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2011年6月

カトリ企画UR「チェーホフのスペック」 2011/6/15 18:00/19:30

舞台芸術批評家カトリヒデトシさんが、好きな俳優の素敵な姿を見て欲しい、と立ち上げた企画、カトリ企画UR。観客側から見ると夢みたいな企画。自分の好きな俳優を集めて自分の好きな作演出に好きなように作ってもらって、って飲み会ネタでは語りまくれちゃう。俳優が演劇論を語る以上にたぶん熱く語れる、盛り上がれる。それを実行しちゃったんだからすごい。

「たわむれ」「タバコの害について」の2本立て。

作品としては私は2本とも初めて。好きな女の子にちょろちょろ思いを伝えながらじらす、「たわむれ」。一人芝居っぽい流れを別の俳優で3つに分けて。その3人の組み合わせ(安達修子・伊藤今人・八木光太郎)も異なもので面白く、また最後の酒巻誉洋さんの締めがじんわりと効く。「タバコの害について」講演をするが邪魔され続ける男(夏目慎也)。お茶目な邪魔も笑えるけど、夏目さんの十八番ともいえるようないたぶられ方が最高。

カトリさんの好きな俳優さんと鈴木史朗さんという怪物の出会い。同じ小劇場界なのに異文化交流のような、異種格闘技のような新鮮さがいい。

アフタートークからのお話ですが、出演者全員が、鈴木史朗さんがアトリエを構える那須で10日間みっちり合宿をして作り上げたとのことでした。時間を共有することが目的の10日間。食って呑んで寝て遊んで、おまけに稽古する。たぶん自分は経験したことがないしこれからも経験することがないであろう、ものすごい濃くて熱くてうっとうしい時間。そんな時間を過ごした関係とか経験値とかが作品ににじみ出ている感じがすごくよかった。

なんていうか、大人が真剣に遊ぶ、っていう、とてもうらやましい姿を見せつけられた気がしました。表現したいっていう欲求は、子供時代に遊んでた時の感覚に近くて、夢中になって遊んで、遊んで遊んで、遊んでいた中でも自分が得意な分野がわかって、自分が勝てる遊びにより夢中になり、そののびのびした姿を周りの人が褒めたりみんなにウケたりっていう経験から伸びていくんだろうなぁ、なんて思ったり。お勉強が得意で褒められてたらお勉強することが表現になってたんだろうし。人前でこういうふうに演じることが気持ちいいと感じ、それがウケたから、こうやって大人になっても遊んでいる。

そういう素直な気持ちよさが見えて、気持ちいいこと、楽しいこと、を追求するこの人たちをかっこいいと思いました。

そのあたりが作演出の鈴木史朗さんのかっこよさなんだろうな。

鈴木史朗さんの作品上演の際にいつも出店されるカフェ「犀の角」も楽しみの一つです。日本酒好きな私にとって那須の地酒が置いてあるってのがね、魅力。芝居中も呑めるんですが、一応観終わるまでは我慢しました。つい呑みすぎちゃうから。那須の山菜や俳優さんたちみんなで作ったという燻製もすごくいいおつまみだし。いろいろテイクアウトしようと思ったのに忘れちゃったのがかなり心残り。

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