歌舞伎

JACROW「明けない夜」 2009.7.18 20:00

サンモールスタジオでのロングラン公演が続くJACROW。前回の時代劇から一変し、実際にあった事件を元にした迫力あるドラマ。最後まで肩の力を抜かないでくださいという、主宰・中村暢明さんの言葉その通り。

昭和30年代、40年代に実際あった事件を基にしたお話。

舞台は昭和38年、ある地元有力者の娘が誘拐された。本庁と所轄の刑事達が解決に躍起になる中、誘拐された少女の両親や両親の会社の人たちの人間模様が暴かれていき…。 

ほんとに手に汗握るという慣用句がぴったりくる作品。犯人探しのミステリー要素と、登場人物の背景にあるエピソード、そこから生じる関係性。どれも目が離せないポイントばかりで、追いかけまくります。

外伝への誘いも含め、キャラクターの持つ背景とそこから発生した行動は興味をそそります。反面、見えそで見えない、語られそで語られない思わせ振りな部分も結構あって欲求不満も。苦悩してるのはわかるのにその理由はほんの一部しか示されない、って、いろいろ想像の余地あり。

ドラマそのものは展開が気になり最後まで一気に走りぬけていきます。それは本当にあっというまの感覚。でも内容の重さのわりに終演後にのしかかって暗くなるってことがありませんでした。変に観客に投げかけるんでなく、ちゃんと物語として完結してたからかなぁ。不思議。

前回の時も感じましたが、舞台美術にかなりのこだわりを感じます。昭和の時代考証がすごい。テレビやレコードプレイヤー、オープンリールなどからテレビ番組やヒット曲、さらに服装やお化粧まで…。ほんとすごい。知っている世代の大人が見たらなんかうれしいだろうな。       

外伝は時間ないなぁ、と諦めかけてたけど、本編観たらなんだか観ないと気が済まなくなりました。どうにかして行きましょ。

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6月24日夜 三人吉三

歌舞伎座に何回か観に行ったこともあるけど、そのたびに訳わからなくって眠くなってました。でもコクーンのは現代的に演出されるし、それがまたおもしろいって聞いて、ついうっかりチケットとっちゃいました。

ミュージカルとかもあんまり好きじゃないんだけど、どうも台詞が聞き取れないのがダメみたい。近頃思うと、私は左脳優位なようでストーリーや文字などに傾いている。人の顔覚えるのが一番苦手。左手使って右脳鍛えたらちょっとは変わるのかな。

そんなわけで聞き取りにくい歌舞伎もダメ分類に入るんだけど、前評判のすごさにすごいわくわくして行きました。

ロビーの雰囲気からして歌舞伎っぽい。勘三郎さんが意識してやっていそうな。座席も桟敷の座布団席あり、全席飲食可という珍しい設定。歌舞伎というか江戸時代、庶民の娯楽だった演劇っていうノリかな。ま、それにしてはお値段設定は高いから庶民は近寄りがたいけど。

でもそういうノリを大切にしているせいか、始まってからも楽しい楽しい。役者さんが座布団席の真っ只中を花道のごとく歩いていったり、勘三郎さんが自虐ネタに走ったり。聞き取りはやっぱりしんどくて、ストーリーは3分の2ぐらいしかわかってないかもしれないけど、それでも全体の力が漲っているのが伝わります。

ある刀を巡るお金のやり取りなどの様々な事情から、お互いの親しい間柄の相手をひょんなことで殺してしまった、三人の吉三。僧侶、坊ちゃん、お嬢さんの3人が、お互いの罪をうらむことなく、逆にそのような状況に陥れた世間に対して怒り、3人が力をあわせて戦っていく様が圧巻。中村勘太郎・七之助兄弟の演じる、血縁を知らずに恋に落ちてしまう二人もまた切なく色っぽい。

2回目の休憩の後は20分ほどなのに、ものすごく印象的です。降り積もる雪の中、華やかな衣装をまとった三人が色とりどりに乱れ舞い、三人を捕まえようという役人たちと戦います。その美しさったら。。。視覚的だけでなく、台詞回しや身のこなしまで本当に様式美というものがざわざわと普段感じたことのない感覚を呼び覚ましました。

そしてカーテンコール。疲れているだろうに、みんなずいぶんと楽しそうなのがまた好感度アップです。中村勘太郎さんの踊りやエアギターもご愛嬌で。

今度はストーリーを押さえた上で歌舞伎に行ってみたいなって思います。

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