ペテカン「青に白」2011/5/22 13:00
ペテカンもすっかりRED/THEATER定着しましたね。TOPSからの移動。定番のスタイルに安心できる劇団の一つ。今回の評判のよさも惹かれました。
両親が思い出の地へ旅行中、父が死んだ。あとに残された呆けた母を迎えに行く私と、結婚適齢期になっているその娘。三世代の葛藤と周りを取り巻く人々。
こういうベタな設定、典型的なキャラクター、それがペテカンの押しどころ。それが生きていてとても観やすい。
呆けてるおばあちゃん(濱崎けい子)、だけどたまに「呆けて見せるのも大変」などとまるでまともかのような発言を効かせ、けど葬式中などいざと言うときには掬いきれない呆けっぷり。そのおばあちゃんを大事にしつつもほんとは生みたかったわけじゃない、などと言われた私(田中真弓)。結婚しようとしない娘(長峰みのり)にも同じような発言をしてしまい、反発されても素直に自分の過ちを認めることができず。夫(山口良一)は娘よりも若い女(帯金ゆかり)と不倫をしており、今にも離婚をしそうだけどせず。そんな不倫を知っている娘も親の姿や自分の結婚について悩み。
三世代の女の物語だけれど、やっぱりそこには外せない男たちの存在があり、その覗かせ方がうまい。直接的に主張するわけではないのに影や吐く言葉の感触がしっかり残る。
ペテカンらしい笑いの盛り込み方も愛せる。お葬式の大事な場面でやらかし続ける痴呆の葬儀社の社員たち、愛の賛歌を熱唱する四条久美子さん、こんなきれいな顔して何やってくれるんだか。娘のフィアンセ役の濱田龍司さんのうっとうしいのにまっすぐな姿。頬っぺたまっピンクに塗って、かわいらしくしたたかに愛人を演じる帯金ゆかりさん。
でも、私は泣けませんでした。なんでしょ?うーん。親子三代の物語なんだけど、それ以外のエピソードも多いからか、思ったほど私やその娘に感情移入ができなかったんです。私とその娘はわりと反発しあうんだけど、その反発する根拠とかに納得できないうちに話しが進んでたみたいな感じで。もっともっとじっくりその関係性の深さを見たかった。男たちの存在の重みだけじゃなく、女同士の確執が見えづらいように思いました。なぜ、母と娘がここまでいがみあうのか、その筋道に納得できず。
こういうのって自分と母の関係性とかから導き出される感覚なのかもしれませんね。自分と母っていう揺るがせようがないベースがあるから、悲鳴のように相手を非難するっていう態度に、理解はもてるけど共感には至らなかった。私の感覚として、です。
そしてそれだけ反発しあうなら、最後までそのままいって欲しかったのもある。終わり方に不満はないけど、キレイすぎるとね、微笑。濱崎さん、田中さんっていうベテランを迎えているのだからぶつかり合いも見たかったです。
次回公演が「彼のことを知る旅に出る」!!!すっごく好きだったぁ。今から泣ける!楽しみすぎる。
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