演劇ワークショップ・ファシリテーター養成講座成果発表会「わたしたちにできる、10のこと」ワークショップ 『え、そんなこと考えてたの?』 2011/5/4 11:00~14:00
久しぶりにワークショップなるものに行ってみました。アゴラ劇場主催でやっている、演劇ワークショップ・ファシリテーター養成講座成果発表会「わたしたちにできる、10のこと」~【社会/教育/演劇】を越境してつなぐ、新作ワークショップ発表会~の一つ、青年団の俳優、村井まどかさんをファシリテーターとした『え、そんなこと考えてたの?』。演劇関係だけど一般向けのモノ。やるのは恥ずかしいからイヤなんだけど興味はあるんですよね。
5~6人のグループに分かれて。第一の作業。まずは「話す人」2人、「見る人」1,2人、「書く人」2人と役割分担。私は「話す人」でした。話す人が二人で自由に会話をする、それを書く人が全て書き取る、見る人は話している間の姿勢やジェスチャーや目線などを見ておく。会話が終わったらそれを再現するよう指示されます。書き取ったモノをもとに、見たことや話している時の心情などを書き加えていきます。再現をしながらそのときの状態をさらに拾っていって。
新鮮な発見が色々ありました。普通のコミュニケーションをしているときの自分の思考回路、内容の選び方、話している姿勢、目線、興味の方向、、、普段無意識にやっていることの中にものすごい情報量。再現しようとするとその膨大さに唖然。さらに自分の意識と人からの見え方の間にはものすごい隔たりがあって、自分はこういうつもりでやっていたことが全く逆の意味にとられていたり。例えば私としては話を振ろうとしたのに、見る側はからは完全に受け手のように思われていたり。普通それを言葉として伝え合うことがないから全然気づかなかった。おもしろい。再現してみるとまた、覚えているようで覚えてないし、再現することでそのとき考えていたことが鮮やかに蘇ってきたり。再現しようと思ったらうまくいかず、変な間ができてしまったりして、やっている側は失敗と思っても、観ている側からはその間がまさに最初の会話と同じように見えていて、すごく誉められちゃったり。不思議体験。こういうことを普段俳優さんたちは体験してるんですね。
第二の作業。再現した会話をグループごとに発表。またそれもおもしろい。会話の内容や設定がさまざまで、同じように指示されて同じ作業に取り組んだはずなのに、結構バリエーションに富んだ状態でした。
第三の作業。それぞれのグループで書き起こしたテキストを違うグループへ渡して、再現、ていうかもうテキストからの構成だから上演ですね。相手への興味の持ち方の違いとかが会話の内容から窺われ、その度合いによって再現しやすさが違うように私は感じました。当たり障りのない天気の話とか、ある意味相手への関心はなく、相手の話をろくに聞かないでも成立しちゃう。けど相手の情報を得ようと躍起になってたり、話が続かない間を恐れるような会話の場合、間とかの再現はかなり難しいし、文字に書き起こしたものを読んでも意味が分かりにくい。再現を演劇として見てみると、前者の会話は戯曲となっても広がりがあってやり易いし、いろんな展開が考えられるけど、後者はシチュエーションの限定された、かなりやりにくい戯曲に思えました。
この作業は状況を変えたり人数を変えたり、オープニングやエンディングはつけ足ししたりもOK。時候の世間話が感じ悪いタクシー運転手とテンション高い客との会話へと変貌し、インタビュー形式の会話が婚活の設定へと化けました。このテキストからこの発想が!って正直ビックリ。テキストから核となると思えるエッセンスを抽出して膨らます、これって演出家のお仕事じゃん!俄然楽しくなりました。そうか、演出家さんの頭の中ってこういうことなのね。戯曲を読むってそういう意味ねって、体感して納得。すごーい、楽しい。
ファシリテーターの村井さんがテーマを決めてこのワークショップが生まれたそうですが、介護の仕事をされているときの相手と自分の会話っていうところからテーマが決まったそうです。確かに二人の会話って他に聞いている人がいるでもないし、なかなか振り返ることもない。けどちゃんと話せていたか気になる。村井さん自身がこのワークショップを受けたいとおっしゃっていました。
仕切りは不慣れなのか、受け手としてはちょっと指示されたことがわかりにくくとまどうこともありましたが、全体的な楽しい雰囲気はよかったです。
コミュニケーションについての考察から演劇ができるまでの筋道、全然関係ないようでものすごく密接でした。この2つを体験できてとっても濃い時間を頂きました。
このワークショップ、いろいろ種類あるみたいだけど一般向けも多いからまた参加してみたいな。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント