KAKUTA「グラデーションの夜《群青の夜》」2011/4/17 15:00
KAKUTAのリーディングはおもしろいと専らの噂。確かに前回、初めて伺って、まるでお芝居、リーディング公演と言うより普通の演劇の一形態って感じ。自分的な流行りとしても、ちょっと読書にハマリつつあるところなので、面白かったら原作も読むぞっと。
けど、3週連続公演は観る側も大変。演る方はもっともっと大変でしょうけど。
オリジナルの「グラデーションの夜」を軸に、桐野夏生「ネオン」、田口ランディ「ピエロ男」、いしいしんじ「正直袋の神経衰弱」、川上弘美「夜のドライブ」を。
なんとも優しく、生暖かい春の夜にふさわしい温もりでした。
古本屋を営む七重(原扶貴子)の日常。歌舞伎町のやくざの世界から一人寂しく生きる女と街角のピエロとの出会い、池袋の街の風景、母と娘の二人の夜。
語りは説明でもあるけど、まったく邪魔にはならず、くっきりとした世界の輪郭を描く。気持ちよく想像の世界を広げる手助けになる。時に語り手と物語の中の人物は交わりながら進んでいくのが、逆に嘘の世界の嘘臭さを払拭する。
リーディングの、物語を宙に浮かせて眺めるような感じが中途半端であまり好きではないんだけど、KAKUTAに関しては劇団の作風としてある意味ベタな演劇をベースに敷いている分、物語をきっちり演劇側に引き寄せることに成功している気がします。
言葉による風景・背景描写の中に、生きている人間の心理描写が見えてくる。
4つの中では話としてはあまり好きではなかったけど、「ネオン」に登場する新人やくざ役・島尻役の尾崎宇内さん、佇まいや目つきがすごくよかった。以前別の公演で観たときもなんとなく心惹かれましたけど、存在感強い。ピエロと交流する女、桑原裕子さんの寂しげな表情や強がってる様子は、わかっていてもいい女。最終話の母娘、磯西真喜さん&高山奈央子さんのしっぽりしているのにかわいらしいのはベテラン芸。
どの小説も原作読みたくなりました。3週はきついと思いつつも来週も再来週も楽しみ。
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