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2011年11月

ペテカン「彼のことを知る旅に出る」2011/11/15 19:30

再演です。私は初演で号泣。今でもペテカンの最高傑作だと思います。思い返してもしっかり泣けるくらい。そのイメージが壊れないといいなという願いとまたあの気持ちを味わいたいという期待で。

不慮の事故で彼(宮原将護)を亡くした彼女(四条久美子)。自分の知らない彼の姿があることに気がつき、なんでもいいから彼の手がかりを掴もうとさまざまな人たちから彼についての話を聞いていく。

彼と彼女は聞き役に回り、さまざまな人たちが入れ替わり立ち替わり出てきてインタビューに答えるような態で語ります。故人について語っているつもりが微妙にずれて好き勝手なことを。個性豊かで楽しい。

あまり初演とは変わってなかったので安心。

主役二人の透明感がたまらない。この二人なくして再演はして欲しくないと思っていたけれど、しっかりそこは押さえてて嬉しい。年を経てもその二人の関係の深さ、純粋さ、未練、どこをとってもパーフェクトに響きました。

聞き役って難しいですよね。リアクションが大げさであっても醒めるし。特に自分への評価を並べ立てられる彼は、そのニュアンスを汲み取って反応するのってかなりの難易度。話している個性豊かな人たちは、想像するのもたやすいから、私は専ら彼や彼女のリアクションばかり見ちゃいました。

それがすばらしくて。ちょっとしたエピソードに涙ぐんだり、自分と関係ないと突っ込んだり。笑うも泣くも過不足なく、自然体。死んじゃった人と死なれちゃった人と思えない。そこがますます涙を誘うんですかね。

いつまでも、何回でも、この作品は味わっていたいです。大好きです。定期的な再演を熱望!

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コテン「魔」③ 2011/11/14 19:00

いよいよ、ラスト。今回は3回のみで打ち止め。

始まる前から、これがラストと思うと泣きそうになる。

一度目、二度目で把握できなかったことが、かなりすんなり入ってきました。

目で見る字面から得る情報と、実際その場で得る情報の違いっていうのに本当に感服しました。そうだよ、私が得たかったモノはこれだった!っていう感動でした。

やはり、そうそう、と共感できる名言が多い。笑える部分も多い。けれど、それを言っている状況や川島さんの表情を観ていると一概にそう言い切っちゃいけないような気がしてくる。言ったらおそらくすっきりするけど言ってはいけないこと、真実だからこそ口には出来ないこと、誰もが思っているけど心の中に仕舞っていること、そんな内容が台詞になって並んでいる。だからすごいすっきりするんだけど、そこにいる川島さんの姿を観ているとだんだん怖くなってしまいました。

それって本当に本気で言ってるの?そうじゃないよね、やめようよ。違う違う、本当はそうだってわかってるけど今言っちゃダメ。わわわわわ、と耳をふさぎたくなるような感覚。

自殺した生徒に名前を書付けられた生徒に向かって先生が辛らつに言い放つ、「意味はわかんない。けどお前だけを頼りにしてたんじゃないか?」って言葉。「笑いは決別」と言い切っちゃう潔さ。自殺した女性の、クラス全員が笑っていても「何が面白いかわからなかった」っていう絶望的な台詞。老人に生きるか死ぬかはっきりしろと迫るヘルパー。子供がうまれてもおめでとうといってくれるなと主張する妊婦。幸せばかりを自慢する花嫁。etc.etc.

段々と、それって本心?実はひっくり返って逆説的に何かを訴えようとしている?っていう不安に襲われちゃいました。いやだ、いやだ、気持ち悪い。

それを助長する音楽にもやられました。

そしてこれだけおかしな人たちを並べながらのオチ。自分が耳を塞ぎたくなったのもあながち間違いではなかったのかという意味では救われましたけど。

川島さんって、舞台上の姿を観ているとかなり怖そうで辛辣そうで、いろいろなモノを突き放してそうで、そこから作品が生まれているのかなとも思っていたけど、今回の作品を観てすごく親近感を覚えました。身の回りのことをちゃんと引き寄せて咀嚼して、そうしてこういう作品になっているのかなぁと。そうであって欲しいという願望かもしれませんが。

そしてますます「コテン」のファンになってしまいました。今思い返しても、泣けてきます。

次がますます楽しみ。

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コテン「魔」② 2011/11/12 19:00

さて2回目。1回目でどう見えたとしても、コテンは絶対2度目に新しく発見することがあるように思います。一度観て満足したくない。満足できるわけがない、と思って毎度観ています。今回は、初回で少し読み言葉に翻弄された気がしたので、あえて脚本は読み返さずに臨みました。

やっぱりおもしろい。けど今日は、なにか、チクチクざわざわするものを感じました。なんだろう、不安になるようなざわつきです。ことばやエピソードの分かりやすい面白さの影には、コテンだけに絶対なにかが隠してあるんだろうな。初回の私の見方ではそれを受け止めきれてない。それはわかっていたけれども。それを感じたくて観てるんだけど、予感を感じるだけで怖くなるようなすごく不穏な感覚。

なんだこれは?一つ一つの言葉に説得力があり、それで納得してその登場人物の関係性もすんなり受け入れられる。それで一度目はしのげたはず。けど、その奥にどうにもならないぽっかりした穴があって、見えるのに逃げちゃダメで、落ちるまではそこにあるものを味わえない。

具体的にならないのも気持ち悪かったです。2回も観ているのにこれだって言えないそこはかとない不安感。ずっと観ていても何が?どこが?っていうのをうまく言えない、でも感覚的にぞわっとしちゃう置き場がない感じ。

やっぱり一度目に見たとき、読み言葉に引きずられたと思いました。知っていることでの理解度とは別次元にこの作品の力があるんだな、と。読んだ言葉を演者がどう演じるかは、川島さんを他でもよく観ていればわかることかもしれない。そこから彼の言葉で彼が演じるっていうことで生まれてくる意味が出てくる。私の場合、先に言葉ありきだとそのバランスがうまく取れない、と思いました。少なくとも一度は観てから、言葉に帰るのがよさそうかな、と。

今回の作品、底なし沼的な非常に掴みにくいモノがあるようで。自分の鈍さを呪いつつ、3度目を楽しみに。

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コテン「魔」① 2011/11/10 19:30

昨年夏からずっと次を楽しみにしていた、川島潤哉さんのコテン。今回から片仮名になってる。

公演前に出来上がった脚本を配布するサービスをするとのことで、もちろん私は食いつきました。中を知っていた方が楽しめる派なので。何度も音読しました。声に出して読みたくない日本語でした。

川島さんがこれを演じたら…っていうのが半分すでに聞こえて来るような、興奮。

後半の収束は全く予想もつかず、読んでもちっともわからないままだったんですが。

で、初日。答えあわせをするかのように川島さんの言葉が頭に響き、スッゴクおかしい。

今回先生と生徒の場面、自殺した女、介護ヘルパー、幸せ自慢の女、入院中の患者、のど自慢の司会者、個々のエピソードがとても分かりやすく、ふんだんに笑えます。ことばの切れ味もすっばらしくて、名言多数。ひどい暴言なんだけど、我が意を得たり、なフィット感でした。

その分後半のテンポの変化に戸惑ってしまい、ただただ空気の圧迫だけを感じて。

たぶん先に読んでいたから、その答え合わせ的な見方になってしまってた気がする。

掴みやすさに満足しちゃったけど、当然それだけじゃないのもわかっているからそれを捕らえられない自分への不満は残ってたけど、私の場合コテンっていつも初回じゃちっともわからなくて当然、だからまぁ、次に楽しもうかと。

ただ、今回意外だったのは、その時はあまり思わなかったけど、家に帰ってからや次の日仕事に行くとき、すごーく幸せで楽しくて、頬が緩んでたことでした。なぜだか癒されまくってた。決して癒されるような作品じゃないはずだったんだけどな。どうしてだろう?長く続く幸福感に包まれてました。

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