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渡辺源四郎商店第13回二本立て公演「あしたはどっちだ」 2011/5/4 19:00 5/5 19:00

東京公演初日。東京に来てくれてホントに嬉しい。「どんとゆけ」の後日談。

死刑執行人制度が制定されている社会。死刑囚は死刑執行人である被害者遺族の手によって処刑される。以前は絞首刑のみだったが、法が改正され現在は処刑法を選べるようになっている。5回目の獄中結婚をした青木しの(工藤由佳子)の今回の夫(佐藤誠)は、死刑になりたくて幼稚園を襲撃した犯人。死刑執行人達は被害者が殺害された方法、つまり金属バットによる撲殺で処刑しようとするが。

「どんとゆけ」を思い出させるような部屋の雰囲気、だけど客席は柵の後ろになっており、まるで裁判の傍聴席。

テーマは重く、しかも全体の雰囲気も重い。「どんとゆけ」とどうしても比較してしまうけれど、死刑執行人制度というファンタジーを楽しむ空気や死刑囚としか結婚しないしのの軽やかさも薄い。今回のテーマが死刑にされたい犯罪者への本当の罰とは何なのかいうことだからかな。憎悪とか狂気とか絶望とか負の感情がモリモリしてて怖かった。

私としては、なべげんは重苦しいテーマでもさらっととぼけた笑いを重ねながら、しんみりみせてくれるところが好きなので、この重さは苦しくて、いつものようには泣けなかったのが残念でした。号泣するつもりだったから。あり得ない設定なのに普通にそれを受け入れ、さらにあり得ない設定の登場人物に感情移入できてしまうってとこに巧みさを感じて唸るんだけど、ね。悲しい終わり方でもほっこりできる余白が残されているからいつもは救われるんだけど、今回は直球フルスイングで、死刑囚と遺族の果てが示されただけだったのがつらかったな。

かといってどこも足りないわけではなく作品としては十分すばらしい。登場人物それぞれの思いがビンビン強く、一瞬たりとも気を抜けない。死刑囚を演じた佐藤誠さんの目だけの薄ら笑いには寒気がしました。被害者の母役の柿崎彩香さんの睨みやバットの迫力、それもものすごかったけど、バットが目の前で振り回され、あれだけの憎しみを目の前で見せつけられても平然とする犯人にはもう。。。さらに刑が執行されないとなった瞬間のしの・工藤由佳子さんの表情の凍りつき方ったら…。

逆に全体の軽やかさがない分、人間としてのドロドロさがしっかり見えたのはおもしろかったです。死刑囚の剥き出しの悪意、しののエロス、遺族の憎しみ。

俳優さんの見せ場、いい。今回のシリアスな場面で宮越さんの台詞をどうするかと思ったら、うまいこと読み上げていましたね。気弱で息子にどうにも対処できない親の罪をしっかと背負ってました。

あぁ、でもやっぱり宙に浮くようなファンタジーを感じた上で死刑囚の思いを考えたかったな。

二日目に郷田マモラ先生のトークがあり拝聴しました。マンガアクションにサインももらっちゃったミーハーです。このコラボはおもしろかったけど、もしかしたらコラボだからいつものなべげんらしいやんわりさが薄れたのかなとも思いました。

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