演劇

渡辺源四郎商店「今日もいい天気」 2009/11/5 19:30

大好きななべげんが東京に来てくれました。ほんとは青森のアトリエ公演で観たかったけど、まぁそれは贅沢すぎ。

再演作品だそうです。

一軒家に暮らす男4人、父、長男、長女の夫とその息子、そして年老いた猫。一家の太陽だった長女が亡くなってから侘しいながらも4人で助け合って仲良く過ごしていたが、猫が行方不明になったある日、家政婦派遣センターからモニターとして家政婦が送り込まれて…。

タイトルからもわかる通り、サザエさん一家がモチーフ。一家の25年後くらいかな?名前が微妙に似せられてる。台詞の端々にサザエさんの名台詞が出てきてほのぼの。

死に際は誰にも見せないという猫が、最期に一家のために、一家のみんなが一番逢いたいであろう人に化けて現れるという優しいファンタジーではありますが、生きる張り合いやさびしさをひしひしと感じさせてくれます。実年齢に近い俳優が方言で演じるといったリアリティだけでない、そこに生きている魂のようなものにがつんとやられる。そこがなべげんの素敵なところ。畑澤聖悟さんの作家としてだけでない演出家としてのすばらしさだなぁって思います。

奇を衒わず、単々とした日常だからあれっというところで感動させられちゃう。食卓を囲むシーンが何度もありますが、本物のご飯でちゃんと匂いをただよわせてるのもうれしい。幸せのおすそわけ。

次回公演は来月にすぐあるみたいだけど東京公演なし。ますますアトリエに行きたくなるな。

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東京デスロック「ROMEO & JULIET」JAPAN ver.② 2009/10/28 18:00

楽日に向かって進化するデスロック、一回だけなわけはない。

初めて富士見でマチソワ。時間潰しに困るのですよね。まわりに何かしら店ができるといいのに。公演期間中だけでもキラリの中にカフェ作っちゃうとか。キラリンクカンパニーで協力してじゅんばんこにマスターやったり。市民じゃない客のわがままです。

作品は、流れがわかっているだけに逆にスミズミまで味わえました。自分の感覚として、ストーリーがあるなら普通に観られるけど、そうじゃない作品の場合2回くらい観ないとどうやらダメみたい。構成に振り回されず、というか。どういう観かたをするか気持ちが定まってないとなんか損した気になる。

やっぱりずいぶんおもしろくなった気がしました。ま、そういった自分の受けとめよう、ってとこもあるんでしょうが。俳優が動く3幕は動きの激しさや危うさにわくわく。目隠しによる怖さで動けない中で、ぶつかったり思い切って暴れたりがいい。

それでもこれまでの作品に比べるとなんだか非常に優しい。大恋愛のロミジュリがダイナミックで生きるのに必死だったのに比べると、ずいぶん穏やかで余裕。一人一人の登場人物がっていうんじゃなくて、作品全体が醸し出す空気が。

今までの作品の印象が、生きるか死ぬかの瀬戸際でもがき苦しんでいた雰囲気とするだとすると、この作品は生も死も受け入れた悟りの境地のような。客に対して寄り添ってくれる感触というか。

うまく言えないけど。観てる間、デスロックっていう劇団を人の一生に当てはめて考えてました。一回死んで新たに生まれ変わったのかな、って。誕生し、死を扱う作品を作っていた初期(私はまだ出会ってませんが)。自分探しの旅、CARAVANシリーズ。反抗期を迎え、演劇を見直す演劇「再生」で物議を醸し。成人して半自叙伝的3本立て、演劇LOVE2007。ここでライフワークの「LOVE」が誕生して。大人になって時代を超えた価値がわかり始め、古典戯曲へ向かったREBIRTHシリーズ。生まれ変わるために死のうとしていたかのような激しい作品群。そして「その人を知らず」東京最終公演にてある意味での死を。拠点をキラリ☆ふじみに移し、再出発。これが前世の記憶を残したままでの新たな誕生。あ、もしかしたら死なずに三途の河で踏みとどまってたのかも。キラリ☆不死身だから(笑)あっち側が見えて出家して解脱して、なのかな。仏の教えを市井の民に易しく説く住職のごとく、演劇のおもしろさを富士見市民に届けようとした「リア王」「ロミオ&ジュリエット」。なんとも勝手な妄想ですが、観ながらそんなことを思ってしまいました。

命を絞りだすような苦しい作品に慣れてしまった身としては。。。っていう自分を置いてさっさと次のステージに行っちゃって、みたいなジレンマはありますが、観客のそばにいてくれる心地よさから今後の幸せを感じて思わず微笑んでしまうような高揚感もありました。行く末を見守るのが楽しみ。

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東京デスロック「ROMEO & JULIET」JAPAN ver.① 2009/10/25 19:30

ロミジュリ、日本・韓国の二本立て。昨年のキラリふじみでの「大恋愛」、すごく好きだったな。たぶん去年のNo1。ロミジュリの話自体シェイクスピア作品の中ではかなり好きだし、どれだけときめいたことか。

まずは日本バージョン。3部構成で。戯曲のコトバを見て楽しむ第一部。ストーリーを恋バナとして楽しむ第二部。恋は盲目を文字通り楽しむ第三部。

オープニングの大音響と派手な照明でテンション上がる上がる!

第一部TEXT。ひたすらロミジュリの台詞字幕が続きます。原語、坪内逍遥訳、松岡洋子訳、なんとそれだけで最初から最後まで通ってしまいました。俳優不在のまま。ええっ?おもしろがりながらもどこまで引っ張るのかと少しいらいらしちゃった。コトバでもそりゃおもしろい、だけど声が欲しい、カラダが欲しい。

なんだよ~と欲求不満のまま第二部HUMAN。ようやく俳優登場。自己紹介しつつ自分の恋の話。うまくいってる現在形や奥さんとの馴れ初め、嘘バナやらラブソングやら。最後に自己紹介したのはなんとジュリエットさん(石橋亜希子)。ロミオとの恋の顛末をかわいらしく、楽しそうに語ってくれます。でもまだ俳優たちはじっと立ったまま。汗が欲しい、息切れが欲しい。

目隠しをして第三部TEXT&HUMAN。手探りでおそるおそる歩みだす。すれ違い、誰とも触れ合えないまま、ようやくロミジュリの台詞を順々にしゃべる俳優たち。ん?しゃべってるけど返しがない。基本一人芝居。見えない相手と格闘している。

途中ジュリエット一人が残り、劇場外でジュリエットにたどりつこうとするロミオの映像が。キラリ☆ふじみの内部の図を示してそこに向かうっていうアイディアはおもしろいけど、ちょっと安易な映像使用は、どうも私は好きではない。テレビでも生放送のグダグダがあまりおもしろいと思えない。だって生で起きる出来事を目の前で楽しみたいから劇場に来てるんじゃない?映像観るならちゃんと編集した質の高いものがいいと思っちゃう。すぐ近くにいるのにムダにリアルタイム中継っていうのがなんだか許せなくって。どうせなら劇場外まで追いかけさせて欲しい。「ここでちょっと外に出てみます!おっと、ロミオ、あそこにいました!」くらいな。

そんなわけでそこだけちょっと気持ちが醒めちゃった。うーん。

今回のお気に入りベストが、中林舞さんがブリッジして台詞を言うシーンだったりするのはどこか感覚が麻痺しているのかも。

終わった直後はなんか物足りなかったです。俳優がなかなか出ず、疲れず汗かかず、コミュニケーションがないから、だったのかな。こっちがそういうデスロックに慣れてないだけ。振り返ってみるとずいぶんおもしろいんだけど。演劇なのかなんなのか、確かにロミジュリだったけど、ま、楽しいからいっか、って感じ。

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RONNIE ROCKET「ともだちのいもうと」 2009/10/21 15:00

仗桐安さん主宰のユニット。なかなか公演をやらないらしく、ようやくの初体験。どんな雰囲気なのかしら。

エロ漫画家として生計を立てる中島。バンド・ハートブレーカーズのギターとしてメジャーデビューまでしたのに売れず、お笑い芸人やダンサーやゲームプログラマーを目指したが失敗して。ある日昔のバンドメンバーで友達の妹でもあり好きだった相手でもある由華が失踪する。他のメンバーであるドラムの由華の元夫やベースのお兄さんが集まって捜索が進む中、霊感のある中島が感じたのは…。

中島を演じる服部弘敏さんが表情豊かで見ているだけでおもしろい。友人役で出てくる仗桐安さんとのかけ合いは最高。うまい役者さんってこういうなんでもない場面の空気作りがいいんだよな。

一通りの登場人物が出揃って、っていう辺りまではやや長くも感じましたし、ふうん、って感じでしたが、起承転結で言えば転び始めてからがするすると入ってきます。そこに至るまでに撒かれていたヒントが一本に繋がって手の中に入ってくる感触。前半観ていてなぜだか映像向けな感じだなあと思っていたんですが、後半の演出は楽しかったな。

中でも由華が殺される場面の再現を中島が途中で止めるとことか、由華の幽霊がボーカルで最後にバンドの演奏するとことか。バンド演奏なんて、ギター以外楽器ないね、って、ベースはエアだし、ドラムは段ボールだし、マイクは刷毛だし。オリジナル曲まで作っておきながらわざと本格演奏せずにあり合わせなのがすっごくいい。霊感のない他のメンバーはそれまで幽霊見えなかったのに、歌声になったら「聞こえる!」って驚くシーンはおかしいのと切ないのとで涙出ちゃった。

今回私の注目は、もう一人の幽霊役の西山宏幸さん。あれだけのイケメンだから、今までホームのBHLとかでは何をしてもなんか嘘臭く浮いてるように思ってしまっていたんだけど、ここではその嘘臭さも逆手にとって、ゲイで幽霊っていう暴走しちゃったら物語めちゃくちゃになってしまいそうな役を適度なバランスでみせてました。逃げる服部さん演じる中島にちょっと迫ってみたり、再現シーンで由華に襲い掛かったり、意外に守備範囲広いね。

また次回は2年後とかになるようです。平日マチネの特典で次回予告を見せてくれましたが、果たして…?

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THE SHAMPOO HAT「沼袋十人斬り」 2009/10/21 19:00

インフルエンザ騒動で途中休演になったりで大変そうです。でも代役立って再開できてほんとによかった。初日の評判でおもしろそうだったから、そのまま幻にはなってほしくないですもん。

インフルエンザも恐いけど、それでも近くで観たくて自由席で最前列。スタッフさんがマスクを配ってくれたり、消毒薬があちこちにあったり、かなり過敏に守ってくれてるから安心。なんにせよ、一緒にテーブルを囲んでいるような距離、幸せです。

40過ぎて家族もなく、週末のパチンコだけを楽しみに生きる男3人。10年かけてペットボトルいっぱいに貯めた500円貯金を盗まれ、犯人を追いかけて駆け回り…。

バカバカしさが全開でめっちゃ楽しい。セッコイ話。まるで弥次さん喜多さんの珍道中。

俳優・赤堀雅秋、志村けんの変なおじさんキャラかと思うような出で立ちなのにリアルな存在感。たるんだ体がまぁかわいらしい。代役のノゾエ征爾さんはまるであて書きされたかのようなハマり方。挙動不審というコトバがこれほどしっくりくる人もいないでしょう。3人組のもう一人、児玉貴志さんと赤堀さんのおっさん同士の些細な喧嘩のシーンとそこに挟まれるノゾエさんのおたおたっぷりはどこが笑いどころということもなくくすくす止まらない。

トラブルがなければ客演なく劇団員ばかりの舞台だったはず。それもかなり魅力的。

お話としてのエピソードにそれほど着目する点はないけど、3人の人となりを前半でしっかり植え付けた上で後半のロードムービー的展開に持っていく構成は引き込まれること必至。黒子を使ったり歌舞伎を真似たかのような演出もすごく適当な感じが楽しい。そこに肉を揺らし息を切らして動き回る俳優がいたらそりゃお芝居って最高!ってなりますわ。高い台に3人がよじ登る場面で、明らかに登れなさそうな赤堀さんだけこっそり足台使ってたりするし。下らないことだけど、生きてる人間を感じられるそんな場面が芝居の1シーンとしても生身の俳優像としてもうれしくなるんです。

シリアスで攻めてもどたばたしてもこれだけ満足度得られるからにはTHE SHAMPOO HAT、やっぱり観逃せない。年に一本ペースがもどかしくなりました。

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タカハ劇団「モロトフカクテル」② 2009/10/18 18:00

かなり迷いましたが2回目。自分の中でのリピート基準は一応あるんだけど、今回はそこまで引っ掛かりはしなかったんです。だけど。強いて言うならおもしろ抜きのレアな浦井さんを観たくて。

いや、でも2回目観に行ってほんとよかった。評価はがらりと変わった気がします。

正直一度目はモチーフになっている学生運動というモノから生じる馴染めなさにとらわれちゃって、宙ぶらりんな気持ちのままラストを迎えてしまってました。だから俳優個々のよさは見えても作品全体とするとぼやけてしまってました。

2回目、ストーリーがわかっているから表層をそぎとって観ることができて、そうしたらわーっと全てが一つにまとまって、終わってからもじわじわと効いてきてます。涙がじんわりです。

強烈にしみ込んできているのは、それぞれの「私がそこにいる理由」。やることはなんでもいい。そこに存在し、何かをしようというとき、なぜそれをするのかは人それぞれで、同じテンションでわーっと叫んでもその理由は一緒ではなく、でも現にそこにいる。目に見える「そこにいる」っていう事象と、見えない「なぜそこにいるか」っていう事情の間にあるモノ。

手話サークルを応援して部室を守ろうとする奥田ワレタさん演じるアカネの事情。信じた彼氏が自分を騙していたから、それへの反発。活動自体への思い入れはなくても、意地で。

みんなが参加しているから、参加するのか普通だから、っていう浦井さん演じるミチオ。そんな彼をもっと理解したいから、っていうだけの石川ユリコさん演じるぬりえ。

活動っていう形に憧れる自治会リーダー、アカネに惚れたからってだけの板垣、死んだ父親の思いを知りたいミドリ、などなど。。。

アカネの言葉でふっとそのことに思いが至ってからは、存在理由の渦に巻き込まれて、うわっと思いました。大した信念もなく活動に参加するってダメなことかもしれないけど、人が何かをするときってそんなもの。私情があるからがんばれたりするじゃない、と、人が協力し合うさまざまな場面が脳裏に浮かんじゃって。この作品だってそうだ、集った人の集った理由はいろいろ。

じゃあ私はどうしてここにいるんだろうな。。。

やはりどこに共感できるかでその芝居の評価って変わっちゃうから、今回早稲田を離れて演者も学生じゃなくなって、っていう面では学生運動というモチーフは損だったかもしれない。けどそれを超えてちゃんと傑作なんだなって私は実感できました。そこにいる理由、その重み。

ほんと、2回目観てよかった。

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東京タンバリン「雨のにおい」 2009/10/2 15:00

10日ぶりの観劇に、大好きな東京タンバリン。再演だそうですが私は初めて。

駅前での対面席はいつもどこに座ろうか迷っちゃいます。たいがい普段客席でない位置に座ると暑くてげんなりするので入り口側に。席に段差がある分見え方のストレスは緩和されるけど、やっぱり後方や奥側は暑かったみたい。

駅の遺失物センターに勤めはじめた男。かつては建築事務所の主任にまでなっていたのに。主任のいなくなった建築事務所でのお話と遺失物センターでの出来事を行ったり来たり。

高井浩子さんの脚本はほんとにやさしくやさしく、それでいながら抉られたら一番ダメージを受けるポイントを確実に突き刺してきます。痛い。でもなんだかとても温かく心地よい。

建築事務所の人々。ランチや飲み会、社内恋愛、出世、上司の悪口、そんな他愛もない日常を描いているだけなのに、そこにいる人にがっちり共感し、気持ちの流れに寄り添ってしまう。久々に時間を感じず観入ってしまいました。

建築事務所をやめて遺失物センターに来た男役の瓜生和成さん、舌足らずの口調とすっとぼけた表情なのに、ひどく哀愁を感じます。嫌われ役の中間管理職役の青山隆之さんの中途半端っぷりは見事。プライドは高く人より上に立ちたいけど実力はないっていう切なさがいい。

遺失物を扱うだけにアイテムの使い方もよかった。主に傘のことですが。モノに込められた想いがじわっときました。

ただ全体にちょっと既視感はあったかなぁ。そこが好きなところでもあるんだけど。マスゲームのようなダンスもこれから起こる物語を想像してなんだかわくわくしちゃうんだよな。

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タカハ劇団「モロトフカクテル」 2009/10/16 19:30

タカハと言えばモロトフくらいに刷り込まれた私にとって、その初演を観てないことは痛恨の失策だったので、再演と聞いて躍り上がりました。念願叶っての感激の観劇。

部室を潰されることになった大学自治会。大学権力と戦うために外部から過激派の幹部を招いて、かつての学生運動のごとく活動を始めた。集めた署名が過激派と敵対する活動家グループに利用されたり、徐々に学生を越えた戦いに発展していくが、学生達はモロトフカクテルと名乗る支援者に支えられ最後まで戦うことに…。

現代の学生達の中途半端で軽薄な空気と学生運動の温度差に、どちらの世代でもない自分はちょっと乗り切れなかった感もありますが、どこかしっかり残る感じはありました。たぶんそこにいる一人一人がちゃんと生きているから。学生運動に憧れる自治会リーダー、親の世代の活動を理解したい女子学生、部室を共有するだけの手話サークルのメンバー、かつての学生運動に参加していた男。。。

部室に残っていた、学生運動真っ盛りの頃に書かれた交換日記。書き手の男女の生きざまを絡めながらお話は進みます。誰しもが学生運動に参加し世の中を論じつつ、青春を謳歌する様子は時代的な違和感は感じますが微笑ましく思います。表立ってはいちゃいちゃできないから交換日記でラブラブ。その妙に奥手なカップル、ミチオとぬりえに浦井大輔さん、石川ユリコさんの雰囲気がぴったりで、ちょっとこっちが恥ずかしくなったり。

普段笑いを取る役が多い浦井さんがこんなシリアスに、まじめに生きる男を演じるなんて、と最初は不思議でしたが、臆病に周りの雰囲気に流されて、わかってるのかわかってないのかわからないくらい上手に理屈を捏ね回してアジテーションする、変なところに説得力ある感じはなるほど、と思いました。もっとこの人を理解してついて行きたいと思うぬりえさんの気持ちがきゅんきゅん伝わり、私まで伝染しそうでした。

かつての学生運動に挫折した男を演じた有馬自由さん、さすがの要でした。場面が締まる締まる。

おもしろかったけど、初演の評価ほどの感触はなかったかな。違いが知りたいな。

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コマツ企画「新釈 ヴェニスの呆人 2009」② 2009/8/29 19:00

コマツ企画2回目。好きなところを何度も観に行っちゃう傾向、エスカレートしてます。衝動抑えられず。いつ売れっ子になってチケット取れなくなるかもわからないしcoldsweats02今、今。

作品としては‘演劇性ヒロイン症候群’っていうキーワードが頭にあると非常におもしろく観られました。ヒロイン・花子のそれ、花子を演じる作演出出演のこまつみちるさんのそれ。ヒロインでいたい欲求を曝け出しながら、さらに俯瞰もし、一緒に舞台上に並べてしまう。その構造に取り込まれ、嫌悪を感じたり恐くなったり。

過去の出来事は語り手によって都合のいいようにねじ曲がる。花子から見れば兄・太郎の怪我は母による虐待だったけど、太郎から見れば母を太郎の看病で手いっぱいにするために花子が太郎を傷つけていた、というように。人の記憶なんて簡単に各自の都合のいいように塗り替えられて、その人の物語は作り上げられる。ヒロインはひたすら自分の話を聞いてもらおうとするが、美化され綺麗にまとめあげられたお話の裏が暴かれた時、次の新たな聞き手を求めてさまよい…。

俳優の力と演出で、さほど重たい話にはならずにすんでいますが、かなりな感じの自分演劇。自虐演劇。どっぷり深みにはまると観る側にとっても辛くなりそうなくらい危ない。そこを描き方のバランスや時間配分などで余韻を楽しめるくらいにすっきり作り上げています。それでも私は前半部分かなり怖かったんですが。サイコサスペンスって様相で。

何度も書いてますが、私は本当にここの出演者が好きなんだなと実感しながら観ました。小手先のテクニックやそこでのコミュニケーションなんか吹っ飛ぶくらいに、佇まいや目つきや声色やら一つ一つにそこでの存在理由があり、すばらしい。って思えちゃう。今日のPPTはこまつさんの俳優への愛についてでしたけど、その愛情がこっちにも移っちゃってるんでしょうかね。あんたが舞台上で存在してるなら、あたしゃ仕方ない、観ることにしますよ、っていうような若干失礼な形での愛情になりそうですが。

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コマツ企画「新釈 ヴェニスの呆人 2009」① 2009.8.27 19:00

アゴラ夏のサミットのトリ。半年間待っていたコマツ企画の初日。

2003年の作品の再演ということらしいんですが…。当日パンフによるとかなり書き替えられている様子。

家庭的にいろいろ問題がありながら成長し、大人になった花子の半生を振り帰る。かつて事件が起きた際のことを刑事に再現してみせる、といった形で。子供の頃の自分や家族と向き合った花子、そしてそのまわりの人々の姿。自分が主役でいたかった母親の犠牲になり、常に怪我をさせられ障害を持っていた長男・太郎、付き添わされる花子、母に窒息死させられた弟・次郎。何もしてくれなかった父。さらに病院で医師や看護師がからんで。

かなりなバカ話かと思って行ったら、意外にもかなりまっとうな作りのお話。まぁ笑いはあるものの、花子のトラウマ世界を芝居仕立てでみせていく難しめな構成。PPTによると演劇的ヒロイン症候群と主宰のこまつみちる氏が名付けた、自意識が強く常にまわりを観客とみなして自己演出する人間を描いた作品とのこと。うん、概念が難しい。

そんな感じでたぶん一回じゃいろいろとらえ切れておりません。だってそこにちゃんと個性と笑いを混ぜてくるんだもん。そっちにも気を取られますわ。家族の人間関係の危うさ、それを外部から眺める冷静な視線、巻き込まれてしまう病院の人々。過去を振り返り人に語り聞かせるという形にしていることで、主観的な部分と客観的な部分が浮き上がってくるように思えます。またその辺りが整理しにくい部分でもありますが、演出としておもしろくなっていったところじゃないかな、と思います。

コマツ企画のおもしろさとしてはやはり役者力、は外せません。初演にも出ていたという本井さんはびっくりするくらいあっさりですが。自己愛過剰の母親役の異儀田夏葉さんの、子供のことで追い詰められながらも実は自分自分なキャラの見せ方とか、大人花子のこまつさんとやり合う子供花子の中川鳶さんとか、シリアス面とそうじゃない部分とのバランス感覚がよすぎ。外側からの冷静目線の米田弥央さんのたたずまいとか、場からは浮きながらのこっちよりの立ち位置がなんか安心。刑事役の浦井さんがやや興奮気味にストレートに罵詈雑言をまくしたてる姿はなんか新鮮。

医師看護師夫婦役の川島潤哉さんと近藤美月さんはドリチョコでのカップルらしいコミカルさを醸し出しながら、重苦しい夫婦の感触もずっしりと。この二人のシーンは緊張感のある笑いがたまらないです。小劇場界最高の割れ鍋に綴じ蓋。と、おそらく本人達はまったくうれしくないだろう誉めコトバで讃えたくなります。

とりあえずとりこぼしが悔しいので、また観に行きます。こまつさんの頭の中に入り込んで楽しんでみたい。

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ドリルチョコレート「キドクラッチ」 2009.7.8 20:00

バカを観に行ってきました。

去年の、あんなにおもしろいのに平日3日間のみっていうレア公演を経ての今回。垂涎の出演者でございます。よだれも涙も鼻水も出せというなら垂れ流すので集まってください、というくらいすごいメンバーです。そんなことでは集まらないでしょうが。なんにせよ見逃す手はないです。

初日。今回は七夕らしい夏のお話。        

海の家を営むあずきさんとそれを手伝うさくらいくん。寂れた海岸だけど毎年決まった日にやってくるありかわさん。今年は同じ日にカップル2組もやってきて。                     

1時間と短いながらぎゅっと笑ってほろってしました。櫻井さんの書くカップルって二人の関係性は鍵と鍵穴くらい完璧にそれしかない組み合わせで成立した世界なのに、一歩外側からみるとシュールで踏み外してる。そこが最高。    

あずきさんをめぐってありかわさんとさくらいくん。遊びにきてるカップルがかわしまくん&みづきさん、なかがわくん&ひさよさん。カップルの男同士、女同士の会話もあり、崖っ
ぷちなポイントでアリになっちゃってるのがおっかしくって。カップルのどつきあいはまぁ想定内だけど、この同性同士の会話は、俳優対決と中身の重みでハラハラしっぱなし。    

特にあずきさんの経験談はね、すっばらしいです。涙腺ゆるんだところでまわりにちゃんと落とされるし。まわりのトボケ具合までひっくるめてヨシヨシしたくなる愛いっぱいな場面。

初日だったからまだ探っている感じはかなりありました。この役者さん達ならここからぐいぐい伸びていくんだろうな。そういう力のある悪ふざけ、大好きです。

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表現・さわやか第6回公演「ザ ベスト オブ 表現・さわやか」

4月のワーストに続いてベスト版。しかも本多劇場。観始めたのは3回目あたりからですが、表現さわやかも遠くに行っちゃったな、って感じ。お尻痛いのつらいけどがっぷり食らいつきたいのに。ワーストがブラッツだっただけに余計そんな感じ。

まぁ前日ギリギリでも席をとれるのはありがたいんですが。

さすがベストというだけにフリークとしては大満足。苦笑系コントユニットを自称してるだけに、確かに爆笑ではないかもしれないけど、回を重ねるごとに客側の自分がポイントをつかめてきてる気がします。うまくリズムに乗れてどんどん楽しくなっちゃう。

今までそんなにはおもしろくないな、って思ってたはずなのに、結構内容覚えてたのにはびっくりしました。私の中では伝説と化してるくらい好きな山崎春のパン祭りやボーイスカウト、かっぱ、モンドセレクション、ミュージカルデート、靴磨き…。始まったとたんにオチを思い出しちゃっても笑っちゃう。

クセになるな、この笑い。またちょこちょこ小さい劇場でもやってくれるといいのにな。

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クロムモリブデン「空耳タワー」① 2009.6.16 19:30

半年以上も待ち続けてました。クロムモリブデン。1月からの長い稽古の末、さらに大阪公演を済ませて。静かなクロムって銘打ってるけど、全く想像つかないな。

かなり興奮してわくわくしながら赤坂へ。今日は最前列です。最高です。悪い席割引がどこなのかすっごく気になる。

大好きだった女の子ナナミの背中を刺しちゃったケンジ。息子をかばいナナミの介抱をする母。助けて命の恩人のフリをしちゃえばいい、と。拾った携帯を事件現場に落として犯人をでっち上げて。携帯をなくしたザイツは犯人として疑われるけど、犯行時間はお芝居を観ていた、とアリバイを主張する。けどうっかり眠ってしまいエンディングを思い出せず…。警察を抜け出したザイツはその劇団の主宰エトウの元へ乗り込んで。

って書いてみるとなかなか普通のサスペンス。でもでもいやいやそんなそんな、クロムですから。キャラ押しの小芝居顔芸てんこ盛りで攻めつつも、ちょっとどきっとするような辛辣な台詞が吐かれたり。演劇を揶揄するような言葉がおっかしくってたまらない。

後半の「静かな」クロム、なんだか呆気にとられてぼんやりしてしまいました。なんだろな、この感覚。刺激が強すぎて一周して口をあんぐり。たぶん解釈の分かれる場面であり、いろいろ想像したり頭をフル回転させたりするべきなんでしょうが、そこにたどりつけないほどのパワーでした。一番前だったせいかな。

でもこれだけあんぐりさせられたら、次回以降の楽しみ方がいっぱいある~happy02リピートは当然なので。

今回はきれいな女優さんが普通にきれいな役をやってたのが意外でした。セクシー刑事役の木村美月さんや刺される女役の幸田尚子さん。改めて見ても美人~。けどやっぱりそれだけじゃ収まってない部分がぽろぽろとこぼれているのが素敵。

ま、板倉チヒロファンとしては、ゲイ姿から目が離せませんでしたけど。私の大好きなヘドウィグやピンクフラミンゴのディバインに負けてない悪魔的な風貌。あの姿がこれだけしっくりくる日本男児がいたとは。一挙手一投足、顔やら声遣いやら隅から隅まで舐めるように見てしまいましたよ。飛び道具ではあるけど押さえるところは押さえてて、やっぱりホームだなぁ、と。しばらく客演での顔ばかりだったから逆にこののびのび生き生きはじけてるのが新鮮。

あ、でもそれはほかの俳優さんたちも、ですね。客演先で次々と拝見していた顔と違うクロムでの顔。今回はゲストも一人だけなので本当にクロムオールスターズな感じがして、すっごく楽しかったです。

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「弧天」第一回:「例えば、皮膚」③ 2009.6.14 19:30

この数日間、実に偏り、傾いた、幸せな日々でした。10日から14日の間で観た作品は8本、そのうち3本はデスロック、3本がこれ。ナイスチョイス。と言われたい。

っていうか自分の中ではかなりそう思ってます。限られた時間の中、どの作品を観るのか、とっても迷うところ。特にリピートするのは。だから観れば観るほど深くなっていく作品と一緒にいられるのは至福のときになる。

一人での表現、だからキャッチボールでの変化っていうのはあまりないです。普通のお芝居は関係性、やりとり、反応でどんどん変わっていく。だけどやりとりにならない表現はどうなっていくのか。1+1が3にも4にもなっていく表現に比べて、単に1の表現は。

3回繰り返してみた結果。たぶん作品の輪郭自体は変わっていない。それは責任者の川島潤哉さんが書いている、すべての人に同じ見方をしてほしいという希望通り、ブレがない。だけど、だからこそ、クローズアップされるのは自分の感じ方はいつも違うってことでした。

前半のぐだぐだちょっとダメな感じの人たちが次々出てくるシーン。笑います。わかってても笑います。さすがに先走って笑いそうになるのはがんばってこらえましたが。何度観ても笑える。その辺りは一緒なのかな。

後半に行くに従っての気づきや解釈、思い込み、妄想、っていうのはやはり観れば観るほど膨らんでいくものであり、自分の妄想が膨らんでいけば、揉まれ方で形は変わるしちょっとしたトンガリで破裂しちゃうんです。

そんなわけで後半、途切れなくかぶせられる言葉の渦で積み重ねられた場面場面がどんどん自分の中で歪んで盛り上がり、怖くて怖くてたまらなくなりました。人間のエゴとか抱えているものとか。

涙もろくなってるのかもしれないけど、帰り道、ずっと泣いてしまいました。キモチワル。登場人物、作品世界、演者、客、スタッフ、なんか作品をめぐるすべてのぐるぐるにとらわれてしまったようでした。

私の中にはしっかり響いてしまったので、こんな作品になっちゃったら、つい次でがっかりしないといいな、なんて思ってしまいますが。。。ま、打ちのめされた負け惜しみに過ぎません。

アンケートがなく、メール方式をとっていたんですが、川島さんが終演後に数通しか来ないとぼやいてたので、送ってみました。ちゃんとお返事が届きました。冷めてひねくれたように見せかけて意外にちゃんと誠実で、作品全体を通してすごく印象が変わりました。

次は冬にやるようですね。それに対する自分の反応も含めてとっても楽しみです。

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「弧天」第一回:「例えば、皮膚」② 2009.6.12 19:30

初日に続いて2回目。対面舞台で、しかも座った席によってだいぶ見え方が違うことがわかったので、これは絶対反対側でも観ねば、と。それは言い訳に過ぎず単にもう一回観たかっただけですがbleah

比較的観にくいと思われる側へ。まぁ、ほんといらっとする。顔が見えないのは百歩譲って我慢するとしても、川島さんの意図としてすべての人に同じ観かたを強いる、ってのがあるのに、こうまで見え方が違うっていうストレス。絶対あっち側のほうがおもしろいよ。ってむやみにスネる。

いや、まぁそんな不満をおいておいてもすごくおもしろい。細かいパーツがかなりツボです。言葉やネタのいじり方がうますぎてイヤらしい。ぜひ脚本読んで笑いたい。

今日はなんだか後半に行くにしたがって哲学的というか生きる道みたいな変な悟りを感じました。最後の一言に至る雰囲気、なんかこういう朗読聞いたことある、って思ったんだけど、そこで思い出したのは芥川龍之介「羅生門」でした。下人の行方は誰も知らない。。。って初めて読んだ時のうすら寒い怖さ。

そういうちょっと不思議な余韻にかなり浸りました。

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「弧天」第一回:「例えば、皮膚」① 2009.6.11 19:30

ずっと楽しみにしていたコマツ企画の川島潤哉さんの一人企画。「人展」と銘打ちさまざまなジャンルの人に一人15分、持ち時間を与えて、っていう企画を何度かやっていたそうですが、私は観たことありませんでした。別のイベントで一人芝居を見かけただけ。でもものすごくおもしろかったので、それまで観たどの一人芝居よりもおもしろかったので、何がそう思わせたのかを確かめたくて。

テレビ司会者、番組ゲストの牛乳パックはがきアーティスト、4人で言い争う男たち、恋していると見せかけて宗教勧誘する男、同窓会に現れた先生、ミュージシャン、選挙を愛する男、戦時中のお笑い芸人、などなど、さまざまなキャラクターが現れます。言葉が途切れることなく続き、ひたすら人物が描かれます。

が、そのうち人物の内面が洗い出され、その端々がつながり重なっていくと。

なんだこれ、と思うようなもてあそばれた時間でした。構成が本当にすごい。あれよあれよというまにすらーっと網が解かれていくような感覚。

80分を使いきる、それだけの力のある作品でした。びっくりです。

正直なめてました。どこまでもゆるくキャラクターでみせる小品を並べるだけかと思ってたので。ただくだらなさに笑うだけだと思ってたので。

川島さんのブログを読んでいても思いますが、目の付け所というか突っ込みどころがすごく気持ちいいんです。ばっさり切り捨てるくせに変なところにうじうじこだわってるんです。そういうよさが存分に見られた気がしました。すかっと突っ込むためにそんなキャラを演じてるようなうっとうしい感じが、ちゃんと計算されていておもしろい。

私なんかは普通の観客ですが、同じ俳優をやっている方がこれを観たらどう思うんだろうか、とすごく気になりました。悔しいのかおもしろがるだけなのか、こういう変わった作品を見せられたらどういう風に刺激されるんだろ。

ちょっと離れますが、普段舞台作品はそのまま映像にしてもおもしろくないな、って思ってるんですが、一人芝居はその例外になるな、とふと思いました。しかもこれだけ言葉を積み重ねていくならば。場を楽しむのは確かだけど、会話してそれぞれの表情や感情を楽しむものではないわけだから、ズームする部分は限られてる。しかも客いじりするわけじゃなくひたすら一人で完結している。ならばうまいこと編集すればすごくおもしろい映像にもなりえるんじゃないかと。これは特に、対面座席で見えない部分っていう不満も解消してくれるかもしれないし。

照明による場面の切り替え方もすごくおもしろかったです。暗転する時としない時。それが後半に進めば進むほど意味を持っていって。

また観ます。どうなっていくか、気になるので。

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elePHANTMoon「成れの果て」 2009.5.21 19:30

一昨年の12月以来1年半ぶりの本公演。生きることに対する絶望のような違和感のようなしがらみから生まれる面倒くささのようなものを、さらにエグく視覚的に見せるこの劇団の作風がとても好きなので、ずっと楽しみにしてました。昨年の公演中止後の第1作。

田舎に住む姉(津留崎夏子)から久しぶりにかかってきた電話は結婚の報告。相手(永山智啓)はかつて妹(菊池佳南)をレイプした男だった。妹はあわてて田舎に帰り、二人の真意を確認し、そして。

さすがにさすがに、一息おいただけあってすばらしい作品。見た目上のどろどろは抑え気味にした分、人間の負の感情の見せ方に自分の体がこわばっていくのがわかる。

わかりやすく過去にレイプにあったという傷を抱える妹、レイプ犯という過去を知られながらもそれをネタにしている姉の婚約者、そのレイプ犯というエピソードを面白おかしく利用する婚約者の同僚、レイプネタを書こうとする小説家志望、人気者になるために事件の話をいいふらす姉妹の幼馴染、自分の口は臭いと思い込み手術のために姉妹の金を盗もうとする居候、リストラに合い再就職すると言っては婚活にせいを出す姉妹のおば、妹につるむゲイと嫉妬深いその彼氏、などなど一癖も二癖もある登場人物たちがたくさん。みんなみんなどこかのネジが外れていて、しかもそれを意識しているくせに意識に上らせまいと必死に押さえ込んでいる。お互いの傷を攻めることで自分の傷を隠し、なんとか均衡を保つ人々。どの一端が崩れたら。。。と怖くて怖くてたまらないんです。

俳優さんの見せる力が半端なくすごい。爆発し吐き出すのは簡単だけど、抑えに抑えた想いがその目の力や手のしぐさにじわっと染み出してくる。劇団員だけじゃなく客演の方々にも同じ空気の作り方や見せ方が浸透していて、どのシーンをとっても気が抜けない。

視覚的なエグさで好き嫌いが分かれがちなelePHANTMoonですが、そういうじんわりを引き出すような演出の細やかさが私は好きです。丁寧に丁寧にその人の中にある毒を吐き出させるというか。だから観てるこちらも体が反応して握り締めた手にどんどん力が入っていっちゃう。それが快感。

今回、何より好きだったのはラストシーン。登場人物の中では唯一善良そうに見えた姉の本音。幼馴染に向かってひどい言葉を吐いたりもしますが、何よりも怖かったのは、若いころからいつも妹に彼氏を略奪されていたというエピソードの挙句、「今度こそは取られなくて済むと思ったのに」という一言。鳥肌が立つと同時に涙が出ました。女って怖い、そしてけなげでいとおしい。

この着地の仕方がすごくelePHANTMoonらしくて大好き。

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タテヨコ企画「夜まで待てない」 2009/5/14 15:00

タテヨコ企画10周年企画の第2弾。ギャラリーだけどこんなにチケット取れないと思わなかったなぁ。しかもギャラリー公演のわりにはチケット代高め。銀座だからかしら?

ギャラリーのオーナーが亡くなって、そのギャラリー葬を行うという設定。一昨年のカフェ公演といい、やっぱりタテヨコは場所を生かすのがとっても上手。

亡くなったオーナーを偲ぶ人が集まってくるギャラリー葬。今は有名になった育てたアーティスト、親戚、近所のギャラリーの人、隠し子…。オーナーの息子は今はあまりアーティストとしても活躍していなく、妻が次期オーナーになったけど。妻は妻で子供を流産したことを気に病んでいて。

登場人物が多いので整理するのがやや手間だけど、個性は強いのでノリで十分把握もできる。けど心情の細やかな部分を拾うにはやっぱり最初からキャラを押さえておいたほうがおもしろい。

地下から2階までのギャラリーをフルに使って。地下に遺影などがあって観客までも葬列者として献花までさせてもらえます。それで地下の様子を観察して、開演後は地下の様子は想像で楽しむ感じ。献花の時あたふたせず、ぜひじっくり見渡しておいてください。

ちょっとエピソードも多めな気はしますが、亡くなったオーナーの長男夫婦を軸に人間模様が描かれます。

なんとなくはっきりしない長男役に瓜生和成さん。こういう役を演じさせたら天下一品だと思います。アーティストとして微妙に挫折し、妻との間には子供もできず、でも隠し子まででてきた親の葬儀にはちゃんとしてなきゃいけないっていう、すっごい中途半端な役。感じ悪かったり、迷いがあったりっていう男、すごく魅力的にみせてくれます。

ラストでの妻とのシーンはわかっていてもドキドキするし、泣けます。そして笑えます。

劇団員の方々の安定感のある存在と奇抜なキャラ、このバランスがタテヨコの魅力。

平日の昼間に観ました。なんか劇場外で外が見えるときにはやっぱり昼間がいい気がします。一昨年のカタカタ3部作の時もたまたまなんだけど全部昼間。外を通ってく方々の何気なく覗きこみ方が葬儀っていうイベント感覚を煽るし。外へ出ての演技もおもしろいし。

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バンダラコンチャ ソロアルバム公演「相思双愛」 2009/5/14 19:00

近藤芳正さん主宰のダンダンブエノ、年一回の公演ですが見逃してもま、いっかくらいに思ってたんだけど、今回は倉持裕さんと前川知大さんの脚本に近藤さんとのダブル演出にKAKUTAの桑原裕子さん。じゃあやっぱり観ておこう、ってなってしまいました。

原作あり。横光利一の「春は馬車に乗って」を倉持さん、重松清の「四十回のまばたき」を前川さん。この2作を交互に並べて。

どちらも夫婦の愛のお話。

「四十回のまばたき」妻を交通事故で亡くした翻訳家の夫ケイジ(近藤芳正)のところへ妻の妹ヨウコ(辺見えみり)が遊びに来る。ヨウコには季節性感情障害という病気があり、毎年冬眠してしまう。その間の世話をしてもらうためにいつも姉の家に来ており、姉の亡くなった今もやってきてしまう。さらにヨウコはケイジの子かもしれない新たな命も授かっていて。

「春は馬車に乗って」肺病を患う妻(坂井真紀)と看病する夫(近藤芳正)。わがままをいいまくる妻と喧嘩しながらすべて受け入れる夫。素直になれないままやりあい続けるけどお互いを大切に思う気持ちは強く。。。

この2作を並べて上演しようとした近藤さんのセンスが全く素晴らしい。こんなに素敵な男女愛を見られるとは思いませんでした。

妻を愛していたはずだけど、亡くなった後にも以前と変わらない生活を続けることができてしまう夫。泣くことすらできなかったことを悩む。変わった病を持つ妹も受け入れてしまいつつ。携帯をなくしても意外に普通に暮らせてしまった自分、妻を失っても同じように変わらないって。。。愛してなかったのか。

一方では肺病で先が長くない妻の薬や食事のために看病しながら仕事をする夫。仕事をしようとする夫に悪態をつき、そばにいて欲しがる妻。妻を看病するためには生活を成り立たせなきゃならないけど、自分がいなくなった後に薬ばかり山になって残っていてほしいのか、と責められれば言葉はなく。一緒にいることに飽きてしまうまで一緒にいたいと願う妻に対して残る夫としてできることは。

とてもストレートに感情がリンクしちゃいました。どの場面を見ても相手への思いに悩む姿に涙がcrying

素敵なお話に俳優さんの世界がすうっと乗った瞬間がたまりませんでした。特に近藤さんと坂井さんの夫婦二人だけの世界には飲み込まれちゃいました。女として、どんなわがままも許されながら愛した人のそばで死ねる幸せ、って部分に憧れただけかもしれないけど。二人の愛情あふれる悪態、それを投げつけあう時の表情、ふっと黙った時の海の音。黙ったままの言葉ない二人をいつまでも観ていたかった。10分でも20分でも観ていられる濃密な空気がありました。実際にそれだけ放っておかれたらもっともっと号泣しちゃったんじゃないかな。

これは原作読まなくっちゃなぁ。

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ポかリン記憶舎「humming3」 2009/3/31 19:30

開演前、明神さんがブログで薦めてるそしがや温泉へ。地元のおばちゃんがわんさかして大混雑の中、押し合いへしあいながらサウナやジャグジーや電気湯でほんわり。入り方についておばちゃんに注意されたりしながらも。

暖まって緩んだところでcafe MURIWUIへ。住宅街の中、屋上がふんわり浮かんだ雲の上のように素敵な空間。

夫を亡くした女主人が営むカフェ。彼女を慕って集まる人々。ちょっとぴりりと苦みの走る、気持ちのすれ違い。

カフェをそのまま舞台として使いきり、その風景を楽しむ感覚。日常なんだけど現実ではない、不思議な世界です。

劇場以外の場の持つ力って、俳優さんにとっても客にとっても影響が大きい。そこを流れる感情や空気がびりびり伝わってきます。この日は初日だからかなんだか空気が硬かった気がしました。みんなが全体の雰囲気を探りあってる感じ。俳優さんが慣れて、この場にもっと馴染んだらかなり変わってきそう。

憧れの女主人・中島美紀さん、ちょっと天然ぽいかわいらしさと年上の色香を漂わせ、とっても素敵。目線や距離感など一つ一つで相手をどきっとさせてるのがわかる。女としては対照的な客役の小杉美也子さん。愛らしく包んであげたくなるかわいさがあるのに、自分では気付かずに突っ張ってるのがまたかわいい。板倉さんとの距離のとり方や駆け引きがとってもおもしろい。

カフェの常連客で秘かに主人に憧れる男に板倉チヒロさん。他では観られないような演技でした。これくらいの空間なら簡単に支配しちゃえるし、普段ならそうしてるだろうところを、自然に溶け込む形にしている。爆発を抑えるのでなく、エネルギーの使い方を違う形に昇華させてるのが客演の時ならではの魅力。明神さんの演出との融合。ある意味とっても胡散臭い役なのに、素直な気持ちも垂れ流しちゃってるから、すごくドキドキしました。

想像力がぶわーんと膨らむ心地よい作品でした。不思議空間。

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ポツドール「愛の渦」 2009/3/11 19:30

私、昨年の「顔よ」を観なかったから、どれだけ久しぶりなんだろう、ポツドール。岸田戯曲賞作品の再演。

乱交サークルにて。セックスがしたくてしたくてたまらない男女が集まり、夜な夜な行為を繰り返す。今夜集まったのは男女4人ずつ。女は女子大生、保母さん、派遣OL、常連さん。男は フリーター、サラリーマン、ニート、童貞くん。後から参加したカップル。出会ってから解散まで。

気まずい空気から打ち解けて盛り上がり、ささいなことで揉めるけどやっぱり楽しかったね、みたいな、とってもささいな積み重ねで生まれる流れがさすがでした。イライラするほどの微妙なやりとりから、懸命に周りとの距離を計る。そして距離をつめる努力ではなく、距離は保ったまま間にあった障害物をどけるようなコミュニケーション。うまいなぁ。

セックスっていう最大の親密さに向かうことが目的なのにそれ以外の部分で近寄ってはいけない、しかもそれが1対1ではなく集団、という設定がものすごく生きてくるコミュニケーションなんですよね。すべて計算の上で完成された形。

それだからか、脚本を文字で読みたいっていう欲求にかられました。自分のペースで読んでみたらどうなんだろうっていう興味から。この俳優、この演出、この間、このタイミングでこんな感覚を味わうこの作品、すべて自分の流れで読んでみたらどう感じるのかなって、あんまりいつもは思うことのない形で興味を持ちました。

っていうのも、なんかうますぎて優等生的な感じばっかり受けてしまったから。現代口語のこの世代バージョン若干過激編。典型として見せられたサンプルみたいな気分だったんです。なぜかって考えると。。。

ポツドールだから、私は人間の悪意とか、隠された本音とか、嫌な部分を観て嫌な気持ちになって帰りたかった。なのにずいぶんと素直ないい人しか出てこず。陥れる側の人なしで、騙されるというか素直に状況を受け入れる側の人ばっかりだった。暴力的なものを望むわけじゃないけど、そこにならあるはずの利己的な欲望とか、状況を受け入れられない足掻きとかが欲しかったなぁ。

でも、やっぱりいい部分はよくて、何よりやられた、と思ったのは最後のシーン。ちゃんと着替えて日常に戻るところまでを描くってこと。単にイベントを描くならここはないはず。イベントじゃなくてそこにいる人が生きる世界だから、どんなにかっこ悪くても元に戻る瞬間がある。そこまで含めて描いてるからこの脚本はすばらしい。脱いだパンツは履かなきゃ外には出られない。

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「春琴」 2009/3/11 14:00

最近できたらしいチケットサイト「TICKETS@TOKYO」を利用して、当日券を前日予約。矛盾してるけど。なかなか便利だけど、18時発売で人気のところは日によって出なかったりすぐになくなったり。でも便利。

昨年を観逃したから、絶対今回は、と意気込んで。意気込んでるわりには前売り取ってないけどbleah

盲目の三味線の師匠・春琴とその手曳きの佐助の生涯。

予想以上にシンプルで、想像力を掻き立てられる。裕福な家庭で幼い頃に視力を失ったため、腫物に触るようにちやほやされ、わがままいっぱいに育った春琴。どこまでも欲望に忠実に生きるその姿はうらやましくもあり、侘しくもあり。そのすべての欲求を叶えるためだけに存在する男・佐助。何も言わず、常に寄り添い続ける。

娘を人形で表すことで無機質な魅力が鮮やかに浮かび上がり、それに仕える男の哀れさ、優しさ、強かさが強調されます。春琴役の深津絵里が、人形を操りながら台詞を吐く。そこに、言いたいことをすべて言っているようで実は虚勢を張っているような姿、甘えたいのに甘えられない弱さ、甘えない強さが見えてくる気が。人形に言いたいことを言わせてるけど本音はね、っていう少女らしいかわいらしさが垣間見え、涙が出そうになる。

人形の動きが生き生きとして、そのリアルさに妙に色気があり、ドキドキしました。その人形に頬を打たれ、転げる佐助。そこにエロスが生まれるのは当然。生まれるべくして生まれる人間としての性がすんなりと入ってきて心を打たれました。

実際、佐助の前に現れる春琴はこれだったかもしれない。春琴が人前では人形を自分の代わりに置いていたかもしれない。それも含め、佐助はこれを受け入れていたんだろうなって思えてしまう。こういう愛を感じていたい、って願っちゃうよなぁ、こんなの観たら。

谷崎潤一郎のエロスがきっちりと舞台上に現れていたようで、すごく素敵に思えてしまいました。

モノトーンで表される舞台の美しさと、三味線と鼓の音色の美しさにも満足。外国人が好きな日本の姿なのかもしれないけど、日本人の私もぞわっとするくらいよかったです。

余談ですけど、チョウソンハさんの三味線を弾いてるときのバックショット、背中の筋肉が美しすぎて見とれてしまいました。

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柿喰う客「恋人としては無理」 2009/3/9 19:30

一年ぶりに横浜まで来ました。土地勘がないっていうのは困るけどおもしろい。STスポットも行ったことあるつもりでいたら、全く行き方わからず。どうして行ったことあるって思い込むんでしょ?柿喰う客からのメールを確認してようやくたどり着きました。よかった。入り口、金髪の兄さん立ってんな、って思ったら玉置玲央さんでした。箱庭円舞曲終わってまた髪型変えたんですね。うらやましい。

柿だから開場前から並ぶだろうとは思ってたけど、開場20分前、開演からだと50分前に着いたのにそれでも整理番号19番!熱心さにもほどがある。楽日だってのもあるんだろうけどすごいです。

1時間くらいの短さって聞いてたから、それなら、と一番前の座布団でかぶりつき。

イエスくんとその弟子たちがエルサレムの聖地を訪れるお話。

キリスト教の源なんて大それたネタを扱ってもあくまでも柿バージョン。登場こそすーっと厳かに入ってくるけど、一瞬の後にはいつもの。

去年の夏以来の劇団員同士のテンポいい掛け合いだったから、懐かしさに駆られました。たった半年なのに。と同時に若干のおなかいっぱい胸焼け感も。あれ、私ちょっと飽きてきてる?

っていうのは一瞬だけで、やっぱりあの勢い・力強さ・テンポ・キレ・滑舌、心地よかったです。どんなに飛ばしても、間やらタイミングの計り方は見事でした。

完全に本公演ならば役の数だけ俳優を揃えたんでしょうけど、もともとが海外公演、今回も旅公演なので、少数の俳優による多数キャラの描き分けという普段の柿ならあまり観られない形。さまざまなアイテムをパスすることで役が変わってく、というルールの下にお話が進みます。

元がフランス公演っていう言葉が通じないことが前提だったせいか、見た目にわかりやすいってのが明らか。派手に感心するほどのアクションってわけじゃなく、わかりやすく伝えるためのアクションが多い。そういう目で見ちゃうせいかな。おじいさんとか動物とか酔っ払いとか。

弟子たちを運ぶ動物を演じる七味まゆ味さんのポーズや表情、めっちゃかわいかった!

ぶんぶん勢いで押してったけど、物語の緩急で後半、ちょっと静かな進行になったのがテンポダウンに感じてしまいました。1時間の公演ならガーっと通り過ぎて欲しかったな。

ツアコン役のご当地ゲスト、中野成樹さんののほほんとした雰囲気が、柿とは全く違って浮いてるのになじんでておもしろかったです。

西に行ったら深谷由梨香さん、玉置玲央さんも混じるんですよね。どうはまるのか観たかったなぁ。

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フェスティバル/トーキョー09春「サンシャイン63」 2009/3/4/12:30

お散歩演劇に憧れながらまだ未経験。そんな感じなのかな、と思ってこの企画参加。

5人一組でサンシャイン周辺の散策。3時間半っていうのだけは明かされてるけど、形は全く不明のまま。私は一人で行きましたが、一緒に回ったのは3人組女子。残り一人はキャンセルだと。しょえ~、なんて気まずい。

まぁ当然のことながら同行者で全く雰囲気は変わります。しかも予想外に案内人なしの、いわばオリエンテーリングですから。

私の同行者は3人組みではあったけど、フェスティバル・トーキョーなんか知らないし演劇なんか観たことないけど、知り合いにおもしろいよって勧められた、みたいな方たちだったので、バスツアーだと思ってたり一時間くらいで終わると思ってたり、っていい加減な興味だったようで、好奇心からか一人参加を疎外せずに受け入れてくれました。ほっ。

地図係、指示係、ラジオ係、カメラ係、タイムキーパーと役割振って出発。空気つかめなくてもなんか楽しい。

時間と中身を適当にバランスとって楽しみながら進行。池袋周辺の歴史などに触れつつ。

私はこういう時わりと隅から隅まで受け取りたいんだけど、3人組は歴史とかに飽き気味でラジオとかちゃんと聞かないまま進んだりされちゃって、若干不満も。多数決には負けてしまう私。

結構終わりが見えないまま進むので、知らないと疲労感も強いかも。ラジオの電波も悪かったり。

さまざまな工夫は楽しいです。さまざまなホテルの一室に入ったり、お墓を巡ったり、タクシーに乗ったり、小学校に入り込んだり、電車に乗ったり。

でも初日のせいか段取りの悪さもあったのかな。目的地についても会うべき人が席をはずしてたり、不安なことを係員に聞いても答えられなかったり。

何より腑に落ちなかったのは解散の仕方。まるで流れ解散。って私、何か逃して間違えたかしら、みたいな雰囲気で。写真撮ったりしたのも、あれは一体どうなるのかもわからないし、ほんとにこれで帰っていいのかわからないのは、見知らぬ人たち同士では辛い。もうちょっとちゃんとオチがつけばいいのに。

あとラジオの内容がどうにも聞き取れなかったり、どこで一巡したのかわからなかったりしたので、終わった後にテキストでいただけたりするといいのにな。最後にそれ、言おうと思ったのに、言う相手もないまま終了。アンケートもないから訴えようもなくって。やっぱり私なにか終わり間違えたのかしら。

せっかくのおもしろさがなんかぼんやりしたまま終わってしまいました。納得いかないなあ。せめて企画者の顔見たかったし。

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ハイバイの金子、永井、坂口、それぞれがプロデューサー祭・春「あとみよそわか」 2009/3/8 13:00

ぎりぎりなんとか観ることができました、永井企画。自分の中での観劇のルールとして、仕事の日は観ないって決めてるのに、ここんとこ全く守れてないな。詰め込みまくり。

それにしても大盛況。ルデコに50人以上?立ち見まで出てる。

父母娘という3人家族2組。主人公の小学校3年生の乃里子(高村圭)の家庭は裕福ではないけれど、父と母はひろちゃんきよちゃんと呼び合う仲良し夫婦。父には借金癖があり、母は怒ることもあるけどやっぱり好きで結ばれているからどうにかなる。友達の早苗(墨井鯨子)の家庭は裕福だけど母は趣味ばかりに没頭しご飯も店屋物ばかり、父はくちばっかり立派だけど何も自分で動こうとはしない。娘もそういう空気は敏感に嗅ぎ取って、楽しいこといっぱいあるはずなのになんだかぎくしゃくしている。両方の家庭を冷静に眺める乃里子の目線は。

ものすごくまっとうにまっすぐに家族というものと向き合った作品。大きなイベントがあるということもなく、日々の生活から感じること。それを丁寧に丁寧に並べていきます。

小学3年生の目線からだから、忘れつつあるが経験のある懐かしさ。誰が見ても理解したくなる素直さ。だから感じるところが多いんです。

また途中からは小3でありながらもちゃんと女の目線がありました。自分の存在を通して、母というものの幸せ、母であっても女であることの幸せ、人間として生きる上での幸せ。何も語らない主人公が雄弁。

お金がなく、子供の欲しいものも与えることはできないけど手作りで工夫して、子供と真剣に向き合い真剣に遊ぶ自分の母。父のことは大好きだけどそのだらしなさで苦労ばかりして、好きなのに離れようとする強い母。一方、お金のかかる遊びや趣味をばんばんやりまくり、飽きたといってはとっかえひっかえ。ご飯なんか作らなくても好きなものをお金で買えばいい。でも子供には慕われず、夫には説教される友人の母。どっちも幸せじゃないわけじゃない。質の違う幸せがあることを静かに悟る娘。

それを風景で描ける永井若葉さん、すごいです。親子丼がいつもよりしょっぱかったってことだけで広がる波紋とか、ボーリングの投げ方から生まれる不満とか。

乃里子と母が頭突きをしあうシーンが素晴らしい。遊びで触れ合いながらも、痛いと起こる娘に対し、母は「当たり前でしょ、一生懸命なんだから」。その一言で涙が出ます。

女優陣が誰をとっても味わい深い。乃里子役の高村圭さんのかわいい顔に抑えた表情。素直にあけっぴろげに自分の気持ちを投げる友達の墨井鯨子さんの子供らしい奔放さ。健気に自分の気持ちに正直に生きてる乃里子の母役の谷崎静香さんのタフさ。早苗の母役の宇田川千珠子さんの屈折加減なんかどきっとします。

ラストがまたほんとにほんとに秀逸です。母と娘ってこうなんですよ。反発してても仲良くても、最終的に行き着く場所ってのはあるんだろうな。その深さ温かさ洞察力がたまらないです。

無理してもやっぱり観てよかった。

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グリング「吸血鬼」 2009/3/9 15:00

寝坊しちゃってあわてて行ったけど間に合った。よかった。逃したらもう代わりに行ける日はない。

いい作品が書けずに悩む脚本家。ある日大学時代の元カノが不審死を遂げたことを知る。彼女の生きた跡を取り憑かれたように探るうち、辿り着いたのは。

はぁ、すばらしい脚本ですわ。人生の楽しさとか苦しさとかいろいろ詰め込んでるのに、さらりと。スパイスもひねりも効かせ、でもストレートで。物語に取り込まれちゃいながらも冷静な部分もあるから、すごーく楽しむのが難しいです。つい自分と照らし合わせて考えちゃう。登場人物の生き方を観ながらつい自分の経験に寄って行って脱線し、そしてまた物語に戻る。そういう余白を持っているお話。そして終盤の展開も唸るほどのおもしろさ。

生きる目的、生きがい、ってなんなのか。仕事だったり家庭だったり、いろいろだけど、じゃあその成功って?なりふり構わず結果を出すことなのか、それともそこに至る過程なのか。仕事がうまくいっても痴呆の母親に自分のことを忘れられちゃったら?友達の人生を利用しても脚本が書ければいい?子供を生むことが幸せっていっても子供さえいればってわけじゃなく、パートナーがいることが必須だったり。じゃあパートナーってそんなに必要?

吸血鬼は二つの意味合いで出てきます。他人の人生を吸い取っても生き抜くってこと。赤ん坊が母親からお乳を吸い取る命のリレー。言葉でこれを説明されても、普段なら臭すぎって思うことが多いんだけど、ここまで至る過程で十分思考があったから、さらにここで深く深くはまります。

元カノ、元カレの高橋理恵子さんと杉山文雄さんもさることながら、周りの人々がすばらしいです。死体を発見するちんどん屋の親方や取引先の上司などを演じたみのすけさん、普段観るわりと主の演技だけじゃない抑えた雰囲気もいいな。ちんどん屋の妻、飲み屋の女、などの萩原利映さん、何を演じても安定感。コメディエンヌが多い平田敦子さんも、普通の主婦役。老人介護の場面での迫力は息を呑みました。介護を担うイライラした雰囲気から赤ちゃんを産んだ母の佇まい、圧巻です。

こういうお芝居一人で観ちゃうと、帰り道が辛いんだよな。考えちゃうし、孤独が身に染みる、良くも悪くもねcatface涙が出そうになりながら、でもちょっと身体は温かくエネルギーを感じる不思議な状態です。

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ハイバイの金子、永井、坂口、それぞれがプロデューサー祭・春 劇団かわぐちてっぺい「なんかを4つか、5つぐらいやる。」 2009/3/6 20:00

ハイバイの俳優さん3人がそれぞれ企画プロデュースするお祭り。ファン泣かせのコマ潰し企画。うれし苦し。3本ともあきらめようかと思ったけど、あきらめきれませんでした。全部は無理っぽいけど。

で、一番心配な坂口辰平さんの作品へ。

出演の3人がそれぞれ作演出する3本立て。坂口作品「てっぺいのお話」。自ら作演出する作品の公演中、人生を儚んで自殺したてっぺい。彼女ともラブラブ、作品作りも順調に進んでいて、付き合っていた彼女との馴れ初めまで作品に盛り込もうとしていたほど絶頂だったのに。。。

っていうドキュメンタリーというかメタ構造のお話。意外と言っては失礼だけど、やっぱり意外に、おもしろい。自分で自分のキャラを演じ、実話ともフィクションともつかない話に仕立て、恥ずかしがってるんだもん。まさに「てっぺいのオナニー見て喜ぶ人がいるかって話だろ」「いるかもしんないじゃん」の通り、それ、私だったわ、って頭下げたくなる世界。

ショボいダンスや歌、稽古中の会話とかで普段どおりの個性を出しつつ、電話の会話の表し方とか場面の切り替え方はしっかり計算されていて。全体の構成とラストのまとめ方は、うっかり余韻に浸ってしまったほど。

「無難な感じの作品、公演にはならないようにしよう」とのご本人の言葉が当日パンフにありましたが、ほんとその通り。見直しちゃった。

師岡広明作品「僕の犬返して」。飼い犬が行方不明になっちゃった工場職員。東京本社から来た社員が新プロジェクトの話をするが、犬がそれによっていなくなったことがわかり、東京に行くことになる。でも田舎生活の男にとっては東京は恐ろしい街で…。

一番無責任に投げっぱなしな奔放さがいい。東京の人ごみ、ああすれば避けられる。勉強になりましたwink

尾倉ケント作品「三人家族」。母一人、兄妹の3人で暮らす家族。母の誕生日、兄妹はプレゼントを考えるが、準備の最中に母は倒れ…。

ものすごく単純なお話だけど、この3人が演じると妙に温かい。盛り上がりどころでかかる小田和正の曲もタイミングばっちりで涙を誘います。尾倉さんのふざけて力を抜いた感じが貴重。

終演後にひたすら「ありがとうございました」を繰り返す坂口さん。こっちのほうがむしろ演技のようで笑えて仕方なかったです。まだ芝居が続いてるの?ってツッこみたくなる。

受付に永井若葉さんがいたり、会場誘導に金子岳憲さんがいたりっていう手作り感覚がまたお祭っぽくていいですねぇ。20席に満たないこぢんまりした雰囲気もいい。無理してがんばって行ったけど、ちゃんと元気をもらって帰れました。軽ーく幸せ。

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開幕ペナントレース「振り返れば俺がいる~杉並演劇祭参加バージョン」 2009/3/3 16:30

杉並演劇祭参加の一日限りの公演。昨年の本公演の特別バージョン。がざびぃのスペース、あの天井の低さにどう詰め込まれちゃうんだろ?

おなじみのアフロが7人で。シェイクスピアのかの名作をベースにしたようなしてないような。地味に身体を駆使した、とても力強く迫力たっぷりなのが笑えて仕方のない作品。

私はこの劇団は3回目。初回、かなりあっけにとられて笑うに笑えなかった覚えがあります。なんだこれ?破壊的なパワーって一体何に対してのパワーなのか、全然わからず、周りが笑うのに取り残されていきました。なのに、回を重ねるごとに、微妙にしみこみ馴染んでくる。その感触にまたなんだこれ?

シーンにつながりがあるかといえば特にないし、筋があるわけでもないし、だけど言われてみればロミオでつながってたり。実はきっちりと構成されている。今回は演劇祭のせいか場所のせいか、もしくは私が慣れてきたせいか、すんなりなじみやすくわかりやすかった気がしました。

私の好みで言えば、ちょっとストーリー仕立てになってる車座の場面などより、マスゲーム的に全員が同調して踊ったりするシーンの迫力が大好き、たまらない。お相撲の蹲踞の姿勢で台詞を交わしたりとか、一世風靡セピアの掛け声で腰を動かしたりとか。汗や唾を飛ばしながら、力いっぱいわっしょいしてる姿が、笑えるし感動するし。

がざびぃのサイズにぴったりに仕上がっていて、足踏みの地響き感とかもすごく気持ちいい。どすんどすんと身体に響いてきます。

同じ言葉を意識的に繰り返すことで生まれる笑いの使い方もとってもうまい。言葉が意味を成さず記号となっていき、ふとした時にその無意味さに気づいて笑っちゃう。

だんだんクセになりそうです。出会った瞬間は引くかもしれない、だけど喰らいついて欲しい。そうするとどんどん忘れられなくなっていきそう。

今年は海外にも進出するらしいです。そういう企画の強さと実行力もおもしろい。

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チャリT企画「12人のそりゃ恐ろしい日本人」 2009/3/3 19:30

おととい箱庭円舞曲観たばかりのOFFOFFでもう次の公演。中一日ってすごいな。そうまでして公演日数を増やしてくれて、客としてはありがたい。スタッフ様に拍手ですわ。

チャリTってぽんぽん公演してる印象があるんだけど、意外にも半年ぶり。メンバーの客演をそこらじゅうで観るからかな。

やっぱり開演前に流れる曲、いいわぁ。ザ・昭和。今回テーマは春。贈る言葉やら卒業やら春なのにやらじゃあねやら。サビしか知らない曲でも懐かしさに浸る。これのために早く行っちゃいましたcoldsweats01

タイトルどおり裁判員の話。有名なカレー毒物事件の判決が下った日。判決は死刑だったが、裁判員だった男(宍倉靖ニ)はとりあえず役割は終わったと肩を撫で下ろす。が、やはり死刑は後味悪くのしかかってきて、トラウマからカレーが食べられなくなったり。同じ裁判員だった者たちがなんとかやり直せないかと相談にくるが…。

と、意外にも真っ向勝負。だけど目の付けどころはありきたりだし、裁判員の再現も「12人のやさしい…」そっくりだし、うーん、なんて思っていると。。。

不思議な裏切り方で全然予想しなかった方向へ着陸。そうなっちゃうんだ。。。狐につままれたような気分。

うまいこと丸め込まれたというか、まんまとしてやられたというか。おもしろさの裏側にすんなり落ちてくる感触はない。

振り切れてふざけるか、マジメに攻めるか、たぶん求めたのがどっちかの極端だったせいじゃないかと思います。どっちも追いかけてまとまりはついてるんだけど、もっと、っていうのがあったのかな。とことん裁判員を詰めるか、がさっと笑い飛ばしておちょくるか。

宍倉さん、好きな俳優さんなんだけどどうも役柄にしっくりこないのも一因かな。イメージが無邪気にかわいい感じだから、陰のある役ってのに自分の中の像が結びつかない。

裁判員としてのトラウマっていうのは十分想像のつく話だけど、それを単に口を押さえてトイレに駆け込むっていう「カタチ」だけで見せたのが違和感でした。せっかく沈黙してたたずむシーンがあるならそこから伸ばしていって感じさせる形で辛さを見たかったです。

でもやっぱり劇団員の俳優さんの巧さはテッパンですわ。内山奈々さんのとぼけた大家さん、何回同じシーンを繰り返しても何度でも笑っちゃう。隣人役の長岡初奈さんもなかなかのコメディエンヌで、下品な言葉を連発してもかわいらしい。熊野善啓さんの幅の広さも、裁判員の理論武装からそこらへんのホームレス風情まで完璧。裁判シーンはあの声質でかなりピリッとするし、汚らしいホームレスの衣装は似合いすぎて怪しいし。

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ブラジルmini公演Bプログラム「傷心旅行/いつまでもここにいる」 2009/2/28 21:00

Aプロに引き続きBも。バーだけに追い出されることもなくその場で飲んで待っていられます。ま、そんなに待ってる人いなかったけど。つまみがもっとあるといいんだけど。

「傷心旅行」これも初めてです。フラれた者同士、旅行を企画してバーに集まる男女。けど集まった中には、フッた彼、フラれた彼女が居合わせちゃって。。。

設定はおもしろいんだけど、前に座ったせいか俳優さんの声がやたらとデカク感じました。わんわんしちゃって疲れてしまう。もっと頻度が低ければ構わないけど結構頻繁に声を張るんですよね。普通にしてても俳優さんの声は通るから。むしろ抑えてくれたほうがバーで周りを気にして飲んでる風だし、フラれた風でよかったように思えました。

あとは近いから気になったんだろうけど、そのネイルやってから結構経ってるね、とか、ブーツの手入れしなさすぎでしょ、とかcoldsweats01なんか視点が芝居からずれちゃってる。そんなこと見えちゃうんだから近さって怖い。だからディテールにこだわって欲しいと思う。

「いつまでもここにいる」ギリギリエリンギへの脚本提供作品。なので私は2回は観てたかと思います。

友人同士飲んだ挙句、酔ってお風呂に入った子が死んでしまう。警察に届けるはずがその子がカバンに三千万円持っていたばかりに死体を始末してお金を手に入れてしまった二人。良心の呵責に耐えかねてまた二人で集まると、そこには二人に見えないながら成仏できない友人の姿が…。

これはほんと、組み合わせの妙。何回観ても楽しめる気がします。お話が意外にあっさりとしてて残らないので、その分毎回新鮮に。今回の女性3人バージョンもおもしろかったな。しいて言えば3人のキャラがハマリ過ぎててキャスティングに意外性がないことぐらいかな。

幽霊役の三谷智子さんの飄々とした雰囲気、椅子から足をぶら下げてるだけで、なんとなく生きた感じじゃないっていうのが不思議。あとの二人の怯え方がそこにぴったり重なってしっくりくるんです。

ま、また細かいことを言わせてもらえば、家飲みでパジャマ着て風呂あがりっぽい髪の毛してるのにフルメイクだったりすることかなcatfaceあーほんと枝葉末節で気が散っちゃう。酔っ払いかけてるせいかしら。

A・Bどちらかといわれれば絶対Aが好き。でもおもしろい組み合わせが観られるのはBだったりもします。またこういう公演、やってほしいな。本番前の辰巳智秋さんが出演されてないのも残念だったし。

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ブラジルmini公演Aプログラム「ダイアナ」 2009/2/28 18:30

かなりこっそり開催されてるっぽいこの公演。だってブラジルなのに一回25席限定。そりゃ宣伝しちゃったら客あふれるでしょう。ブラジルのカフェ公演は初めてらしいです。恵比寿の小さなバーにて。

ダイアナ、初演を観てないんですが、ブラジルの二人と平間美貴さんだなんて、垂涎のキャスティング。初演はどなただったのかしら?

恋人の話を打ち明けようと幼馴染・イサヤマをバーに呼び出すニシヤマ(西山聡)。イサヤマ(諌山幸治)は近々結婚するという。その相手がニシヤマに金を借りたまま姿を消したミキ(平間美貴)。3人でごたごたしたと思ったら、ニシヤマの恋人の正体も発覚してさらにごたごたして。。。

最上級に贅沢な空間。もっのすごく狭い場所なのでどこで観るかちょっと考えたけど、どうせなら、と一番前に。うん、正解。好きなお酒を片手にじっくり見せていただきました。50センチの近さでも凝視します、私。普通にしゃべるにも照れる距離でも、舞台と観客となればあほ面さげて一方的に見つめていられるのが最高!

シリアスに怒りを抑えるときってほんとに唇わなわなするんだな、とか、演技なのかわからないくらい細かな部分にどわっと圧倒されます。光の加減なのか私の思い込みなのか、目がギラッと光ったり。

したたかなのに上手に媚を売るミキの目のうるうる感にも倒されます。そりゃだまされます、と降参。かわいすぎ、と思うと振り返ってにらむ眼の怖さも。

話の落とし方も演技の巧みさもいうことナシです。とってもシンプルにわかりやすく、俳優さんの力を感じられる作品。この空間に入れてよかった。

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フェスティバル/トーキョー「カール・マルクス:資本論、第一巻」 2009/2/27 19:30

資本論なんていう堅苦しいタイトルに危うくスルーしかけちゃったけど、去年の「ムネモ・パーク」のリミニ・プロトコルと聞き、これは行っておかねば、となりました。ほんと、フェスティバル/トーキョーの回数券買い逃したのが恨めしい。。。

にしすがも創造舎、初めて行きました。元学校っていうのが素敵。駅から近いし。

整理番号もなく適当に並んだ順に入場っていうのはどうかと思うけどcoldsweats01

入ってみると、とっても素敵な舞台。古いお屋敷の壁一面の書棚のような。すでに登場人物は舞台の中に。観てるだけでわくわくする。

題材は資本論だけど、直接解説というよりはそれに結び付くような人生のエピソードを、登場人物達が順に語っていきます。本のまま難しいコトバを並べられてもちんぷんかんぷんだけど、生きた語りの力ってのはたいしたもんだ。

すっかり授業を受けてるような気持ちになってたけど、終わった瞬間にこれは演劇だった!と思ってはっとしました。そうそう、先生と生徒じゃなく、演者と観客。私は資本論を理解することが目的じゃなかったわ。もう、うっかりそっちに行くから途中ちょっと眠くなったのですわ。違う違う。

資本論に関するスペシャリストを集めて演者にしているっていっても、そこは演劇なのだから中身はすべて嘘八百でも構わないわけ。騙されてるみたいで可笑しくなる。資本論というものがあり、ここにいる人たちがそれに関わっていることも本当、語ってることもおそらく本当、だけど出来上がる世界は虚構。どこまでドキュメンタリーに近づけてもこれは演劇。騙し絵みたい。その近くて遠い、くすぐられてるのにくすぐったくないもどかしさみたいなのが不思議で、ちょっと発見したような気持ちに。

演劇のおもしろさっていうのはびっくりするくらい広い。本当はおもしろいなんて言葉で片付けたくないんだけど。当てはまる言葉って見つからないもんだな。いい体験ができました。

字幕を追うのは難しいですよね。タイミングとか。舞台から目を離したくない気持ちと、中身を理解したい欲求とがせめぎあっちゃって。やっぱり吹き替え希望happy02

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くろいぬパレード「春よ、来ない。」 2009/2/27 14:00

出かけようとしたら雪でびっくり。まさに春、来ない。電車が止まってなくてよかった。

田舎の漁村の物語。船長の父(小林至)と次男(岩渕敏司)で漁に出、妹(田辺千香)が家事をしている、代々漁師を営む家族。長男・さかな(長谷川恵一郎)は漁師になろうとせず市会議員に出ようと画策中。漁師のなり手がないため都会からの派遣社員を漁師として募集したり、と努力はするけど漁業を建て直すメドはたたず。漁業をやめようとする父、他に生きる道はなく荒れる次男、家族のことは気にしながらも市の有力者と婚約し、影では浮気をしたりしながらなんとか金と権力を握ろうとする長男。狭い漁港の町の人間模様が描かれます。

長男さかなを中心に意外にしんみりと、じっくりと。さかなのどこまでも中途半端な感じに長谷川さんがぴったりはまってて。どうしようもないのになんだか本気では憎めない、っていう加減がうまい。だから30過ぎた男の兄弟喧嘩も笑えるし、うっかりほだされてヨリを戻しちゃう元カノの心理も納得だし、尻拭いにお金を払いながらうまく操ってやろうとする金持ちの気持ちもわかる。

もったいなかったのは父の描き方。頑固一徹な海の男のはずなんでしょうが。。。断るはずの派遣さんも結局受け入れちゃうし、廃業するっていいながらしないし、あっけなく死んじゃうし。優しすぎて悩んでる次元が息子たちと同列になっちゃってる。もうちょい古き良き、みたいな部分をがつんとシメてくれたら、揺れる子供たちが引き立ったんじゃないかな。

江戸川卍丸さんのきょとん顔がおもしろかったな。

廃船の使い方、よかったです。見えないからそそられるし。「誰でも考えることは一緒だな」って、そりゃあね、誰にも使われてない船が停まってれば…heart04wink

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箱庭円舞曲「メガネに騙された」 2009/3/1 18:30

前回公演が全く好きじゃなかったような記憶がうっすらあり、今回は見送っちゃおうかと思ってた箱庭円舞曲。千秋楽ってのが迷いの表れ。

そんな感じだから評判も確認せず、あまり期待もせず。

で行ってみたら、まぁ前回とは別の劇団かのような。あああ、これだったら早いとこ行っとけばよかったよ。

脱サラで農業始めようとしてる農業初心者のためのセンター。地元の土地や家を斡旋し農業の仕方を教え販売に乗せるまでを担う。さまざまな事情で農業に夢を抱いた都会者たちがやってくる。順調に回っているように見えていたが、センターの管理人が農協の秘密をバラしたことで一気に崩壊。隠された内情が明らかになり…。

当日パンフに書かれた作演出の古川貴義さんのコトバが、謎解きされてくように形として表れてくる。タイトルに象徴される意味合いが見えてきて、中盤以降興奮。

「メガネに騙された」と感じるのは、メガネに対して自分の先入観や思い込みがあるからであり、メガネそのものやその下にあるモノは、そのままの姿で存在しているに過ぎない。自分のフィルターを通して見えたモノを信じてしまうから、フィルターが外れた時に騙された、と感じちゃう。ま、そもそも世界なんていうもんは各個人のフィルターを通して認識されているんであって、共通認識なんかないからコミュニケーションは難しく、そしておもしろい。

そんな文章を開演前に読んじゃって、そうしたらそれを具体化する世界が出来上がるんだからわくわくしちゃいますよ。

農業に憧れて農村にやってくる人の農業に対するそれぞれのメガネ、センターを立ち上げ村の農産物のすべてを取り仕切り売るためになんでもやってしまう農協のメガネ、そんな農協のせいで村八分にされ母を亡くしたセンターの管理人のメガネ、その妹のメガネ、村の人々に詐欺まがいの怪しい商品を売りつけるセールスマンのメガネ。。。そのメガネを通したモノの見方、そこから生じるディスコミュニケーション、すれ違い、誤解がとてもおもしろく思えました。

そんなメガネを感じてしまうのは、当パンを読んでから公演を観てしまった私のメガネのせいなのかしら?そのメガネをもってして、最初から観直してみたいと思ってしまいました。

そういう世間に対するメガネを超越した存在として、ほんとに自分の好きなものに対してしかメガネをもたない、少し頭の足りない男の役の小野哲史さんが今回すっごくよかったです。行き過ぎず存在するその目線がいい。

カッパを自称する村の女・多紀(村上直子)、夫と農業を志している操子(高木充子)、自分の夢のために好きでもない男を連れてやってきた那菜栄(原田優理子)のグータンヌーボ的トークもとってもおもしろい。探り探りの女同士の空気感が。そこからの原田さんの突っ走りっぷりがかわいくもあり救いがたくもあり、魅力的でした。

今回も山内翔さん出ないなぁって思ったらスタッフに名前あり。ん?野菜って?何したんでしょうか?

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角角ストロガのフ「人間園」 2009/2/26 19:30

角角ストロガのフの王子進出。出演者の多彩さに唸る。こんな顔ぶれ、どのようなまとめるんだか。

入るなり、ああこういうセットね、と旗揚げ、番外を思い出しうなずき。高さをうまく利用して、上下左右真ん中にさまざまな場面が組まれてます。教室、職員室、産婦人科、などなど。

ストーリーは、うーん、よくわかんないけど、タイトルが言い得て妙。生きていく業のようなモノを軸にしてる感じがします。倫理の授業で、アダムとイブの罪と悪の話から、人間がしてはいけないこと3つ、人を食べること・殺人・近親相姦を挙げたり。そこをベースにクラスメートの強姦・自殺、教師主導のいじめ、母親の溺愛、不倫愛、監禁、名誉欲、などどろどろと並べていきます。

内容がてんこ盛りだから、正直把握しきれなくなったけど、それを乗り越える負のパワーで全く気が抜けませんでした。

とにかく変態だし狂人だし、なんだけど生真面目で真っすぐすぎるくらい真っすぐ。ベクトルは間違っていても迷いないパワーで生き抜いてるところがキモチワルくて好きです。

いじめの標的になる生徒役の犬塚征男さんのいじめられ役から抜け出ていく様子が迫力。いじめられる器じゃない目の光が。。。母娘二役の菊地奈緒さんの幅の広さもびっくり。どちらかというとしっかりした人役の印象があったから、はかなげな女子高生から息子溺愛のエキセントリック母まで演じちゃうとは。

そして私の今回の俳優さんで最大の収穫は先生役の立浪伸一さん。冒頭から尋常じゃないイッちゃった目。怖い。学校教育、教師であること、生徒というもの、理想を高く高く掲げ信じ抜き、追いかけていく。間違ってるのにすごい力で突っ走るのが快感でもあり、背筋が凍る怖さでもあり。それだけならただの狂信者で片付くのに、変なところで生徒に邪念を抱いちゃったりするから、人間であることを思い出させられてますます怖くなりました。

それにしてもこのパワフルさ、はじけ方は、これまでの手探り状態からちょっとこの方向で間違いないんだっていう手ごたえがでてきたって感じ?こぢんまりするよりずっと楽しくって好き。でも舞台の作り方にしても、食べることに対する固執にしてもちょっと似通った感じでカラーができてしまうのはもったいないかな。全然違う形も観てみたいような、このままのキモさで突っ走って欲しいような。。。

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劇団うりんこ「ANIMAL FARM(アニマル ファーム)動物農場 」 2009/2/25 14:00

名古屋で30年以上も活動している劇団らしいです。基本、児童向け作品のようですが、今回はアゴラ初進出で大人向けの寓話。外部から作演出を招いて、っていうのも定番の形らしく、今回は文学座の高橋正徳さんの演出。

第二次大戦の頃に書かれた原作を基にして。虐待を繰り返す農場の主人にうんざりして抵抗を企てた家畜たち。さまざまな動物たちが崇高な理念を掲げて一致団結し、主人の追い出しに成功するが。いくら平等をうたっても集団というものの中にはヒエラルキーができ、指揮を執るもの従うものという構図ができあがってしまう。トップに立った豚たちは理念を破って暴走していき…。

農場を舞台にしながらも人間を皮肉ったかなりブラックなお話。

アゴラの舞台がこんなに狭く感じたのは初めて、ってくらいきっちりセットが組まれてました。両サイドには檻をあしらった足場が天井まで。いつもは高く感じる天井がずいぶん近い。そんなセットに人が入るともうギュウ詰めな圧迫感。その雑然とした感じがちょっとおもしろい。

お話の中身が、寓話として観るにはあまりにあからさまに人間社会の揶揄なのが少し胸焼けする感じだったかな。道徳の授業というか。直接的に教訓が伝わってくるとねぇ。観終わった後にそういえばこれって。。。っていうくらいの加減だったらいいのに。

ソ連の革命をなぞらえたお話らしいんですが、その辺よく知らない私には北朝鮮が思い浮かんじゃいました。万歳の場面とか。ああいう世界って言うのはこうやって作られていくんだなっていうのはぞっとしながらもなんか納得。

セットや小道具の使い方はおもしろかったです。舞台の壁や床は黒板のような素材になっているようで、チョークで文字や背景が書き込まれたり消されたり。リーダー豚が「動物主義」の七戒を定めてチョークで床に記していく。動物たちのほとんどは文字がわからないまま喝采。豚が暴走を始めた頃、読み書きを学んだ動物たちは七戒を確認しようとはするが、チョークの文字は消えていたり書き直されてたり。

リーダー豚が取引をする人間が、三輪車や子供の自動車に乗ってたりするのも滑稽でよかった。

ホームの劇場で、他の演出家で、など観てみたいな。

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FUKAI PRODUCE 羽衣「Y.I」 2009.2.13 20:00

行きたかったのはもちろんなんだけど、日程が狂ってしまい、某K企画をもう一回観るか、こちらをとるかさんざんさんざん、迷い続け、逡巡してこっちにしました。昨年のEKKYO-!!で観たっきりだったけど、それがゴールデン街劇場で濃密になったら、っていう魅力に抗えず。!私にしては珍しく当日券チャレンジで、ドキドキしながら。

よかった、入れました。すごい密度でしたけど。

作演出の糸井幸之介さんの私演劇のような様相をとりながら。湖で見かけた、聞こえなかったカップルの会話。役者へのダメだし。芝居の帰りによる果物屋の店員との恋。

どこを切り取ってもわりとキモイ。だけどものすごい生命賛歌っていうエネルギーがあるんです。うー、わからない。わからないのにすごくいい。

わりと同じフレーズが繰り返され、歌も繰り返される。それがとっても心地よい。どんぴしゃ共感まではいかなくても、なんかわかるよね、その痛み、わかるわかる、ってのがどんどん増大していくって感覚。

寂しくってたまらない、っていう心をくすぐる絶妙な歌詞。

よくわからない力で明日からちゃんと生きていきたいって思わせる。なんだろなぁ。すごくわからない。涙がちょちょぎれる切ない迫力。明るく明るく、生きてるっていいなと思わせるって不思議。舞台の雰囲気は決してそんなんじゃないのに。

このサイズだからなのかしら、とも思うけど、また次も大きく期待して行きます。迷ったけどこれはほんとに観ておいてよかった。

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劇団掘出者「誰」 2009/2/16 19:30

不思議な空気を持つ劇団掘出者。おしゃれでスマートな印象が強いけど、じっくり思い返すと結構人間模様がおもしろいんだよな。

大学のサークル「まなざしの会」。お互いに話を聞き、見つめ合い、毎日メールをし、電話をする仲間たち。リスカ女、裸で走り回る男、DV男、など。メンバーの一人が大学外からの入会希望者を連れてきて…。

姉のストーカー(板橋駿谷)に追い回され、殺されそうになったり、自分の大学のサークルについてこられたりする男(澤田慎司)。まなざしの会に出入りするリスカ女(寺本綾乃)。前半、その辺りのサークルでの会話が本当にぞくぞくするほど、微妙なラインで異様。自分の話したいことを話し続け、話をさえぎられれば「殺すぞ」と威嚇してみたり。相手の言葉は、ニュアンスとか空気とかを読まず、すべて額面通り受け取ってしまったり。相手の愛想笑いを許容せず、何に対して笑ったのかどこまでも追求したり。

ある意味とても素直でストレートな反応でもあるだけに、そのちょっとしたズレやかみ合わなさにぞっとします。自分を受け入れてもらうためにはまずは相手を、と、相手をひたすら観察し、言葉に耳を傾け、すべてを受け入れようと努力する。だけどそれは会のルールに則って、という部分も含めかなり不自然なんです。だからいろいろと齟齬が生まれ、観ている側を不安にさせる。

努力でがんばっているからふっとしたところで爆発し、衝動で何かを起こしてしまう。それがリスカだったり服を脱ぐって行動だったり彼女への暴力だったり。不器用に人と交わろうとする様子がとてもおもしろい。

なんとか同じような人間同士で傷をなめ合い均衡を保っていたところに入ってきた異質な分子。守衛だったり、学外のサークル員だったり、そのあたりに目線が集まってきてから組織は壊れていきます。私はちょっとこの辺りのみせ方は物足りなかったな。同じ方向を向くことで、これまでひたすらに追求されてきた言葉や会話の中身が普通になっちゃった感じがして。変に会話が成り立っちゃったから、痛みや脆さを抱えた人がただのおかしな人に見えてきちゃったんです。よくあるよね、的な。

舞台と椅子席の間に挟まったベンチのせいか、なんだか舞台に距離を感じました。それも狙いなのかな。背を向けていることが多いのもややストレス。

いや、でも本当に前半の会話がすばらしかったです。キャラの作り方、人間関係、そのサークルの存在の必然性、その描き方がおもしろい。

次がまたどうなるのか、期待が高まってきます。

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劇団鹿殺し「ベルゼブブ兄弟」② 2009/2/14 19:30

バレンタインとか全く気付かずチケット取ってました。もうちょっと気にはしとくべきだな。何をするでもなくても。

鹿らしさは好きなんだけど、二回観なくてもよかったかな、ってのが正直な感想。損したまでは思わないんだけど。。。

むしろ少しわからないくらいの方が満足したかも。

理詰めでいってしまうと粗が見えてくる。キレイにまとめたい部分とまとめきりたくない流れと。そこも魅力なんだけど。今回は力で押し切られる所より、あれって気になる部分が勝ってしまった感じ。

初日と比べて圧倒されるところがあんまり感じられなかったのも残念。

今日は妙にコバケンさんが弱っちく見えてしまいました。満足できたのは今奈良さんだけ。うーん、消化不良。

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コマツ企画「汝、隣人に声をかけよ」ドゲスバージョン② 2009/2/12 19:30

ドゲスバージョン2回目です。ドゲスの千秋楽。移動の電車内でも気味悪く笑いながら。

ものすごくもったいぶって語りたいところですが、どうにも我慢できないので簡潔に述べさせていただくと、楽しすぎ、大満足。

まず、作品として。本当に種々様々なシチュエーションが並んでいるので、その日その時でいろいろな感情が沸き起こってくる。これって実はすごいんじゃないかと思います、リピート好きの私としては。同じ場面でのその日の感じ方の違いはある。けど、観るたびいろいろな場面で心動かされるっていうのはそこら中に仕込みがされてるってこと。たいてい好きな場面とか印象に残る場面っていうのは回数を経れば絞られてくのに、この作品は逆に広がる感じがします。各場面が大切にされてるから、完成度が高まるにつれ浮かび上がってくる気持ちがいろいろで。

今日の私のポイントは、障害者施設の新入りボランティア・アズマヤ(東谷英人)と障害者の姉(横山真弓)の会話。自閉症の弟はいじめられっ子とかを確実に見抜くっていう、それが怖くて。アズマヤの表情はビデオ撮影でアップにされてもそのキョドり具合がなかなか。

冒頭のボーイズバー、ボーイの本井博之さんと客の平間美貴さんの視線のあわせなさ具合というか、話の進まなさ具合が、おかしい。つい脱いだ本井さんを見ちゃいがちだけどその場の不穏な空気が居心地悪くて好き。

数々のシーンのつながりもスムーズにおもしろくなってきている気がします。全体がわかっているせいかもしれないんですが。

ドゲス的見地から。名場面が脳裏に焼き付いてますheart04本井さんのむっちりした体、こまつさんの二プレス、変態市会議員カワシマの及び腰、ついにはダイちゃんまでパンツ姿。思い出し笑いをくりかえしちゃう。

そして。。。強く強く願えば思いは叶うものだhappy01一糸纏わぬ板倉チヒロさん。歓声が上がってました。私かbleah美しい上半身と、ご立派な下半身にメロメロです。ギリシャ彫刻風に飾っておきたい。作品の中では女の敵、エゲツない男の役だったけど、裸で女に襲い掛かる目の虚ろさとかすっごく怖かった。猟奇的に狂った男、その迫力が裸になったことでよりリアルになってて。ともあれ、ごちそうさまでした。嬉しい。

テレビ観ながらこれ書いてたら、浦井さんの声がしてびっくり。あ、「いぬのきもち」のCMだ!舞台上とのキャラの違いにとまどうなぁ。

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コマツ企画「汝、隣人に声をかけよ」ドゲスバージョン 2009/2/9 19:30

やっとドゲスバージョン開幕。一日中にこにこ、いやニヤニヤ過ごしました。よだれ垂れてなかったか心配。

裸体裸体lovelyってだけじゃなくって、作品としても何が違うんだか。あれだけ抑えに抑えたノーマルバージョンと大筋変わらずにドゲスにできるのか。

オープニングの怖さは変わらず、ぞわっとした後、ボーイズバーの店員役・本井博之さん登場。ありがとうございまーっすsmile凝視。…したいけどちょっと遠慮しつつ。

ボーイズバーに通う女、都市伝説の深夜の全裸男、浮気をする年下の彼、変態市会議員。話と関わってるようで本筋を変えない、巧みな技でドゲスに。チラ見せだったり大胆見せだったり、くすぐられるわぁ。

何がいいって、笑うことで緩むこと。普通バージョンの緊迫感も魅力だったけど、緩んでふわっと受け取ることで同じ内容がとってもやわらかく感じちゃう。同じようにやってるだろう演技も台詞も。

本日のじわじわと効いてきた場面。ユーリくん(森田祐吏)がまた友達殴っちゃって市会議員カワシマ(川島潤哉)に理由を尋ねられるとこ。「目を見て頼まれたから」。頼まれたらなんでもやるんかっていう質問が意味を成さないほど強力な、目を合わせるということ。当たり前のようで当たり前じゃないんだな。重い。

一方で私が大好きな場面は自閉症のダイちゃん(浦井大輔)がボランティアのリョウコさん(奥野亮子)に、レンアイやイロコイじゃないんだよなぁってつぶやきながら、トモダチとして手をつないでって言う場面。自閉症だから絶対に目は合わせない、合わせられない。だけど最大限の力で伝えようとする言葉。伝わってるよ、十分。

最後の、みんなで「思い出のアルバム」をうたう場面。心が柔らかくなってたからか、俳優さんの表情がすっごく優しく見える。こんな歌を仲良く歌うなんていう最上級の恥ずかしいことを、あんなドゲスな場面を見せた後でやっちゃうんだから、演劇ってすごい。ちょっとは照れてよ、って言いたくなる。

こうなるとやっぱり普通バージョンを確認したくなっちゃう、いろいろと。いや、ドゲスバージョンも見のがした部分がないか確認したいけど。

板倉氏の上半身が見られなかったのが心残りです。

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むーとぴあ「この世界にはない音楽」 2009/2/8 19:00

終わった後にも思い出し泣きが止まらないよぉ。ヤバい。

この立て込んだ時期に旗揚げのユニット、すごく迷ったけどほさかようさんのこのホンがすごく好きなのと、澤田育子さん好きなので行くことにしました。

死にたい人間と契約して魂を抜く悪魔。でも人がよすぎる悪魔はいつも生きる元気を与えてしまい、契約取れずじまい。ついに今回契約が取れなかったら二度と人間界に降りられないっていう試練が。自分では奏でられない音楽を人間界に行って聞くのが楽しみな悪魔は、この仕事を続けようと必死に契約を取りに行くんだけど…。

西川浩幸さん演じる死にたがってる作曲家に出会った武藤晃子さん演じる悪魔。この悪魔がなんともいえずキュートlovely一生懸命でマジメで素直で。どんな状況になっても相手を思いやり、悪魔から見たらちっぽけな人間の最後の願いをどうにかして叶えてあげようと躍起になってる。恐ろしい悪魔のはずなのにかわいくてかわいくて、つい一緒になってハラハラドキドキしちゃってる。

好きなお話だけに化け方は心配だったけど、武藤さんの悪魔だけでぶっ飛ばされました。脚本の優しさと武藤さんの雰囲気がぴったり。

そんな悪魔を見守り、厳しいことを言いながらもちゃんと助けようとする悪魔の上司役の澤田育子さん、やっぱりぴりっとかっこいい。

無邪気にくるくると表情を変える悪魔に最後はぽろぽろ涙が出ちゃいました。カーテンコールで素に戻ってるのに、西川さんが武藤さんに「悪魔っていうより天使だよ」なんて静かに言うのを聞いたらまたぽろぽろ。いや、もう世界戻ってるから、って自分に言い聞かせても。

泣きながらだけど幸せな気分で帰りました。

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東京タンバリン「静かな爆」 2009/2/8 14:00

今月の小劇場界はどうかしてると思います。楽しみな作品が目白押し。もうちょっと分散してくれないとなぁ。しかも実際観るとどれもちゃんとおもしろいんだもの。リピートしたくなっても時間がありゃしない。悔しい。

夏からずっと楽しみだったタンバリン。高井浩子さんの書くお話が大好きです。心の襞に分け入って来てちくちく刺されて痛いんだけど、ちょっと快感でもあるような。優しく冷静な目線。

また今回も舞台がすごいことに。駅前劇場ってこんなに広かったっけ?っていう不思議な形。まわりに釣り下げられた金属の筒。???何が起こるんだろう?

編集社にイラストやデザインの仕事で新しい女の子がやってくる。彼女は耳が聞こえない。会社の人たちは面倒だからと話すのを避けたり、かわいいからとデートに誘ったり、可哀相だからと仲間に入れようとしてみたり。会社に出入りするカメラマン・五十嵐は無駄話ができないから、とあからさまに仲間外れにする。話し好きだという五十嵐だけど家では妻の話はろくに聞かず、夫婦の会話は成り立たない。淋しく思う妻はブログやバイトを始めて、夫以外とコミュニケーションを取り始めて…。

コミュニケーションをテーマに。コマツ企画とカブってる。同じ時期で不思議。テーマが似てても映し出される世界がこれだけ違うっていうのも不思議でおもしろい。

話をする、コミュニケーションを取るってなんなのか考えちゃいます。言葉は万能じゃないし、言葉にしたからってすべてが伝わるわけじゃない。けど言葉が奪われたら。。。話しなんかしなくてもわかりあえるかもしれないし、そうだったらいいなって思うけど。全員がその状態なら全員で努力ができるけど、もし自分だけがコミュニケーションのツールを持っていなかったら。。。

耳の聞こえない聡美(大田景子)、音はなくても言葉は持ってるし、普通の感覚も持っている。決して際立って優しくもないしピュアでもない。なのに障害があるというだけで特別視。普通に関わる、ってなんだろう。そんな疑問に対して、次々とサンプルを見せられてるような。これも違う、あれも違和感。

一方で言葉が通じる同士での成り立たない会話も見せる。自分の言いたい事を言っているだけ。そういえばこんな感じで毎日って出来上がってるよね、みたいな気分になる。じゃあ会話ってなんなんだろ。

聡美側から見た世界がちょこちょこ挟み込まれるのがおもしろい。音がないってだけ、それだけで大きく違うけど、一緒でもある。 細かい話はわからなくても場の空気やニュアンスでいろいろ感じる。聡美の不安そうな表情や怒った顔がすごくいい。

五十嵐の家庭の絵。妻のブログって言うのもすごく現代的で。こういうふうにブログを書いてる立場で考えると、やっぱりブログ上のコミュニケーションていうのはリアルでもありバーチャルでもある。演じることはできるけど生活も見え隠れしてしまう。それでも外とつながろうとする妻の姿とうっとうしがる夫、傍から見ると悲しい。

瓜生和成さん演じる五十嵐、いかにもな仕事人間父さんぶりが痛い。無駄話が好きだ、それができない奴とは関わりたくないとあからさまに言い、聞こえなくてもそういう雰囲気は伝わるから聡美に睨まれる。そうすると自分は嫌われちゃって、と嫌われた理由は棚に上げて。そういう言動でウザがられるけど本人は気付かず。うちに帰れば威張り散らし、話好きがどこに言っちゃったと言うくらいに黙り妻の話を聞かず。あああぁ、勝手。

なのに瓜生さんだとなんだか憎みきれないんだよな。彼のおかげで毒が薄まるから、変に感情移入せず全体をバランスよく楽しめた気がします。

ごちゃごちゃといろいろ考えたけど、考えながらも作品から離れず引き込まれたのがまた不思議。脚本に負けずに演出がおもしろいから。今回は音の使い方がすごい。石を踏む音、金属の筒を叩く音、マイクを通した声、次々と投げつける台詞、そして無音。うん、すごい。

作品としての完成度がとっても高いんでしょうね。お話と演出と演技と、どれもがおもしろい。笑ったり悲しくなったり納得したり、ぐるぐる自分の中をかき回されるような、変な感じ。単に笑ったり感動したりもおもしろいけど、違う形で突きつけられたおもしろさ。振り返るとこのタイトルにさえ、深く深くうなずいてしまう。大満足。

あーあ、じっくりとまた観たいのに。時間が足りない。

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スロウライダー「クロウズ」 2009/2/7 19:30

スロウライダー最終公演。解散の理由は語られてないみたいですが、一つの形が終わるってのは淋しいな。

感染するとゾンビになり、防腐剤を打ち続ければ不死になる、という病気の蔓延から一年。日本本土では防腐剤の処方が禁じられてほぼ鎮圧できたが、ある島では一人の女医が防腐剤を作り続け、クロウと呼ばれるゾンビ達と共存していた。島の観光業者と県の職員が連携して女医の保護とクロウの制圧にあたるが…。

開始10分でもう釘づけ。うまいなぁ。今日は眠くなりそうだなあってヒヤヒヤしてたのが嘘のように、完全に物語世界へ。思わず声が出そうになるくらい恐かった。

人間として生きる、生きるってのはそういうことだっていうある意味人間であるエゴと、ゾンビになってもまだ「生きている状態」とするけど、不死の辛さも自覚した謙虚さ。どっちも痛々しい。人間として突然ウイルスに感染する。発症前ならまだ普通に死ねる。けど死んだら何もかも終わり。ゾンビとして生きれば、制限はあっても生きていられる。究極の選択。

人の肉を食らえば楽に生き延びることができるクロウが、防腐剤を失った時にもあえて食べずに滅びていく様子は本当に怖い。むしろ人の肉を食べてでも、って思うほうが安心できてしまう。

人格者のクロウの代表を演じた池田ヒロユキさん、一言の重みがすごい。それでも人間臭さを持ち合わせてしまう悲哀が切なくなります。

とにかく最後までぎゅいんとお話につかまれてしまい、ぞくぞくしながらすごすことができました。

でも終わってみるとスロウライダーらしからぬ親切でストレートな作品だったな、と。おもしろさに引き込まれはしたけど、ストーリー頼みっていうのか、残る感触が違うような。。。お話の見せかたは魅力的だったけど、話が怖かっただけで生の迫力で怖がれなかったってことなのかな?これなら映画かなんかにしたほうがいいのかも。なんていうか、もっと割り切れない感情というか、もやもやした気持ち悪さがほしかった。

難しけりゃ難しいで眠くなるし、単純にわかりやすけりゃ物足りないし、って文句ばっかりだけどcatface

スロウライダーだからこその期待だったんだと思います。大人なまとまり感は初日のせいなのかもしれません。もっともっとぞぞっとするといいな。

今後どのような形で劇団員の方々が活躍するのかわかりませんが、どこかで観られるのを楽しみにしたいです。

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あひるなんちゃら「フェブリー」 2009/2/7 15:00

クロムの金沢涼恵さんやelePHANTMoonの永山智啓さんやパラドックス定数の小野ゆたかさんや乞局の墨井鯨子さんやチーム下剋上の篠本美帆さんやヨシロォ…の異儀田夏葉さん、私の大好きな俳優さんだらけ。70分に閉じ込めちゃうのがもったいないくらい。その贅沢があひるなんちゃらですけど。

東京行きのフェリーに乗り合わせた人々。「愛している」が口癖の男、パンクバンドを追っかけする女の子3人組、究極のカカオについて調べてまわるパティシエとその弟子、卒業旅行の二人、行き先を間違えて乗ってしまった男。ぐだぐだと言葉を交わしていく。

やー、おもしろかった。会話は成り立ってても意志は通ってなかったり、もんやりだけど、今回は笑える。言葉の端々のちょろっとしたツッコミが冴えまくり。

小野さんがまさかこんな変な人をやるとは。パラドックス定数のイメージが強すぎて、おかしなこと言ってるのに説得力ありすぎ。

金沢さん墨井さん黒岩三佳さんの追っかけ女子が好き。メイクと衣裳かわいい。適当に場を仕切る墨井さんに迎合する金沢さん、なんだかいつも虐げられちゃう黒岩さん。バランスいいわぁ。仲いいようで全然噛み合ってない。

永山さんのキャラが最高。愛しているって言いまくりのイケメン。ちゃんと本当の恋に出会うんだけど…。なんだかおいしすぎです。

あー楽しかった。作演出の関村俊介さんが出てなかったのは淋しかったけど。

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コマツ企画「汝、隣人に声をかけよ」 2009/2/6 19:30

初日、待ち焦がれてました。あんな怪物劇団員に、若手からベテランまで網羅した客演の方々。そして静かに会話を楽しむ演劇、という新境地。絶対立ち会わなきゃ。

意外にも対面舞台。どこに座るかすっごく迷って手前側に。でもこれはどこに座ってもハズレはなさそう。どこに座っても誰かの顔は見えないのはしかたない。

筋というものはあってないよう、ものすごく説明しづらい。すすきののボーイズバーに出入りする女たち、障害者施設のボランティアと職員と障害者とその家族、よくおしゃべりするご近所の主婦仲間やその子供、ゴミ屋敷に住む老人とその面倒を見る市会議員、宗教に勧誘する人、全く脈絡のないように見える人たちが大勢出てきて、いろいろな局面で関わって、コミュニケーションをとろうとしてみる、そんなお話。

どっしりしたオープニング、全員登場での冷たい雰囲気にぞぞっと鳥肌が立ちました。怖い。なんだか得体の知れない怖さ。名前を呼ばれて振り向いて、でも誰もいない。

始まってしばらくは登場人物が多いこともあるし、コマツらしくない雰囲気もあって、かなりとっつきにくい。あれ、これで大丈夫なのかなって心配になるくらい。実験が実験に終わっちゃうんじゃない?っていう。

ひんやりとした空気を保ちながら場面が進むにつれ、怖さと優しさがないまぜになり、観ながらしかめっ面になったり笑ったり、忙しい。音響のせいもあり、基本怖い。なのになんだかどこだか共感してしまってるのか、懐かしくなるような身につまされるような、変な感触に襲われるんです。

そして後半になって多くの登場人物がちゃんと収束されていく。これが見事。不安定にゆっさゆっさ揺らしておいてちゃんと着地点が用意されて、温かく包まれる。涙もろくなっちゃって、泣いちゃった。

中盤の全員登場でぐるぐる回りながらの独白シーンは、ほんとぞくぞくしました。リアルに聞こえてしまうような切実な感じの台詞を、本井博之さん、川島潤哉さん、浦井大輔さんにしゃべらせ、ほかの人たちはひたすらぐるぐる回る。アイマスクをした板倉チヒロさんを突き飛ばしながら。円に出たり入ったりしながら。生きてるってこんなもんかぁなんて。

オープニングと中盤の全員シーンがあるから最後の全員のシーンがじんわりと素晴らしいんです。それぞれ別の歌を歌い、平行線を描いているように見えて、きゅっと円になってみんなが同じ歌を歌う瞬間がある。愛だなぁ。

表情とか仕草とかを極力抑えた状態だから怖かったんだろうけど、だからそこに浮かび上がって来る感情とか、生き様とか、しっかり伝わってきたんじゃないかと思いました。

映像の使い方もすごくよかったです。文字は追うのがちょっと大変だったけど。舞台上で実際撮っている映像がそこに映し出されるんだけど、生で目で観るその目の色と、映像で観る目の表情がずいぶん違ってみるシーンがあって、またそれも怖かった。板倉チヒロさん演じる若い男に裏切られる主婦、こまつみちるさんの顔、特に。

作演出のこまつみちるさんというひとは本当にすごい方だと思いました。変な言い方をすると遺作のつもり?!ってくらいのエネルギーとメッセージを感じたのに、普通に一作品、らしい。すごい。

終わってすぐにその場でパーティー。隣の人と話しなさいというコンセプトが一貫しててうれしくなる。その告知をする本井さんとこまつさん、まるで「結婚しました」って報告してるような素敵な笑顔だったのが印象的。

俳優さんたち、弾けたいのに抑えてる部分をドゲスバージョンでは発揮するのかな?そっちもわくわく。存分に脱いでほしい。何が起きても引きませんからlovely

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劇団鹿殺し「ベルゼブブ兄弟」 2009/2/4 19:30

早く観たくてたまらず初日へ。鹿殺しに赤坂って街は似合わないけどbleah

鹿殺しの先行は最前列の1番から順に売るみたいです。何度か買って知りました。だから時間と同時に買ってしまうと最前列の端っこになってしまうのです。今回はそれを注意して5分か10分経ってから買ってみました。見事に狙いは当たりました。一応センター。

でも、なぁんか上手側のほうが観安そうに思えたな。

旧家の座敷のような舞台。結構作りこんであります。

隆志、隆子、正隆、正弘の羽根田家4兄弟。上2人と下2人は腹違いではあるけど兄弟独特の絆を感じながら生きてきた。隆志(小林健一)は父の正造(今奈良孝行)と折り合いが悪く、子供の頃は蔵で折檻を加えられたりしていたが、大人になるとミュージシャンの夢を諦めて父の会社で働く。隆子(菜月チョビ)は喘息もちのド近眼で家の中でこもりがち。正隆(丸尾丸一郎)は大きくなって家を捨て東京でミュージシャンを目指している。正弘(山岸門人)は作家を目指して執筆中。父が亡くなったことで十数年ぶりに集まった兄弟たちだったが、過去の様々なわだかまりが爆発して、通夜に集まった人たちを巻き込み殺し合いを始め…。

とんでもなく血塗ろで暗ーい話。だけどちょこちょこと笑いがあったり、優しさがあったり。田舎の町のホラーなんだけどパンクで愛嬌がある。

複雑な家族関係とかその中でのお互いへの思いとか、血の通った温かさを持っているのに、表面素直になれずにぎすぎすし、殺し合いにまで発展する。思いは繊細なのに行動は一直線で激しい。そのふり幅、さじ加減にぶれないどっしりとした軸のようなものが感じられ、ああ、鹿殺しだなあと体に沁み入ってきます。

生きることの生々しさと、虚構だからこそのお祭り騒ぎが絡み合って根を生やしてる。

配役はすべて本読みをしながらしっくりくるところを探したってことでしたが、ほんとに絶妙な兄弟。誰が誰でも成り立つとはアフターイベントで言ってたけど、いや、これがパーフェクトなように思えました。

一番お兄さん役のコバケンさん。動物電気での家族モノと大きく違う陰のある激しい役柄。ぶっとんでいながらもお兄さんとしての貫禄というかリーダーシップのようなものがある。こんなにフザけないコバケンさんが観られるなんてちょっとびっくり。

唯一の女の子のチョビさん。いつもの鹿殺しだとチョビさんをフィーチャーしてる雰囲気が大きいけど、今回はどちらかといえば上と下に挟まれた裏方側。でもそれだからこその存在感がよかった。

独白の多い正隆・丸尾丸さん。実際は長男に生まれたのに色々な都合で次男になり、気弱だけど家を飛び出したりっていうやんちゃができる、でもうじうじ悩んで挙句爆発するっていうすごーく微妙な色合いがしっかり出てた。

末っ子の山岸門人さん。いかにもふがいない甘えんぼな感じがキュートで母性本能をくすぐる。

お父さん役の今奈良孝行さんが最高です。ベストお父ちゃん賞。かっこよすぎ。

クロムモリブデンの森下亮さんが意外にもおまわりさんやらマダンナやら、で変身しまくり。クロムじゃ観られん姿です。ちょっと去年のペガモ星人ちっく。マダンナがやたらときれいでどぎまぎしました。

お話、最後がちょっぴり腑に落ちない部分がありましたけど、どうなのかな。

チョビさんの台詞トチリがあったり、犬の鎖が柵に絡まったり、雪を降らす手が丸見えだったり、初日っぽくて楽しかった。

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高山植物園「天の空一つに見える」 2009/1/31 19:00

ふわぁ、重たい。観終わって残るモノがひどく重い。なんだろ、この感じ。

高山植物園、4年ぶりの公演ということで私は初めて。主宰の高山さなえさんて、プロフィールみても生き方がおもしろいし、チラシや当日パンフでの母親の取り上げ方もなんだかおもしろい。かなり興味がわく。

地域で開いている女相撲の道場で。親方の奥さんが亡くなり、四十九日が済んだところで道場は再開。地域の奥さんたちが毎週楽しみに集まってきてるけど、奥さんを失った親方の心の傷は思いのほか深く、再開した道場を閉めたいと言い出す。そこで出てきたそれぞれの感情は。。。

前半のほのぼの感がどうも私にはうそ臭さに見えてしまい、ちょっとついていけるのかげんなり。

私のネックは方言でした。いや、すべて標準語でっていいたいわけじゃなく、自分の身体にしみ込んだ言葉じゃないとしっくりくるまでに手間取ってしまうってこと。なじみのある方言ならばそれに越したことはない。作る側も観る側も。だから地域で作るなら絶対そこでの言葉。だけど、東京でことさらそこの出身地でない俳優が話す方言はどうしても辛い。上手い下手ってだけじゃないフィット感がないと。

親近感を出すために田舎娘を使ったAVとかあるらしいけど、素朴さは出せてもそれで萌えるかって言ったらそうでもないらしいですよね。関西弁を話す女の子をかわいいとは思っても関西弁で喘がれたらちょっと引く、みたいな。そんな感覚なのかしら。いや、なんか例えがおかしいけど。

聞き取る言葉の意味と、そこに込められる気持ちが私の中で乖離するから、変にわざとらしく思えてしまう。それが前半辛くて集中できず。

が、道場に通う女とその夫が取り組みをするあたりから、言葉に頼らないむき出しの思いを感じられるようになり、そこからは目の覚める思い。

多少言葉に過ぎると思う場面もあったけど、それを超えるなんだかわからない迫力が押し寄せてきました。女とは、生きるとは、かなり壮大なことまで触れてたようでしたけど、なんかその中身はどうでもいいような。佇まい、動き、言葉の発し方、土俵での取り組み、縄跳び、フラフープ。。。決して客席に向かって放たれてるんじゃない、その表現にすごいエネルギーを感じてしまったんです。

観てる間は圧倒されるばかり。で、その後すごくひりひり痛い。心をざらざらとこすられたような。何を考えたらいいのかもよくわからないのに、考えなきゃいけないような気分にさせられて、いやな感じじゃないけどすごく重たいものを背中に乗せられた気分。

言葉に反応したわけじゃないから、言葉で表せるモノではないんです。作者の情念と言うか圧力と言うか、その感触がすごくおもしろかったです。

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イキウメ 「イキウメ短篇集(図書館的人生Vol,1、Vol,2から)」 2009/1/25 14:00

先々週のミスを思い出し、腹を立てながらNHKへ。今日は間違ってなくてよかった。しかも前回6列目まで段差なしだったことを確認したから、席は7列目で取りました。なかなかいいポジション。

短篇4本で。

「塞の河原で踊りまくる「亡霊」」これは去年10月に観たばかり。イキウメならではのひんやりとしたいやな感じは相変わらず。板垣雄亮さんの人間臭さがいい。

2つめと3つめは初見。だけど2つめ「輪廻TM」はハイバイバージョンを観たばかり。これ、こぢんまりしてるから大きなホールには向かないな。顔芸が目立たない。比べたくないけど、ハイバイ@リトルモアの方が。。。

3つめ「ゴッド セーブ ザ クイーン」女が自殺しようと屋上で構えてたら、おかしな男2人がやってきて、止めるでもなく促すでもなく。女は会社の金を横領した挙げ句、それを知られた同僚を殺しちゃったところだったけど、微妙に飛び降りにくくなっちゃって。困っていると、男たちは女の次の輪廻先を調べだして。。。

ぐだぐたした感じはそんなに好みじゃなかったけど、2つめの話とのリンクが見えた瞬間、ぞぞっとした。うわぁ、こういうことだったんだ、輪廻TMのあの人。こういう小技、大好き。これだからイキウメはやめられない。

4つめ「瞬きさせない宇宙の「幸福」」これもこの前みたばかり。隕石を見た瞬間想像を超える幸福感に包まれて、見ていることすら忘れて見入ってしまう。そのちょっと甘いファンタジックな設定と、見つめてしまう呪縛からは自分では逃れられず死ぬまでそのままっていうホラー部分と。ちょっと間抜けだけどそんな壮大な幸福感に包まれて死ぬなら。。。ってちょっと哲学的で、考えちゃう。怖い、けどおもしろい。

NHKでもまあちゃんとイキウメテイストは保たれていて、満足。

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フルーチョ「雨とレインコート」 2009/1/30 19:00

久しぶりに、驚きも発見も笑いも怒りもなにもない、感情の動かないつまらないお芝居に出会っちゃった。

よく知らないけど、3年ぶりの公演、2年半かけて書いた脚本だそうです。

30歳にもなって引きこもる兄、兄を疎ましく思う妹、父の愛人から妻となり兄妹の母として一緒に暮らす女。コミュニケーション不全のままそれぞれ勝手な生活を送る。兄は自殺サイトで知り合った女の子を部屋に連れ込み、心中の計画を立てる。妹は彼氏との間に子供ができたようだと悩む。帰ってこない父を待つ母は隣家の主婦・幸せの会の会長と親しくなり、スナックで働き始める。そんな家庭でのできごと。

俳優さんはさすがに上手なのに、脚本の薄っぺらさでどうにも見ていられない。どの人物も背景としての人生が全然感じられない。台詞ばかりが上滑りして、辛い。

兄の引きこもる訳、心中しようとしながらしない心の動き、出会った女の子の兄に惚れるまでの気持ち、兄を毛嫌いする妹、そんなかわいげのない子供たちを年が変わらないのに子供として愛そうとする母の気持ち、何から何まで共感できない。わからない。

今日の私が異常に鈍くなってるのかしらん。つまらないのに怒ることさえ思いつかない。妙に疲れたなってだけ。

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うずめ劇場「ねずみ狩り」 2009/1/29 15:00

福岡から東京に拠点を移して最初の公演らしいです。すごくチケットが売れてるようだったから気になって。全く情報もないまま。

オーストリアの作家が40年近く前に書いた作品をドイツ人演出で。どんな雰囲気なんだろ。

初めてのドライブで巨大ゴミ捨て場にやってきたまだ付き合う前の男と女。相手を知りたくて、知ろうとするあまりに二人が取った行動は、すべてを捨て去ることだった…。

脚本が内包してるモノはおもしろいかと思うけど、どうにも最初の設定が。。。なんていうか、タランティーノの映画みたいなキチガイドライブシーンから始まるのに、場面は日本のゴミ捨て場、しゃべる言葉は九州弁。うーん。身近でも遠くてもどちらでも受け入れられるけど、この中途半端さはとまどうばかり。

男も女も表層的に相手を知らないから、を繰り返す。女、夜中に二人で人気のないゴミ捨て場にドライブに来てて、ニューヨークの娼婦みたいな格好してて、なにカマトトぶって。男、相手を知りたい知りたいっていうけど引き合いに出すのは車。車のパーツのように女を部品に分解したいっていうような発言はどうなのよ。

お互いを受け入れるために持っているものをすべて捨てようとする。ポケットの中のもの、かばんの中のもの、お金、すべて。さらけ出そうと言う気持ちはわかるんだけど、そのやり方がどうにも物質的過ぎて薄っぺらく感じてしまう。そのやり方というか、ぽいぽい周りや舞台を汚す感じも、私は好きではないです。化粧品使ってぐちゃぐちゃしたりとか。

なんていうか、演出上とかテーマとか、必要性があって散らかしたり投げたり、っていうのは全然いいんですけど、むやみに奇を衒うような、こんなことまでしちゃうぞアピールみたいなやり方は受け入れられないんですよね。ネズミを撃つための銃の使い方も、客席に向けてパンパンやるのはなんかイヤ。音とかインパクトでびっくりさせたいのはありだけど、客狙わなくてもいいし。

その薄っぺらい感じをどうにか無視しようとして、がんばってたら、最後だけはどうにか受け入れられました。っていうか予想はしたけど奇抜だったからびっくりしたって感じだけど。俳優さんのがんばりを。

アフタートークで演出家と翻訳の方の話を伺いましたけど、自由度の高い脚本のようなので、翻訳の方の意図もずいぶん入っていたのではないかなあと思いました。方言を使ったこととか。見せ方によってはずいぶん違ったものになりそうな脚本には興味があります。そして4つのバージョンそれぞれ違う演出がなされているそうなので、違いは観てみたい気がしました。

セットの無機質なゴミとお月様はちょっといい感じでした。

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4x1h project Play#2 「ソヴァージュばあさん/月並みなはなし」 2009/1/28 20:00

マチネからずいぶん間があいちゃったから、おうちに帰って昼寝して出直し。体調万全にして観るぞ。

「月並みなはなし」、この疾走感にぞくぞくしちゃう。話のキモの部分とテンポで押す部分のメリハリがいい。

黄眼帯のコウドウさん、素敵。熊川ふみさん、小柄なのに重量感ある迫力。惚れるわ。片目であの目ヂカラはなかなか出せない。

赤チームと黄チームでのちょっとした空気の違いも、おもしろかったです。ぴったり重なる前半から少しずつずれたり個性が出てきたりする後半へ。同じ脚本でシンクロさせて進めても、俳優の組み合わせやコトバ一つ、立ち位置の違いとかで変化が出る。無限に楽しめそう。

「ソヴァージュばあさん」、何度観ても始まる瞬間のすっと空気が締まる感じがいい。気温が5度くらい下がる感じ。

菊池美里さんのソヴァージュばあさんのすばらしさはもうこの際当然として。いい俳優さんを揃えているだけに、兵士たちもそれぞれに個性があっていいんです。

独白をする通訳でもある上野友之さん演じるアヒム。その姿から猟銃に模されたりするのもおもしろくって。でも基本インテリのしっかり者でやたら男前に見えちゃった。実はばあさんをよく観察しててとても慕ってるけど素直に出さない出せない兵士の役に酒巻誉洋さん。突っ張ってるのにちゃんとコミュニケーションしてるところが、ソヴァージュばあさんのひねくれ方とぴったりで、やっぱりうまい。一瞬一瞬の表情が見逃せない。ぬぼっとした坂口辰平さんはキャラどおり前に出てコミュニケーションするわけじゃない、けど常に後ろから様子を伺う感じが、兵士としての用心深さのようにも見えて。

4人の雰囲気が、あんなに言葉も少なく時間も短いのに、ちゃんと出会いの警戒から信頼に移っていくように感じられる。

とにかく、私にとってこの公演はとても心地よかった。何が好きか、ってうまく言えないんだけど、居心地のよさってのもあったのかな。4×1hの企画の狙い通りにまんまとはまっちゃった。

昼間に観たtoiと合わせて、なんとも幸せな一日でした。

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劇団銀石「写楽コンプレックス」2009/1/29 19:30

桜美林系の劇団はやっぱりキャンパスが遠いからなかなかお試し、って気分にはなれません。でも、だから、都心で公演がうてるようになれるってことだけで信頼できちゃうかも。

東洲斎写楽を題材に。過去を捨てようと母親を姥捨て山に捨てたトラウマを持ちながら、浮世絵を描こうと苦労を重ねる写楽。一方で世界的には新大陸発見の動きなどがあり、写楽の作品は世界でも高い評価を受け。。。

当日パンフにあるとおり、本当にすごいエネルギー。これでもかとぶつけてきます。またそのテンションを全員が揃えてるからすごい。楽しい。かなり俳優さん訓練してるんだろうな。

ただマックス状態でずっと続くので、私は全部を受けとめ切れなかった。圧倒されてぼんやりする瞬間ができてしまい、言葉がとどまらずに流れていってしまいました。せっかくのパワーが逆効果に。。。抑える部分もあるとじっくり味わえたのに。

私の趣味ですが、衣装がとっても好き。カラフルでポップで。髪の色から足の先までちゃんと作りこまれている細やかなセンスがいい。写楽の母・ゴクロウのスニーカーが片方だけ折り返されて柄が見えてたりとか、北斎の髪飾りとか、ルノワールのタイツとか、伊能忠敬の髪型が場面によって変わったりとか、セザンヌの手のペイントとか、もう大好き。

交流もあるせいか、雰囲気は柿喰う客に通じるモノがあります。しゃべり方や動き、コトバでの遊び方まで。今回は類似点が気になっちゃったけど、育っていき方は違うはず。だから次がどうなるか、楽しみ。

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toi「四色の色鉛筆があれば」 2009/1/28 14:00

トラムの2つめ、平日2日間3ステージのみという観客泣かせの公演。期待たっぷりで。

濃い4本立て。

一つめ、「あゆみ」前回公演と同タイトルだけど人数を3人に絞っての改編。あゆみちゃんと幼なじみのみきちゃんの人生の歩み。演出は前回同様、会話をしながら右から左へ、左から右へとひたすら歩く。

幼い頃のちょっとした思い出、移り変わっていく風景が見える。じんわりほろ苦く感じるような懐かしさが優しくっていい。

まぁ前回公演あっての、って面もあるけど。

二つめ、「ハイパーリンくん」大人数でガヤっと出てきて、ストーリーはない。宇宙についての一考察、とでも言う感じ。

理科と数学と歴史の授業みたいな。虹の成り立ち、円周率、万有引力の発見、などなど質問、会話しながら、時にラップのリズムに乗せて軽快に。よくわからないけど楽しくなってくる。

10のN乗の距離を説明しながらの後半は、だんだんと舞台が客席まで拡散していく。包み込まれるようで心地よい。照明も落ちた中、四方から響く俳優の声に耳を澄ませながら目を閉じていると、ゆったりと世界が変わっていくよう。私は今、宇宙の中、この輪の中、作品自体の中。涙が出てくるくらいの幸せなトリップ感。

三つめ、「反復かつ連続」内山ちひろさんの一人芝居。てっきり場つなぎくらいの軽いものかと思いきや。。。いやいや、すばらしい。

ある家庭のある朝の風景。目覚まし時計で始まるいつもの朝。寝起きの悪い娘がぐずりながら朝の支度をし、学校に行くまでのシーンを淡々と描写します。

終わったと思ったらまた目覚ましのシーン。さっきの娘の声だけ流れ、そこで今度はお姉ちゃんが演じられる。あ、そうか、そういう会話だったのね、と楽しんでると、また一巡し、次。子供は実は四人姉妹、そして母、最後に祖母…。

この何度も反復されるシーンがなんともいとおしい。なにげない、この家族の中では何度も繰り返された朝なんだろう。だけど決して今も繰り返されてるわけじゃなさそうな、ノスタルジー。誰の記憶の中にも断片がきっとある。

私の弱点が母娘モノっていうせいもあるけど、気付いたら涙がつーっと流れてました。手が届かなくなっちゃった幸せな時間。でもその時間を経てきたことだけでも幸せ。

こういう形の一人芝居、おもしろいな。ズームイン朝のテーマの一人セッションだなんて。

四つめ、「純粋記憶再生装置」今はもう別れてしまった男女の記憶。そんな出来事ほんとにあったかどうかすら、今となっては思い出せないけど、幸せだった頃の思い出の再生。

男女二人ずつだったから二人一役かと思ったら、性別関係なく四人で二役。身体の役と台詞の役はバラバラで、ある二人がだらりといちゃついていると、その台詞は外側の二人が発していたり。身体は男性として振る舞いながら台詞は女性役だったり。不思議なちぐはぐ。

口パクにはちょっと違和感もあったけど、おもしろい。言葉を発する人、感情を持つ身体、そのずれがどこからどう生じているのか、きょろきょろしながら探す。誰がどうだとしても、幸せなころの記憶だから皆幸せそうなのがうれしくなる。

ただ、4人だけにしては舞台が広く感じてしまいました。雪の場面にはあれくらい広いほうがよかったかもしれないけど、奥と手前に分かれてしまうときょろきょろしにくい。

うん、でもどの切り口にしてもおもしろい。これをおもしろいとしか言えないのがもどかしいんだけど。意外性たっぷりの演出が、言葉や身体でちゃんと裏づけされているから、安心してどっぷり感情を解き放てるのが幸せ気分につながってると思う。うん、観て幸せになれる作品はいい。

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4x1h project Play#2 「ソヴァージュばあさん/月並みなはなし」 2009/1/26 20:00

菊地奈緒さんが素敵な脚本・演出・俳優さんを集めたこの企画。だんだんとすごいことになっていってますね。どちらかと言えばWIPも観た「ソヴァージュばあさん」目当てで。「月並みなはなし」は若干恐いもの見たさあり。だって中屋敷演出なんて想像できないんだもん。

まずは中屋敷法仁演出の「月並みなはなし」。月に移民する計画に応募し、すんでのところで落選した仲間で集まって残念会。が、その中から補欠として一名だけ合格できることになり、という黒澤世莉さんの脚本。

登場人物以上の数の俳優さん集めてどうする気?と思ったら、大きく2チームに分けて二人一役。同じ役の二人が次々に台詞を、シンクロさせたり輪唱したり。長い台詞を超早口でまさに中屋敷節。

これがなんとも言えずおもしろい。柿喰う客だから完全に確立されていると思っていたあの世界が、土台も骨組みもすっかり変えてしまっても成り立つなんて。目から鱗な出来上がり。

やはり脚本の強さは圧倒的。だからその芯を残しさえすればおもしろいのは当然。だけどそれを完全に芯で捕らえるのは至難の業なんじゃないのかな。ホンの中での感情の動きは自然に流しながら、自分の色をしっかり押し出す。

私の勝手なイメージでは中屋敷さんの描く世界は中屋敷さんの脚本で、さらに柿喰う客の俳優さんたちありきでしかできんもの、と思っていたから、しかもどちらかといえば演出より作家さんよりなのかと思っていたから、びっくりです。すごいです。

そして、この演出についていった俳優さんたちもすごい。あのパワフルでスピーディーな台詞回しを完全にシンクロさせたり、木霊のように繰り返したり。あれは大変だ。

さてさて、それで口をあんぐりしたあと、一息ついて「ソヴァージュばあさん」。短いから休憩なしの方がいいんじゃないの?って思ってたけど、気分を変えるには必要なブレイク。

ドイツの統治下で暮らすフランス人のソヴァージュばあさん。息子を兵隊にとられて生死もわからないが、ドイツ兵が押しかけて宿泊させろといわれれば逆らわずに従う。やはり何日も一緒に過ごせば、言葉は通じなくても情は移るもの。お互いに助け合いながら暮らしていたのだが、そこへ息子の安否の知らせが入り。。。

はぁぁ。ほんとに素敵なお話。展開分かってても何回聞いてもどきどきする。

そしてこの出来上がり。数日前のWIPに比べてホントにすごいことになってる。リーディング公演の時と同じ俳優さんを集めたこともあり、WIPはまだリーディングの時の印象を引きずっていましたが、やはりセットもつき、照明も入り、衣装もあると、こんなにこんなに立体的になるんだなぁ。

セットや衣装がものすごくかっこいい。作りこみすぎずにシンプルなところがこの世界観にぴったり。

ただ、WIPの時にはとても印象的に耳に残ったメトロノームの刻みが、他のパーツが揃ったせいで薄く感じたのはもったいなかったな。火事が起きるまでの高ぶりの中であのカチカチがすごくよかったのに。

まぁ何より、菊池美里さんのソヴァージュばあさん、ほんとにすばらしい。この存在感、この迫力。この役はこのキャラはこの人の為にあるんじゃないかというくらいのハマリ役。40歳そこそこなのにばあさん呼ばわりされるようなふてぶてしさと、気づかないところで敵兵に心遣いをする優しさと、そして最後のあの事件を起こすほどの母の愛。息子の訃報を聞いた瞬間のこわばりと、それで一度ひざまづいた後、一回り小さくなったように感じる身体。

企画全体チャレンジな部分が多いようだけど、とってもいい方向に進んでたと思います。気持ちいい衝撃に包まれました。

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サスペンデッズ「片手の鳴る音」2009/1/25 17:00

シアタートラムのネクストジェネレーションシリーズも始まりましたね。おもしろいの取り上げてくれても、ほんと期間が短すぎるのが玉にキズ。

サスペンデッズも気になりながらまだ観てなかった劇団。早船聡さんの外部作品も未見だけど、去年の活躍が目覚ましかっただけに期待感ふくらみまくり。

幼い頃に蒸発した母の思い出を持たず、亡き父の跡を継いで床屋になった義男。幼なじみの妹の出戻りシングルマザーに心を寄せ、その息子をかわいがっている。ある日、結婚した姉・広子が夫の浮気でもめて家に戻ってきた。広子が家を片付けたことから、一枚もないことにして隠していた母の写真を義男に見つけられてしまい…。

姉と弟、母と子、兄と妹、幼なじみ、妻と夫、様々な関係性がとても細やかに丁寧に描かれてます。詰め込まれている感情はかなりぎっしりだけど、そのどれもに共感できるし、ぐっとくる。

登場しない人物の見せ方がものすごくうまい。姉弟の両親、幼馴染の妹の息子、ゲイの同僚の母親など、かなり重要度の高い人物が登場しないままに、そこに存在する関係や感情を描き出すってのが。こちらの想像力が突っ走れる隙間を残してくれてる。

ちょっと私の集中力が欠けていたので、一歩離れてしまいましたが、これ、体調いい時だったらジャストフィットして号泣してたかも。

自分の記憶として持ち合わせていないエピソードを、こんなに自分の中から湧いてくる感情として受けとめさせられちゃうって。。。

特に姉の母への複雑な思い、やられました。あれだけ憎んでるようにふるまいながら、裏腹な感情が。

感情移入のポイントや状況の受けとめ方が性別によってかなり変わりそうな内容。だからこれを男性が書いて男性ばかりの劇団が作っているっていうのが意外だし不思議。さらに再演にまで選んでいるっていうそのセンスに興味が沸きました。他の作品も気になるなぁ。

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3LDK「僕たちの町は一ヶ月後ダムに沈む」 2009/1/21 14:00

1月ってなんか観たいのが少ないように思えるのは気のせい?やっぱり年末年始の稽古を控えて公演減るのかしらん。時間はあるのに観るもんのない悔しさったら。

そんな感じだから今日もお初の劇団へ。せんがわ劇場も初めて。意外に新宿から距離あるのね。

15年ぶりの同窓会。来月にはダムの底に沈んでしまう学校に集まった仲間達。昔話に花を咲かせたり、タイムカプセルを掘り出したり。

とーってもありきたりな内容をなんの意外性もないままテンションで押し切る。いろんなドラマは詰め込まれてます。しんみり浸れる場面もあるんだけど。

悪くはない、俳優さん達も味はあるし、脚本も破綻してるわけじゃない。だのに、なんか観て損した気分になっちゃう。

わざわざ仙川まで、劇場に足を運び時間を割いてまで観た甲斐があったとは、到底思えない。悪いわけじゃないからそう感じてしまうことがひどく悲しくなる。

こんな内容なら誰でも思いつくような話。キャラは立ってても役柄シャッフルも全然成り立つ配役。今この瞬間だから、っていう強みが一切ない。

初めて観たお芝居がこれだったらそれなりに笑えて泣けたかもしれない。だけど次に観たくなる動機になるとは思えない。そんな複雑な、ちょっと哀しくなった公演でした。

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4x1h project Play#2 「ソヴァージュばあさん」ワークインプログレス 2009/1/20 20:30

前から気になっていたワークインプログレスという企画。初体験です。なんか意見とか言わなくちゃいけないのかしらん、とちょっと緊張しながら、でも稽古みたいし、ということで。

去年の5月のリーディング公演の脚本を。うーん、本公演前だから詳しくは内緒。

でも、ソバージュばあさんほどリーディングにもってこいな脚本をさすがにきちんと立体化してますねぇ。脚本の時点で動きのあるものではないし、海外の戦争中の話だっていう遠さはあるのに、人として息づいてる。流れ上必要ではない動きが加わることでそこで演じてるおもしろさが醸し出されてる。

ただ劇場サイズや客席の広さがわからないので、俳優の少なさがどう出るかが気になる。狭い劇場で横に広がると結構観にくくなっちゃうからね。

リーディングの時と同じ座組を揃えてるっていうのもこの企画ならでは。ここじゃなきゃ絶対観られない取り合わせですもん。

ワークインプログレスだからと、特に建設的な意見を求められるでなく、普通に観て普通に感想を伝えて、って感じだったのでよかった。懇親会として普段なかなか話す機会のない俳優さんや演出家さんとも気楽に話せるチャンスだとわかりました。

稽古観てから公演観るともっのすごくおもしろいから、どんどん他でもやって欲しいなって思います。あと気楽な交流の場として貴重。

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カムヰヤッセン「レドモン」③ 2009/1/19 19:00

意外にマチ・ソワ同公演観劇は初めてかも。ちゃんとは覚えてないけど。あ、そんなことない、去年のワルツマクベスであったわ。でも私にしてはかなり珍しい。やっぱり別日に観たほうがね。同じ日だと違いがムラにしか見えなくなりそうで。

が、今回はやっぱり千秋楽。違いましたわぁ。

脚本は何度確認してもおもしろい。アドリブなのか計算された伏線なのかわからない、その辺がうまい。そして板倉チヒロさんの演技が素晴らしい。この2本軸が両方あるから成り立ってる。

おそらく脚本自体は違う形に直してもおもしろいでしょう。だけどカムヰヤッセンの若い俳優さんたちを主体ではここまで生きてこなかったと思います。今回の公演はやっぱり板倉さんあってこそ。あの緩急使い分けた、笑いと感動をバランスよく配合した演技は彼ならでは。

こんなシリアスな場面で、え、笑い取るの、ってなりそうなところでも、場面の雰囲気を壊さず笑わすことができる。またシンプルなセットでの場面転換のうまさが目を引きました。

サービスなのか趣味なのか、ちゃんと脱いでくれてるしlovely

好きだったのは転職をすると言い出せず、家庭と職場の間でぐるぐるまわるとこ。こういうのって目の前だから成り立ってる。しかも問題は深刻なのに、足取りが妙に軽く爽やかなのがおかしくって。

息子・デルの尻尾切りの件で担任が家庭訪問するシーン、ここは一番の山場。お父さんとしての愛情の見せ所と、俳優・板倉チヒロとしての見せ所がガチで。それに対する先生の負けない真剣さもこの脚本の魅力。主要人物だけじゃない感情表現が豊富なのって素敵。

家族への愛情あふれる父親まできっちりこなした板倉さんの新境地が今後どんな方向に進んでいくのか、また板倉さんみたいな客演なしでこの劇団がどう変化していくか、どちらも注目です。

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カムヰヤッセン「レドモン」② 2009/1/19 14:00

せっかく時間があるのにあまり公演やってない日はつまらない。マチネ、他に観たいのなかったから、リピート。夜も観るのに。

ゆったりと安心して観られるっていいな。

初日に比べ、だいぶこなれてる感じはしました。そのせいかややゆる。慣れて盛り上げどころが見えてきたからちょっと調子に乗ったらスベったみたいな部分があったかな。

でもやっぱりよくできた作品だと思う。前半でしつこいくらい丁寧に設定を説明してくれてる。説明がましくなく。だから無理なく話についていき、感情のうねりに乗ることができる。そして伏線と言うか、細かい網の張り方が見事に回収されてる。主宰の話作りと演技で嫌味なく、おもしろい。

2回観るとキレイにまとめすぎてて物足りないかもとも思いましたが。

美術、とっても素敵。宇宙を表す傘の骨とかアイディアですよね。カラフルな椅子はデザインもおもしろく、とってもかわいい。

ソワレも楽しみです。

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サンプル「伝記」 2009/1/17 18:30

サンプル、というか松井さんの作品にどこか苦手意識のある私。どこがどうダメ、とかじゃなく、何がいいのかわからなくなる感じが。

そんなわけで期待はしながらも気楽に向かった今回。

仕事後の定番で前半、かなり瞼が重い。

話は全く意味わからん。自分の父親の伝記を紹介しはじめた社長(古館寛治)。伝記の紹介に駆り出される社員(金子岳憲、石澤彩美、三橋良平)。その父親の愛人(羽場睦子)やその息子(吉田亮)が出てきて、いろいろかき乱されるが。

前半、かなり必死に話を追いました。挙げ句、起きていられなくなりました。

中盤、マダムK(申瑞季)がその場に存在することの意味を説きだした辺りから。俄然おもしろくなり。

ああ、話なんて、意味なんて、追いかけたからいけなかったんだ。これのおもしろさはそんなとこじゃない。

ストーリーはシュールでナンセンス。まるで寝ている間の夢のよう。夢だから、登場人物は、傍からみれば支離滅裂でおかしいけど、当の本人は一生懸命。狙いやネタじゃないから、余計におかしくなる。

そういう騙されてるんだかよくわからない、虚実の入り交じった中での、俳優さんの振り切れた演技が最高。

理屈はつけるけれども、やっぱりなんでこんなにおもしろかったのは理解不能。理解をあきらめたからおもしろいのか。脚本が、俳優が、その場自体が、といろいろ考えてはみてもなんか違う気がする、ピンと来ない。

おもしろいというコトバがまた足りないんだけど、笑えるという意味ではなく。感情の動かされ方が説明不能、といった感じ。笑えたり涙が出そうになったり、息が詰まったり。

松井周さんの頭の構造を覗いてみたくなりました。子供なんだか大人なんだかわからない、無邪気でありながら構造的。

うん、眠かった時間を取り戻しに行かなくちゃ。再チャレンジ。

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タテヨコ企画「アメフラシザンザカ」 2009/1/15 19:30

行きたかったけど、ちょっと疲れて折れそうになりながら、でもやっぱり行こうと気持ちを奮い立たせて。で、ほっこり元気になれました。

坊さんシリーズ第5弾。修業僧の一人、永然(好宮温太郎)の実家の寺に姉(勝平ともこ)の子供を誘拐するという脅迫文が来た。姉は驚いて村中から助っ人を頼んだり、たまたま近くにいた永然達を呼び付けたり。みんなが集まったその夜…。

修業僧達のなんとも人間臭く不真面目で愛らしい姿に癒される。田舎の閉鎖的な人間関係にうんざり。戯れる妖怪に笑っちゃう。永然と姉の幼なじみ(舘智子)の会話にしんみり。

とてもよくできている脚本に存在感のある俳優さん。じっくりと観応えあり。大きく事件が動くわけでもないのに目が離せず、久しぶりに時間があっと言う間に過ぎたように感じました。

妖怪を題材に取り上げてるのに中心ではなくさらっと存在してるだけで深く追求しない。あくまで見せられるのは人間。妖怪に取りつかれたり、妖怪を見たり、妖怪を騙ったり、妖怪を恐れたりする人間。そのスタンスがすごくよかった。

だから光る俳優さんの姿。タテヨコの俳優さんてどちらかと言えば派手さはそんなになく、私からしてみるとなかなか顔と名前が覚えられないcoldsweats02でも、だからこその力強さと言うか芯の太さがあるように。そこに生きている人間としての命が感じられるって言うのかな。

客演の勝平さんの目力、っていうか表情と言うか、これが壮絶。最初の登場場面からの、弟とお客さんへの目の表情の違いとか、驚く。ああ兄弟ってこう、っていうリアルさと外面の違いが一瞬にして感じられる。 以降も顔芸としたいくらいに表情豊かで、それは大げさとかテレビ的な抜きのシーンとかではなく、この距離感だからわかるおもしろさ。

ほーんと行ってよかった。もう一回観ようかとも迷う。

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カムヰヤッセン「レドモン」 2009/1/16 19:30

クロムファン、板倉チヒロファンといたしましては観逃せない作品。主宰の北川大輔さんはクロムの演出助手を何度もやっているとのことですし。最初楽日に行く予定だったけど、おもしろかった場合リピート出来ずに悔しい思いをしないようにと、まずは初日。二度観の予定で。

宇宙人レドモンと共存する未来。しかし人間とレドモンの交配は奇病を誘発することがわかり。レドモンの迫害、レドモンを匿う人間の追放が国家レベルで行なわれていた…。

チラシの裏の奇妙な文章を読んで、奇を衒ったおかしな作品じゃないといいなと心配したけど全くの杞憂。SFではあってもかなりストレートな人間ドラマ。

厚労省に勤め、迫害する側の人間・立川役に板倉さん。迫害する側なのに妻はレドモンで、息子までいる。息子にはレドモンの証拠である赤い尻尾が生えていて学校でいじめられたり。同僚が実はレドモンであったことがバレて追放されたりする中、自分もレドモンの家族がいることを目撃された立川は。

公然と差別される立場が設定される中での人間関係、家族、恋人、友人、同僚。愛の形や想いの深さを描いていきます。恥ずかしくなるくらいに熱い想いを抱いた人たちの温かい心。すっごく力が入ります、観てるこっちが。

この俳優陣の中では、失礼ながら板倉さんは客寄せパンダ的存在かと思っていました。だけどしっかり俳優としての魅力も引き出した上でいい味を出してます。前半、っていうかオープニングはかなりべたべたないつもの板倉さん。それがおとんという立場を見せてからは家族を守る大人の男に。ステキ。

やはり普段のクロムを観ている北川さんの演出だからここまで生き生きとした姿が見られたんでしょう。

かなり作品はどうあれ、彼さえ観られればっていう態度で臨んだのでバランスよく観ていたかは疑問なのに、それでも作品の味わいは十分楽しめた気がします。

舞台の使い方、照明など素晴らしいんです。舞台に斜めに引かれた一本の白線。この存在がすごい。たったこれだけであれだけのものを表しちゃうんだから。あの白線を思いついただけでこの作品は勝ち。

アゴラ劇場の線路の向こう側でこんな劇団が育っていたとはねぇ。北川さんの舞台上での迫力も23歳とは思えない圧迫感。駒場に大注目だな。

やっぱり2回観ておくことにしてよかった。初日でここまで行っていれば、後半はとっても楽しみ。

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赤堤ビンケ「四日目」2009/1/12 19:00

今日は開演時間を勘違い。19時半と思い込んでて、向かう途中でハッと気付く。それから猛ダッシュ。なんだか自分のボケ加減に悲しくなる。

なんとか間に合ったものの、急いだせいで体があったまっちゃって最初の30分、眠いのなんの。始まりの暗転ですでに睡魔に負けかけちゃった。

なので初期設定不明のまま観劇。後半はなんとか持ち直したんだけど、それがよかっただけに最初の眠気は痛恨。

貧乏で6畳一間に二人で暮らす大学生の兄と高校生の弟。父違いだけどとても仲が良くて。ある時兄の父親に弟がいることが判明する。お金持ちだけど人柄最低な叔父のまわりには、彼を殺したいほど憎んでいる人がたくさん。叔父の愛人と弟の友人たちは結託して完全犯罪に挑むが…。

その犯罪が起こるまでを一日、二日、と時間軸に沿って展開。なかなかのドキドキ感。当日パンフにある通り、物騒な気配にそそられる。

叔父の愛人役の牛水里美さんの無表情な色気にもゾクゾク。弟の友達はいかにも悪びりたい高校生キャラでにんまり。大人ぶって得意げにしゃべる様子がその辺の電車の中とかにいる感じ。

事件的な緊迫感がしっかりとありながら、兄と弟のシーンの優しい感じも丁寧にみせてくれる。二人で焼そばを食べる場面、何気ない会話だけどいい。

あーあ、しっかり観たかった。自分のバカ。

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モダンスイマーズ「夜光ホテル」 2009/1/11 18:00

うわぁ、ついにやっちまった、チケット取り間違え。夜のチケット取ったつもりで会場に向かう途中にチケット受け取ったら、昼のを取ってた。しかも珍しくぴあなんか利用しちゃってたから、お金は引き落とし済み。あぁん、損した。まぁせっかく来たから当日券で入りましたけど。倍額かけて観せていただきます。くそっ。でも入れてよかった。

しかもさすがNHKの奴、当日券の待遇なんだか悪い。そもそも開場したかを外にアナウンスしないもんだから、みんなずっと外で待たされてましたよ、寒い中。

でも作品の出来はかなり満足。去年の5月の初演は観たから、話はわかってたけど、今回の方が私の中ではよかったかも。

スイートルームバージョンてことで広々したいかにもなお部屋。初演のせせこましい中での空気がどうなっちゃうかしらと心配だったけど、意外にも距離感が吉と出てる。男同士の関係性、キャラが、広い舞台の中で少しずつ動いたりすることでつかみやすかった。

例えば終始黙ってゲームしている春文(古山憲太郎)。群れから離れていることは変わらないけど、部屋の中での動きがあるので、今起こってることへの関心の度合いや関連の高さを計ることができる。狭い部屋だと存在感が邪魔になって中心で見せたいことが薄まっちゃってたけど、今回は関係ない場面ではうまくフレームアウトできたような。

直人(津村知与支)がよく動き回るから無邪気なキャラが引き立ち、他の動かない人との対比が生まれて。

一つ難を言うとしたら、ホテルの従業員のキャラ設定。前のビジネスホテルならあんな態度も納得だけど、スイートがあるような一流ホテルの従業員の教育があれじゃ困る(笑)

それにしても、あれだけの空間を俳優5人だけでしっかり埋め尽くしていたのには驚嘆です。緊迫した空気は薄まることなく行き渡っている。

うまくモダンスイマーズの色を生かした作品になってました。よくやった、NHK。放映が楽しみだな。願わくばアップより全体を映してほしいな。

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7%竹「残り93%…」 2009/1/10 19:00

7%竹ってよく聞く名前な気がするけど、ワンマンライブは初めてらしい。出演者も脚本陣もかなりすごいけど。

開演前の混乱を避けるためにって開場時間繰り上げのお知らせが前日に届きました。いったいどれだけにぎわってるんだ?それにしても開演押さないためのこういう配慮ってすごいな。制作がちゃんとしてるっていうのは好印象。

ワンドリンクあるから早めに行って飲みながら待つのが正解。

コントは間の外し方とかが絶妙。爆笑じゃないけどちょっとぽかんとする笑いが。

やっぱりコントは外部から提供された脚本より中で書いたモノの方がおもしろい気がするな。脚本自体のおもしろさの差っていうわけじゃなく、作り上げられる中での練られ方なんだろうけど。

合唱部とか、なんとか(  )タイムとかが結構好きでした。

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三田村組「動員挿話」 2009/1/10 14:30

このところ若い作演出家とのコラボをしていた三田村組が岸田國士作品を。

日露戦争に動員されることになった少佐の家にて。少佐は馬丁を供に連れていこうとするが、馬丁はお勤めを果たしたいという男としてのプライドはあるものの、離れ離れになりたくないと少佐に歯向かうまでする恋女房に逆らえず、少佐の命令を断る。でもやはり気持ちは揺れ続け、ぎりぎりになって戦地に行くことを決意。夫の意志が覆せないと悟った妻の行動は…。

さすがによくできた作品だけど、なんだか物足りない。すっごく通り一遍に感じてしまいました。なんでだろう?

夫婦の愛の姿に感動はする。でも生身の身体から発せられたというより、台詞としての言葉の意味の方が勝ってしまっていたように感じました。だから理屈では感動するけど体が反応してこなかった。妻の情念をもっともっと感じたかった。

私、動員挿話も三田村組も観たことあるつもりで行ったけど、どうやらどっちも初めてみたい。記憶がおかしい。

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劇団印象派「L'Oiseau Bleu/青い鳥」 2009/1/9 14:00

この週末は時間がある割に観たいものは少ない。やっぱり韓国までデスロックを追いかけるべきだったか。。。

っていうことでまた新規開拓。最近の開拓ポイントは適正な価格設定。あとで感じるかもしれない損した感を最小限に抑えるために。

印象派だなんて硬い名前だからてっきり古い劇団かと思ったら意外にも20歳前後の若い方々。へぇ、ネーミングもいろいろね。

兄の暮らす別荘に野鳥観察に行った女子高生4人。隣の家には同世代ながら妊娠してしまい産もうとしている女の子がひっそりと暮らし、時折ピアノを弾いている。作家をしている兄は高校の先輩でもあるが、高校時代に同級生を妊娠させた過去があり…。夏が終わるとその妹に生理が来なくなった。妹は考え抜いた末産む決意をして。。。

ありがちな物語にありがちな登場人物という手垢つきまくり状態にしてはなかなかおもしろく観られました。脚本にところどころ光るところがあって。

ポエティックな独白から始まったので、うわ、耽美主義的ヤバイ系マスターベーション演劇にあたっちゃったか、とヒヤヒヤしたけど、たまに挟まれるボケとツッコミとかにちょっと安心。

また、野鳥の知識やアンネの話、百人一首、赤飯のエピソード、菩提樹の歌などの折り込み方がスマート。その辺りのまとまり方も買い。

2000円という価格設定はまあ妥当かな。とはいっても映画と比較するとどうかなぁ。予想よりはおもしろかったけど、俳優さんはまだまだな感じだし、どちらかといえば芝居というよりは、日曜の午後の民放テレビの若手脚本家によるフレッシュなドラマにしたらよさそうな雰囲気。

音楽の違うバージョンもあるらしいけど、音楽はそんなに印象に残らなかったな。

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ナカゴー「自転車の盗難」 2009/1/8 19:30

またもや初めての劇団。これだけ観ててもまだまだ知らない劇団がたくさんあるってのが恐ろしい。

タイトルどおり、自転車の盗難にあった中学生のお話。恋やいじめや不登校や同性愛や介護や凶悪犯罪やストーカーなどを盛り込んで。

小さなひっかかりポイントがたくさん。あ、いい意味での。まずあんなに自然に気持ち悪い人が何人も出てくる。ホンモノにはなるべく出会いたくないけど、お芝居に出てくるキモイ人って大好き。単に見た目が、とか、だけじゃなく、行動が、とか、とんでもないタイミングでとんでもないことをしゃべったり、とか、表情と台詞と動きがちぐはぐ、とか。演技と演出がぴたっとはまったキモさは最高。

キモさを考えていくとどのキャラもそれぞれおかしくて、そういうちょっとずつ狂っている歯車がかなりのおもしろさを生み出してる。中学生設定っていうのもうまいな。

そういった様々な種類のキモさを描いてるだけでもなんか拾い物した気分。予想外の部分で笑わされちゃったりするとね。

形容しがたいパワーは感じました。ただ後半はちょっと長く感じたな。わりとシリアスなお父さんと娘のシーンとか若干白けちゃった。もっと削ってもよかったかも。

台詞がまともに言えてなかったり、衣装がしわくちゃだったりするのも、どうにかしたほうがいいとも思います。

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東京デスロック「その人を知らず」東京最終公演 2009/1/5 15:00

終わってしまいました。さびしいです。

最終日なので、好きなシーンをただただ羅列させていただきます。

まずオープニング、爆音からの静寂。今日はスクリーンが「演劇LOVE」から始まって、涙が出そうになっちゃった。

折原アキラさん演じる記者が軍人の部屋で一通り主張を述べた最後に「ぐー」と詰まるとこ。

空襲開始で赤玉が飛んでくるとこ。

山田裕子さんがマイクに向かって祈る場面。何度観ても涙が出る。

爆弾が落ちて机が散るとき。マイクのごつんていう音がすごくいい。

弟・明が友吉(夏目慎也さん)に向かって赤玉を力一杯投げ付けてるときの友吉の表情。飛んでくる玉を避けようともせず、優しい哀しい目で弟をただ見つめる姿。感動しながらも玉もっと投げろ、当てろって思ってしまうんですが。

空襲のあと、再びみんなが机を持って集まろうとした時、一人離れて場所をとる佐山和泉さんのたたずまい。かっこいい。

自殺してしまう父(猪股俊明さん)が階段を上る直前に振り返る姿。

ベストシーンは。。。うーん一つに絞れないので二つ。

ベストその1。人見牧師が妹の祈りを聞いたあと、祈れない自分に懊悩する。「秋桜」の歌詞に思いを重ね絶叫するシーンは今思い出しても涙が。。。自分を祈れなくさせたのは悪魔ではなく天使である。台詞の一つ一つが重くて。

ベストその2。いなくなった父を兄を探してほしいと願う友吉の妹・俊子が周りのみんなと手をひっぱり合う場面。男優トークで村上聡一さんが一番訳わからない場面だって言ってましたが。机から落ちまいとする必死さと想いの熱さと見た目の滑稽さに、笑っちゃうと同時にぶわっと涙も出る。訳わからないからぐっとくる。毎回ほんとに落ちそうでドキドキするし。

私の中で棒読みチャンピオンは坂本絢さんだな。最初の尋問、終戦時の叫び、労働組合の野次、どれもやたらと迫力あっておもしろい。声の大小やスピード変化だけなのに。

作品としてはヘビィだったけど、すっごく充実。幸せな年末年始をすごすことができました。

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12月31日夜 東京デスロック「その人を知らず」③年越しバージョン

いよいよ公共化の瞬間、年越しバージョン。

夜中だからデスロック得意技の爆音が使えないらしい。どうするんだろ。

始まり、君が代から。厳かでよかったな。一気に戦時中気分になる。

公共化と言っても基本台詞は切らずにいく様子。なんか安心。長くても素敵な作品だから。

やっぱり前半、空襲が来る辺りからがとても好き。高揚する。

今回、ほんと言葉とかストーリーが生きている。三好十郎っつう人のホンはすごい。深夜の一芸大会での多田さんの朗読でもそうだったけど、早口棒読みでも伝わる力がぞくぞくする。自分の感覚としてどうしても言葉に頼ってしまうので、そこが強いと好き度合いが高まっちゃう。

音が弱いのはやっぱりさびしい感じはしたな。めりはりというか。

でも一幕の終わり、普段ならアゲアゲで終戦なのが、この日はぶすっとしたまま黙々と。終戦の複雑な心境、私はこっちのほうがしっくり来た。音がない部分でのお気にいり。

仕事してから駆け付けたから、深夜になった後半はちょっと眠くなっちゃった。だから余計爆音ほしかった。

終演後新年会も兼ねつつキャスト・スタッフの一芸大会。かなり楽しかった。一芸って意外なところに潜んでるんだなって感心します。発想次第で。

とても充実した年越しとなりました。

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12月29日夜 G-up side.B session「ソラヲカゾエル」

G-upはいつも素敵な俳優さんばかり集めますよね。つい釣られて行ってしまいます。

ウエストエンドスタジオ入った途端にギュウ詰めの客席にびっくり。去年の「棄憶」の時に似た雰囲気。あの時の詰め込みもすごかったなぁ。

なんて思っていると始まり方も似てました。もちろんストーリーや設定は全然違うけど。

ある日の昼下がり、ある病院の脇の空き地に集まってきた男たち。片手にはハガキを一枚握って。小学生時代の友達が送ってきたハガキ。集まって一体なにをしようというのか…。

28年も経ち、お互いの顔と名前も覚束ないまま、ハガキを送ってきた病気がちだった倉科(有馬自由)の希望どおり遊びはじめる男たち。ジャイアン的だったアンちゃん(有川マコト)は建設会社の営業、土建屋ドケン(工藤潤矢)は運送屋、嘘つき博士(瓜生和成)は旅生活を続けるフリーター、デブのいじめられっ子ウジ(細見大輔)はSEになっていた。が、実際の生活にはいろいろあって。

大人になっていろいろあってもなんだか気になる昔の友達。だんだん昔の関係を思い出してテンション上がる。わだかまりがあっても楽しく遊べる瞬間はある。

私、ほんとに男たちがやたらとじゃれ合いフザけ合うお芝居、大好きですわぁ。しかもまるで素のように見える遊びっぷり。羨んでるのかなあ。楽しそうにされるとこっちも楽しくって。

壁あて、まだまだやってほしかったもん。

ハッピーエンド過ぎるのがちょっと鼻についたけど、ほっこりできたからよし。

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12月25日夜 カブ)牛乳や「革命前夜」

劇団名のユルさと今回のタイトルの硬さのギャップがどうにも気になりました。初めて観ます。年末も迫ってまいりましたが、まだまだいい出会いがありますように。

結婚式前日のカップルが眠りに就くとき。女が昔の先生との肉体関係を暴露したことに嫉妬しながらも明日に備えて。が、彼が目を覚ましたのは男と女が戦争する世界だった。。。

なんだかよくわからない展開でした。普通のドラマのように始まりながら、単にふざけてるような捕虜たちの場、体を張ったローションプレイ。なんなんだ?これ、と思いながら気付けば夢中になって。

シリアスなんだかおちょくってるのか、アドリブなんだか作り込まれてるのか、全く読めない。ねっとりと絡み付いたかと思えばさらりと流れる。不思議な感触。

ストーリーの流れや場面のつながりはあるのに、強烈なインパクトのある瞬間にブツ切れる。なのに徐々に徐々にまとまっていく感じはある。表かと思ってついていっていたのに気付けば裏返ってて、それでもどんどん進んでみたら元に戻った、みたいなまるでメビウスの輪。

捕虜になった男たちが食事も水も与えられないまま一週間、の場面がすごく好きでした。言葉とそれの表すものをズラしていき、「電話」という言葉が表すのは「食事」、「メール」が表すのは「水」と設定。お腹がすいたら「電話をくれ〜」と絶叫する。あまりにも渇いたからお互いの尿を飲みあうことにした彼らは、互いの股に顔を近付け、「メール一斉送信!」。言葉じゃ伝わりにくいな。こういうバカバカしさ、大好き。

ロミオとジュリエットネタの毒薬を飲んじゃうシーンは美しくて好き。ウソ臭いのに、それでもきゅんとしちゃう。

この妙な空気、ちょっとクセになりそう。変なの。

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12月26日夜 東京デスロック「その人を知らず」

東京デスロック、東京での見納め公演。まぁキラリ富士見での活動は仕方ないにしても、東京で活動しませんって宣言しなくてもいいんじゃない?東京のファンを見捨てるなんて。。。と腹も立ちましたが。だったら観られるときに観ておかなきゃ。じゃあファンやめる!って強気に出られないのが惚れた弱み。

三好十郎さんの戯曲。公共化される前なら原作のままだろうから、今回は予習せずに楽しみましょう。

戦時中、信仰を理由に出征を拒否したクリスチャンの男がいた。非国民と罵られ、家族までひどい扱いを受けても。が戦争が終われば戦争反対した男として英雄視されて。それでも男や周りの人々が受けた仕打ちは消えたわけではなく…。

休憩込みで3時間弱の超大作。でもまったく飽きることなく食い入るように観ました。

古典戯曲でも構成をすれば、ある意味演出の都合がいいように抽出・凝縮して観せたい部分だけを観せたい形で並べることができる。それはその演出家が好きであればあるだけ楽しいし、魅力にもなる。だけどまっさらの原作に対峙したときどうなのかっていうのは、正直とっても興味津々。デスロックは物語を伝えるという部分を放棄し、開演前にあらすじ解説をしてきただけに、その部分をも担っての上演はいかに。自分が好きと思った相手っていう保障しかないわけで。

結論としては私の期待は裏切られず、好きなものはやっぱり好き、と言うことができました。原作のもつ世界を過不足なく伝えた上で、ここでデスロック作品として観る意味を持つ。だから長さとか関係ない。

脚本としての強さもかなりのものなのでしょう。リーディングでもおもしろいかもしれない。でもそれを今、この俳優さん達が演じていることにまた力を感じられるんです。机の上で窮屈にしている姿だけでおもしろい。クリスマスの飾り付けをされてる姿がおもしろい。鏡に向かって訴える後ろ姿がおもしろい。空襲にやられる姿がおもしろい。

そして何より、磔にされている夏目慎也さんの姿だけでも十分おもしろい。

私の感覚としては休憩なしでぶっ続けのほうがよかったな。集中やわくわくを切らなきゃならなかったのが惜しくて。

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12月24日夜 北京蝶々「日本語がなくなる日」

はい、クリスマスイブもみっちり観劇。楽しいです。

北京蝶々が下北沢に進出。

近未来の日本の南極越冬隊基地。協力しあって暮らしていたところへ、文科省の役人の子供がやってくる。近頃の日本は海外への移民や留学が増え、日本語を話せない若者もいる。役人の子供たちも何だかわからない混成語しか話せず通訳を介してもなかなか意志の疎通が図れない。一方日本では新型ウイルスの感染によって次から次へと死者が出ていて…。

なんともおっそろしい話。お話づくりのディテールをちゃんと現実に沿う形でやっているから、数年後にはほんとにありそうで恐くなる。お話、とわかっていながらもうすら寒くなる現実感が毎度ながらうまい。

日本の消滅を、日本語を話せない日本人の存在という文化的側面と、感染による生命自体の消滅っていう両面から攻めてきてるのもおもしろい。何を以て日本なのか、我が国なのか?日本人としてのアイデンティティはどこにあるんだろう。そんな哲学的な問いと同時に、自分だけでも生き残りたいというエゴもあって。日本なくなっても自分だけ?自分が死ぬだろう時に生き残れる人がいたとしたら?

基地にいる隊員はいわば、今生きている私たちの感覚。日本語を話し、まわりとコミュニケーションをとろうと努力し、社会の中で協調して、決められた役割を果たしている。対局にいるのが役人の子供たち。日本語を話さず、必要な相手としかコミュニケーションをとらないし、したいことしかしない。言葉が通じないからルールも理解しないし守らない、情報からも遮断されている。けど、なのか、だから、なのか、わからない、通じない、のストレスを感じイライラするのは基地の隊員達。皮肉だな。

そんな結構シビアなこと描いているのに、観ている間は小難しいこと考えてる間もなくおもしろいんだよな。たぶん劇中の人たちがちゃんと生きてるから。真面目に人と関わろうとしている基地の人にこまつみちるさんや小林至さんといった先輩方を配置したことで、ぐんと厚みを増してる。劇団員は劇団員の持味で引き立ってるし。

こまつさんがほんっとに素敵。働く姿勢もちょっとしたところで見せる女の仕草も。そういうキャラじゃないって自分のことを鼓舞して強がって生きていても、寂しいっていうのを、素直にリアルに。身に染みますわぁ。

うーん、観た直後はそんなに感じなかったけど、書いてたらもう一回観たくなってきちゃった。やだ、どうしよう。

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12月20日夜 三条会「卒塔婆小町」

一夜限りのアンコール公演。と言っても演出は新しく、となったら観ずにはいられず駆けつけました。弱法師はどうにも都合つかなかったから、せめてこちらだけでも。5月の榊原さんバージョンが忘れられないのもあって。

今回は原作読み直さずに行きました。半年経ったらもう曖昧っていう記憶に鞭打つためにも。

いっや、おもしろかった。半分思い出しながらっていうのも、物語世界を楽しむには正解。演出のすごさと戯曲のすばらしさを真っ向から堪能できた気がします。

一回ぽっきりっていう強みを生かした冒頭。榊原さんが天使になっていく様をじぃっと眺める。笑えるのとあとの展開が気になるのとで落ち着かない。

5月の衝撃的な演出を思い起こさせながらの天使の演技。老婆と詩人の場面に並行して。どっちも迫力増してて、しかも着地点は想像しきれないから、ドキドキ。

老婆と詩人の心の動きがずんずん入ってきて、これまで観たどの三条会作品よりも登場人物に感情移入。橋口さんの情けない表情が涙を誘う。大川さんの呆然とした顔は完全に恋。

さわやかな榊原さんの顔とは裏腹ななんだか切ない展開。作品に対する興奮に目が行ってたけど、意外に豊かだった感情表現にめった打ちされた感じ。

何をやっても三条会はすごい。次のスズナリ、ロミジュリへの期待が…。

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12月14日夜 ろりえ「きみは癌」

ろりえ2回目公演は早稲田の学生会館。客、入りきるのかしら。ここに客演する岡田あがさちゃんの度胸に恐れ入ります。

女の子たちの宴会がオープニング。お父さんなる男が騒ぎを収め。このお父さんの家に集まるにはいくつかのルールがあって。女の子達は遊びにきてはルールを守って楽しくすごしていたのだが。

最初の宴会シーン、大好き。おおおぉ、始まるぞって興奮したけど、なあんか意外に普通に話は進んでいき、ちょっととまどう。あれ、こんな感じなんだ。。。ふーん。ちょっと眠いかな。

ってだんだん話についていけなくなっちゃって。気持ち悪さがない、飛んでくるものも普通。いやいや、私何を期待してるんだ?

悪ノリを超えた異臭を放つかのような存在感が魅力なのに、拡散するばかりで匂い立ってこない。普通にはおもしろいかもしれないけど、観にきたのはこんなんじゃない。

でもラストの大仕掛けはまあよかった。踊って怒鳴って客席に仕込んでた人が乱入して、っていうのは少し内輪なはしゃぎ方だったけど、ホームの学生会館だしそれくらいは。

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12月15日夜 劇団競泳水着「プリンで乾杯」

競泳水着トレンディドラマシリーズの集大成。トレンディドラマっていうワード自体に郷愁を感じる世代としては、観るよね。

仕事終わってうとうとしてたら、開場時間に間に合わなくなっちゃった。10分過ぎただけですごい人。平日なのに。椅子席がほぼ満杯のため、最前列に陣取りました。

バイト仲間でルームシェアを始めて早5年。音楽家をめざして留学するつばき(大川翔子)、転勤する亮平(澤田慎司)、デキ婚したまこと(佐野功)、ついに家が壊される時に皆旅立ち、一人残ったのは亮平の元カノ・郁子(川村紗也)。かつてのルームメイトに告白されたり、バイトの上司と不倫したり、恋を探して悩むけど、結局落ち着いたのは…。

ほんと、憎たらしくなるくらい王道のトレンディドラマ。どこかに石田純一出てきて恋を語りだすんじゃないかってくらい。トレンディドラマと言う枠組みがどういう形で出来上がったのかしらなくても、こういうものかと納得させられる絶対的な力を感じちゃう。

まわりを固めるキャラやエピソードが、それらしさをうまく演出。パリの留学先で回想させたり、バーという別空間で出会いを作ったり。主となる部屋とそれ以外の場面のバランス、時系列の並べ方、その説明しすぎないさりげなさが次への展開へ期待をふくらませてくれるんです。

登場人物はある程度場所に固定されているから、会話する相手は完全に限定されてる。バーの店員(永山智啓、辻沢綾香)はそこの客としか話してないし、パリでつばきと知り合う学生(渡邉とかげ)の会話は完全に二人きり。つばきの音楽仲間(和知龍範)も相手はつばきだけ。なのに全然ばらばらな印象はなく、ちゃんと部屋メンバーに収束している。それって結構すごいことな気がする。せっかくだからこの路線でがんがん攻めていってほしい。こういう作り方はなかなかできないことだから。

バーのマスター役の永山さんがストーリーの外での笑い担当。珍しいな。それも狙ってるんだろうけど、妙に上品で激しくないところがすごく好感。こんなふうに笑いってとれるのね。一人二役も、まさかこう出るとは。こういうふうに使っちゃおうと思った上野友之さんに敬服。

アフタートーク前のバーの開店、待ってました~。なんせ前回公演で作ってもらったカクテルがおいしくてハマり、しばらくうちでも作ってたくらいですから。今回もおいしかったです。もう一杯飲んじゃえばよかったな。

あ。せっかくスプーン持っていったのに、プリンもらうの忘れちゃった。あーあ。

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12月12日夜 ブラジル「軋み」

TOPSでの公演も残り少なくなってきました。演劇関係者に宝くじ当たったら買い取ってほしいくらい。ずっとあってほしい。

ブラジル、今回もオールスター的面子で。

人気少女漫画家が自分のアシスタントで夫の不倫相手だった子を殺害。夫になすりつけようとしたり、もみ消そうとしたり、策略をめぐらす。死体を処理し、身籠った子供のために新しい一歩を踏み出そうとしたけど…。

漫画家妻の桑原裕子さんがみせる女心。夫の愛人でありアシスタントであり、さらにデビューを控えたライバルでもある女をついカッとなって殺しちゃう。妊娠中の不安定さもあり、罪の大きさに苛まれながら悩み怯えるその揺れ具合の表現はさすが。支えたくなる脆さと、漫画への愛や母になる覚悟が共存してるその姿に、こちらの心もフルフル。

殺人なんていうエグい題材を前面に押し出し、俳優のキャラで笑いを取りながらも、しっとりと共感し、ほろっとなる。夫婦愛の美しい部分を押しつけるんじゃなく、押しては引っ込めする照れ具合がとってもとってもいい。

俳優さんたちのキャラそれぞれおいしい見せ所あり。桜井智也さんの不誠実そうで不誠実な、でも妻を大切にしてるニート夫、テンション高いストーカー・西山聡さんの殴られっぷり、抑え気味の編集・辰巳智秋さん、珍しく飛び道具の中川智明さん。何より注目は諫山幸治さん。アシスタント役のなよっと感と底意地の悪さとがどこまでも気持ち悪く交ざりあって目が離せませんでした。2ヵ月前にパラドックス定数で渋い刑事を演じてた人と同じ人とは思えない、振り幅。すごいわぁ。

想像越えていい話、いい作品。演劇関係者で独占するなって言いたくなるくらい、客席が豪華すぎで。

私が見かけただけで、黒岩三佳さん、金子岳憲さん、本井博之さん、川島潤哉さん、野木萌葱さん、内山奈々さん、などなど。好きな方々いっぱいだとどきどきしちゃうな。

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12月8日夜 あなざーわーくす「マンヂウ団地妻」

これも演劇なんだなぁっていつも幸せな気分になるユニット。今回は神楽坂の小さな素敵なカフェが会場。畳に掘り炬燵のある和める場所で。

またこのタイトルが滑稽で淫靡。AVにありそう。

年の離れた夫の帰りがいつも遅くて淋しい若妻。時間をもてあまして遊んでいたところ、夫に見つかりなじられ、ついカッとなって刺し殺してしまう。記憶をなくして病院に運び込まれて…。

ストーリーだけだと、完全に昼メロ。だけどそこはあなざーわーくすの素敵なところ、まったくどろどろさがない!ストリップをしようが喘ごうが、色気はあるのに微塵もエロくない。笑える。

スナックのシーンではマンヂウが振る舞われ、心も腹も満たされる。知らない人たちと一つの炬燵を囲みながら、にこにこ。

それにしても芝居観に行ってせんだみつおゲーム初体験するハメになるとは。

楽しかった。人に勧めたいけど自分が入れなくなると困るから内緒にしたい、複雑。

欲をいえばビール以外にもアルコールがあったらよかったな、日本酒とか。

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12月11日夜 アロッタファジャイナ「今日も、ふつう」

この季節、クリスマス、アロッタの世界がぴったり。繊細できらきら美しいものばかり。

でも国民的美少女からイケメン社長まで、小劇場の俳優と混ぜ合わせちゃうんだから、どんな化学変化になるんだか。大丈夫なのかな?

モリエールでの対面舞台なんて初めて。赤い絨毯と壁から天井の装飾が素敵。いつも色彩とか美術の雰囲気がかなり私好み。

作家を目指す女子高生4人の元に10年前の殺人被害者の女の子から手紙が届く。殺されたはずなのに。しかもその事件の状況は有名推理作家の幻のデビュー作に酷似。いったい何のいたずら?謎を追い掛けるうちにとんでもない過去の秘密が…。

前半のスピーディーな展開にわくわく。登場人物が多くしかもいろんな場面が次々に、だから、こりゃ見逃すまい、と必死。女子高生の部室、ネジ工場、喫茶店、芸能事務所、バー、と場面が飛べば飛ぶほどに食らいつきも強くなる。なになに、どう結び付くの?

転換の間の音楽の不安をそそる感じがたまらん。

女子高生役の美少女たちが意外にもうまくこなしてる。かわいいのは当然だけど、ちょっとしたキャラの描き分けがきちんとできてるし。

で、ある程度パーツが出揃ってからが少し引っ張りすぎな感じ。同じテンポで場面は切り替わっていくんだけど、なかなか進まない。続きはCMのあとで、みたいなずっこけ感。人物が多く、ちゃんと一人一人に物語を与えているからなんだろうけど。でも早く核心が知りたい!

だんだんとみんなが自分の「ふつう」を保てなくなってきてからが、またぞくぞく。抜け出したくてたまらなかった「ふつう」なのに、「ふつう」を積み重ね続けるといつか崩れ落ちてしまう瞬間がくる。それは無意識のうちの小さな歪みがピサの斜塔のように積み重なった結果かもしれないし、積み重ねるピース自体でこぼこして不安定だったからかもしれない。崩したいときにはとびきり頑丈に立ちはだかり、縋りたいときには自ずから消滅してしまう「ふつう」。残酷ってこういうことね。

最後のシーンは美しいの一言に尽きます。五感すべてが感じてる。

菅野貴夫さんの存在感がいいですわあ。浮つかず、引き締めてる。彼じゃなかったらラストシーン、恥ずかしくて観ていられなかったかも。

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12月6日夕 good morning N˚5 「アタシが書くからアンタが演りなっ!」

毛皮族の澤田育子さんが書いて、カムカムの藤田記子さんが主演、ゲストに米米クラブのMINAKOさんという超豪華な企画。しかもあくとれで。近い!あふれちゃいそう。

大人の女がハジけるってすばらしい。質の高いエンターテイメント。開演前の売り子サービスからアドリブ風の見せ掛け、歌、一人芝居、まさかあくとれでっていうくらいのすごい仕掛け。90分+α、舞台に実際の時計を設置しての演出が、こっちにとってはあと○分で終わっちゃう、って悔しくなるくらい楽しい。

藤田さん、期待どおりに体張ってくれます。裸のテイでっていうのが最高!澤田さんの美しさとめちゃくちゃさ、ほれぼれ。私男だったら完全に落ちますheart04

勢い押し切り型でもあるし、着替えや転換で映像が多めでもあるけど、ぐだぐだっとしたところも意外に計算かもって思わせるくらいに力があるんだよなぁ。

この規模でのこの豪華さって言うのを保ちながらまた次やってほしい。大きいところに行かないで。

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12月6日夜 げんこつ団「フルチョア」

本日3本目。観て移動して観て移動して観てると一日がほんと早い。あっという間に夜。何やってんだか、とも思うけど、そんな生活がやめられないんだな。

げんこつ団は2回目かな。一年ほど前、なんだこれ?と思った気がする。その時は好きじゃない、って思ったけど、一回であきらめたくはないので。

おおらかに楽しむつもりで行ったら、これが意外におもしろい!

タイトルのフルチョアはブルジョアの対義語らしいですsmile。裕福でない労働階級。なので働くってことをおちょくりまくってます。

いんこの部長の下で働く社員とか、日本の企業すべてが一つにまとまった、とか、家族でやってる農業とか、魚萌えの漁師とか、露出狂講座や正義の味方講座とか。ちょっとした場面をシュールに一捻りしてて。ありえないしバカうけはしないんだけどぷぷぷってなる。

日本の企業の総まとめが「坂本ハム」だったり、露出の練習に「イントレ」=陰部トレーニングしたり、結構ツボ。

淡々としたニュースもかなりおもしろい。

一つ一つのストーリーはそれぞれ完結してるんだけど、ポイントがゆるやかにつながっていたのが気に入りました。ぐるっとまわって元の地点に戻ってきたまとまり具合が。

それにしても不思議な空気感をもつ劇団だな。俳優さん達、あんなにふざけたことやってるのに全く乱れず素を見せず。

一つ困るのは、劇団でチケット予約ができないらしいってこと。特別チケット以外はぴあとかイープラスになっちゃう。面倒だしチケットがかわいくないんだよね。

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12月5日夜 「黒猫」

また映像系の演劇作品にチャレンジ。黒猫のテイストと舞台をどう組み合わせるか、想像もできない。

友人に誘われるがままに。内田春菊さんや町田マリーさんや町田水城さんや中林舞さんには惹かれる。

原作とはかなり違う形に仕上がってますね。ストーリーとしては別物。もっと沿った形で行くかと思ったのでびっくりでした。

黒猫の雰囲気は壊れてないけど、モチーフはどうかな。得体のしれない内面世界の独白が持ち味なのに、起こる事象にベースとなる根拠を付けちゃった。自分でもわからない衝動につき動かされる怖さが、失った子供への愛という形で裏付けられたくなかった。

眠くなっちゃって場面のつながりがつかめなくなりがちでしたけど、ちょっとストーリーをつけすぎだったかなあ。行動に至った説明はないのがいいのに。

映像はかっこよくてさすがだったけど、これもナイロンと比較しちゃえば、ふうん、っていう程度だな。

そこそこ楽しめはしたけど、目新しくはないし、コストパフォーマンス的には落第点。高いんだよぉ。

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12月5日昼 散歩道楽「レモンスター」

初めての散歩道楽。脚本提供とか外部演出では太田善也さんてやたら見かける気がするけど、それすらほとんど観たことないかも。

その昔剣術の達人と村一番の美女が駈け落ちし非業の死を遂げたという伝説が伝わる村にて。二人の魂を鎮めるために今も神社には二人の持っていたお守りが納められていた。ある日村に見知らぬ男が現れ、お守りが盗まれて…。

登場人物が多いせいか、かなりてんこ盛りな印象。がつんと芯になるものが感じられなかったです。過去の伝説の二人、先生と教え子の禁断の愛、妻と別れ村にやってきて記憶をなくした男、などなど、つながりはあるんだけど私には把握しきれなかった…。

笑いどころは結構あるのになんかテンポが悪く、気付くと笑うタイミングを逃してるっていう、もどかしさ。笑うならあと一秒前だった、もう次行っちゃったよみたいな。

美しい物語だし、美術も照明も素敵なのに、うーん、この記憶に残らない感じはなんだろな。パンチが足りない。

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11月30日昼 角角ストロガのフ「毛頭‐MOUTOU-」

6月の旗揚げに続いて2回目。次は王子公演が決まってるんだからすごい。

角田ルミさんのがんばりがいとおしくなります。客一人一人へのおもてなし。DMやチケット予約の返信や当日パンフに愛がある。

前回同様、舞台をいくつかに分け、上手に埋めてます。男の部屋、女の部屋、中華料理屋の厨房、屋外。

自分は最低だ、と毛筆で遺書を書こうとする男。母はなく、知恵の遅れた血の繋がらない兄と兄を溺愛する父と暮らしていたが、とびきりおいしい肉を知り、道を踏み外していく。女は毛筆で出すあてのないラブレターを書き続ける。姉に溺愛され、それを受け入れながらも憎み。ある日ついにラブレターを投函して…。また、姉が勤める中華料理屋はすこぶるまずいことで有名だが、料理人の男はとびきりの肉を仕入れてくるが、その入手方法はかなりやばくて。

孤独を抱えたいびつな人々が平行して描かれます。それぞれの事情が明らかになる後半まで、一気に小気味よく進み引き込まれました。始まりの会話の重ね方とか、わわわってなったけど、気になるエッセンスがいっぱいちりばめられてて、気の引き方が上手だなぁって。じらされますわ。

知恵遅れの兄に普通は大変と教え込んだり、女が一人は好き、だけどこころもとない、嫌い、とつぶやいたり、父が息子に人は一人しか大事にできないと言ったり、女が自分を大切にしてくれそうな人を嫌ったり、ちょっとしたところに本音とも皮肉ともつかない毒が盛り込まれてるのがたまりません。ぞぞっとします。

そういうぴりっとした台詞を、比較的あどけない雰囲気の俳優にしゃべらせてるところもいいんだよな。

ただ、後半の状況がつかめてからの展開がちょっとテンポダウン、わかりにくかったかな。終わり方はすごくよかったけど。

それにしても松下幸史さんの子供役はテッパンですねぇ。今回は宍倉靖二さんとのコンビがすごくいい。宍倉さんの陰のある子の下からの目付き、母性本能くすぐられます。橋本恵一郎さんの母→父の変わり身もびっくり。

次がとっても楽しみ。

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11月27日夜 表現・さわやか「美少年オンザラン」

池田鉄洋さん主宰の、猫のホテル若手俳優陣のコントユニットです。この面々を駅前で見られるなんて。

今回は初めて自由席に。せっかくだから一番前でかぶりつこう!

爆発的な笑いじゃないんだけど、そうそう、そこだよ、みたいな。お約束はちゃんと守られた上での。それがぴったりきた時の快感。

あとは乗っかってる役者さんの色。岩本靖輝さんのまるで素みたいなとぼけたツッコミが大好き。菅原詠二さんの男前なのかブサイクなのかわからなくなるような顔芸も。

やっぱり最前列はいいですわぁ。いけだしんさんの汗や唾をたっぷり浴びられますcoldsweats02真剣によけちゃったけど。

本多劇場進出が残念でなりません。お尻が痛いことを気遣ってくれるイケテツが素敵なのに。

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11月25日夜 MU「死んだ赤鬼/戦争に行って来た(反転)」

両A面と称しての短篇2本。にしてもすごい役者さんばかり集めたなぁ。「戦争に行ってきた」は前回観たのでどの役をどの俳優さんが?って想像しても楽しめる。

「戦争に行ってきた(反転)」お得意の男女入れ替えでの再演。戦地で人質にされた反戦団体メンバー達が、あるバンドに反戦歌作りを依頼する。出来上がった曲は全く意に沿わないもので、顔を合わせて条件のすり合わせをすることになったのだが。

役柄のイメージってやっぱり俳優さんによってかなり左右されるんだなと実感。男女を入れ替えたことで、おそらく描きたい世界も変わったんだと思います。女性が戦場に行ったこと、男性がちゃらちゃらしたバンドをやってること、もしかしたら初演の方がすんなり受け入れやすい形だったのかもしれませんが、私はそこは気にならずむしろおもしろかったです。設定がリアルかどうかの見極めの前に私には初演との比較目線が強くなっちゃったから。それも踏まえて、前回は中川智明さんが演じた五味役を足利彩さんが演じると、っていうのがすごくおもしろかった。胡散臭くて真意のつかみにくい気持ち悪い感じだったのが、反戦とグロ写真撮影の矛盾にちゃんと向き合って揺れ、もう一つの世界に気付いて恐れる感覚がリアルに思えました。

足利さんの目線、目付き一つ一つがすごく雄弁で、まつげの伏せ具合さえ何かを感じる、気がする。近いからごまかしの効かないところで、ぐさりとやられた感じ。

バンド側の男子二人の、人を人とも思わない世間をナメ切った態度も、マッチョじゃない男子だからのなよっと感がよかったです。永山智啓さんと川本喬介さんのほのぼの感。ガールズバンドでは若さ特有の全知全能感がぎすぎすしてたけど、男子だと生意気な口たたいても僕達暴力なら逃げますから、的なこずるい雰囲気がいい味。

反転、おもしろいな。

「死んだ赤鬼」付き合ってた女に浮気されフラれた警官。弱さを逃げ道にされて腹を立て、つい浮気相手を殺してしまう。罪を認めようとするのに、罪をかぶってくれようとする男が現れたり、もみ消そうとする人が出てきたり。

弱さを口実に要領よく生き抜けようとする人々と、弱さを認めたがらないまま姑息な方法で切り抜けようとする人々。殺人など設定は突飛でも結構生々しくてエグい問題を突き付けられたような気分。どちらになりたいか、どちらが得か、無意識に計算しちゃってる、なんてちょっと怖い。

実験作と作者本人が宣う今作。結構わくわくできたな、私は。夢と現つを曖昧に、この世界や殺したことさえ空想じゃないかと感じちゃうようなふんわり浮いた感覚でした。

血みどろゾンビを見たとは思えない、ファンタジックな後味。

やっぱりMUは短篇がいい。ラインを追わずに空気を味わうのが好きだな。

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11月24日昼 ZOKKYののぞき部屋コレクションPart3「乳が出て幸せ」「ブラジャーに乗って」「欲望と言う名のすごい棒」

またどきどきが味わえる。この日ばかりは自分が男じゃないのがすごく悔しい。男目線でうずきたかった。。。

「乳が出て幸せ」遠藤留奈さんのエロ顔をこんなに至近距離で見れちゃうなんて。いやらしい。恥ずかしい。思わずこっちが目をそらしそうになっちゃう。舞台でどんなエロ顔してても別に私に向けられてるわけじゃないから、平気でよだれ垂らして見つめてられるけど、この穴じゃ完全に見つめ合い目線。覗いてるつもりなのに覗かれてるような。

「ブラジャーに乗って」うっわー、これも境宏子さんのあどけない表情と服装のギャップにやられた。唇だけで悩殺。しゃべらないであの表情で肩越し目線いただくだけでもありがたく5分すごせます。あわてる男たちのかっこ悪いことったら…。

「欲望と言う名のすごい棒」はい、これも佐々木なふみ姉さんにめろめろです。むしろ女だからなんとか興奮抑えられましたくらいな色っぽさ。何しゃべってもエロく聞こえちゃうのは、現代淫語演劇大成功なんだろうね。

右目で観て、途中左目のほうが視力よかったことを思い出して交替、でもやっぱり利き目は右だから、と元に戻し。観れない片目がかわいそうな気さえしてくる。

こっちの3本の方がそそりますね。ぜひとも男としてもう一度観たい、叶わぬ願い。

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11月20日夜 柿喰う客企画公演 七味まゆ味一人芝居「いきなりベッドシーン」

今年この人のお芝居何回観たかなぁって思うほど、さんざん出続けてる七味まゆ味さん。来年一発目は野田地図、コクーンでお姿拝めるそうで。すごい!

今回は一人芝居。柿での大人数の中での存在感が一人でどう変化するのかな。

清水の舞台から飛び降りちゃった女子高生。好奇心旺盛、なんでもかんでもやってみなくちゃ気が済まない、そんな女子高生の入学から飛び降りるまでの日々。

そのペースで最初から飛ばしてて大丈夫?ってくらいのテンション。うわぁ、一人でも柿。怒濤の台詞。

調子付いてるイケイケ女子高生とそのテンションはぴったりで。完全にペースに巻き込まれてこっちもテンション上がってきたところで、意外にもちょびっとしんみり風情。緩急のつけ方もストーリーと演技のバランスがばっちりで、きゅいーんと引き込まれます。

50分がほんとにあっと言う間。一人芝居ってたいてい演者の息つく瞬間が入っちゃって、こっちも一緒に素に戻らされちゃうのが嫌いだったけど、これは全くそんなのなし。最初っから最後まで、おっそろしいほどのエネルギーだな。ああいうのが若さなのかしら。ベテランが大舞台でやる一人芝居より、小劇場の若手のほうがよっぽどおもしろい。

女子高生の可愛さもいいけど、クラスを担って任されてる先生の動き、好き。もっと登場してって思っちゃった。

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11月23日夜 三条会「熊野」「弱法師」

4月から続いていた三島由紀夫近代能楽集の最後を飾る二つ。「弱法師」は「卒塔婆小町」とともにアンコールにも選ばれてるだけにすごい期待。

「熊野」母の見舞いにかこつけて昔の男に会おうとし、パトロンともめる女の子のお話。簡潔にまとめるとものすごく俗っぽいな。

人形とか柵とか三条会っぽい設定を取り込みながら、大川潤子さんと榊原毅さんの二枚看板がしっかり絡むだけで、満足感。

何度も柵を乗り越えて下に落ちる、大川さん演じる熊野を、そのたびに嘆き悲しむ榊原さん演じる宗盛。何度繰り返されても笑える。

そして舞台と客席の配置を入れ替えた後半、「弱法師」戦後幼い頃に実父母と生き別れ、養父母にわがままいっぱいに育てられた若者。両方の両親と面会した後…。

いやさすがにアンコールに選ぶだけのことあり。出演者からしても謎に包み、いやが応にも高まるわくわく。いじり方としては三条会らしく、でもきつねにつままれた感たっぷりで。

関美能留さん讃歌をとりあえず歌っておかないと。こんなまさかな裏切られ方、ないない。

かなりネタバレ。後半関さんにいじられる橋口さんのリアクションが、笑えてたまらないです。恥ずかしがりながらもまんざらでもない風な。あえて役名じゃなく本名で呼び続けるから余計に。

アンコール、行きたいなぁ。おそらくこのままじゃないだろうし、気になるな。

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11月19日昼 ブルドッキング・ヘッドロック「とける」

5月の「役に立たないオマエ」の続編にあたるらしいこの作品。うすらぼんやりしか覚えてないけど、大丈夫かな。

会場入るとまさに見覚えのある美術室。あそこがああ動くんだったな、なんて結構絵が浮かんでくるもんだな。

前回の文化祭前後のお話から数か月、秋から冬、そして春に至る物語。

ドキュメンタリーを作っていた放送部は完成、美術部は卒業生の送別会を企画する。その間にブログを書いてる生徒や万引きで補導される生徒が出たり。もちろんコイバナも。

前回になんとなくウソ臭くて受け入れにくかった箇所が、キャラの把握によって自然に取れたりっていう強みはありました。でもそれ以上に、描く世界がはっきり掴めていたのと、キャラがしっかり立っていたのとでの引力を感じました。

特に篠原トオルさん演じる美術部の松山先生。前回、生徒に好かれる気さくな人柄の裏にあるいけ好かない部分がすごい気になっていたんだけど、その部分の堀り下げがなされていて、自分がどうしてこんなにもこのキャラに対してイヤな感情を抱いてしまうのか納得いく描き方をされてました。そうね、そうね、うわ、そこだよって。共感できるのって自分の経験の範囲内だって言いますが、まさに自分が説明できなかった部分を解説されたようで、こそばゆくもあり、すっきりもあり。しかもさらに最後の揺れ方までいい。

高校時代の甘酸っぱさやらもどかしさやら、思い出しながらのノスタルジー。だから心地よく思いながら複雑な心境なのかな。もどりたくはない、けどこういう形で追体験したくなるような。

ほんと、出てくる高校生たちが個性的でおもしろい。昭和的でもあるし現代的でもある。いつの時代もいるマジメさん、調子いい男子、男前モテ男くん、キモ眼鏡系、などなど。ある程度ステレオタイプにしてどこのクラスでもいたような人物にしながらも、一人一人にちゃんと物語があるやさしさがいい。今後もまた観たい世界。

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11月14日昼 「昭和島ウォーカー」

ヨーロッパ企画なのは知ってたけどジャニーズ絡みの小劇場食いかと思って無視してました。蓋を開ければ評判なかなかなのでやっぱり気になっちゃった。

ロボット工場で働く人たち。ロボットは人間を傷つけてはならない、っていう法律に則って、二足歩行ロボが作れなくなり、今は部品の組み立てをしている。が、その組み立てさえもロボットがすることになり、工場の人たちは再び二足歩行ロボの開発をし始め…。

しっかりヨーロッパ企画テイスト。V6井ノ原快彦さんや粟根まことさんを客演に迎えて豪華にって感じ。エンターテイメント性がアップしててむしろ観やすい、楽しい。

ヨーロッパ企画はこういう風に規模を大きくしたほうがおもしろいんじゃないの?と思ってしまうくらい。まぁ俳優さん達の個性は弱いからその辺りはプロデュース公演だけど。

趣味としてはヨーロッパ企画の世界はわかりやすすぎてそんなに惹かれるわけじゃないけど、いのっちのさわやかさとはかなりマッチしていたと思います。最後の漫画チックな巨大ロボットのエピソードも、みんなの一生懸命さが臭くない。

まあ、とは言ってもグローブ座、ジャニーズ。一階センターのなかなかいいお席で観ましたが、芝居を楽しむならば2階3階でもいいかも。むしろそっちがいいかも。

2時間の公演中ずっと独り言をぶつぶつつぶやいてる人や、いのっちシーンだけけたけた笑う人や、声を出して舞台にツッコム人がいたから。おまけにスタンディングオベーションだし。それほどじゃないよね、と腰が上がらなかった私は若干浮きました。

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11月13日昼 風琴工房「機械と音楽」

前回公演からの間に所属俳優さんが変わったりしたようだけど、熱い人間ドラマが展開されるのは変わらないでしょう。心を震わせたい。

再演らしいです。舞台はロシア革命時代。国が変動する中に生きて翻弄される、才能ある建築家や詩人たちのお話。

建築家の話だからか、舞台がとてもスタイリッシュ。斜めに通った白い舞台、バルコニーへむかうハシゴ、天井付近には赤い半円状の装飾。

そしてインパクトあるオープニング。ロシアっぽいコートを身にまとった俳優さん達が、華麗に舞う!風琴ぽくなくて意外!かっこいい。

ロシア革命からの歴史の流れの中での若い建築家達の出会い、交流。時代背景とか知らないので少しついていきにくい感じもありましたが、人間としての関わりや感情に焦点があるので外国設定に違和感はなし。

ただ、私の体調的にがっつり取り組む集中力に欠けちゃってたので、カタカナ言葉が続いたり政治関係の話題に触れたりしてるとどうもまぶたが…。生で演奏される音楽や効果音も心地よくて。

なので今回感じたのは全体の中での感情の揺れよりは、瞬間的な爆発ばかり。

たとえば、浅倉洋介さん演じる建築家イヴァンが自分の設計は全く実現されないと嘆き、友人の扇田拓也さん演じるギンスブルクと揉める場面。殴りあっている時、二人の師である佐藤拓之さん演じるヴェスニンが浮かべていた涙。支えてやりたい教え子なのに思うように伸ばしてあげられないもどかしさ、悔しさが、その涙目だけで。大の男の浮かべる涙がこんなにぐっとくるとは。一瞬息が詰まりました。

たとえば、イライラしたイヴァンが自分の書いた設計図を燃やそうとしたとき。同じ仲間の宮嶋美子さん演じるエレーナが設計図を守ろうと体を張る場面。彼本人でなくその才能への愛。そのストイックで純粋な叫びは、月並みなお涙シーンとも言えるかもしれないけど、まんまとハマってしまう。

こういう一瞬にして撃ち落とされる瞬間もあるから、お芝居は楽しい。

というのは自分に言い聞かせてるだけで、ほんとはしっかり観られなかったのをひどく悔しく思っておりマス。あーあ。あの瞬間も、もっと話に入ってたらもっと感動できただろうに。

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11月8日夜 クロムモリブデン「テキサス芝刈機」③

さすがに今日で私は見納め。東京公演半分、でも満足してない自分が怖い。

全員が看板張れるくらいの力強さだからね、楽しい。

痴漢へのトラウマと脱線事故を組み合わせてのお話もやはりじーんとくるし。まぁ、若干無理やり結び付けてるような部分はあるから、その辺は深く考えないほうがよいと判断し、流しましたcoldsweats01よくわからなくなったら深追いせずにさらっと。そうしたほうが楽しいから。

そうは言ってもやっぱりストーリー直結部分の後半のワレタさんの涙顔にはやられます。これは正面じゃなきゃ見られないのがもったいない。

今日はなんかちょっとしたトラブルにどきどき。音が途切れちゃったり、暗転が長かったり、電車が脱線しなかったり。でもこういうのがあるからこそリピートしてるわけで。そこでの乗り切り方がまたチームワークというかセンスというか。一緒にひやひやしながらどうこなしてくれるかのわくわく。ない方がいいアクシデントだし、これ1回しか観ない人にとっては災難だけど。

ちょっとしたサービスで芝刈り中の板倉チヒロさんが客席に降りてきたのもどきどき。すぐ近かったから余計に。

まぁ、自分の体調も含め、フィットしたのは昨日が一番。でもこのトラブル対処の柔軟さはさすが。そうやって乗り切ろうとする、そしてむしろ楽しんでさえいるような空気がたまらない。

大阪のホールは円形ではないのかな。そうなってくるとどうなるかが気になります。

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11月7日夜 クロムモリブデン「テキサス芝刈機」②

もちろんのリピート。だけど期間が短すぎ。毎日通わなきゃならん。ストーカーになれるな。宝塚とかみたいに入り待ち・出待ちしそうな勢い。

角度が変わると見え方結構変わります。それも楽しみ。昨日は見えなかった顔が見えるはず。

昨日はかなり貪欲にがぶり寄りでがっついたけど、今日はある意味ぼんやり、ゆったり素直に。おかげでストーリーがほとんど入って来なかったけどcoldsweats01

かわりにパワーをがつーんと受けました。これこれ、私が欲しかったのは!何がどう変わったのか、全くわかんないけど、後半に伸びてくエネルギーがクロムクロムしてる。最高。

やっぱり初めての円形、だとか、鹿殺しと電車かぶってる、とか、いろいろごちゃごちゃ考えるから昨日は自分も楽しめなかったんだなって反省。楽しいことを楽しむためには、そのままするっと受けなきゃ。

たぶん俳優さん達もいい形で開き直ってほぐれたんじゃないかしら。そういうのって舞台と客席でも伝わるんだろうから。演者が緊張すれば客もそうだし、客が気張って観てれば演者も固くなる。

なんか劇場全体が一体になったような充実感。私だけ?ああ、幸せな余韻。帰る道々にやにやしっぱなしの気持ち悪い人になろうとかまわない。

浮かれついでにTシャツとDVD購入。いい客だな。

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11月6日夜 クロムモリブデン「テキサス芝刈機」①

待ちに待っていたクロムの開幕です。今週は電気とクロムで埋めちゃった。円形がどう占領されるか、こっちが緊張するくらい。

先行でチケット取ったからセンター付近の最前列。まわりの人もそうなんだろうと思うとなんか親近感わきますね。クロム好き集合、的な。

電車での痴漢と脱線事故にまつわるお話。もちろんクロムだから一筋縄ではいかない。トラウマになる脳内世界を濃密に。

痴漢をする心理、された側の傷、その気持ちに起因する行動、笑いながらもすべて納得がいく展開。笑いにここまでこだわってるのに、意外に細かい気持ちの流れがあるから目が離せなくなるんです。

今回は円形のスペースのためか、俳優さん達がほぼ出ずっぱり。こっちとしてはずっと観ていられるのがうれしい反面、登場時のインパクトには欠けちゃう。いつもはそのタイミングでそういうふうに登場sign02っていうので楽しんでたのがなくって物足りない。

円形劇場だからなのか、全体的に暗かった感じも。もちろん、何かが起こるときの照明は強い。だけど最前列なのに顔が観えにくいなって感じたのは、ねえ。さびしい。

ほんと、クロムメンバーばっかりでずっと舞台上にいるっているのはうれしい限り。うれしいけど見せ場は薄い気がしちゃう。板倉チヒロファンとしては、抑えどころばかりが目だってはじけっぷりがもっとーって思うし、いつもの森下亮さんの暴れどころもないし。

クロムってだけで私の中ではかなりハードル上がってはいます。全体としてはテイストがちゃんと生きてるから楽しい。いつもどおりの衣装のポップさも大好き。渡邉とかげちゃんのコスチューム、かわゆい。チヒロくんの子供っぷりも。森下さんの衣装はほんといつもかっこよい。この衣装のセンスがまた私の大好きポイントなので。

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11月5日夜 動物電気「びっくり校長先生」②

昨日に引き続き、今夜も動物電気。一度観ててもわくわくする。

今日は物語をじっくり味わいました。電気ってドリフ的なお笑いが印象に残りがちだけど、いつも必ずほろりポイントがある。主宰の政岡泰志さんの照れながらの優しさみたいなのがとっても好き。

今回のそのポイントは政岡さん演じる女教師の感情。優しいだけじゃない厳しさも持ち合わせた愛情で教え子に慕われてるけど、卒業生が殺人を犯してしまい。その子をたたいたことを今も後悔し悩んでいる。

いやなことやつらいことや皮肉や毒なしで、楽しいことだけみていられればいいのに、の言葉に不覚にも涙が出ました。

ま、とは言ってもそんな時間はほんの一瞬。余韻も何もないまままた笑うのも幸せ。

それにしてもコバケンおもしろコーナーはなんで何回観ても笑えるのかしら。初めて電気を観た時には、舞台上で毎日観ているはずの劇団員さん達が素で笑ってるように見えたのが不思議だったけど、確かに同じこと毎日観ても普通に笑える。うーん、やっぱりこれは小劇場の器を越えてるから?

今日のイベントは辻修DAYでご本人登場。過去映像もトークもめちゃくちゃおもしろくっておなががつるほど笑いました。次の公演は出るのかな。観たいなぁ。

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11月4日夜 動物電気「びっくり校長先生」①

久しぶりの実家に帰るような安心感のある動物電気。しかも駅前劇場での公演てのがうれしくてたまらない。

舞台は地方のお寺。住職は小学校の校長先生で、ちょっとおかしな先生だけど、寺に新任の先生を住まわせたり、地域のお祭りの話し合いや打ち上げをやったり、地域に根付いた活動をしています。校長のお姉さんも先生で中学に勤めてるけど、いい先生なのにあるトラウマがあって…。

今回は以前からの劇団員が休んでたり抜けてたり、新人が本格的に出演してたり、っていう変化はあるのに、やっぱり感じる安心感。よかった、変わってない、おもしろさも温かさも。

変わらないっていうマンネリにつながるリスクをものともせず、やりたい形を貫いている。出演者が変わろうが関係なく。少し下ネタは多いような気もするけど。まぁゲラゲラ声をあげて笑いまくった上で、しんみりほろり。

今回は森戸宏明さんが大活躍。なんか要所要所でいい雰囲気。子供からおっさんから変態まで。

終盤のコバケンタイム。連休中の本番で流血事件になるほど激しくやっちゃったらしく、ちょっと痛々しさもなくはない。だけどおもしろさはばっちり。

終演後のイベントは過去の劇団員たちの同窓会企画だったけど、あんまり実際には来ていなかったからちょっと物足りなったかな。写真や映像をトークでうまく盛り上げていましたけど。あと時間が短いのがもったいない。

いつものことながら、一回で終わらせるつもりはなし。今週は楽しい。

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10月29日昼 はえぎわpresentsジョニーコーデュロイ「コーヒー君」

いつもの作演、ノゾエ征爾さんを仲間外れにしたはえぎわメンバー。脚本提供の豪華さとゴールデン街劇場っていう客席との近さが魅力的。

千葉雅子さん、岩井秀人さん、小林顕作さん、武藤心平さんの脚本と彼らのオリジナルと。芝居というよりコントに近い感じ。ぐだぐだしたゆるい雰囲気。

正直言ってかなり脚本目当てだったけど、観てみるとだんだんはえぎわメンバーにはまってくる。この俳優さんたちありきの作品だなって。竹口龍茶さんの夜回り先生やジェームスボンド、滝寛式さんの遺体やヤンキー、鳥島明さんのコーヒー君とか不眠症患者とか、小百合油利さんのとぼけ顔とか。

照明のおちょくり方好き。照明を注目させるような形でいじるってあんまりないですよね。あえてはずしておかしな照明にして、普段のさりげない照明効果をリスペクトしてるのかな、なんて。

そうやってくすくす笑いでくすぶり続けた後、爆発したのは最後の組体操。小林顕作さんの振付・脚本。思いっきり私のツボです。大好き。体操服来たいい大人がぜいぜいしながら組体操。

若い俳優には体力や体のキレや身体能力に任せた美しさを期待するけど、30近くなるとリアルな疲れ具合を見せてくれるのがおもしろい。この辺、デスロック的な。ふざけてはいてもやらねばならないことには真剣。その気迫と体力のギャップが醍醐味。2ステやったら死んじゃうんじゃないかって心配になるくらいがおもしろい。

あの至近距離であんなのが観られただけで大満足です。私の中でのはえぎわ注目度、かなりの勢いで急上昇。

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10月25日夜 イキウメ「図書館的人生vol.2 盾と矛」~攻めるものと守るもの、武器についての短篇集~

若干へたばりながら三鷹まで。この3日間動き回りすぎた。楽しくぐったり。

私にとってはイキウメ短篇集は初です。あの世界観がどうなるのか楽しみです。

最初っから言ってしまえば、粒揃いの傑作。初めてイキウメに出会った時のような衝撃。あああ、これこれ、これが観たかった。

賽の河原で踊りまくる「亡霊」鬼と奪衣婆が待つ河原に亡者4人が送られてくる。段ボール積みを繰り返す亡者たち。ここから脱け出すには…。

ストーリーは単純明快、だけどそこにいる人たちの思いは複雑。考えるんじゃない、感じろ、とのブルース・リーの言葉がしっくりはまります。よくわからない感情だし、気味悪いのに最後の鬼の心情まですとんと落ちるんです。

やさしい人の業火な「懐石」刑務所から出てきたばかりの男が街中で袋叩きに会い、ある夫婦に助けられる。夫婦は男を家へ招き介抱するが。

一番気持ち悪く納得できないのに、なんか残るものがあったこの作品。今思い返すだけでなぜか涙が出る。

善意の固まりのような夫婦と人の善意を疑ってかかる男。どちらの感情も一筋縄ではいかないものだから、どこまで信じていいのか、ほんとの悪人は誰なのか、ずっと疑いながら見続けていて。どっちつかずのその感情、それさえ切なく。

信じたい気持ちと信じきれない気持ちのせめぎ合いが、すごくリアルに共有できてしまって苦しかったです。でも最後の救いっぽい台詞でまたがつんと落とされちゃう。これの後、もう少し浸る間が欲しかった。

瞬きさせない宇宙の「幸福」その1。かつての同級生が山中で死んでしまった。死因は過労と餓死。死ぬ少し前に、ちょうど山に隕石が落ちた時期に彼と会っていた男は彼と同じ隕石を手に入れていて。

これは触りまでで後半に引っ張ります。隕石にまつわるという、およそ信じがたい話なのにやっぱりそそられてる。

ま、この先はCMのあとで、みたいな引っ張り方はちょっとどうかとも思いますが。

そして間に挟まれるのが、東の海の笑わない「帝王」どんなにおもしろい漫画を読んでも笑わず、どんなにおいしい料理を食べてもうれしそうな顔はせず、何をしても怒った顔一つしない男と結婚しちゃった女。表情を変えない男に苛立つが、男は秘密の病を抱えていて。

これは愛のある優しい物語。秘密の病もお茶目。顔にはまったくそれらしい感情が出てこないで、すべて体の動きに出てきちゃう。それがわかるまではものすごくイライラする、けどいったい規則性が把握できればこれほどわかりやすい感情表現もない。それを打ち明ける前と後の、夫婦の気持ちの変化の描き方がお見事。

さて、その後は「幸福」その2。隕石の割れ目を見てしまうと、見とれてしまって全く身動きもしないまま見つめ続けてしまうことがわかった。見つめ続けていることには自覚はないから、世界中にそれをばら撒けば、テロ行為に。案の定、見つめ続けての交通事故などの報道が…。

見ている間の幸福感と結果として起こる状況のあまりの差にうすら寒くなります。うっかり目を向けてしまったらそれまで。もうどうにもならないっていうのがもどかしく、でも見ている本人はいたって幸せっていう皮肉が痛い。

イキウメンたちの派手でないパフォーマンスと世界観のマッチングはこれまたすごい。誰がどう、っていうのが挙げられないのが薄気味悪さをつのらせてる感じもします。

次から次へと話が進んでしまうので、噛みしめて浸ってる暇がないのだけがどうにもならない。ぐわっと入り込んじゃうから早々簡単に次の話に切り替えられないんだよな。それが辛いところ。

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10月28日夜 劇団HOBO「喧嘩農家」

旗揚げ公演とは言っても恐ろしく豪華な劇団員たち。一体何がやりたくて集まったのか、どんな企みがあるんだか。

酔っ払って予約をしたらしくなぜか偽名で申し込んでました。疾しいことしてるわけじゃないのになぜ?自分がわからない。

ま、とりあえず予約は通っていたので初日観劇。旗揚げに初日ってなんかうれしいな。

地方で細々と農家を営む真坂家5兄弟。末っ子の妹(高橋由美子)に入り婿(古川悦史)を迎えて、気持ちも新たに農業をやるはずだった。が、農業じゃあ稼ぎも少ないから、と次男(林和義)は駝鳥を飼い始め、三男(本間剛)は村会議員に立候補する。うまくいくわけもなく、借金ばかりを抱えた一家は…。

オーソドックスでわかりやすいストーリーに立体的な肉付けがなされ、ばしんとストライクに入ってきます。気持ちやお話の流れの中で、ちゃんと個々のシーンが浮かび上がってくる。ずっと泣いてもいられるし、ずっと笑ってもいられる。

ベテラン俳優さん達が基本に立ち返って一から丁寧に作り上げた感触。おふざけで集まったんじゃなく、ちゃんと原点回帰していい芝居作ろう、みたいな。舞台へ、観客へ、仲間へ、愛と信頼が伝わってくる。

まあちょっと書いてて恥ずかしい感じのことばかり並べちゃったけど。でもほんと、ほんわかと温かくなる心の動きを感じちゃったんです。

シーンごとの俳優さんの表情もすばらしい。古川悦史さんの、かわいがっていた鶏・ドリーを殺された時、一瞬にして顔に皺が増え老け込んでしまったかのような姿。お金を使っても使っても選挙に勝てないと感じた時の本間剛さんの目つき。ぞくぞくします。

結局家族は半分バラバラになっちゃったけど、前向きな解散。真坂一家のシリーズ化を期待しちゃいます。

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10月25日昼 電動夏子安置システム「#018 笑うフレゴリ」

これから年末にかけての3部作第1弾。毎回思うけど、これだけ複雑なルールに縛られた作品をよく作れるなぁ。感心してしまう。

今回のテーマは錯覚。第1弾は「目」。私からはこう見えている世の中は果たして、隣の人にも同じように見えているのか。

あるホテルの一室。ミステリーを共同執筆する男女や出張中の男、ホテルのボーイ、さらに喪服の人や父の葬儀にかけつけた娘など様々な人が出入りして。部屋を間違えたのか、ダブルブッキングなのか…。と思ったらそこは実はある家庭の居間で。。。

まぁ目の錯覚というよりは時空間の歪みと脳の認識間違いを使ったトリックかな。ホテルの部屋にいるつもりの人間には、部屋は居間には見えず、決まったアイテムを持った人だけしか認識できない。アイテムを持たない人間は存在しない、という扱い。またアイテムによってその人間は同定される。なので赤いバッグを持った人が自分の浮気相手、と決まってたとしたらたとえ男が持っていてもいちゃいちゃしちゃう。居間にいるつもりの人間にはすべて、みんなの共通認識としてこう見えているであろう姿に見えている。

人間関係とルールが把握できるまでは首をひねりながらの観劇。あとで解明されるのを辛抱強く待ちながら。

糸の端っこさえつかめればあとはずるずると楽しむばかり。今回、少しルールがいつもよりゆるいのでアレって引っ掛かる部分も多少ありましたけど、でもおもしろい。

人間自体を見える見えないの次元までいくのは、目の錯覚ではないように思うので、そういう意味ではやや不満。だけど縛りを抱えた芝居づくりは脳を刺激されて楽しい。これから3部作がどのように展開されるか、期待期待。

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10月24日夜 アイサツ「ぼくのおうさま」

今日は早稲田から渋谷、再び早稲田。なんか無駄に移動してるな。

アイサツは8月の15Minutes Madeに次いで2回目。それはあまり好みじゃなかったけど、本公演となったらどうでしょ。

人生成功講座で知り合った彼女と付き合い赤ちゃんができちゃった男。彼女は産むか産まないかで不安定。弟は自分にできることを探しに海外へ行く。彼女は町をさまよううち、UFOに乗るおまじないをする集団に出会い、後に「インパクト」と呼ばれるようになる世界の崩壊に見舞われ…。その後の世界では。

荒唐無稽なだけなら別にいいんだけど、広がってくばかりですとんと落ち着きどころがない。おもしろくなりそうな要素はたくさんばらまかれてるんです。でもまきっぱなしで回収することなし。

冒頭の成功講座、バイト先の店長のエピソード、幽霊と付き合う女、崩壊後の世界のルール、崩壊について論じる研究会、劇団の活動、母の自殺。あれがどんなふうに生きてくるんだろうってわくわくするのに、拾われないままで、じゃあ何だったんだろ?と首を傾げるような。ほんと、もったいない。

崩壊の前後で登場人物もほとんど変わってしまうので、気持ちというか目線というか、追い掛ける対象がつかみにくいのも入り込めない原因。通して出てくる幽霊の存在も今一つ宙ぶらりんだし。

俳優さんたちはよかったし、「インパクト」のインパクトもすごい。でもそのすごさだけがこの公演の印象になってしまいそうなのが残念。

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10月21日夜 ハイバイ「オムニ出す」落星バージョン

リトルモア地下で短篇集。バラエティに富んでるな。岩井秀人さんが今おもしろいと感じてるモノの詰め合せ。

こういうロングランってありがたいけど、いつ行こうかすっごく迷っちゃう。だって、初日と楽じゃだいぶ違うはず。早く観たいけど、客に観せることで出来上がる形も気になる。今回はまずはトーク狙いで早めに。

星=SF「輪廻TM」自分の前世や来世が見られると聞いてある寺へやってきた女。寺にいたのは胡散臭い男たちだったが、彼らが作ったという車椅子型のマシンに乗ってみると…。

4つのうち、これだけは岩井さんの作じゃなく、イキウメの前川知大さんの作。でも岩井さんと金子岳憲さんじゃ完全にハイバイの味わい。会話の噛み合わなさ加減とか相手をだまくらかそうとする姿勢とか。普通にハイバイっぽい。

テーマが輪廻ってことで、会話の内容が結構おもしろい。食べ物としての動物が死ぬのはかわいそうじゃないのに、犬やネコが死ぬのはかわいそうっていう感じ方は、輪廻の中にいる動物かどうかに関係するんじゃないか、とか。そういう理屈を岩井さんが言ってると、どうも新興宗教のように信じたくなっちゃう。

二つ目、落=落語「男の旅‐なつこ編‐」友人と3人で風俗に行き、友人の彼女を風俗嬢の中に見つけちゃったりとか、風俗嬢にマジ惚れしちゃったりする男の話。

落語の形式に則ったオリジナルの話をきちんと演劇に落としこんでます。噺家風に一人で語りが始まり、本筋に入って熊さん八つぁん風に掛け合い、そして下げへ。掛け合い部分で噺家が一人何役もするうち、舞台上は俳優が増えていき、二人一役、三人三役、一人二役、と、ころころ演じる役回りを替え展開されます。

その交替や変化がなんとも楽しいこと。噺家が左右に顔の向きを変えることで違う役になりきるように、俳優さんたちも立ち位置を変えることで違う人になる。変化している間がすごーくおもしろい。

単に芝居の中で複数演じ分けてるのがおもしろいのではなく、落語をベースに敷くことですべてを締める噺家の影が後ろにちらちらしてるからこそのおもしろさっていうのかな。

必死になって慌てて次の役になろうとするんじゃなくって、噺家としての間、っていうか、一旦噺家に戻ってから次の役になる感じが、笑わせてくれます。

前半、風俗の終わりくらいまではそれがよく見えたのに、後半は役を替えること夢中になっちゃってて、単なる一人二役に見えちゃった。だからオチがちょっと弱く感じました。アレって。

眼鏡を外してヅラをかぶった夏目慎也さんが予想外にかわいくってその姿だけで爆笑。

アフタートークで落語はちょっとデスロックの「3人いる」をパクッたって言ってました。私はあまりそうは思わなかったけど。でもこういうのすごく好きって思ったのはそのせいもあったのかも。

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10月19日夜 地点「桜の園」

かなり無理無理つめこんだ一日の締めは地点。小竹向原から吉祥寺へ。がんばるぞ。

勢い込んだのはいいけど、チケット劇団で取ったつもりでいたらぴあだった。あわててファミマを探して発券。間に合わないかと思った、やばいやばい。

チェーホフシリーズ、2本目。観たことも読んだこともないまま臨みました。話知ってるとどうも頭が結び付けようとがんばっちゃって疲れて眠くなっちゃうから。

やっぱり入場した時から始まるこの緊張感はいいですね。微動だにしない俳優さんの姿はさながら一服の絵。人形のようでもあり、美しい。

開演。息を吹き込まれた人形達が話しだす。台詞の流れが外国語のようだったり、能のようだったり。

読んでいかなかったのは正解。言葉一つ一つを追わず、雰囲気やトーンを楽しむことができて、すっごく心地よかった。

素敵な庭をもつ一家が没落し、成金になったかつての使用人に家も土地も買われてしまう。それでも今後の生活などを気に病んでいるのは買い取った成金たちで、路頭に迷う当の一家はどこまでもお気楽。

なんか一家のお気楽さが楽しくて、一家が笑いだすとついつい笑っちゃう。でもその笑いはどこかいびつで、ある瞬間にぱたっと終わる。ちょっと不安をそそるその感じが後を引いて。

床に敷き詰めた小銭で 転び続ける成金のシーンがもの哀しくて心に残りました。お金でどうにかなるものとならないもの。一家の暮らしぶりは成り行き任せでいいかげんかもしれないけど、意外に自分達にとって大切なモノを知っていたのかも、それをわからずにお金にこだわってるから彼はみじめに見えちゃうのかな。

さて、原作読んでみようかな。

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10月13日夜 DULL-COLORED POP第7回公演「JANIS~Love is like a Ball and Chain~」

17時15分まで三鷹で観て、18時からタイニーアリスというかなりの強行軍。ワンドリンクあるのに。間に合うかしら。

ちょこちょこ通行人を突き飛ばしながら走り、どうにかセーフ。そんな状態にはジャックダニエルはこたえるなあ。

ロックシンガー、JANIS・JOPLINにまつわるエピソードを曲を交えて。トップスターにのぼりつめても、女として、一人の人間として、求めたモノは手に入らず…。

HEDWIG AND ANGRY INCHを思い出しちゃうな。

JANISの曲も人生も全く知りませんが、思い入れを感じるエピソードの数々や生演奏はなかなか見応えあるものでした。客席もバーの一角のような作り。たまたま居合わせて有名人の会話を聞いちゃってるような楽しさ。

酒やクスリにまみれたいかにもロックスターらしい生き方だけど、意外に素直でまっとうな望み。プライベートと仕事の間の葛藤。よくわかる。

ただ、なんとなくありきたりな展開に思えてしまうのは、人生自体がロッカーとしては典型的で予想を裏切らないから、なんでしょうか。JANISの苦悩や切なさが今一つすっと入ってこず、気持ちの上でのパンチが足りない感じ。

だからなのか、最後にクスリを打つ場面がなんかしっくりきませんでした。私としてはもっと主人公の気持ちに寄り添って味わいたかったのに。どちらかと言うとフランダースの犬を観た後のような、あーあ、かわいそうに、って感じ。

まあでもJANIS役の武井翔子さんはとってもキュート。なのに歌うとすごい迫力。これのサントラCD出して欲しいくらい素敵。聞き惚れました。ルックスが少し健康的すぎる気はしたけどbleah

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10月11日夜 開幕ペナントレース「振り返れば俺がいる」

来年はNY公演を控えているという開幕ペナントレース。あのアフロが全米進出?すごいなぁ。

ある古典作品をベースに、さらにキーワードは出演者に縁の人物、「ささき」と「いさお」。

お芝居ともコントともつかない体を張ったパフォーマンス。って言っても派手に動き回って息を切らせるようなモノではなく、じわじわじっくり、ああ、あれってそんなにしんどいんだぁって後から気付くような微妙な地味さ。その苦しさを前面に押し出さないおくゆかしさがなんだかおかしくて好き。

たとえば卓球についてのシーン。なんとなーく台詞を聞いてたら気付かないけど、役者さん達の顔がだんだん険しくなってて歯を食いしばったり足を震わせたりしてる。よく考えればあれはお相撲の蹲踞みたいな姿勢。そりゃ苦しかろう。じんわり疲れていく様にわくわく。もうちょっとだ、頑張れ的な応援モードと、いたぶる快感みたいなSモードが混じって。

前回の王子のときは舞台が広く天井が高かったから体の張り加減というか暑苦しい感じが伝わりにくかったけど、OFFOFFくらいの雰囲気にこの人数ってちょうどいい皮膚感覚。

やってみればできなくもなさそうだけどやってみたくはない、っていうようなことを、内輪ウケ罰ゲームの域を越えて成り立たせてるからおもしろいんだろうな。客席は若干内輪な笑いがあった気はしたけど。

エンディングは無理矢理ながらもモチーフの作品とキーワードをまとめてて、ぷぷっと笑えました。銀河鉄道999のテーマにかぶせて鉄郎+ロミオって。。。

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10月4日夜 コマツ企画「動転」

コマツ企画の誰かが出演ってなってる作品は、それだけで食い付いてる気がする昨今。本公演に行かないわけがない。さらに今回の客演のパワフルなこと。企画員と交わったらいったいどうなるか。

大好きだから近くで観たくって、開場前から並びました。最前列でテンション上がる。

で、きょろきょろしてると。出演者の相馬加奈子さんが場内誘導してる。そんなに人材不足?で、開演直前に飛び込む客を最前列に誘導、さらにその客は携帯を鳴り響かせ大声で会話を始めちゃう。ん?なんだこれ。ずいぶん迷惑だぞ、なんて首を傾げてるうちに開演。

父母が離婚しかけてる家庭の子供たちのシーンから。棒読み学芸会芝居。なんの企みかと期待してると、弟役の川島潤哉さんがお祖父ちゃん役の本井博之さんにからみ始め…。

ということで、家族の お話を上演しようとしている劇団のお話。私の隣に座った迷惑客も仕込みで。もめにもめて、設定も役もメチャクチャになりながらもどうにか本番を切り抜けようとする、劇団員なら一度は夢に見そうな悪夢。

開演前からのだましっぷりまで徹底してるし、からくりもわかりやすいけど混乱もするから、どこまでも楽しいです。仕掛けがわかって少し中だるみはある気もしたけど。でも飽きたかなと思い始めた瞬間に何かが起こるというようなタイミングが心地いいんです。

突然の助っ人役をあたふたしながら演じる平間美貴さんの器用さ、小学生まで演じる守備範囲の広さは驚異的。演出家の浦井大輔さんの、デフォルメされてるんだろうけどいかにもな雰囲気は、そのイヤラシ加減がたまらない。女優になってたぶらかされたい感じ。

私が観たことのあるコマツ企画の作品とはちょっと趣は違ってたけど、こんなのもおもしろいな。企画員のキャラ勝負じゃない感じが。その気持ち悪さが薄まってたのが物足りなくもあるけど。

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9月30日夜 パラドックス定数「三億円事件」

待ってはいたけど危うく予定組み損なうところでした、大好きなパラドックス定数。今回も実際にあった事件をモチーフに、がっつりしたのが観られそう。

OFF OFFで対面客席は初めてかな。これならたくさん入るしぎゅう詰め感が雰囲気にあってていい。どこに座っても俳優さん誰かしらの顔は見えなくなるけど、死角は特になし。黒板は見えなくても問題なし。

事件の概要など知らないまま観ましたが、やっぱり知ってたほうがおもしろいのかな。少なくとも警察についての知識はあったほうがいいようですね。公安とか刑事とか、所轄と本庁とか。

時効を3ヵ月後に控えた三億円事件の捜査本部。200人近くいた捜査員が8人に減らされ、トップもすげかえられ、所轄も本庁もこれ以上士気の下がり様のない状態。しかしそれでもいろいろな思いや策略もあって。

もう、期待どおり最高におもしろい!事件の謎に対峙するわくわくと、人間関係が詳らかになっていくどきどき。未解決事件を追うだけでも十分おもしろいだろうに、さらにかぶせる捜査一辺倒にならない人間ドラマとしての部分が大好きです。

捜査対象への感情移入、怪我で捜査から外れた上司への疑惑、出世コースとそこから弾かれた者・最初からコース外の者、危ない橋を渡ってきた上司とその後を継がされようとしている部下の関係、純粋に事件を解決したいという願い…。

舞台の上にあるのは言葉と俳優の佇まいだけ。なのに、なのか、だから、なのかはわからないけれど、全く抗うことのできない引力がそこにはあります。

ま、初日だから台詞噛んじゃってはいたけどcatface

でも本当に近い位置から観る俳優さんの存在がすごくよかったです。言葉メインだから、それを言いよどむ、ためらう間の一瞬の喉仏の動きとかにやられます。上司が部下を見た時の目線が一回下に流れたってだけでものすごい思いがこもっているように感じられちゃう。

これだけの脚本を書き、あんなすごい演出をする野木萌葱さん、只者ではないw(゚o゚)w

客席の面子もまあすごい。異儀田夏葉さんとか、中川智明さんとか、辰巳智秋さんとか、本広監督とか、高井浩子さんとか。そりゃ注目ですよね。

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9月30日昼 竹内まりやソングミュージカル「本気でオンリーユー」

渋谷の街に降りたとたんやたら竹内まりや。そんなにこれがフィーチャーされてるのかと思ったら、ちょうどコンプリートベストの発売だったみたい。かなり頭の中はまりや一色。

私にしてはめずらしく、メジャー系。うーん客層が心配だけど。

あややファンが多いかと思いきや、平日マチネだからか結構年齢層高めの女性多し。そうか、竹内まりや世代でパルコにお金出せるとなるとこうなるか。

私みたいにくぼかんさん目当てのような客は他にいるのだろうか…?

唯川恵の小説をベースに。彼氏と別れたばかりのOL。仕事のできる憧れの先輩もいて仕事に打ち込もうとも思うけど、元カレへの未練も断ち切れない。元カレはすでに社内に彼女を作り結婚まで考えていたが、その彼女は親友で…。親友に彼氏を紹介するように言われてつい見栄を張り、その場にいたカメラマンを紹介し、偶然が重なってそのカメラマンとつきあうことになっちゃって。。。

なあんかそんな小説を夢中になって読んでたこともあったなぁ、なんてしみじみ。バブル時代の月9なノリ。ひねりもなく、とっても素直にステレオタイプな悩みを抱える女の子の葛藤。

曲と物語のコラボって言う点ではきっちり構成されていて、見応えはあります。あややのかわいらしさもしっかり具合もばっちりハマッてて。

でもなあ、時代が違う。。。

そう言っちゃおしまいかもしれないけど。

あんまり仕事か恋か、なんて作品、今どきドラマにしても見かけないもんなぁ。

話や展開は十分楽しめるものなんだろうけど、今の自分とはシンクロする部分が少ないっていうことでしょうか。違ったモチーフならもっと共感できただろうな、と少々惜しい。

あとはパルコっていうサイズもなんかちょっと中途半端で。帝劇とかコマとか大きい劇場でマイク付けて歌ったりしゃべったりするのに慣れてる俳優さんと、声の通る小劇場の役者と、発声の微妙なアイドル系がいるから、なんとなくボリュームがちぐはぐな印象。歌だけじゃなく芝居部分も肉声じゃなさそうだったのもちょっと残念。

おでん屋のオヤジの原金太郎さんやくぼかんさんはやっぱりおもしろかったです。スポーツジムのインストラクター姿やパーティーシーンで相手もなくはしゃいでる姿についくすくす。

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9月27日夜 「4x1h Play #0」

なんか久しぶりにお芝居を観に行く気がする。って言っても10日ほど空いただけなのに。禁断症状。

5月の6本のリーディングから選ばれた2本が演じられるplay#0。どう変わってくるのかが楽しみな2作品。

だって、選ばれたのは柿喰う客の中屋敷法仁さんと快快の篠田千明さんの作品。これを全くカラーの違う演出家、黒澤世莉さんが演出だなんて。

一本目「ひとさまにみせるもんじゃない」寝坊して犯罪の巣窟である極楽メトロに乗るハメになった女子高生の話。いろいろな痴漢に出会うけど、痴漢にもそれぞれ事情があって。

リーディングの時はきっちり登場人物ごとに役を割り振っていましたが、ここでは6人の役者が交互にお立ち台に登り、登った者が役を演じていきます。噛んだりしくじったら引きずりおろされ、ころころと演者は変わる。役柄がわかってないと多少わかりにくい部分はありました。

台に登って生き生きと演じる役者と、台詞をつぶやきながら下から虎視眈眈と乗っ取りを狙う役者の駆け引きにわくわくします。シアタースポーツみたい。黒澤演出だけに、そのタイミングも稽古で生まれた流れをそのまま持ち込んで争っているように見せてるんだろうな、なんて思って観てました。だけどそれは勘ぐり過ぎで、すべてあの場で生まれた空気。お立ち台の取り合いも本気。だから毎回毎回演じる役も場面もさまざまだそうで。そっかー、あの迫力は半端じゃなかったもんな。

そうだとわかると一度しか観られないのが残念でたまらない。だいぶ印象違うんだろうなあ。

争いの迫力で、柿の勢いというか中屋敷さんの脚本の息遣いというか、そういう部分も感じられました。それが、柿メンバーじゃなくてもああなるのか、とおもしろくもあり、逆にメンバーが変わるとこうも違うっていう部分がちょっと物足りなくもあり。

2本目「いそうろう」居候をする側される側のそれぞれのストレス。

こちらはリーディングでは観てないんだけど、快快バージョンは富士山アネットのイベント[EKKKYO-!] で拝見。

女の子どうし、ルームメイトではない立場の違いがもたらすいらいら感がおもしろい。演じる役者さんはかわいらしいのに、その感情のすれ違いは快快に比べるとずいぶん生々しく見えました。ワンクッションなくストレートにぶつかる感じ。

だから我慢我慢が切れた瞬間とかはすっきり。泣いたりわめいたりも仲良しの裏返し感よりも女同士のバトル感が強かったな。

どちらの作品も、やっぱりついつい比べてしまって、なんだか素直に観られなかったような気が。まぁそれもおもしろみなのかな。比べてみるから自分の好みもわかってくるっていうのもある。こういうのが好き、ああいうのは苦手、って。

短篇だからこその瞬発的な発想力でいろいろなバリエーションができそうなのも楽しい。同じ演出家で俳優を替えたら、とか、俳優そのままで演出家は別の人、とか。いろいろ並べて味わわせてほしい。枠組みをちょっと越えた感じが今後どう発展するか、すっごく楽しみ。

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9月14日夜 東京デスロック「演劇LOVE2008~愛の行方3本立て~」倦怠期「CASTAYA」

エンリク・カステーヤって誰?聞いたこともないし、出演者さえ明かされていない。なんだろ、どんなんだろ。でもそんなまったくわからない状況すら、アゴラ劇場やデスロックの後ろ盾があるなら、確実でしょ。これ、おもしろいな。

デスロックの中で並ぶならば、多田淳之介がらみでないわけがないっていうのは見当がつく。じゃあなんであえてこういう形で作品にするのか。その謎を解くために、どうしても解説付きの日に伺わねばならぬ。

当日の受付や誘導、やっぱり確認しちゃいましたよ。出演するならここにいるわけないなぁって。でもデスロックの俳優さんたちはいる。これはやっぱり多田さんが怪しい。

ドン・キホーテもそうだったけど、夏目さんが注意事項のアナウンスをするのはなんだか笑える。それだけで笑えるんだからずるい。しかもカステーヤさんのメッセージまで。。。

カステーヤさんからの観劇アドバイスは、時計をはずして時間を気にせず楽しんで、というもの。これは素直に従わなくちゃ。

はい、開演。

見たことない女優さんが一人。中央に立ちます。

ひたすら一人。何もせず、一人。一人。

いろいろ考えました。想像しました。

倦怠期、という部分からの連想。想う男あり。愛して愛しつくした挙句の倦怠。それゆえの無表情だったり涙だったり。または、子供を亡くした母親。時には立ち尽くしているのが男性にさえ見える瞬間も。かと思えば、早く涙を流す選手権で苦しんでる姿に見えたり。女優なのに素に戻って鼻水を気にしているのに拭けない苦しさの想像。こっちも素に戻ると涙は乾くのに鼻水は乾かないことに感心したり。たまねぎで無理に涙を流させられる拷問。後から今の立ち姿は何分だったでしょう?ってクイズにするための時間なのかと思って計ろうとしたり。実はどこかから客が観られているんじゃないかとぎょろぎょろ見回したり。でもやっぱり女優の姿。目に力が宿る時。目の光が消える時。男が出て行った時。男が再び戻ってきた時。

まぁ、いろいろ考えました。まったく退屈しませんでした。んん、そうでもないな、最初の10分くらいはとまどって、想像したらいいのか、何も考えずに待ったらいいのか、どうしたらいいのかいろいろ迷いました。けど周りに寝てる人がいたり、下を向いてる人がいたり、メモをしてる人がいたりするのを感じて、なんでもいいんだなぁって開き直り。

そしてそして、気づけば40分経ってたらしいです。女優さんが急にしゃべったと思えばハングル。その言葉もわからずなんだかもやもやしてる間に、多田さんと鄭亜美さんが椅子持って登場。

突然の多田さんの「今何考えてました?」そこから鄭さんの通訳を介しながら、作品解説?なんか変。主宰の挨拶や目線がまったくこちらにない。どんどん不審に思って聞いてると。さらに多田さんが普通に韓国語で話し始める!

私の観た回は後ろから文句が。「ちゃんと通訳しなきゃわからないじゃないか!」怖かった。。。でもおもしろかった。。。吹き出したいのをすっごい我慢。サクラか、との疑惑をもちながら。

そのおかしなアフタートークまで作品。うわ、すごい。いいの?これで。途中でそれがわかった瞬間のおかしさったら。笑いが止まらず、ぐふぐふしちゃいました。その後の本当のアフタートークでの、いたずらをしてバレて叱られた子供みたいな出演者の方々の顔もねぇ。

問題作です。衝撃作です。リピート好きの私としては、一度見ても楽しめるか?って思ったけど、たぶんその時の観客の反応だけで毎回おいしくお酒が呑めそうな気がします。途中で帰る人がどれだけいるか、想像するだけで楽しい。

もちろん私自身も、アンテナの低い日に観てたら感じ方は違ってイライラしたかもしれないし、ほとんど寝たかもしれない。そんなことも含めておちょくられている、って言ったら言葉は悪いか、観客に任されている。何を感じようが、何も感じまいが、自由。それが許されるからこそ、演劇との間の倦怠期といえるんだろうか。

多田淳之介としてはこの作品は作らない、って本当のアフタートークにて。自分が今、観たいと思う作品を一番旬に作っている、っていう設定がエンリク・カステーヤ氏だそうです。普段のデスロックは実験作、と言われることを認めていない多田さんが、これは実験作ということでいい、と言ってるのも印象的。まあ、そうは言われても、舞台に俳優を一人立たせてそれで何分もずっと持たせるなんて奇特なことをやっている演出家はそうそういるわけじゃない。そうなるとこの作品は、傍から観れば多田さんらしい作品とも言える。多田さんらしい、としか言えない作品でもある。

長く書いてみても全くまとまりがつかめないっていうのも、やっぱりおもしろい。こんな作品に立ち会えてよかったなって思います。

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