マームとジプシー「Kと真夜中のほとりで」 2011/10/15 18:00
すごいペースでの公演とチケットの取れなさが半端ないマームとジプシー。ほんの2年ほど前は「遠いから。。。」なんて二の足を踏んでいたのに、近頃は多少の遠さは目をつぶってしまうな。
でも今回は近場の駒場アゴラ劇場。ありがたい。けどよけいチケットは取りにくくなる。もちろん始まる前から売り切れ。繰り返し観たい派としては厳しいな。
ある街の真夜中の風景。眠れない人々。そんな背景の中、行方不明になったKのエピソード。Kを巡る人たちのお話。
当日パンフにある通り、ひたすらに真夜中について追いかけていく。眠れない夜の過ごし方やら、その時間の街の姿。
午前1時の食卓や台所や街の様子がすごくぎりぎりと描かれ、生きていくことや寂しさ、自分の持っている時間についてさまざまに思いを馳せ、その場を一生懸命過ごしている俳優の姿にくらくらしてしまいました。痛くて、孤独で、でも眠れないと言いつつ眠らないのではないかと思えるような強さ。
中盤以降、Kに関する物語が展開されます。
やや盛りだくさんな印象。前半、自分としてはかなり真夜中という時間に魅了され、浸り、その時間の中でのさまざまな人間模様の繰り返しから自分の体験にフィードバックしていくって言うすごく幸せな時間を過ごしていました。そこからのちょっとミステリー風の物語展開に、ちょっとついていくのをしんどく感じました。
おそらく、作演出の藤田さんの抱える世界としてはすごく自然なつながりなんでしょうけど、それを知らない観客としてはKを巡る物語と、真夜中と言う時間の甘やかな力をうまく結び付けられなかったように思いました。私は、あまりに真夜中という時間にどっぷり浸かってしまったので、そこから物語世界に戻りにくかった。
登場人物が多いのも、マームとジプシー常連組とそれ以外、のように思えてしまうのが少しマイナスポイントに。
今回は珍しく音楽を多用していて、音楽の雰囲気による誘導があったように思えました。台詞や動きが繰り返されてても、音楽が変わることでまったく違った印象。面白かったです。さらに音量もかなり張っていて、わざと台詞を聞かせないのかな、みたいな場面もあったのが新鮮。
前回に引き続いてのハードな動き、俳優さんはかなり大変だったろうなと思います。けど、やはり常連組の成田亜佑美さん、吉田聡子さん、召田実子さん、尾野島慎太朗さんはさすがな感じでした。疲れ具合やその時の台詞、さらに人が動いている時の表情や目線。演出の細やかさとそれに応じてる俳優の力が。
中身の詰まった展開だけにやっぱり繰り返し観て納得したい感じが強いです。身体やリズムを使って感覚に働きかける部分と、物語的な展開に頼る部分のバランスを観る側としてどうとればいいのか。かなりチャレンジングな作品に思えました。
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