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箱庭円舞曲第十六楽章「珍しい凡人」2011/5/8 17:00

毎度ながらタイトルにそそられる箱庭円舞曲。今回は駅前劇場で、対面舞台、観る場所によって見え方が大分違うとの評判を聞き、行く前からどこに座ろうかわくわく。結局、基本的に好きな普段の客席側、一番前の真ん中辺にしました。迷ってないじゃん、いつもどおりじゃん。

高校教師の兄(井上裕朗)とアート系のNPOを立ち上げようとしている弟(玉置玲央)。同じ敷地内にいながらほとんど交流はなし。兄は妻(ザンヨウコ)と息子(金丸慎太郎)と暮らしており、時折独身ニートの妻の妹(湯舟すぴか)が金の無心に来ている。弟は芸術には興味なさそうな行政書士の服部(片桐はづき)に心を惹かれつつ、芸術家・光岡(須貝英)とアートを支えるために運動している。兄が裁判員に選出されたり、弟がストーカーまがいの女(小笠原結)に追い回されたり、せっかく設立できそうだったNPOにネット上でいちゃもんがついちゃったりして。。。

兄は教師としての仕事・裁判員としての立場を抱えつつ昔の教え子に慕われたり、施設に入っている親のことを考えたり。弟は芸術家としての挫折から支える側への転向に考えることがあったり。兄の妻は自分と自分周りの家族を無意識のうちにきっちり守ろうとして日常へ日常へと帰る。逆に守るもののない妹は自分の日常から逃げようと、無責任にネットに噂を流しては責任逃れをする。どこまでも否定されながら躊躇なく相手への想いを押し付け続けるストーカー女や、先生への初恋を守り続けた行政書士、それぞれの立場や事情がはっきり見えて、わかりやすい。

そういう風にどの登場人物にも背景となるストーリーが用意されており、生きていくことへの肯定やら否定やら、人や自分の生き方に対する批判やら反省やら、何があっても日常は日常に埋没させるたくましさやら、初恋の甘さやら苦さやら、アートへの想いやら、もつれにもつれまくってます。ものすごく盛りだくさん。けどそのもつれはなーんとなく一本一本の糸が見えていてしっかりたどることができ、混乱はしません。観終えて頭のなかにグシャグシャ丸まっているけど、どの糸を手繰って反芻しようかと考えるとどれもちゃんときれいに一本ずつほどける。でも全体としてしまっておくにはグシャグシャさせといたほうが収まりがいい。そのグシャグシャが作品の持っているパワーな気がしました。

こんな時期だから、って公演を打つにあたって、すごくすごくいろいろ考えたんだろうなっていうなんとも素直な感じが伝わり、応援したくなりました。

俳優さんたちもホントよかったな。姉役のザンヨウコさんのふてぶてしさ、口の軽さ、スナック菓子の食べ方、どこまでも完全にオバチャン。息子や夫の前ではちょびっとだけ女になったりするのもかわいくて。弟役の玉置玲央さんは立ち姿がいい。勢いのある状態も消沈した状態も。片桐はづきさんはどこの作品で見ても、あれ、これが片桐はづき?っていう意外さや新鮮さを感じますが、今回はとってもピュアな女性、だけどその怨念は凄まじい。なんといっても私的敢闘賞は清水穂奈美さんの佇まい。怒っていてもいい具合に温度が低い。そのテンションでの感情表現がすごく印象に残ります。あと、手の動き、指の表情にまで力を感じました。

マチソワあったら作り手としては辛そうではありますが、平日のマチネがもっとあったらもう一回観られたのに~と歯軋りする観客でありました。

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