自分の見方が当たったのか、またどっと感動。

シェイクスピアを知らない状態での会話を繰り広げ、客席にも振りながら代表作を解説し、いよいよロミジュリへ。自分たちの言葉や道具や服装のままなのに原作に忠実。仮死状態のジュリエットの前でロミオが毒を喰らう場面は、ロミオ役が毒と称したたれをかけた天ぷらをひたすら食べるのですが、黙々と食べるだけなのになぜか心打たれます。

シェイクスピアの名台詞をそれぞれ唱えたあと、それぞれ10年後の姿を。シングルマザーあり、きのこ農園勤務や小学校教師、ダンサー、旅行会社勤務など。意外に現実的だったり。その後3年間の思いで写真を見るみんな。それ自体は結婚式で他人の過去に触れるおもしろさと居心地悪さみたいなものを感じましたが、その写真を眺める高校生たちの背中がどうにも魅力的で頼もしく、親のような気分で見ました。

さらにその後、自分の言葉での10年後の姿、から今の自己紹介。10年後の背伸びした台詞から自己紹介に移る一瞬の切り替えが見事。かわいくて愛しくて、最高。

アフタートークで多田さんも言っていたいわきの高校生のすごさですが、ほんとにびっくりしたとしかいいようがなし、です。いまどきの高校生としての在りようなのか、演劇教育として基礎を教わっているからなのか、その辺りはわかりませんが、本当に自然に、そこら辺の舞台俳優なんか目じゃないくらい自然に舞台に出て、言葉をしゃべって、観客に向かってアドリブしているんです。卒業後演劇にすすまないのが不思議だなって思ったけど、アフタートークでの断片を拾うと、女優の夢をあきらめたのは、女優は演技が出来ればいいと思ってたけどそうではなかったから、とのこと。もっとコミュニケーションが取れなきゃダメだし、もっといろいろ求められることがある、と知ったらしい。そっかー、いい演出家に早いうちに出会うと自分にできないこととかが見えちゃうから夢を追わずにちゃんと現実を見据えるのか、と納得。もったいないけど引きずり続けるよりいいのかも。そうだよね、野球とか音楽とかだったら高校出るまでに自分が才能あるかどうか自分でちゃんと考えるもんね。演劇もそうであっていいのか。

休憩・セットチェンジを終え、WALTZ MACBETH。これだけすばらしい高校生の後だけにどきどき。

ま、もちろん昨日と変わらない素晴らしい作品。だけど受け手としては変わりはあり、今日はすごーく動きで起こる風を感じました。昨日感じた過去から引き続く人間のしがらみ、ではなく、生きている人間の起こす空気の動き。加えて妙に耳が台詞を拾ってくれて、言葉が世界を広げてくれたから、物語としてとても楽しかったです。

俳優さんたちの疲れ具合として、まぁ高校生にはそれほどの負荷はかかってないのもわかるけど、さらっとしていたのに対し、後半に観たデスロック組の生物としての衰え感はいかんともしがたく、それが妙に死にたくないというマクベスの思いにつながり、愛着を覚えました。

本当は最終日も観たいと思っていたけど、今日観た結果思ったこと。高校生の舞台は一回限りの方がいい気がする。どんなに素晴らしい舞台でもプロじゃない限りそれは一期一会。次にこうしよう、とか、まだまだよくなるっていうのは必要ないから。その場の緊張感でやり抜くのが一番じゃないかと。逆にWALTZ MACBETHは明日の最終日が観られないのがすごく残念で仕方ない。まだまだ観たい。

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